作業療法士の資格は働きながら取得できるのでしょうか?

日本の高齢化に伴い、作業療法士の役割が重要になってきています。

彼らは日常生活動作のリハビリテーションや社会適応支援を行う重要な仕事に携わっています。

医療や介護の分野以外の人々の中にも、仕事をしながら作業療法士の資格を取得したいと考えている人は少なくありません。

本文では、作業療法士の資格を働きながら取得する方法、仕事と資格取得を両立できる3つの理由、そして作業療法士に適している人の特徴について紹介します。

作業療法士の資格は働きながら取得できる?

作業療法士の資格取得は働きながらでも可能です

それでは、資格取得までのルートを見ていきましょう。

高等教育機関において3年以上の課程を修了する

作業療法士の資格取得には、まず国指定の専門カリキュラムを3年以上修了し、その上で作業療法士国家試験に合格する必要があります。

各カリキュラムの特徴を確認しましょう。

4年制大学のカリキュラム

作業療法士を目指す一般的なルートは、4年制大学の養成課程への入学です。

この4年制大学コースの特徴は、作業療法に特化した専門科目だけでなく、幅広い一般教養科目も学べることです。

作業療法士は様々な世代の人々とコミュニケーションを取ることが多いため、この一般教養の知識は、利用者との会話を円滑に行う上で役立つことが多いでしょう。

また、4年制大学の学習期間には余裕があるため、研修やアルバイト、インターンシップなどの活動にも積極的に参加することができます。

つまり、専門科目と一般教養をじっくりと学びたいという方にとって、この4年制大学コースはおすすめの選択肢といえます。

3年制短大のカリキュラム

最短で作業療法士を目指すなら、3年制の短大への入学がおすすめです。

4年制大学よりも1年短い学習期間で、作業療法士に必要な知識とスキルを効率的に習得できます。

4年制大学と同様に、専門科目と一般教養科目を学べるため、広い教養を身につけつつ、効率的に作業療法士を目指したい方にはこのコースがぴったりです。

3・4年制の専門学校のカリキュラム

最後は、都道府県指定の3年制または4年制の専門学校です。

専門学校では1年次から実践的なスキルを、実習や研修を通して習得できます。

即戦力として即座に現場で活躍できるよう、カリキュラムが設計されているのが特徴です。

また、夜間学部を設置する専門学校もあるので、本業を続けながら無理なく学習できます。

実践力を身につけつつ、現場で活躍できる人材を育成するのが、専門学校の目標です。

作業療法士国家試験に合格する

作業療法士国家試験は、オリジナルのカリキュラムを修了し、受験資格を得た後に受験することになります。

この国家試験の主な出題範囲は、筆記試験では解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学概論、そして作業療法に関する内容が中心です。

一方、実地試験では運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学概論、作業療法の分野が出題されます。

ただし、重度の視力障害を持つ受験者の場合は、実地試験に替えて口述試験と実技試験を受験することができます。

第58回作業療法士国家試験では、5,719人の受験者のうち4,793人が合格し、合格率は83.8%でした。

この試験は、授業や自習で事前に十分な準備をすれば、問題なく合格できる難易度であるといえるでしょう。

作業療法士として働く

作業療法士には幅広い就職先が用意されています。

病院やリハビリテーションセンター、障害者施設に加え、訪問介護事業所、保健所、老人保健施設、放課後デイサービスなど、様々な場所で活躍することができます。

高齢化に伴う介護需要の高まりから、地域包括支援センターでの相談業務にも従事する機会が生まれています。

以上が、作業療法士の資格取得を働きながら目指す道でした。

それでは次に、仕事と作業療法士の資格取得を両立できる理由についてみていきましょう。

仕事と資格取得を両立できる3つの理由

「仕事と資格取得を両立なんて本当にできるのか」という不安を覚える方もいらっしゃると思います。

ですが、大丈夫です。

社会人の方々も作業療法士を目指すことができる学校が数多く存在しています。

そこには、働きながらの学業を支援する環境が整っているのです。

それでは、仕事と資格取得を両立できる理由をみていきましょう。

1. 専門学校の学生には、社会人としての経験を持つ者も数多く在籍している

専門学校の中には、本業を続けながら作業療法士を目指す学生が多数在籍しているところがあります。

特に夜間部のある専門学校は、昼間の仕事と夜の授業を両立できるため、社会人学生が多くなる傾向にあります。

また、社会人が多い専門学校では、講師陣も社会人学生への配慮が十分であるため、社会人だからといって不利な扱いを受けることは少ないと考えられます。

サポート体制が充実している

教育支援制度を活用すれば、即座に学費を用意できない人でも作業療法士への道を歩みやすくなります。

奨学金やローンなどの支援策を提供している学校を選択すれば、経済的に厳しい状況にある方でも、働きながらスクーリングを始められる魅力的な選択肢となります。

卒業後の就職率が高い

数多くの作業療法士養成校が高い国家試験合格率と就職率を誇っています。

中には就職支援体制を備えた学校もあり、卒業後の作業療法士としての就職が期待できます。

社会人学生が多く、かつ就職実績も優れた養成校であれば、安心して作業療法士を目指すことができるでしょう。

以上が、仕事と資格取得を両立できる理由でした。

それでは最後に、どんな人が作業療法士に適しているのか、その特徴をみていきましょう。

作業療法士に適している人の特徴

最後に、作業療法士に適している人の特徴をご紹介します。

作業療法士は、高齢者や障がい者の方々と密接に関わり、長期的な視点でリハビリサポートを提供しています。

この仕事には、優れたコミュニケーションスキルと、患者の方々に寄り添う心構えが不可欠です。

作業療法士として活躍するために、必要なスキルをみていきましょう。

洞察力とコミュニケーション能力を持っている

リハビリや各種のサポートを提供する際には、患者とのコミュニケーションを通して、その人の求めていることを探り、適切なサポートを行うことが重要です。

患者の行動や様子の些細な変化に気づき、状況に応じたサポートを提供できる洞察力とコミュニケーション能力が必要とされる仕事といえるでしょう。

患者に寄り添う気持ちを持っている

作業療法士には、患者の視点に立ち、「何を求めているか」「どのように支援すれば良いか」を理解しながら、リハビリの内容を検討することが求められます。

心身の状態が不安定な患者にとって、同じ目線で寄り添い支援してくれる作業療法士の役割は重要です。

忍耐力も持っている

リハビリの業務は一朝一夕に成果を上げられるものばかりではありません。

時には数カ月から年単位のリハビリを必要とする場合もあります。

長期にわたるリハビリ生活の中で、常に患者に寄り添い、サポートし続けられる人こそが、作業療法士の仕事に適していると言えるでしょう。

以上が、作業療法士に適している人の特徴でした。

作業療法士を目指すには、3年以上のカリキュラムを修了し、国家試験に合格する必要があります。

短大や専門学校の3年制コースを選べば、働きながらでも資格取得が可能です。

夜間学部や奨学金制度を活用すれば、経済的な面でも柔軟に対応できます。

働きながら資格取得を目指す際は、自分に合った学校を見つけ、無理のないペースで資格取得を目指すことが大切です。

以下の記事では、作業療法士の資格取得についてさらに詳しく解説しています。

作業療法士の取得を目指している人は、ぜひ参考にしてください。

作業療法士の資格取得は難易度が高い?資格取得の流れや就職先について