言語聴覚士になりたい理由で多いものは?志望動機・やりがい・楽しさ

言語聴覚士になりたいと思った理由は人それぞれ。
その中でも、多くの人が「人の役に立ちたい」「コミュニケーションの支援に興味がある」「リハビリの分野で活躍したい」といった理由を挙げています。
言語聴覚士は、ことばや嚥下(飲み込み)に課題を抱える方を支援する専門職であり、患者さんの生活を大きく支えるやりがいのある仕事です。
しかし、実際に目指すとなると、「どんな志望動機が適切なのか?」「仕事の楽しさや大変な部分は?」と悩む方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、言語聴覚士をなりたい理由として多いものや、実際に働く中で感じるやりがいや楽しさについて詳しく解説します。
言語聴覚士を目指している方や、志望動機を考えている方は、ぜひ参考にしてください!
言語聴覚士になりたい理由
言語聴覚士になりたい理由や動機について、よくある例を紹介します。
人の支えになる仕事に就きたかった
言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる(安全に飲み込む)」といった日常生活の基本的な機能をサポートする仕事です。
リハビリを通じて患者さんやそのご家族の生活を支え、笑顔を取り戻す手助けができることに魅力を感じ、言語聴覚士を目指す方が多くいます。
現場で働く言語聴覚士の方からは、「リハビリを通して患者さんの社会復帰を支援し、改善が見られたときにやりがいを強く感じる」という声が多く聞かれます。
人と接することが好きだったから
言語聴覚士は、会話やコミュニケーションに関する専門的な支援を行う職業です。
そのため、「人と接することが好き」「対話を通じて誰かの役に立ちたい」と考える人が、この仕事に魅力を感じることが多いようです。
また、食事のサポートを含むリハビリを通じて患者さんの生活に寄り添うことに興味がある人は、相手の気持ちを理解する力が自然と身についていることが多いです。
「もう一度、会話や食事の楽しみを取り戻してほしい」という思いから、言語聴覚士を目指すケースも少なくありません。
特別支援学校での交流がきっかけに
学生時代に特別支援学校や支援学級での交流を通じて、障がいを持つ方への支援に関心を持ち、「将来、障がいを抱えた人をサポートする仕事がしたい」と考え、言語聴覚士を目指す人もいます。
学生のうちは、実際に障がいを持つ人と接する機会が限られています。
ですが、特別支援学校での経験を通じて言語聴覚士という職業を知り、「自分も支援の一翼を担いたい」と考える人が増えています。
言語聴覚士の役割は、障がいを持つ人の生活をサポートするだけでなく、「より快適に暮らすためにできること」を考えることにもあります。
身近な人が困っている場面を目にしたり、支援が必要な人と直接関わる経験を通じて、「役に立ちたい」という気持ちが芽生え、言語聴覚士を目指すきっかけになることも多いようです。
身内が支援を受けた経験がある
医療職の志望理由としてよく挙げられるのが、家族や知人が病院やリハビリ施設で支援を受けた経験から、その仕事に関心を持つケースです。
言語聴覚士も同様に、身近な人が言語聴覚士のサポートを受けたことをきっかけに、この職業に魅力を感じる人が多くいます。
近年では、発達障がいや小児の構音障がいに対するリハビリを受けた経験がある人も増えており、「自分も困っている人の力になりたい」と考え、言語聴覚士の道を志す人が増えているようです。
長く安定して働ける職業に魅力を感じたから
将来のライフスタイルの変化にも対応しながら働けることも、言語聴覚士を目指す理由の一つです。
医療機関や介護施設、児童施設など、言語聴覚士が活躍できる職場は多岐にわたります。
また、多くの職場が日勤中心で、夜勤がないため、子育てと両立しやすい点も魅力です。
実際に、出産や育児のために一時的に休職・退職をしても、復職して活躍している言語聴覚士の方も多くいます。
さらに、理学療法士や作業療法士と比べると、言語聴覚士の数はまだ少なく、多くの医療・福祉の現場で必要とされている職業です。
そのため、「言語聴覚士の需要が高まっていることを知り、自分も目指そうと思った」という方もいます。
身近に医療従事者がいる
親が看護師や医療職だったため、自然と医療分野に興味を持ち、さまざまな職種を調べる中で言語聴覚士を知った方もいます。
さらに、保育士を目指していた中で言語聴覚士という職業を知り、小児の言語発達支援に関わる仕事がしたいと考えた方もいます。
現場で求められる存在になりたかった
言語聴覚士は、作業療法士や理学療法士と比較してもまだ人数が少なく、「リハビリの現場で特に必要とされていることを知り、興味を持った」という声もあります。
資格取得後に即戦力として活躍しやすい点も、この仕事の大きな魅力の一つです。
患者さんとの適切な距離感が魅力だった
医療やリハビリの分野で働きたいと考え、様々な職種を調べる中で、「言語聴覚士は患者さんと適度な距離を保ちながら社会復帰を支援できる点が魅力的だった」と話す方もいらっしゃいます。
また、「1対1でじっくりと時間をかけながら患者さんに寄り添い、リハビリを進められるのは、言語聴覚士ならではのやりがいだと感じた」という意見もありました。
以上が、言語聴覚士になりたい理由でした。
次に、言語聴覚士の方が感じるやりがいについてみていきましょう。
言語聴覚士の方が感じるやりがい
では、実際に臨床の場で活躍する言語聴覚士は、どのような瞬間にやりがいを感じるのでしょうか?
