理学療法士は中卒でもなれる?資格取得までの流れや壁の乗り越え方
「理学療法士は中卒でも目指せるの?」そんな不安を抱えている方も多いかもしれません。
理学療法士は医療の現場で必要とされる重要な職種ですが、中卒の方にとっては「資格取得までの道のりが遠い」と感じることもあるでしょう。
しかし、実際には中卒からでも理学療法士になることは十分可能です。
この記事では、資格取得までの具体的な流れをわかりやすく解説するとともに、途中で直面する4つの壁とその乗り越え方を紹介します。
「机に向かうのが苦手」「高校認定試験が不安」「専門学校に入れるか心配」といったお悩みにも寄り添いながら、しっかりサポートしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
理学療法士になるための一歩を一緒に踏み出しましょう。
理学療法士を中卒で目指すなら、まずは高校認定試験を合格しよう
理学療法士になるためには、まず必要なステップを知ることが重要です。
理学療法士を中卒から目指すには、いくつかのハードルをクリアする必要がありますが、計画的に取り組めば実現可能です。
以下に具体的な流れを説明します。
STEP.1:高校卒業または高卒認定試験に合格する
中卒の方が理学療法士を目指す場合、まずは高校を卒業するか、高卒認定試験(旧大検)に合格することが必要です。
これは、理学療法士養成校の入学資格を得るための必須条件です。
高卒認定試験は独学でも対策可能な範囲ですが、準備には時間がかかるため、計画的に学習を進めましょう。
STEP.2:理学療法士養成校の入試に合格する
高校卒業または高卒認定試験に合格したら、次は理学療法士養成校(専門学校や大学)の入試に挑みます。
このステップでは、学科試験や面接などが行われます。
養成校ごとに試験内容が異なるため、希望する学校の情報をしっかりリサーチして準備を進めましょう。
STEP.3:理学療法士養成校で学ぶ
養成校では3年または4年間、理学療法士として必要な知識やスキルを徹底的に学びます。
ここでの学びは非常に専門的で、学ぶ内容も膨大です。
特に解剖学や運動学といった科目は難易度が高いため、根気よく取り組む姿勢が求められます。
STEP.4:理学療法士国家試験に合格する
養成校を卒業すると、理学療法士国家試験の受験資格を得られます。
国家試験は合格率が高いことで知られていますが、それでも油断は禁物です。
十分な試験対策を行い、合格を目指しましょう。
STEP.5:就職
国家試験に合格すると、理学療法士の資格を取得できます。
その後、病院や介護施設、訪問リハビリテーションなど、さまざまな現場で働くことができます。
理学療法士は就職率がほぼ100%に近い職業であり、高い需要があります。
中卒から理学療法士を目指す際の注意点
理学療法士を目指すためには、最初のステップとして高校卒業または高卒認定試験の合格が必要です。
さらに、養成校での勉強は非常にハードで、強い意志と継続的な努力が求められます。
特に、専門知識を習得する過程では多くの時間とエネルギーを費やすことになります。
中卒から理学療法士になるのは可能?
多くのステップを経る必要があるため、簡単な道のりではありませんが、中卒から理学療法士になった方も実際にいます。
成功の鍵は、目標を明確に持ち、計画的に努力を続けることです。
途中で困難に直面することもありますが、その都度解決策を見つけることで道は開けていきます。
理学療法士としてのキャリアを目指す中で「やっぱり難しい」と感じることもあるかもしれませんが、やりがいのある職業です。
ぜひ自分のペースで一歩ずつ進んでみてください。
以上が、中卒の方が理学療法士になる方法についてでした。
次に、中卒から理学療法士になるまでの全体的な流れをご紹介します。
中卒から理学療法士になるまでの全体的な流れ
理学療法士(PT)として働くためには、厚生労働省が実施する理学療法士国家試験に合格し、国家資格である理学療法士免許を取得する必要があります。
理学療法士を中卒で目指す場合も、高校卒業または高卒認定の資格を取得したうえで、文部科学大臣や厚生労働大臣の認定を受けた養成校で3年以上学ぶことが必須です。
それらの条件を満たすことで、国家試を受けることができます。
養成校で所定のカリキュラムを修了し、卒業または卒業見込みの状態になると、受験資格を得ることができます。
国家試験に合格すれば、晴れて理学療法士としてのキャリアをスタートすることができます。
養成校には全国各地に4年制大学、3年制短大、3年制または4年制の専門学校など、さまざまな選択肢があります。
昼間部だけでなく夜間部を設けている学校もあり、多様なライフスタイルに対応しています。
養成校に入学する
理学療法士になるために通う養成校は、それぞれ特色や教育内容が異なります。
そのため、自分の目標や学び方に合った学校を選ぶことが重要です。
