作業療法士の年収について、気になることはありませんか?

特に女性の作業療法士の場合、本当に年収が低いのか不安に思う方も多いかもしれませんね。

作業療法士の年収は、経験年数、勤務地、雇用形態など様々な要素によって大きく異なることがあります。

特に女性の作業療法士の年収については、実際にはどの程度の収入が期待できるのか、気になるところです。

そこで本記事では、作業療法士の年収について詳しく解説しています。

性別ごとにみたときの男性、女性の年収についてもご説明していますので、ぜひご覧ください。

作業療法士の年収について

ここでは、作業療法士の年収と賞与、男女差について説明します。

賃金構造基本統計調査のデータを基に、OT全体の平均的な年収と賞与の状況をまとめました。

地域や勤務先規模による差異はありますが、ここでは一般的な傾向をご説明します。

作業療法士の平均年収は約430万円

最新の賃金構造基本統計調査によると、理学療法士や言語聴覚士、機能訓練士の2022年の平均年収は4,306,800円で、残業代や交通費を除いた年収は4,167,600円となっています。

一般的な会社員の平均年収に比べやや低めですが、安定した収入と充実した福利厚生が魅力といえます。

月給は平均307,000円、残業代を除くと289,100円で、平均的な残業代は約11,600円と多くありません。

賞与の平均は698,400円で、勤務先の規模や勤務態度の評価などが賞与額に反映されるようです。

この統計には他の職種も含まれていますが、理学療法士や言語聴覚士、視能訓練士の実態もほぼ同水準と考えられます。

性別別にみると男性は約447万円・女性は約412万円

医療業界における男女の年収差は比較的小さいことが分かります。

男性作業療法士の平均年収は約448万円、女性作業療法士は約412万円と男女の差は約66万円ありますが、役職者を除くと男性が約421万円、女性が約398万円と差がほとんどなくなります。

この点は医療業界の特徴の一つと言えるでしょう。

ただし、役職者に占める女性の割合が低いことから、役職者を含めると年収差が大きくなる傾向にあります。

これは女性の出産や育児による時短勤務やキャリアチェンジなどが影響しているものと考えられます。

2022年-2021年の変化
役職者を含めた年収
│4,122,400円 4,072,100円 50,300円
役職者を除いた年収
│3,988,200円 3,933,300円 54,900円

