理学療法士の方の中には、介護福祉士の資格を取得することを検討している方もいらっしゃるのではないでしょいうか。

実は、理学療法士が介護福祉士の実技試験を免除できるルートがいくつか存在するんです。

両方の資格取得を考えている方にとって、効率的に試験の負担を軽減できる方法は大きなメリットです。

そこで本記事では、理学療法士が介護福祉士の実技試験を免除するための具体的なルートをご紹介します。

また、理学療法士と介護福祉士の違いやダブルライセンスを取得するメリットについても解説しますので、資格取得を検討している方はぜひ参考にしてください。

理学療法士は介護福祉士の実技試験を免除できる?

資格取得の際、理学療法士が介護福祉士の実技試験を免除できるいくつかのルートがあります。

免除できるものはなるべく免除したいもの。

具体的なルートは以下の通りになります。

理学療法士の方で介護福祉士の資格取得を検討されている方はぜひ参考になさってください。

実務経験ルート

実務経験がある方は、「介護福祉士実務者研修」を修了しているか、「介護職員基礎研修」および「喀痰吸引等研修」の両方を修了している場合、実技試験が免除されます。

養成施設ルート

養成施設に通学している方は、卒業時に実技試験が免除されます。

福祉系高校ルート

福祉系高校に通っている場合、2009年度以降に新しいカリキュラムを受けた卒業生であれば、実技試験の免除が可能です。

経済連携協定ルート

フィリピンやインドネシアなど東南アジアの学生が利用できる経済連携協定では、介護福祉士国家試験に関連する技術講習と実務者研修を受けることで、実技試験が免除されます。

これらのルートを活用して、効率的に資格取得を目指しましょう。

理学療法士が介護福祉士の実技試験を免除できるいくつかのルートがあることが分かりました。

次に、そもそものお話である理学療法士と介護福祉士の違いについてお話しします。

理学療法士と介護福祉士の違い

理学療法士と介護福祉士には違い・共通点がそれぞれあります。

それはどのような点なのでしょうか?

ここで詳しく解説します。

共通点

理学療法士と介護福祉士に共通する主なポイントは以下の通りです。

  • ・利用者を最優先に考えて仕事を行う
  • ・生活の質(QOL)の向上を目指し、ケアやリハビリを提供する
  • ・他職種と連携してケアやリハビリを行う

特に、介護施設で働く理学療法士の場合は、介護福祉士との共通点が多くなります。

どちらも利用者や患者を第一に考えて仕事をするという点は、病院勤務でも同様です。

違い

一方で、理学療法士と介護福祉士の間には大きな違いがあります。

介護福祉士は、利用者の生活全般をサポートするのに対し、理学療法士は基本的な動作能力の回復を目的に、計画的なリハビリを行います。

  • 介護福祉士の主な業務
  • ・身体介助、生活援助
  • ・レクリエーションの実施
  • ・ケアプランに基づくモニタリングと評価
  • 理学療法士の主な業務
  • ・機能訓練やリハビリの指導
  • ・生活リハビリの計画と指導
  • ・リハビリプログラムの作成と実施

どちらも利用者の生活の質向上を目指している点では共通していますが、そのアプローチ方法には大きな違いがあります。

以上が、理学療法士と介護福祉士についての違い・共通点でした。

続いて、理学療法士と介護福祉士のダブルライセンスを取得するメリットと注意点についてみていきましょう。

理学療法士と介護福祉士のダブルライセンスを取得するメリットと注意点

理学療法士と介護福祉士のダブルライセンスを取得することで、得られるメリットは数多くあります。

ここでは、特に重要な3つのメリットをご紹介します。

また合わせて取得時の注意点もご紹介します。

ダブルライセンスの取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1. 就職の選択肢が広がる

理学療法士や介護福祉士の資格単体でも、多くの職場で活躍できる機会がありますが、ダブルライセンスを取得することで、さらに多様な選択肢が増えるのは事実です。

たとえば、理学療法士として働き始めた後、仕事内容や給与が自分に合わないと感じた場合、介護福祉士として介護施設で働くという選択肢に切り替えることも可能です。

特に、介護施設ではダブルライセンスを持つ人材は高く評価される傾向があります。

2. 知識が深まり、仕事がより充実する

ダブルライセンスを取得する最大のメリットは、リハビリと介護の両方の分野において専門知識を深められることです。

理学療法士として働く場合でも、介護福祉士として働く場合でも、双方の知識があることで「なぜそのケアが必要なのか」を理解しながら仕事ができ、より質の高いケアを提供できます。

