障害福祉分野の専門職、「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」。

両者にはどんな共通項や違いがあるか、ご存じでしょうか。

どちらのお仕事にも興味のある方や、児発管からサビ管、サビ管から児発管にジョブチェンジを検討されている方には気になるポイントかと思います。

こちらの記事では、「児童発達支援管理責任者」、または「サービス管理責任者」として働く上での共通項や違いについて、詳しく見ていきたいと思います。

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」とは?同じ?

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」は、よく似ていますが、別の職種です。

まずは、「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」とはどんなお仕事か、それぞれの概要を見てみましょう。

児童発達支援管理責任者(児発管)とは

児童発達支援管理責任者とは、福祉業界の専門職の1つです。

児童発達支援施設にて提供する支援全般の責任者です。

主に障害のある子どもたちの発達や特性、ご家庭状況に合わせた支援を提供できるよう、提供するサービス品質の管理や各関係機関との連携、指導員への指導や育成を行います。

児童福祉法において、児童発達支援施設には、1名以上の児発管の配置が義務付けられています。

サービス管理責任者(サビ管)とは

サービス管理責任者とは、福祉業界の専門職の1つです。

障害者支援施設にて提供する支援全般の責任者です。

心身に障害のある人々の生活状況や特性・心身の状態等に合わせた支援を提供できるよう、提供するサービス品質の管理や各関係機関との連携、支援員への指導や育成を行います。

障害者総合支援法において、障害福祉サービス事業所では、利用者数等に応じ、定められた人数のサービス管理責任者を配置することが義務付けられています。

上記の概要を確認し、「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」は非常によく似た仕事だと感じる方も多くいるのではないでしょうか?

特に業務内容についてはほとんど同じです。

職種よりも施設や運営母体によって違うことの方が多いかもしれません。

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」の業務内容が近いのには理由があります。

実は、元々はどちらの仕事内容も「サービス管理責任者(サビ管)」という名称で役割を担っていました。

2012年4月の児童福祉法改正により、両者が区別されるようになったのです。

と言いますのも、児童発達支援施設は元々障害福祉の1つの施設として位置づけられていましたが、法改正で児童福祉法の元に指定される施設となりました。

それに伴い、児童発達支援施設のサービス管理責任者の役割を担うポジションが「児童発達支援官営責任者」という名称で新設されることとなったのです。

現在は両者の定義や役割はわけられていますが、児童発達支援管理責任者またはサービス管理責任者になるためは、共通の研修受講が必須となるなど多くの共通項があります。

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」は、よく似ていますが、別の職種だということが確認できましたね。

では、続いて両者の違いについて確認してみましょう!

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」の違い

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」の違いは細かくみるとたくさんあります。

ここでは、1関係法案、2要件、3対象者と場所、4求められるスキルの4つに絞って見てみましょう。

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」の違い4つ

1、関係法案

こちらは上記で触れた通り、児発管は児童福祉法、サビ管は障害者総合支援法に基づいている職種です。

2、要件

両者の資格を取得するための研修は共通であり、基本的な要件も同じですが、詳細な要件にはいくつか違いがあります。

両者とも要件のルートとしては「相談支援業務」「直接支援業務」「有資格者等(有資格者・国家資格)」という3つの要件に分かれており、要件ごとに必要な実務経験年数が異なります。

例えば、サビ管では実務要件として認められる救護施設・更生施設・老人福祉施設・介護老人保健施設・老人居宅介護等事業での支援業務が、児発管の実務要件としては認められません。

尚、必要な経験年数は資格の有無や都道府県、法改正等によって違いがあるため、適宜都道府県の最新情報をご自身で確認することをお勧めします。

3、対象者と場所

児発管は障害のある児童(18歳未満)やその家族に対する支援を提供します。

一方、サビ管は、福祉サービス全般の運営や管理を担当し、特定の年齢層やニーズに限定されることがないのが特徴です(福祉サービスの種類や施設の方針により対象者が限定されることはあります)。

なお勤務する場所は明確に区別されています。

児発管の勤務する施設は、児童発達支援、医療型児童発達支援、・放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、福祉型障害児入所施設、療型障害児入所施設放課後等デイサービス、障害児入所施設、児童発達支援センターなどです。

一方のサビ管の勤務する施設は、療養介護、生活介護、施設入所支援、自立訓練、宿泊型自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、共同生活援助などです。

4、求められるスキル

主な業務内容は同じですが、求められるスキルには両者に違いもあります。

児発管は、児童の発達や障害に関する専門知識や援助技術が求められます。

一方のサビ管は、提供するサービスにより大きく異なります。

例えば就労移行支援事業所であれば、サビ管は障害に関する専門知識や援助技術に加え、就職市場に関する知識等就労支援のスキルはもちろん、企業との環境調整を行うにあたって社会情勢や労働に関する法律についての理解やビジネスマナーはもちろん、プレゼンや交渉能力等のスキルを求められることがあります。

4つのポイントを確認してみていかがでしたか?

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」の違い4つ、1関係法案、2要件、3対象者と場所、4求められるスキルについて確認してきました。

この記事を読んでいる方の中には、児発管またはサビ管になりたい方も多いのではないでしょうか?

または児発管からサビ管、サビ管から児発管にジョブチェンジを検討されている方もいらっしゃるかと思います。

では、「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」、どっちがお勧めか確認していきましょう!

「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」、どっちがおすすめ?

結論、「児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」、どちらのお仕事もおすすめです。

現在、施設の増加や法改正によりどちらの職種も社会的な需要が高まっています。

そのため、ご自身の好きや得意、キャリアの目標にあわせて「児童発達支援管理責任者(児発管)」か「サービス管理責任者(サビ管)」を選ぶことができます。

以下にそれぞれの特徴とおすすめポイントを示します。

児童発達支援管理者

子どもとの関わりを重視する方

児童発達支援管理者は、障害児やその家族に対する支援を提供する仕事です。子どもとの関わりを重視し、その成長や発達をサポートしたい方に向いています。

専門性を高めたい方

児童発達支援管理者は、子どもの発達や障害に関する専門知識や技術が求められるため、その分野の専門性を高めたい方に適しています。

サービス管理責任者

障害福祉について幅広い分野で学びたい方

勤務する施設にもよりますが、援助対象者の年齢や障害種別に限定されていないため、幅広い知識を身につけることが可能です。

キャリアアップや転職を検討している方

児発管、サビ管共にキャリアアップは可能です。

その中でもサビ管の資格があれば、他の福祉施設のサビ管としても勤務することが可能ですので転職先が多いと言えるでしょう。

また、サビ管から民間企業の障害者雇用担当や人材エージェント等に転職する方もおり、児発管と比べるとさらに転職の選択肢が広いといえます。

児童発達支援管理責任者(児発管)」と「サービス管理責任者(サビ管)」。

どちらの職種も、子どもや地域社会への貢献が期待されるやりがいのある仕事です。

また、どちらの仕事も社会的な需要が高まっています。

福祉業界に興味のある方は、自身の興味や能力、キャリア目標に合わせてどちらを目指すか決めていけるとよさそうです。