作業療法士の給料は?平均月給・年収や収入アップの方法を解説します
作業療法士の給料の平均はどれくらいなのでしょうか。
作業療法士の給料の平均は、勤務先の施設によってわずかな差はあるものの、一般的なサラリーマンよりもやや低い水準にあります。
高収入を望める職業とは言えません。
しかし、作業療法士には手当や育休・産休といった手厚い福利厚生制度が整っているという魅力があります。
また、労働時間が比較的安定しており、ワークライフバランスを取りやすいという利点もあります。
作業療法士の給料は?平均年収について
作業療法士の平均年収は2020年時点で418万9,400円と報告されています。
この数値は過去16年間にわたり緩やかながら増加傾向にあります。
また、勤務先の規模別に見ると、1,000人以上の大規模な組織で最も高い給与水準にあります。
年齢との関係では、概して年齢とともに年収が上昇するものの、50代半ば以降から減少に転じる傾向にあるようです。
作業療法士の平均年収(規模別)
規模別に見ると、作業療法士の年収に差が見られます。
10〜99人規模の事業所では平均436万円、100〜999人規模では427万円、1,000人以上規模では442万円と、事業所の規模が大きくなるほど年収水準が高い傾向にあります。
全体では10人以上規模の平均が433万円となっています。
作業療法士の平均年収(年齢別)
年収は年齢とともに推移し、20代後半から30代前半にかけて最も高くなる傾向がみられます。
年齢 | 平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 約24.3万円 | 約33.0万円 | 約324.9万円 |
25~29歳 | 約26.1万円 | 約65.8万円 | 約379.2万円 |
30~34歳 | 約28.0万円 | 約69.9万円 | 約406.4万円 |
35~39歳 | 約30.5万円 | 約74.6万円 | 約440.4万円 |
40~44歳 | 約32.8万円 | 約88.1万円 | 約482.1万円 |
45~49歳 | 約34.0万円 | 約92.7万円 | 約500.1万円 |
50~54歳 | 約33.8万円 | 約99.4万円 | 約504.5万円 |
55~59歳 | 約37.6万円 | 約104.5万円 | 約555.8万円 |
60~64歳 | 約32.0万円 | 約68.8万円 | 約453.1万円 |
65~69歳 | 約30.1万円 | 約88.1万円 | 約448.7万円 |
具体的には、20~24歳が324万9,000円、25~29歳が379万2,000円、30~34歳が406万4,000円と年齢とともに増加しています。
一方で、60代以降は下降する傾向にあります。
作業療法士の7割以上が医療施設に勤務しています。
医療施設の主な収入源は診療報酬であり、医療行為は一律に点数化されているため、経験やスキルによる収入の増減はありません。
作業療法士の初任給について
作業療法士の初任給は、学歴によって大きな差があるのが現状です。
短大卒や3年制専門学校卒では概ね19万円前後、4年制大卒では20万円前後が一般的な水準とされています。
しかし、就職先によってはかなりの開きが見られます。
公立病院や国立大学病院などの公的機関では、平均より1万円ほど低い傾向にあります。
一方、医療法人などが経営する民間病院では、平均より1万円程度高い水準にあります。
特に、介護老人保健施設や訪問介護事業所などの介護施設では、人材不足の影響もあり、平均よりも大幅に高い26万円~27万円前後の初任給が設定されています。
以上が、作業療法士の平均給料・年収事情でした。
では次に、職場別の給料・年収事情についてみていきましょう。
職場別にみる作業療法士の平均年収
ここからは、職場別に分けて作業療法士の平均年収を確認していきましょう。
作業療法士は様々な場所で活躍できる職業です。
そのため、職場によっても給料は変わってきます。
そこで、今回は以下の3カ所に分けてそれぞれの給料をみていきます。
医療施設で働く作業療法士の平均年収
医療施設は、作業療法士にとって最も一般的な就職先です。
統計によると、作業療法士の約7割が医療施設で勤務しています。
医療施設の作業療法士の平均年収は、職業全体の平均と同様、350万円から450万円が一般的です。
