「理学療法士として何歳まで働けるのだろう?」

理学療法士を目指している方の中には、理学療法士としての寿命が気になる方も多いのではないでしょうか。

理学療法士の資格に有効期限はなく、医療や介護の現場では経験豊富な理学療法士が求められる場面も多いです。

そのため、「定年後も理学療法士として働き続けたい」「ライフスタイルに合わせて柔軟に働きたい」と考える方も少なくありません。

本記事では、理学療法士として何歳まで働けるんだろう?と悩んでいる方に向けて、理学療法士の働ける年齢の目安や、定年後もキャリアを続けるための具体的な方法をご紹介します。

フリーランスとしての道や非常勤勤務、さらには専門スキルを活かした働き方など、さまざまな選択肢をわかりやすく解説します。

年齢に縛られず、自分らしい働き方を見つけるためのヒントをお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。

理学療法士は何歳まで働ける?

さっそく本題に入りましょう。

理学療法士は一体何歳まで働けるのでしょうか。

資格に期限はない

理学療法士の資格には有効期限がなく、一度取得すれば生涯にわたり理学療法士として活動することが可能です。

国家資格として法律で認められているため、年齢やタイミングを問わず、ずっと活用できます。

また、現時点では資格取得後に更新手続きなどは必要ありません。(2024年12月時点)

一般的な定年は60歳

多くの施設や病院で勤務する理学療法士の定年は、一般企業と同様に60~65歳に設定されていることが一般的です。

そのため、病院や介護施設に雇用されている理学療法士は、所属先の規定に従って定年を迎えることになります。

ただし、施設によっては定年後の再雇用制度を設けており、実質的に65~70歳まで現場で働き続けることができる場合もあります。

再雇用でも働ける

理学療法士も定年後に再雇用されることは可能です。

再雇用とは?

「定年後再雇用」とは、一度定年退職したあとで再度雇用される制度を指します。

また、「勤務延長制度」は、定年後も雇用関係を途切れさせずに、そのまま雇用期間を延長する仕組みです。

65歳未満の定年を定めている企業や法人は、定年を迎えた正社員全員に対し、希望があれば65歳まで継続して雇用する制度を導入することが義務付けられています。

(高年齢者雇用安定法から)

