「理学療法士として経験を積んだけれど、この先のキャリアに悩んでいる」

「体力面や将来の安定を考えて、次のステップを検討したい」

そんな思いを抱える理学療法士の方が増えています。

この記事では、理学療法士のセカンドキャリアについて解説します。

スキルを活用できる転職先や、キャリアチェンジのポイント、理学療法士としてのキャリアアップについてなど詳しくご紹介します。

この記事がおすすめな人
理学療法士として限界を感じている人
理学療法士を辞めようか迷っている人
理学療法士の次なるステージに行きたい人

長年の経験を活かしつつ、より自分らしい働き方や新しい道を模索する理学療法士のセカンドキャリアの選択肢とは?ぜひご覧ください。

理学療法士のセカンドキャリアの可能性

「セカンドキャリア」と聞いて、どんなイメージを持たれますか?

例えば、プロスポーツ選手の場合、一定の年齢で現役を引退すると、「スポーツ解説」「コーチ」「監督」など、スポーツ界で新たなキャリアを築いていくことが一般的です。

これがいわゆるセカンドキャリアです。

では、理学療法士にとってのセカンドキャリアとはどのようなものでしょうか?

理学療法士は体力が続く限り、一般的には60歳の定年まで働くことが可能です。

しかし、昇給が少なく収入が頭打ちになることや、長年の仕事へのマンネリ化、体力的な負担を感じるなどの理由で、他の道を模索する人も増えています。

こうした背景から、理学療法士としての経験を活かしつつ、新たなキャリアに挑戦することを考える方が増加傾向にあります。

理学療法士のスキルを活かせる職種

理学療法士のスキルを活かせるセカンドキャリア一覧

  • ケアマネージャー
  • 医師
  • 福祉用具業者
  • コンサルタント
  • トレーナーやスポーツ指導者
  • 開業独立

以下に、それぞれのキャリアの特徴をご紹介します。

ケアマネージャー

理学療法士は体力を使う仕事のため、年齢とともに体力に不安が出てきた場合には、ケアマネージャーという選択肢があります。

理学療法士として5年以上の実務経験があればケアマネージャー(介護支援専門員)の資格を取得でき、在宅ケアプランの作成や支援を行うことが可能です。

体力に不安がある方や介護支援に関心がある方にはおすすめのセカンドキャリアです。

医師

理学療法士としての知識と経験をさらに深め、幅広い診断や治療を行いたい場合、医師を目指す道も選択肢の一つです。

医師になることで、患者さんに対してより包括的なケアを提供できるようになります。

ただし、医師になるには医学部への進学と医師国家試験の合格が必要で、非常に高いハードルがあります。

それでも、リハビリの専門知識を持つ医師は医療現場で求められているため、挑戦する価値はあるでしょう。

福祉用具アドバイザー

理学療法士が一般企業に転職する際、福祉用具業者は理学療法士の経験を活かせる職場です。

日常的に福祉用具や住宅改修に関わっているため、その知識を活用できます。

また、医療機関とは異なり、能力次第で組織のリーダーとして活躍できるチャンスもあります。

給与面でも理学療法士より好待遇のことが多く、昇給を期待する方におすすめです。

健康コンサルタント

診療報酬や介護報酬に精通している理学療法士には、コンサルタントとしてのキャリアも可能です。

特に、主任や部長職の経験がある方には、医療や介護施設の運営ノウハウを活かして、施設の課題解決をサポートするコンサルタント業務が向いています。

個人で始めることもできますが、コンサル会社への転職を検討するのもおすすめです

トレーナーやスポーツ指導者

スポーツやフィットネス分野でトレーナーとして、運動指導やリハビリを提供する仕事です。

理学療法士としての身体に関する知識やリハビリ技術は、利用者の運動能力向上やケガの予防に大いに役立つでしょう。

個別指導からグループセッションまで、さまざまな形態で活動できるのも魅力です。

運動に関わる仕事をしたい方や、自分自身も鍛えたい方に特におすすめです。

開業独立

理学療法士の資格を活かし、訪問看護ステーションやデイサービスの開業に挑戦するケースが増えています。

事業が軌道に乗れば収入アップも期待でき、理学療法士が経営者として活躍する道の一つです。

開業には専門知識やある程度の資金が必要ですが、チャレンジ精神旺盛な方は、まず情報収集から始めてみるのがおすすめです。

新しい分野への挑戦と成功例

新しい分野へ挑戦したセカンドキャリは以下の通りです。

  • 医療セールス(MR)
  • アプリ開発やWeb制作
  • 介護福祉士や介護分野への転向
  • メディカルライターや教育分野
  • YouTuber

医療セールス(MR)