しかし、管理職への昇進により、年収が大幅に上昇し、600万円や700万円に達することもあります。
介護施設で働く作業療法士の平均年収
介護施設の作業療法士の給与は、医療施設よりも全体的に高い水準にあり、施設によっては役職に就かずとも年収 500 万円前後に達することもあります。
介護業界は過酷な労働条件というイメージが強く、人手不足に悩まされている中、待遇面を手厚くすることで人材を確保しようとする施設が目立ちます。
特に訪問介護ステーションや訪問リハビリテーション事業所などは、身体的な負担が大きい一方で、介護業界の中でも特に高待遇となっているため、収入面を重視する人にとって魅力的な就職先といえるでしょう。
福祉施設で働く作業療法士の平均年収
作業療法士の給与水準は、福祉施設勤務の場合、医療や介護施設と比べて低い傾向にあります。
年収は概ね250万円から400万円前後が一般的です。
この背景には、福祉業界が本来、営利を目的としていないことや、日本の財政状況が厳しいことで、国や自治体からの補助金も十分ではないことがあります。
そのため、構造的に利益を上げにくい環境にあり、結果として福祉施設スタッフの給与水準が低くなりがちです。
ただし、作業療法士の仕事には大きな社会的意義があり、また介護業界と比べると体力的負担も軽めです。
このように、経済面以外のメリットは複数存在します。
以上が、職場別にみる作業療法士の平均年収でした。
就職場所は個人の選択で決まります。
何を優先するか、よく考える必要がありそうです。
それでは最後に、作業療法士の平均給料・年収を上げる方法についてご紹介します。
作業療法士が平均給料・年収を上げる方法
作業療法士の平均給料・年収を上げる有効な方法をご紹介します。
以下の3つの方法について詳しくお話ししますので、ぜひ自分に合った方法を見つけてください。
資格を取得する
作業療法士の年収向上には、さまざまな資格取得の道が用意されています。
認定作業療法士や専門作業療法士、認定訪問療法士、呼吸療法認定士といった資格を取得すれば、専門性を証明し、資格手当の対象となる可能性があります。
さらに、理学療法士や介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得すれば、作業療法士としての知見に加え、身体運動機能の回復支援能力や介護分野の知識を深めることができます。
これらの資格取得には、現場での事例報告のまとめや協会が行う研修の修了など、継続的な学習と自己研鑽が必要です。
しかし、その努力は作業療法士としての価値を高め、患者に対するより質の高い支援を可能にし、結果として年収アップにつながることでしょう。
管理職へのキャリアアップを目指す
作業療法士の給与を上げるには、管理職への昇進が有効な方法となります。
管理職に就くことで、責任は増大しますが、それに応じて給与も上昇します。
役職に就くことで、月給だけでなく年間賞与にも影響が出るため、500万円以上の年収を目指すことが可能になります。
ただし、昇進は実際の業績とスキルに基づくものであり、相応の努力が必要不可欠です。
給料の高い職場への転職を考える
作業療法士の方は、現在の職場で長年勤務しているにもかかわらず、思うような評価や処遇を得られていないことがあるようです。
そのような場合、同じ職場にとどまるよりも、思い切って別の職場を探すことをおすすめします。
介護施設の作業療法士は人手不足の中、転職市場が有利な状況にあります。
自身のスキルや経験を活かせる新しい環境を見つけることができるかもしれません。
転職を検討する際は、現在の職場の良い点や課題点を整理し、次の職場では何を求めるのかを明確にしましょう。
特に、評価制度や昇進・昇給体系などの制度設計にも注目すると良いでしょう。
思い切った転職は、収入アップや自己実現につながる可能性があります。
慎重に検討し、最適な選択をすることが重要です。
以上が、作業療法士の平均給料・年収を上げる3つの方法でした。
作業療法士の給料は平均的に見て、高いと言えないのが現状です。
しかし、作業療法士は多くの人を支える素晴らしい仕事です。
やりがいはきっと数えきれないほどたくさんあります。
今回ご紹介した方法で、ぜひやりがいを感じながら、平均給料・年収アップを目指してください。