これから、養成校の種類や特徴について詳しく解説しますので、自分に最適な選択肢を見つける参考にしてください。
短期大学はカリキュラムがタイトだが、魅力的な選択肢
短期大学では、3年間という限られた期間で養成課程を修了することができます。
ただし、全国的に短期大学の数は少なく、選択肢が限られるのが現状です。
また、在学期間が短い分、カリキュラムは非常にタイトで、学業に集中する必要があります。
その一方で、4年制大学より1年早く現場に出て働き始めることができる点は大きな魅力です。
また、学費の総額が少なくなるため、経済的な負担が軽減されることもメリットです。
理学療法士として働き始めた後、大卒との差があまりない点も、短期大学の魅力を引き立てています。
4年制大学は時間をかけて深く学ぶことができる
理学療法士養成大学は学校数が増加しており、以前よりも入学しやすい環境が整っています。
大学の特徴は、教養科目が充実しており、専門知識だけでなく幅広い視野を持つための学びが得られる点です。
さらに、研究活動や高度な実習環境が用意されている場合も多く、理学療法に関する知識を深めたい人にとっては最適な選択肢と言えます。
大学は短期大学や3年制専門学校と比べると卒業までの期間が長いため、現場に出るまでに時間がかかる一方で、基礎から応用までしっかりと学ぶことができるのが魅力です。
専門学校は実践的な学びと即戦力が期待できる
専門学校には3年制と4年制があり、それぞれ特色があります。
3年制の場合は短期大学同様、タイトなカリキュラムで知識や技術を集中して学びます。
一方、4年制専門学校では、3年間じっくり学んだ後、大学卒業と同等の資格を得ることが可能で、大学院への進学も選択肢に入ります。
専門学校の魅力は、即戦力として現場で求められる知識やスキルを効率的に学べる点です。
ただし、学費が比較的高い傾向があるため、学校選びには経済面も考慮する必要があります。
高卒者におすすめの学校
高校卒業後の進学先として、大学、短期大学、専門学校があり、それぞれ4年制、3年制、昼間部、夜間部など多様な選択肢が揃っています。
制約が少ない高卒者だからこそ、自分に合った学びのスタイルや年数を自由に選べる点が大きな特権と言えるでしょう。
経済的理由で夜間部を選ぶ場合もありますが、現役で夜間部を選択する人も少なくありません。
それぞれの特色を理解し、将来のビジョンに合った学校を選ぶことが大切です。
社会人におすすめの学校
社会人が理学療法士を目指す場合、夜間部を選ぶことで、仕事をしながら学ぶことが可能です。
授業は夕方から夜間にかけて行われるため、日中の時間をアルバイトや仕事に充てることができます。
ただし、授業日数や実習スケジュールの調整が必要となるため、職場の理解が重要です。
夜間部は、同じように働きながら資格を目指す仲間と出会える点も魅力です。
また、効率的なカリキュラムで短期間に卒業できるため、社会人にとって合理的な選択肢と言えます。
各学校の学費
医療系の大学や専門学校は、高額な医療機器の使用や病院での実習を行う必要があるため、学費が高くなる傾向があります。
理学療法士養成校の学費も例外ではなく、在学年数や学校の種類(国公立・私立、昼間部・夜間部)によって費用が大きく異なります。
一般的に、3年制の学校は4年制に比べて1年分の学費を抑えることができ、国公立の方が私立よりも安い傾向があります。
ただし、学費の安い学校は競争倍率が高く、受験勉強のハードルが上がる点にも注意が必要です。
また、夜間部は昼間部より授業数が少ないため、学費を抑えやすい一方で、限られた時間で臨床実習や国家試験の準備を進める必要があり、昼間部に比べて学習の負担が大きくなることもあります。
さらに、理学療法士養成校では、年間の学費以外に、教科書代やユニホーム代、実習に伴う費用(遠方実習の場合の滞在費など)が別途必要になる場合があります。
これらの費用が学費に含まれている学校もあるため、学費の内訳や追加費用の有無を事前に確認しておくことが大切です。
短期大学、大学、専門学校、それぞれの進学先には異なる特徴があります。
経済的な条件や学びたい内容、将来のキャリアプランに合わせて、自分に最適な学校を選びましょう。
社会人や高卒者それぞれの状況に応じた選択肢を見つけることが、理想の理学療法士への第一歩です。
国家試験を受験し、合格する
理学療法士養成校では、多様な知識や技術を学び、卒業後に国家試験を受験する資格を得ることができます。
さらに、より高度な専門知識を習得したい方や、研究職を目指す方には、資格取得後に大学院の修士課程や博士課程に進むという道もあります。
自分の将来像を描きながらキャリアプランをしっかりと立て、理想の目標に向かって進んでいきましょう。
国家試験の概要
理学療法士の国家試験は毎年2月に実施され、この試験に合格することで理学療法士として活動する資格が得られます。