医療機器や薬品の営業職として、医療機関や医師に製品の紹介や販売を行います。

理学療法士としての医療知識を活かし、製品の利点を専門的な視点で伝えられる点が強みです。

また、営業職にはコミュニケーションスキルやマーケティングの知識も必要です。

契約を得た際のインセンティブも期待できるため、高収入を目指したい方におすすめです。

営業職にはなりますが、理学療法士よりも収入が高めである点も魅力といえるでしょう。

アプリ開発やWeb制作

デジタル分野に興味がある方には、Web制作なども理学療法士からのセカンドキャリアとしておすすめです。

医療施設や介護施設のWebサイト制作やSEO対策を通じて、理学療法士の経験を活かしつつ、デジタルマーケティング分野でのキャリアを築けます。

最初はブログやホームページ制作の副業から始めると良いでしょう。

介護福祉士や介護分野への転向

理学療法士の知識を活かしながら、介護福祉士として自立支援に携わるキャリアも有意義です。

夜勤手当や処遇改善加算によって、収入面でも安定が期待できる場合があります。

現場で直接支援を行いたい方に適しています。

メディカルライターや教育分野

理学療法士としての経験を活かして、ライターとして活動するのも良い選択です。

医療や健康に関する専門的な情報を提供する場面が多く、これまでの知識や経験が役立ちます。

セカンドキャリアとしてライターを目指す場合は、学会発表や論文作成の機会を通じて、文章を書くスキルを磨いておくとよいでしょう。

また、大学や専門学校で理学療法やリハビリテーションの教育者として次世代を育成する道もあります。

実務経験を生かして現場のリアルな知識を学生に伝えられるため、後輩の育成に関心がある方にはおすすめです。

教育の道に進みたい、学校の先生に憧れている方は、ぜひ挑戦してみてください。

YouTuber

理学療法士の知識や経験をYouTubeで発信するのも、新しいセカンドキャリアの選択肢です。

専門知識だけでなく、趣味や特技をテーマに動画を配信することもできます。

収益化の基準も低くなっているため、気軽に始められます。

まずは本業と並行して活動するのがおすすめです。

以上が、理学療法士におすすめのセカンドキャリアでした。

次に、年代別にみた理学療法士のキャリアパスと展望についてお話していきます。

【年代別】理学療法士のキャリアパスと展望

理学療法士のセカンドキャリアをスタートさせるのに、実際のところ年代は関係ありません。

しかし、理学療法士として一定の経験が積み重ねられていることを前提に、より理想的なセカンドキャリアが構築されていきます。

ここでは、年代別に注力すべきポイントをご紹介します。

20代の理学療法士は経験を積む

20代は理学療法士としての基礎を築き、実務経験を積む重要な時期です。

養成校や大学を卒業し、理学療法士として一歩を踏み出したばかりで、セカンドキャリアに役立つ知識や情報も豊富に得られます。

早いうちから自分の将来像について考え、スキルアップや資格取得に取り組むこともおすすめです。

すぐに方向性が決まらなくても、焦らずじっくりと次のキャリアを見据えましょう。

30代の理学療法士のキャリア戦略

30代は、20代で培った経験をもとに、新たな技術や知識を深める時期です。

大規模な医療機関や福祉施設で働いている場合、部署異動や役職がつくなど、職場での役割に変化が訪れることもあります。

こうした経験を活かしながら、転職や異分野への挑戦を視野に入れるのも一つの方法です。

私生活でも変化が多い時期なので、今後の将来像を明確にし、具体的なセカンドキャリアプランを描き始めましょう。

40代の理学療法士が考えるべきキャリアの方向性

40代になると、セカンドキャリアへの関心が一層強くなります。

今の職場でキャリアを続けるか、新しい職場を目指すか、悩む方も増えるかもしれません。

役職や後進の指導などの責任が増す一方で、自分の将来像を振り返るタイミングでもあります。

新たな働き方に踏み出すか、プライベートとのバランスを見据えながら、具体的なセカンドキャリアのイメージを描きやすい時期です。

50代以降のキャリアとセカンドキャリアの準備

50代は、定年後を見据え、自分の経験やスキルをどう活用するかを具体的に考える時期です。

再雇用や他の仕事への転職、あるいはプライベートの充実など、選択肢は人それぞれです。

すでに起業している場合は、経営者として60代、70代の目標を設定し、さらなる挑戦を続けていくことも選択肢の一つです。

以上が、年代別にみた理学療法士のキャリアパスと展望についてお話でした。