一方で、前回調査から女性の平均年収が約5万円増加しており、男性も同様の増加傾向にあることは注目に値します。

短期間での大幅な年収上昇は、医療業界全体の待遇改善が進んでいる良い兆しと捉えることができるでしょう。

作業療法士のボーナス

作業療法士の賞与額は、全体平均で約66万円となっています。

男性の場合、50代がピークで、50〜54歳は約108万円、55〜59歳は約110万円となります。

一方、女性は55〜59歳がピークで、約132万円と、男性のピーク時よりも22万円ほど高い水準にあります。

以上が、作業療法士の年収と賞与、男女差についての説明となります。

それでは次に、職場別にみる作業療法士の平均年収についてご紹介します。

職場別にみる作業療法士の平均年収

医療施設・介護施設・訪問リハビリの3つに分けて、作業療法士の平均年収についてみていきたいと思います。

医療施設の平均年収

医療機関での作業療法士の活躍は目覚ましいです。

入院施設や整形外科、リハビリクリニックなど、さまざまな医療現場で作業療法士が活躍しています。

実際、作業療法士の約7割が医療施設で働いているというデータがあります。

新卒で医療機関に就職した作業療法士は、そこでスキルを磨き、患者とのコミュニケーション能力を高めながら、キャリアアップを図ることができます。

医療施設勤務の平均年収は作業療法士全体とほぼ同水準で、350万円から450万円前後の施設が多く見られます。

年収は就職先の規模や年齢、経験、管理職の有無などによって左右されます。

施設内で昇進していけば、基本給の上昇や役職手当の増加により、年収600万円を超えることも珍しくありません。

特に国立病院で働く作業療法士の場合、給与規定が明確なのが特徴です。

新卒時の基本給は4年制大学卒が18.4万円、3年制短大卒が17.3万円程度。

さらに通勤手当、住居手当、特殊業務手当、業績手当などが加算されます。

国家公務員としての作業療法士は、経験年数に応じて着実に昇給していくことができます。

介護施設の平均年収

介護業界における作業療法士の待遇は比較的良好です。

医療施設の平均年収が350万円~450万円程度なのに対し、介護施設の求人では500万円を超えるものも少なくありません。

放課後デイサービスや訪問介護、訪問リハビリテーションなどで活躍する作業療法士は、介護業界の人手不足により重宝されています。

確かに、身体的・精神的負荷は医療施設よりも大きいかもしれませんが、それに見合った給与水準が設けられています。

中には、管理職にならずとも一般職員のままで平均年収を上回ることも珍しくありません。

介護に関心があり、高齢者や障がい者と関わりたい作業療法士にとって、介護施設は魅力的な選択肢となり得るでしょう。

一方で、福祉施設は公立やNPO法人が運営しているため、営利を目的としていません。

そのため、給与面では課題もあります。

しかし、障がいのある方や子どもたちと関わる喜びは、仕事のやりがいにつながります。

このように、作業療法士にとって介護施設は魅力的な選択肢の一つですが、福祉分野全般における収入面とやりがいのバランスを慎重に検討することが重要です。

訪問リハビリの平均年収

訪問リハビリの雇用形態は多様化しており、常勤のほかにパート勤務も一般的となっています。

介護求人サイトを見ると、月給制ではなく時給制で募集している訪問リハビリ事業所が少なくありません。

さらに、非常勤の作業療法士の時給よりも高めに設定されているケースが多数見受けられます。

具体的には、みんなの介護求人の求人情報によると、月給20万円前後の施設が多数ある一方で、時給1,500円~1,700円の求人も目立ちます。

このように、介護施設や医療施設と同等、あるいはそれ以上の給与水準が期待できるのが訪問リハビリの魅力の一つといえるでしょう。

以上が、医療施設・介護施設・訪問リハビリの職場別の作業療法士の平均年収でした。

それでは最後に、雇用形態別の作業療法士の平均年収についてみていきます。

雇用形態別にみる作業療法士の平均年収

正社員・契約社員・パート、アルバイトそれぞれの作業療法士の平均年収についてご説明していきます。

正社員として働く作業療法士の平均年収

作業療法士の給与水準は、雇用形態や地域、施設の規模、担当する役割によって大きく異なります。

一般的に、フルタイムの正社員として働く場合、月給は24万円から30万円程度が一般的ですが、年間の賞与を加えると年収はさらに高くなります。

正社員の平均年収は約427万円で、国内平均と比べても遜色のない水準にあります。

経験や能力が高まるにつれ、管理職や専門職としての役割を担うようになると、給与はさらに上昇する可能性があります。

このように、作業療法士の給与は多様な要因によって変動しますが、長期的なキャリアを築くことで、より高い収入を得られるのが一般的な傾向です。

契約社員として働く作業療法士の平均年収

作業療法士の契約社員の給与は概ね350万円から380万円の間にありますが、職場環境や業務内容によっては例外もあります。

求人情報によると、特定の条件下では年収が400万円を超えることさえあります。

この給与格差は、契約期間、勤務地、責任範囲などの要因によって左右されるため、契約社員のポジションを選ぶ際は、これらの要素を慎重に検討することが重要です。

パート・アルバイトとして働く作業療法士の平均年収

作業療法士のアルバイトやパートの給与は、時給制が一般的で、平均時給は概ね1,300円から1,700円が相場となっています。

この給与水準は、専門職としての作業療法士の需要と資格が反映されたものです。

非常勤の場合でも、フルタイムの正社員と比べて柔軟な働き方が可能なため、家庭と仕事のバランスを取りやすいのが魅力の一つです。

さらに、特定の専門分野での経験や特別な技能を有する作業療法士の場合、時給がさらに高くなることがあります。

中には、一部の求人で時給が2,500円を超えるものもありますが、勤務地や施設によってばらつきがあります。

以上が、正社員・契約社員・パート、アルバイトそれぞれの作業療法士の平均年収でした。

作業療法士の年収について、性別や勤務先、雇用状態によって差があることが分かりました。

女性の作業療法士の年収は男性に比べて低い傾向があります。

また、公的な医療機関や大学病院で働いた時の年収に比べて、介護施設で働いた時の年収が高いことが分かりました。

さらに、正社員や契約社員といった雇用形態によっても年収に差が出ることが分かりました。

それぞれの条件によって異なる年収を得ることができるため、将来のキャリアや働き方について考える際には、これらの要素を考慮することが重要です。