試験は一般問題(1問1点)と実地問題(1問3点)で構成され、合格基準は以下の通りです。
- 総得点:167点以上(277点満点)
- 実地問題:43点以上(120点満点)
受験料は10,100円で、筆記試験と口述試験・実技試験が2日間に分けて行われます。
筆記試験は全国の指定会場(北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県)で実施され、口述試験・実技試験は東京都で行われます。
国家試験を受験するための必要書類は、養成校を通じて入手可能ですので、準備に不備がないようしっかり確認しておきましょう。
国家試験の合格率は約80%
理学療法士国家試験の合格率は、毎年80~90%の範囲で推移しており、年度によって合格率に大きな変動が見られることもあります。
国家試験は、新卒生と既卒生が受験しており、両者の合格率には明確な差があります。
特に新卒生は高い合格率を維持している一方で、既卒生の合格率はやや低い傾向にあります。
2023年 第58回理学療法士国家試験の結果
2023年の第58回試験の全体合格率は87.4%で、第57回とほぼ同水準でした。
一方、新卒者の合格率は94.9%と非常に高く、受験者の大半が合格する結果となっています。
また、不適切問題は7問発生しましたが、第57回の12問から減少し、例年並みの水準でした。
不適切問題は採点除外となるため、合否への影響は前年と比較して少なかったと考えられます。
第58回試験のデータ
年度 | 受験者数 | 新卒者数 | 合格者数(合計) | 合格率(新卒) | 合格率(全体) |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 12,948人 | 10,824人 | 11,312人 | 94.9% | 87.4% |
過去の合格率の推移
2016年以降の国家試験の合格率を見ると、全体の最低合格率は74.1%(2016年)、最高は90.3%(2017年)となっています。
新卒者に限ると、最低82.0%(2016年)、最高96.3%(2017年)という安定した推移が見られます。
試験の難易度や不適切問題の数は年度によって異なり、年度ごとに試験の傾向が変わるため、十分な対策が必要です。
新卒者の合格率が80%を下回ることはありませんが、前年と大きく異なる問題傾向が出題されることもあり、油断は禁物です。
また、理学療法士の数が増加している現状を考えると、今後の試験が大幅に易化する可能性は低いといえます。
過去の主なデータ
年度 | 受験者数 | 新卒者数 | 合格者数(合計) | 合格率(新卒) | 合格率(全体) |
---|---|---|---|---|---|
2022年 | 12,685人 | 10,549人 | 10,096人 | 88.1% | 79.6% |
2021年 | 11,946人 | 10,522人 | 9,434人 | 86.4% | 79.0% |
2020年 | 12,283人 | 10,749人 | 10,608人 | 93.2% | 86.4% |
2019年 | 12,605人 | 10,608人 | 10,809人 | 92.8% | 85.8% |
合格発表の確認方法
理学療法士国家試験の合格発表は、厚生労働省のホームページにある「資格・試験情報」ページで確認できます。
例えば、2021年2月21日・22日に実施された国家試験では、約1ヶ月後の3月23日14時に合格発表が行われました。
理学療法士免許の申請
国家試験に合格した後は、免許申請を行うことで理学療法士として正式に働けるようになります。
この免許申請を行わず、有資格者名簿に登録される前に業務を開始してしまうと、行政処分を受ける可能性があるため十分注意が必要です。
免許申請は、必要書類を揃えたうえで、住所地を管轄する保健所に提出します。
申請に必要な主な書類と手続きは以下の通りです。
- 免許申請書
- 診断書(発行日から1ヶ月以内のもの)
- 住民票の写し(発行日から6ヶ月以内のもの)
- 9,000円分の収入印紙(登録免許税として)
- 登録済証明書用はがき(免許証が届くまでの3ヶ月間、有資格者であることを証明するため)
申請後、約2〜3ヶ月で理学療法士免許証が発行されます。
免許証交付通知のはがきが届いたら、必要書類を持参して保健所窓口で免許証を受け取ります。
確実に手続きを終え、理学療法士としてのスタートを切りましょう。
不合格になってしまった場合
国家試験に不合格となった場合、就職先によって対応は異なります。
一部の就職先では、リハビリ助手として働きながら国家試験の再挑戦をサポートしてくれる場合もありますが、就職が白紙になるケースも少なくありません。
以前は、国家試験の合格発表が就職後に行われていたため、不合格でもリハ助手として働きながら勉強を続けることができる例が多く見られました。