続いて、理学療法士がセカンドキャリアで成功するためのステップをご紹介します。

理学療法士がセカンドキャリアで成功するためのステップ

未経験の分野で本当に成功できるか不安ですよね。

ここでは理学療法士がセカンドキャリアとして未経験の職種で成功するために役立つステップをご紹介します。

①キャリアを見直すための自己分析と目標設定

  • 自己分析
    自分の強みやスキル、興味について振り返りましょう。
    これまでの経験や趣味、得意分野を見直し、自分に合った仕事や働きたい環境を考えることが重要です。
  • 目標設定
    転職先の業界や職種を明確にします。
    たとえば、「IT業界のエンジニアになりたい」など、具体的な職種と必要なスキル・資格をリサーチし、目標を設定しましょう。

②新しいスキルや知識の学び方

  • リサーチ
    目指す職種に必要なスキルや知識を調べ、インターネットや書籍、業界セミナーを活用して情報収集を行います。
  • 学習
    オンラインコースや専門学校に通ってスキルを習得することも効果的です。
    無料のオンラインリソースも有効に活用しましょう。
  • 実践経験
    インターンやボランティア、プロジェクトに参加して、実際の業務で経験を積みます。

③履歴書と職務経歴書の準備

  • 履歴書の作成
    自己PRや志望動機は、新しい職種にどう活かせるかを意識して書きましょう。
    未経験の応募にも対応できるよう工夫が大切です。
  • 職務経歴書の作成
    これまでの経験やスキルを具体的に記載し、新しい職種に関連するスキルを強調しましょう。

④求人情報の収集

  • 求人情報の収集
    転職サイトやSNS、ネットワーキングを活用して求人情報を収集しましょう。
    知人や業界のプロからの情報も役立ちます。
  • 応募
    未経験者歓迎の求人を中心に、積極的に複数の求人へ応募しましょう。

⑤面接や選考

  • 模擬面接
    友人や家族に協力してもらい、自己紹介や志望動機を練習します。
    練習を重ねて自信を持って臨みましょう。
  • 企業研究
    応募先企業の価値観や求める人材像を理解し、それに沿った回答を準備しましょう。

⑦内定後の準備

  • 職場に慣れる準備
    新しい職場の規則やチームメンバーについて事前に学び、文化や雰囲気に早く馴染めるようにします。
  • 自己研鑽
    内定後も学びを続け、即戦力として活躍できるよう準備を整えましょう。

以上が、理学療法士がセカンドキャリアで成功するためのステップでした。

ここまで読んでくださった方の中には、「私はもう少し理学療法士として頑張りたい」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、続いては理学療法士としてキャリアアップするための方法をご紹介します。

理学療法士としてキャリアアップするという道

理学療法士としてキャリアアップを目指すには、具体的な計画を立てて行動することが重要です。

組織内での価値を高め、信頼される人材になることで、収入アップや希望する分野での活躍に一歩近づくことができます。

日本理学療法士協会の資格取得でスキルを証明

日本理学療法士協会は、理学療法士の専門性向上を目指し、生涯学習制度を提供しています。

2022年から新制度に移行し、「登録理学療法士」や「認定理学療法士」、「専門理学療法士」といった資格が新たに設定されました。

これらの資格取得により、理学療法士としての専門知識とスキルを証明できるため、キャリアアップの大きな一歩となります。

  • 登録理学療法士:前期・後期研修の修了が求められ、新人理学療法士でも取得を目指せる資格です。
  • 認定理学療法士:指定されたカリキュラムの受講や、学術大会の参加が必要で、21の専門領域から選択可能です。
  • 専門理学療法士:さらに高度な専門性が求められ、論文の発表や学会参加が必須。特定の13領域で活躍する理学療法士として位置づけられます。

民間資格で専門性を強化する

医療・福祉業界では、理学療法士としての視野や専門性を広げるための民間資格も豊富にあります。

「特定の疾患や症状に対応する資格」と「広い視点を持つための資格」に分かれており、どちらも日常業務に役立つ内容です。

  • 特定疾患向け資格:心臓リハビリテーション指導士や認知症ケア専門士など。
  • 視野を広げる資格:栄養サポートチーム専門療法士や福祉住環境コーディネーターなど、幅広い支援スキルが身につきます。