専門的な知識が活かせる
言語聴覚士が担当する領域は、高次脳機能障がい、言語障がい、コミュニケーション障がい、摂食嚥下障がい、聴覚障がいなど、多岐にわたります。
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が主に身体機能の回復を支援するのに対し、言語聴覚士は言語や食事に関する専門的なアプローチを行います。
そのため、単独で患者さんのリハビリを担当する場面も多く、専門知識を活かして活躍できるフィールドが広がっています。
言語聴覚士は、患者本人へのリハビリだけでなく、理学療法士や作業療法士、看護師、ご家族など、周囲のサポートする人たちに対しても適切な指導を行う役割を担います。
言語聴覚士の評価やアドバイスによって、患者がより過ごしやすい環境を整えることができるため、自分の専門性を存分に発揮できる職業といえるでしょう。
生きる楽しさを取り戻す手助けができる
言語聴覚士が関わる患者さんは、こどもから高齢者まで幅広く、障がいの種類や程度もさまざまです。
特に、成人の脳血管障がい(脳梗塞・脳出血など)による高次脳機能障がいや嚥下障がいは頻繁に対応するケースのひとつです。
脳血管障がいの後遺症では、それまで当たり前にできていたことが突然できなくなることがあり、患者さん本人だけでなく、家族にとっても大きな精神的負担となります。
例えば、失語症によるコミュニケーションの困難さ、注意障がいや遂行機能障がいによる日常生活の支障。
さらには嚥下障がいによる誤嚥や栄養不足など、生活全体に影響を及ぼすことも少なくありません。
このような状況が続くと、患者さんは気力を失い、生きる楽しみを見出せなくなることがあります。
そこで、言語聴覚士はリハビリを通じて機能回復をサポートするだけでなく、患者さんがよりストレスの少ない環境で前向きに生活を送れるようサポートしていきます。
患者さんの表情が明るくなり、「できることが増えた」「次はこんなことに挑戦したい」と前向きな言葉を聞けたとき、言語聴覚士としてのやりがいを強く感じる瞬間です。
社会復帰を支援できる
言語や嚥下に障がいを持つ方でも、言語聴覚士が適切な評価を行い、個々の状況に応じたリハビリを提供することで、社会復帰の可能性を広げることができます。
ここで言う「社会復帰」は、単に職場復帰を指すのではなく、家族や医療スタッフ以外の人との関わりを取り戻すことも含まれます。
例えば、自宅から通所施設へ通うことや、訪問リハビリを受けることは、本人にとってだけでなく、家族の負担軽減にもつながります。
また、職場復帰を目指す患者さんに対しては、リハビリを進めながら、業務に戻った際の課題や解決策をあらかじめ考え、本人や職場に対して適切な説明や調整を行うことも言語聴覚士の役割です。
患者さん一人ひとりの生活背景やサポート環境を考慮しながら、最適なプランを提案できる点に、大きなやりがいを感じる言語聴覚士も多いでしょう。
言語聴覚士だからこそ提供できる支援がある
言語聴覚士のリハビリは、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)のリハビリに比べると、机上での言語訓練や口腔体操、食事場面への介入など、地道な作業が多いのが特徴です。
そのため、患者さんのモチベーションを維持することが重要になります。
患者さんの状態や性格に応じて、じっくり話を聞いて寄り添うこともあれば、必要に応じて励ましたり。
モチベーションを引き出す声かけを行ったりと、言語聴覚士ならではのコミュニケーションスキルが求められます。
患者さんの気持ちに寄り添いながら、より良いリハビリ環境を整えることができるのは、言語聴覚士だからこそできること。
小さな変化や成長を共に喜びながら、患者の人生に寄り添えることが、言語聴覚士の大きなやりがいのひとつといえるでしょう。
以上が、言語聴覚士の方が感じるやりがいについてのお話でした。
続いて、言語聴覚士という仕事の楽しさについてみていきましょう。
言語聴覚士の楽しさ
ここでは、言語聴覚士が楽しさを感じる瞬間についてご紹介します。
患者さんと接する機会が多い
言語聴覚士のリハビリは施設によって異なりますが、病院では主に個室で行われ、一対一の環境で患者さんと向き合うことができます。
この時間を通して、患者さんの気持ちを深く理解し、信頼関係を築いていくことができます。
また、食事のサポートでは、担当の患者さん以外とも接する機会が増えます。
廊下ですれ違った際の挨拶や、リハビリの送迎時のちょっとした会話など、顔なじみが増えていくことも言語聴覚士という仕事の楽しさの一つです。