しかし、現在では試験結果が就職前に分かるようになり、不合格の場合は内定が取り消されるケースも増えています。
また、学校によっては国家試験に落ちた卒業生をフォローしてくれる体制が整っている場合があります。
例えば、在校生とともに模試を受けたり、国家試験対策の授業を受講できることもあります。
入学を検討する際には、こうしたサポート体制を事前に確認しておくと、万が一の際にも安心です。
以上が理学療法士になるまでの全体的な流れでした。
次に中卒の方にとっての4つの壁についてお話していきます。
理学療法士を目指す中卒の方にとっての4つの壁
中卒の方にとって理学療法士の資格を取得するまでにいくつかの壁があります。
ここでは、その4つの壁を詳しく解説し、どのように乗り越えるかを紹介します。
机に向かうところから始める必要
中学卒業後に勉強の習慣が途絶えている方にとって、机に向かうこと自体が大きな挑戦です。
理学療法士を目指すためには、高校認定試験の勉強を始める必要がありますが、最初のステップとして「勉強のリズム」を作ることが重要です。
対策
- 短時間から始める:最初は1日15分でも構いません。徐々に時間を増やして習慣化しましょう。
- 環境を整える:静かな場所や勉強に集中できる環境を作りましょう。
- 小さな目標を設定する:1つの教科を1週間で終えるなど、達成感を得やすい目標を立ててみてください。
勉強のリズムがつかめれば、次のステップである高校認定試験に進む準備が整います。
高校認定試験のレベルは?
高校認定試験は、養成校の受験資格を得るために必要な試験です。試験範囲は高校で学ぶ基礎内容ですが、中学卒業後に勉強から離れていた方にとっては難しく感じるかもしれません。
試験の特徴
- センター試験よりは簡単:高校認定試験のレベルは、大学受験のセンター試験よりは優しいと言われています。
- 基礎を重視:基礎的な知識が問われるため、しっかりとした基礎固めが鍵です。
対策
- 塾や通信教育を活用:独学が難しい場合は、専用の塾やオンライン講座を利用するのも効果的です。
- 過去問を解く:過去問を繰り返し解くことで、出題傾向を把握しましょう。
高校認定試験に合格することで、専門学校の受験資格を得られます。
専門学校は定員割れしているところも
理学療法士養成校は、ここ20年で大幅に増加しました。
その結果、大学や人気のある専門学校に志願者が集まり、定員割れの学校も出てきています。
専門学校の現状
- 入りやすい学校がある:特に早期入試や定員割れの学校は、比較的合格しやすい傾向があります。
- 学校選びが重要:募集要項や卒業後の就職実績を調べて、自分に合った学校を選びましょう。
対策
- 受験のスケジュールを確認:複数の学校を受験することで、合格の可能性を広げましょう。
- 定員割れ校を視野に入れる:人気校に固執せず、入りやすい学校を選ぶことも一つの戦略です。
合格しやすい学校を選ぶことで、この壁は大きく乗り越えやすくなります。
理学療法士養成校での勉強
養成校に入学した後も、大きな壁が待っています。
医療や介護についての基礎知識、実技、国家試験対策など、学ぶ内容は多岐にわたります。
勉強内容
- 医療知識の基礎:解剖学、生理学、病理学などの専門的な内容を学びます。
- 実技と実習:現場での実習も含まれるため、実践力が求められます。
- 国家試験対策:最終学年では国家試験に向けた集中した勉強が必要です。
対策
- 時間管理を徹底:短期間で多くの知識を詰め込むため、計画的に勉強を進めましょう。
- 仲間と協力する:同級生や先輩と情報を共有しながら、効率的に学ぶことがポイントです。
養成校での勉強は忙しいですが、ここを乗り越えることで理学療法士としての道が開かれます。
以上が、理学療法士を目指す中卒の方にとっての4つの壁でした。
中卒から理学療法士を目指すには、勉強習慣を取り戻すことから始まり、高校認定試験の合格、専門学校の受験、そして養成校での厳しい学びなど、多くのステップをクリアする必要があります。
これらの壁は決して低くありませんが、一つひとつ乗り越えていくことで確実に夢に近づくことができます。
特に、自分のペースで計画的に進めることや、塾やオンライン講座などのサポートを活用することが成功の鍵です。
そして、理学療法士として患者さんを支える喜びを思い描きながら努力を続けることが大切です。
「中卒でも理学療法士になれる」という事実を心に留めて、あなたも挑戦してみませんか?
この記事が、第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
夢に向かって、応援しています!
以下の記事では、理学療法士いに最短でなるための手順をご紹介しています。
国家試験に受かったその先、理学療法士としての就職についてもご紹介していますので、こちらも合わせてご参考にしてください。