作業療法士の給料は高いのでしょうか?

作業療法士を目指す方にとって、非常に気になるポイントですよね。

作業療法士の給料や年収は、働く場所や性別、年齢など様々な要素が関係してきます。

給料事情を理解することで、自分のキャリアプランをより具体的に描くことができるでしょう。

そこで今回は、作業療法士の給料事情について詳しく解説していきます。

作業療法士の給料は高いのか?平均年収は?など、皆さんの疑問にお答えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

作業療法士の平均月収・年収

作業療法士の平均年収は、35.6歳で433万円ほどと報告されています。

この数値は、厚生労働省が実施した令和5年度の賃金構造基本統計調査によるものです。

作業療法士は医療分野における重要な専門職です。

作業療法士の職場は主に病院や介護施設など、比較的安定した環境が整っています。

業務領域は大きく3つに分類され、医療系、介護系、障害福祉系と多岐にわたります。

中でも介護分野、特に訪問介護や介護施設などは、他の領域と比べて応募者が少ないため、給与水準が高い傾向にあります。

また、年齢層や男女比など、様々な要素から作業療法士の職場環境を分析する必要があります。

以下で、さらに詳しく解説していきます。

作業療法士の平均月収(年齢別)

作業療法士の平均給与は、30歳半ばで約465万円となっています。

彼らは、21~22歳で就職し、キャリアの13年目に現役で働いています。

この世代は、子育てや結婚を考える時期にあります。

給与水準は、世代平均と比較して少し高い傾向にあるため、安定性と給与面で魅力的な職業といえます。

  • 年齢別の平均給与の推移は以下のとおりです:
    – 20代: 320~380万円
    – 30代: 400~430万円
    – 40代: 470~490万円
    – 50代: 500~550万円
    – 60代: 410~440万円

20代の給与上昇率が高いのは、昇進や結婚・出産に伴う役職手当や家族手当、住宅手当の付与などが関係していると考えられます。

その後は、緩やかな昇給が続きます。

60代になると給与が下がるのは、定年を迎えて嘱託職員(契約社員)となるためと思われます。

次に、男女別の作業療法士の給与状況を見てみましょう。

作業療法士の平均月収(性別別)

性別による比較では、男性の平均年収が443万円に対し、女性は401万円と低い水準にあります。

これは、女性の場合、結婚や出産に伴う短時間勤務などの機会が多いことが要因と考えられます。

したがって、ライフイベントを考慮した上で、企業の福利厚生制度の検討が重要だと言えます。

一方、性別と年代別の傾向を見ると、20代から40代までは女性の年収が男性に比べて低い傾向にあります。

しかし、50代になると逆転し、女性の年収が512万円から563万円となり、男性の490万円から548万円を上回ります。

これは、定年後に男女ともに一般職となることで、男性の年収下落幅が相対的に小さいためと考えられます。

作業療法士の初任給について

作業療法士の初任給は、学歴によって大きな差があることがわかります。

一般的に、短大卒または3年制専門学校卒では19万円前後、4年制大卒では20万円前後が相場とされています。

しかし、就職先によって初任給にかなりの開きがあるのが現状です。

公立病院や国立大学病院といった公的機関では、平均より1万円ほど低い傾向にあります。

一方、医療法人などが経営する民間病院では、平均より1万円程度高い傾向にあります。

特に、介護老人保健施設や訪問介護事業所などの介護施設では、人手不足の影響もあって、平均よりも大幅に高い26万円~27万円前後の初任給が設定されているのが特徴的です。

以上が、作業療法士の平均月収・年収でした。

仕事内容を加味した上で作業療法士の給料が高いと感じるかは、個人によって違いが出てくると考えられます。

次に、そんな作業療法士の月収・年収の特徴についてみていきましょう。

作業療法士の月収・年収の特徴

作業療法士の月収・年収の特徴は以下の3つに分けられます。

  • ・給与上昇幅が小さい
  • ・月給とボーナスの割合にばらつきがある
  • ・残業代が少ない

それぞれ、詳しくみていきましょう。

給与上昇幅が小さい

作業療法士の給与は、多くの施設で年1回の昇給機会があり、勤続年数に応じて着実に増加していきます。

しかし、その上昇幅は小さいのが特徴です。

40代以降の働き盛りの年代でも、平均年収は500万円台に達していません。

この給与の伸び悩みが、全体の平均年収を大きく下押ししている主な要因となっています。

給与を上げるには、作業療法士としてのスキル向上に加え、リーダーシップや指導力の養成によって、管理職への昇進を目指すことが重要でしょう。

月給とボーナスの割合にばらつきがある

作業療法士の給与については、勤務先によって月収とボーナスの構成が一定ではありません。

介護施設の平均月収は医療施設よりも高いものの、ボーナスが低いあるいは支給されないケースもあります。

このため、一般的な統計数値は目安に過ぎず、正確な比較には年収ベースでの検討が必要となります。

残業代が少ない

作業療法士は、他の医療スタッフとは異なり、緊急対応は少なく、決められたスケジュールに沿って患者のリハビリを行います。

そのため、職場によって多少の違いはあるものの、作業療法士の残業機会は非常に少ないと言えます。

この残業の少なさは、日々の生活リズムを整えやすく、プライベートの充実にもつながるメリットがあります。

一方で、残業代がほとんど支給されないというデメリットもあります。

また、夜勤も発生しないため、これも作業療法士の収入が看護師より低い大きな理由の一つと言えるでしょう。

ただし、勤務時間外に行われる勉強会やカンファレンスなどについては、施設によって残業扱いされるかどうかが異なるため、就職前に確認しておくことが重要です。

以上が、作業療法士の月収・年収の特徴でした。

それでは最後に、作業療法士の収入をアップさせる方法をご紹介していきます。

作業療法士の収入をアップさせる方法は?

作業療法士の収入をアップさせる方法は3つあります。

  • ・管理職への昇進を目指す
  • ・大規模な介護施設や老人保健施設への就職を検討する
  • ・自営業への道を模索する

作業療法士が収入向上を目指すことは重要です。

先の需要予測を踏まえると、将来を見据えて働くことが不可欠だからです。

そこで、収入をアップさせるための3つの方法をご説明していきます。

管理職への昇進を目指す

管理職を目指すには、専門的な臨床スキルに加え、指導力を身につける必要があります。

新人の育成に積極的に関わり、新しい加算の獲得を提案するなど、管理職に求められるマネジメント能力を培うことが重要です。

大規模な介護施設や老人保健施設への就職を検討する

訪問系や老健施設では、求人応募数が少ないことから、給与水準が高い傾向にあります。

一方で、事業規模が大きくなるほど、賞与などの手当も充実する傾向にあります。

そのため、転職を検討する際は、年収ベースでの比較が重要となります。

自営業への道を模索する

作業療法士は、介護や児童の放課後デイサービスの開業にも携わる事例があります。

これまで培ってきた知識と経験を活かせるうえ、有資格者としての強みを生かせるため、独立開業には魅力があります。

年収の上限は自身の経営力次第です。

しかし、事業所の運営には、採用、育成、人事制度、顧客獲得・顧客サービスなど、経営に関わるさまざまなスキルを磨く必要があり、リスクも伴うため、慎重に検討することが重要です。

以上が、作業療法士の収入をアップさせる方法でした。

自由度の高い作業療法士だからこそ、様々な道が広がっていることがわかりました。

作業療法士の給料が高いと感じるか、安いと感じるかは個人の感覚に委ねられます。

人々を支える素晴らしい職業である作業療法士に憧れている方、目指している方はぜひ参考になさってください。