チームで協力しながら患者さんを支える瞬間
リハビリは、言語聴覚士だけでなく、医師や理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、看護師、栄養士など多職種が連携し、患者さんの回復をサポートするチーム医療の一環です。
患者さんの状態は日々変化するため、スタッフ同士で情報を共有し、リハビリの進捗を確認しながら、適切な目標を設定していきます。
より良い支援を提供するために、チーム一丸となってプランを練り上げていく過程は、多くのSTにとってやりがいを感じる瞬間です。
専門的な知識を学び、身につけることができる
言語聴覚士として働くためには、養成校で学び、国家試験に合格する必要があります。
学んだ知識を活かしながら現場で働く中で、より実践的で専門的なスキルが求められる場面が増えていきます。
そのため、常に新しい知識を身につける必要があり、勉強会への参加や自主学習を続けることで、言語聴覚士として成長を実感できます。
また、患者さんの生活を総合的に評価するために、理学療法や作業療法など他職種の知識も学ぶことができる点も、この仕事の魅力の一つです。
自身の経験を活かせる
言語聴覚士の仕事では、患者さんとの信頼関係を築くことが重要です。
そのため、患者さんと共通の話題を持つことが、会話のきっかけになりやすくなります。
例えば、学生時代にしていたスポーツが共通の趣味だったり、旅行先が患者さんの出身地だった場合、自然と話が弾むこともあります。
また、リハビリに必要な道具を手作りすることもあるため、ものづくりが好きな人や、パソコンスキルを活かした資料作成が得意な人にとっては、創意工夫の楽しさを感じられる場面も多いでしょう。
以上が、言語聴覚士が感じる仕事の楽しさについてのお話でした。
最後に、実際に言語聴覚士が現場で働いてみて感じたことについてのお話です。
言語聴覚士として働いてみて思うこと
自分のリハビリを通じて患者さんに変化が見られる喜びを感じる一方で、その責任の重さや業務の多さに圧倒されることもあるかもしれません。
時には、「自分のやっていることは本当に患者さんのためになっているのか?」と悩むこともあるでしょう。
実際に、評価や訓練に夢中になりすぎるあまり、患者さんが「ただ付き合わされているだけ」になっていることに気づいたことがあったそうです。
「患者さんのために」と思っていたことが、実は言語聴覚士側の一方的な押し付けになってしまっていたとのこと。
確かに、患者さんの症状や障がいに向き合い、適切なリハビリを提供することは重要です。
しかし、それと同じくらい 「患者さんの気持ちに寄り添うこと」 や 「リハビリを前向きに取り組んでもらう工夫」 も大切です。
そのためには、 言語聴覚士自身が楽しみながらリハビリに取り組むことが不可欠 です。
「訓練に参加してもらわなければ」「自分がしっかりしなければ」というプレッシャーを感じることもあるかもしれません。
でも、肩の力を抜いて 「一緒に楽しもう」 という気持ちで向き合うことで、患者さんも安心し、より良い関係が築けるようになります。
言語聴覚士が楽しんでいると、その雰囲気は自然と患者さんにも伝わるものです。
どんな仕事でも、「相手のために」と思ってやっていることが、実は自分自身の成長につながっていることが多くあります。
思い通りにいかず、大変だと感じることもあるかもしれませんが、そんな時こそ、一度立ち止まり、「楽しむこと」を意識してみてください。
患者さんとともに、成長していけるはずです。
言語聴覚士としての道は決して楽なものではありませんが、その分、やりがいや学びの多い素晴らしい仕事です。
焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう!
以上が、実際に言語聴覚士が現場で働いてみて感じたことについてのお話でした。
言語聴覚士を目指す理由はさまざまですが、「人の役に立ちたい」「コミュニケーションの支援がしたい」「リハビリを通じて誰かを支えたい」といった思いを持つ方が多いです。
実際に言語聴覚士として働くと、患者さんの回復を間近で感じられる喜びや、専門性を活かして支援できるやりがいを実感することができます。
もちろん、大変なこともありますが、それ以上に「患者さんと一緒に成長できる楽しさ」や「社会に貢献できる充実感」が大きな魅力です。
言語聴覚士を目指す皆さんも、自分なりの志望動機を大切にしながら、このやりがいのある仕事に挑戦してみてください!