管理職や役職を目指す

理学療法士として一対一の診療業務をこなすだけでなく、管理職や役職を目指すこともキャリアアップの道です。

組織内で必要とされる人材として、管理業務やチームのマネジメントを担うことで、理学療法士としてのキャリアをさらに発展させることができます。

地域リハビリテーションに貢献する

地域でのリハビリテーションに精通する理学療法士は、今後ますます必要とされる存在です。

高齢化が進む日本において、「地域包括ケアシステム」の構築が進む中、理学療法士は「地域ケア会議」や「介護予防事業」に参画する役割が期待されています。

  • 地域ケア会議:評価や予後予測、生活能力向上のための具体策を提供し、介護予防ケアを支援。
  • 介護予防事業:地域包括ケアセンターと連携し、高齢者の自立をサポートする健康教室の開催や住民運営の施設支援に関与します。

このような経験を積むことで、地域リハビリテーション分野で重宝される理学療法士として活躍することができます。

理学療法士のキャリアアップにはさまざまな選択肢があり、自分の目指す姿に合わせてスキルを磨き、経験を積んでいくことで、長期的な成長と充実したキャリアを築くことが可能です。

最後に、理学療法士としての将来性を切り拓くためにはどうしたらいいのかについてお話していきます。

理学療法士としての将来性を切り拓くために

理学療法士としてキャリアを積む中で、将来の方向性に悩む方も多いでしょう。

リハビリテーションのニーズが高まる一方で、理学療法士としての成長には、新しいスキルや専門知識の習得が欠かせません。

長期的な視野で自分のキャリアを考え、柔軟に進むことで、理学療法士としての将来性を広げ、充実したキャリアを築くことができます。

自分に合ったキャリアの選択と実現方法

理学療法士としてのキャリアには、患者さんとの直接的なリハビリだけでなく、さまざまな選択肢が広がっています。

自分に合ったキャリアを見つけるためには、まず「どのような場面で力を発揮したいか」「自分の強みをどの分野で活かせるか」を明確にすることが重要です。

例えば、教育や管理職、ケアマネージャー、福祉用具アドバイザーなど、理学療法士の経験を活かしつつ異なる分野で活躍する道も考えられます。

さらに、自分のキャリアを具体的に実現するためには、目標を明確にして小さなステップを重ねていくことが大切です。

まずは関連する知識やスキルを少しずつ増やし、業界のセミナーに参加するなど、自分の関心がどこに向いているのかを探るとよいでしょう。

必要な情報を集め、自分に最適なキャリアを少しずつ築いていきましょう。

理学療法士の将来性を高めるための自己投資と学び

理学療法士としての将来性を高めるには、自己投資と学びが不可欠です。

リハビリや医療技術は日々進歩しており、最新の知識を身につけることは患者さんの満足度を向上させるだけでなく、自分自身のキャリアの価値を高めることにもつながります。

資格取得や専門分野の勉強会、オンラインでの学習など、今はさまざまな学びの機会が整っています。

また、新しいスキルとしてコミュニケーションやマネジメントスキルを磨くことも、将来的に役立つ自己投資となります。

特に、管理職を目指す場合や、チーム医療に関わる際には、専門的な技術だけでなく、多様なスキルが求められるでしょう。

理学療法士としての幅広い知識とスキルを活かすために、積極的に学びを深め、自己投資を続けることで、より充実したキャリアと将来性を実現することが可能です。

理学療法士のセカンドキャリアには、経験や専門知識を活かして多彩な選択肢が広がっています。

臨床現場でのキャリアを経て、教育やリハビリテーション指導者、健康管理や予防医学分野でのコンサルタント、企業での健康サポート職などが挙げられます。

特に、ヘルスケア業界の広がりとともに、高齢者ケアやフィットネス、スポーツ関連分野への進出も増えています。

また、オンラインを活用したリハビリ指導や情報発信も新しいキャリアの形です。

理学療法士としての強みを活かしながら、今後も多様なキャリアを築くことが期待されています。

セカンドキャリアを検討する中で、理学療法士として別の職場への転職することも選択肢として挙げられるでしょう。

以下の記事では、理学療法士の就職先について詳しく解説しています。

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