そのため、基本的には65歳までの再雇用が可能となります。

ただし、実際の運用方法は企業や法人が設ける選別基準や時期によって異なる場合があります。

詳細については、職場の人事部門などに確認することをおすすめします。

また、再雇用後は希望する働き方や職場環境が必ずしも叶うとは限らず、他の部署に配属されるなど、条件が変わることもある点に留意してください。

以上が、理学療法士は何歳まで働ける?に対しての答えでした。

次に、理学療法士を長く続ける上で立ちはだかる3つの壁をご紹介します。

理学療法士を長く続ける上で立ちはだかる3つの壁

定年を過ぎても働ける可能性がある理学療法士ですが、その一方で長く続ける上で難しさを感じる場面も少なくありません。

以下では、理学療法士を長く続ける上で立ちはだかる3つの壁について解説します。

肉体的な負担

加齢によって最も顕著になるのは、体力的な負担の増大です。

理学療法士は患者さんの動作を支援する場面が多いため、一定の筋力や持久力が求められます。

若い世代に比べ、年齢を重ねると同じ介助作業が体にこたえ、腰痛や膝痛など、慢性的な不調に悩まされることもあります。

特に、急性期・回復期など、積極的なリハビリを行う現場では、その負担はより大きく感じられるでしょう。

働き口が見つかりにくくなる

年齢を重ねると、就職・転職において不利な立場になることも考えられます。

2024年時点で理学療法士は増加傾向にあり、将来、供給過多によって若い人材が優先的に求められる可能性が高まります。

定年前後の転職や、定年後に再就職を考える方にとっては、働き口を見つけることが難しくなるかもしれません。

大幅には給料が上がらない

理学療法士の平均年収は、令和3年度時点で約427万円と、医療系の他職種に比べて低めの水準にあります。

年齢別年収一覧

年齢層 年収(万円)
50〜54歳 515.04万円
55〜59歳 570.18万円
60〜64歳 462.83万円
65〜69歳 466.94万円

これには、理学療法士数の増加や制度的な制約による収入面での伸び悩みが影響しています。

今後さらに報酬水準が下がる可能性も否定できず、家族の教育費や老後の生活を考えると、給与面での不安を抱く方も少なくないでしょう。

以上が、理学療法士を長く続ける上で立ちはだかる3つの壁でした。

それでは、どうすれば理学療法士として長く働けるのか、今から出来る準備を4つご紹介します。

【何歳まで働く?】理学療法士として長く働くための準備4つ

理学療法士として長く働くための準備を以下に4つご紹介します。

自身の体をメンテナンスする

年齢を重ねても体力の低下を防ぐためには、日頃から自身の身体をメンテナンスすることが不可欠です。

理学療法士は、身体面の専門知識を活かして、自らも有効な筋トレやストレッチを実践できます。

患者さんのケアはもちろんのこと、自分自身の健康にも意識を向け、長く安心して働ける基盤づくりを心がけましょう。

専門的な知識を身につける

専門的な知識を磨くことで、理学療法士としての市場価値が高まり、職場で評価されやすくなります。

若い人材が将来的な可能性を高く評価される傾向がある中で、他者と差別化を図るには、特定の分野で強みを持つことが欠かせません。

「この領域はあの人に任せよう」と信頼されるスキルを身につければ、現在の職場での存在感が増し、将来的な転職にも有利に働くでしょう。

専門性を高める一番わかりやすい手段は、関連する資格の取得です。

もし興味を惹かれる分野があるなら、その分野で活かせる資格取得をぜひ検討してみてください。

ライフワークバランスを意識しながら働く

理学療法士として長く働くためには、仕事と生活のバランス(ライフワークバランス)を整えることが大切です。

理学療法士は、身体面だけでなく精神的にも負担の大きな仕事であり、プライベートな時間を十分に確保せずに働き続けると、心身への疲労が蓄積してしまいます。

自分や家族・友人との大切な時間をしっかりと確保し、心身をリフレッシュさせることで、より良いコンディションで患者さんと向き合えるようになります。

精神的な充実感や余裕がある状態で業務に取り組むことが、理学療法士としてのキャリアを長く、充実したものにする秘訣です。

また、理学療法士は国家資格であることから、病院やクリニック、介護施設、在宅ケアなど、さまざまな就業形態を選択できます。

自分のライフステージやライフスタイルに合わせて働き方を柔軟に変えられる点も、この職種の大きな魅力といえるでしょう。

起業や副業する

病院や介護施設で勤務するだけが道ではなく、起業や副業に挑戦することも選択肢の一つです。

起業すれば、定年に縛られない働き方が可能になり、収入の大幅なアップを期待できるかもしれません。

もちろんリスクも伴いますが、近年は自分で治療院やデイサービスを立ち上げる理学療法士が増えています。

ただし、理学療法そのものを提供するための開業権はない点に留意が必要です。

また、複数の職場を掛け持ちながら、副業で収入やキャリアの幅を広げることも可能です。

訪問リハビリでのアルバイト、セミナー講師、Webライター、パーソナルトレーナーなど、理学療法士の専門性を生かせる副業は増えつつあります。

定年後も活躍できる方法を模索しながら、新たなチャレンジに踏み出してみるのも有効な選択肢と言えるでしょう。

以上が、理学療法士として長く働くための4つの準備でした。

次に、理学療法士として長く働くための方法をご紹介します。

【何歳まで働く?】理学療法士として長く働くための方法

以下では、理学療法士として長く働くための方法をご紹介します。

理学療法士として長く働くための選択肢

  • 管理職を目指す
  • スペシャリストを目指す
  • 教員を目指す
  • 行政職員を目指す
  • 臨床以外の選択肢も

管理職を目指す

リハビリ科で科長や主任といった役職に就くことができれば、給与の増加が見込まれ、安定して長く働ける可能性も高まります。

役職に就けるかどうかは誰にでもチャンスがあるわけではありませんが、経験を積み、組織運営や臨床能力を向上させることで、その可能性を広げることができます。一方で、理学療法士の役職は年功序列が一般的なため、ベテランが多い職場では昇進のチャンスが限られる場合があります。

そのため、将来を見据えて、新規に開業した施設や若いスタッフが多い職場への転職を検討するのも一つの選択肢です。

自身のキャリアプランに合った環境を見つけることで、より充実した職業人生を築くことができるでしょう。

スペシャリストを目指す

理学療法士として特定の分野でスペシャリストになることで、長期間安定して働くことができます。専門知識を持つことで、一般的な理学療法士よりも希少性が高まり、競争相手が少なくなるため、年齢を重ねても需要が途切れることがありません。さらに、指導者としての役割を担うことができるため、定年後も多様な働き方が可能です。

専門性を活かすことで、職業人生をより豊かで充実したものにすることができるでしょう。

教員を目指す

理学療法士養成校の教員になると、安定して長く働けるキャリアが築けます。

仕事自体は忙しいものの、一般の理学療法士と比較すると身体的な負担は軽減される傾向にあります。さらに、大学教授に昇進した場合、教授職や非常勤講師として再雇用される可能性があり、キャリアの選択肢が広がります。

その他にも、研究や執筆活動、専門知識を活かした多様な働き方が可能になるのも魅力です。

行政職員を目指す

行政職員として働くことも、理学療法士が長期的なキャリアを築く一つの選択肢です。

各地方自治体や保健センター、保健所などでの業務では、患者さんや利用者さんへの直接的なリハビリ提供ではなく、政策立案や地域保健活動に携わるため、体力的な負担が軽減されます。行政職員として働く場合、公務員として定年退職は61歳が一般的ですが、今後は段階的に65歳へ引き上げられる予定です。

また、定年後も「再任用制度」や「勤務延長制度」を利用することで、引き続き働き続けることができます。

これにより、安定した職場環境で長期間キャリアを築くことが可能です。

臨床以外の選択肢も

理学療法士として長く働くために、臨床以外の選択肢を視野に入れることが重要です。

たとえば、教育機関の教員や研究所での勤務など、理学療法士の専門知識を臨床以外で発揮できる職場があります。

また、マネジメント職としてリハビリスタッフを統括する道も考えられます。もし、体力的な負担から臨床業務が困難だと感じた場合は、これらの多様な選択肢を検討し、自身のスキルを新たな形で活かしていくことを検討してみてください。

以上が、理学療法士として長く働くための方法でした。

最後に、理学療法士は何歳まで働けるのか、に関するよくある質問にお答えします。

【理学療法士は何歳まで働ける?】よくある質問

「理学療法士は何歳まで働ける?」に関するよくある質問をまとめました。

Q.理学療法士の退職年齢は?

A.理学療法士の資格には期限がなく、生涯有効です。

ただし、医療施設や介護施設に勤務している場合、一般的には60歳から65歳で定年退職を迎えることが多いです。

Q.女性理学療法士は何歳まで働ける?

A.女性理学療法士も、勤務先によっては60歳から65歳で定年を迎えることが一般的です。

ただし、子育てや家事といったライフスタイルに合わせて働き方を柔軟に変えることで、長くキャリアを続けることが可能です。

パートタイムやフリーランスの道を選ぶことで、ライフワークバランスを保ちながら働ける環境を整える方も多くいます。

以上が、理学療法士は何歳まで働ける?に関するよくある質問でした。

理学療法士は、資格に期限がなく、定年後も経験やスキルを活かして働き続けられる魅力的な職業です。

定年後にフリーランスとして活動したり、非常勤勤務で柔軟な働き方を選ぶなど、年齢を重ねても続けられる道は多岐にわたります。

また、研修や資格の取得を通じて専門性を高めることで、新しいキャリアの可能性を広げることもできます。

働き方を見直し、自分のライフステージに合った働き方を選ぶことで、理学療法士としてのやりがいや充実感を保ちながら長く働くことができます。

本記事を参考に、今後のキャリアプランを考え、自分に合った選択肢を見つけてください。

理学療法士としての豊かなキャリアを築くお手伝いができれば幸いです。