複数の分野の知識を持つことで、仕事に対する理解が深まり、楽しさややりがいが増すでしょう。

3. 昇進のチャンスが増える

介護施設で働く際、ダブルライセンスを持っていることで、リハビリと介護の両方の知識があると評価され、管理者などの責任あるポジションに抜擢される可能性が高まります。

もちろん、昇進には経験も不可欠ですが、ダブルライセンスを持ち、実務経験を積めば、他の同僚と差をつけ、キャリアアップのチャンスが広がります。

ダブルライセンスの取得は、就職の幅を広げ、知識を深め、キャリアを高める大きなステップとなります。

ダブルライセンスを取得する際の注意点

理学療法士と介護福祉士のダブルライセンスを取得する際の注意点をご紹介します。

費用がかかる

資格を取得するには、スクールの学費や教材の購入費用などが必要です。

ダブルライセンスを目指す場合、1つの資格を取得するよりも総合的な費用が増えます。

ただし、介護福祉士の資格取得が可能なスクールでは、割引キャンペーンを実施していることが多いため、積極的に利用するのがおすすめです。

また、スクールと提携している事業所に就職すれば、授業料を無料にできる場合もあります。

時間がかかる
資格取得には一定の勉強期間と資格要件を満たす時間が必要です。

養成施設や大学、専門学校では、2〜4年程度の学習期間が求められます。

介護福祉士の受験資格を得るためには、さらに3年以上の実務経験が必要です。

また、学校を卒業しても、試験の受験資格が得られるだけの場合もあり、試験に不合格だった場合は、再受験まで1年待たなければならないこともあります。

そのため、時間的な余裕が必要です。

以上が、理学療法士と介護福祉士のダブルライセンス取得のメリットと注意点でした。

続いて、理学療法士と介護福祉士の資格取得方法についてご説明していきます。

理学療法士と介護福祉士の資格取得方法

理学療法士と介護福祉士の資格取得方法はそれぞれ異なります。

ここでは、資格を目指す方のために、それぞれの取得方法を簡単にまとめました。詳しくは以下をご覧ください。

理学療法士の資格取得方法

理学療法士の資格は「理学療法士及び作業療法士法」に基づき、厚生労働大臣から免許が交付されます。

理学療法士になるには国家試験に合格する必要があり、誰でも受験できるわけではありません。

まず、受験資格を取得する必要があります。

受験資格を得るためには、3年以上の養成学校で必要な知識と技術を学ぶことが求められます。

養成学校の種類は以下の通りです。

  • 専門学校(3年制・4年制)
  • 特別支援学校(視覚障がい者対象)
  • 4年制大学
  • 3年制短期大学

すでに作業療法士の資格を持っている人は、養成校で2年学ぶことで受験資格が得られます。

養成校では、定められたカリキュラムに基づいて学び、臨床実習にも定期的に参加します。

介護福祉士の資格取得方法

介護福祉士の資格を取得するには、いくつかのルートがあります。

主な方法は以下の通りです。

  1. 介護福祉士養成学校に通い、受験資格を得てから国家試験を受ける
  2. 実務者研修を修了し、介護施設で3年以上の実務経験を積んで国家試験を受ける
  3. 介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修を修了し、介護施設で3年以上の実務経験を積んで国家試験を受ける

介護福祉士養成学校には、高校、2年制専門学校、短期大学、大学などがあります。

以前は、養成学校を卒業するだけで介護福祉士の資格が取得できましたが、2016年の法改正により、すべてのルートで国家試験の合格が必要となりました。

現在、国家試験を受ける多くの人は、実務経験を積んで受験資格を得た方が大半です。

理学療法士と介護福祉士、それぞれの資格取得方法をご紹介しました。

続いて、理学療法士・介護福祉士のダブルライセンスの取得方法についてご紹介していきます。

理学療法士・介護福祉士のダブルライセンスの取得方法は?

理学療法士と介護福祉士のダブルライセンスを持つ人は、どのようにして資格を取得したのでしょうか?

ここでは、よくある3つの取得パターンをご紹介します。

1. 理学療法士の受験資格取得後、介護施設で3年以上介護職員として勤務

理学療法士の受験資格を得たものの、国家試験に合格できず介護施設で介護職員として働くケースがあります。

その後、介護福祉士の受験資格を取得し、両方の試験に挑戦して合格するパターンです。

また、理学療法士の資格は取得したものの、PT(理学療法士)として働かずに介護施設でヘルパーとして勤務し、その後介護福祉士の資格を取得してダブルライセンスを取る人もいます。

2. 介護福祉士の資格を取得後、理学療法士養成校に進学

これは最も一般的なダブルライセンス取得パターンです。

介護福祉士として働いているうちに理学療法士に興味を持ち、養成校に進学して3~4年の勉強を経て理学療法士資格を取得するケースです。

介護福祉士としての経験があることで、理学療法士として働く際にも利用者の心理やケアに対する理解が深まり、業務がスムーズに進むというメリットがあります。

3. 理学療法士の夜間学校に通いながら介護職で3年以上働く

理学療法士養成校には夜間制の学校もあり、昼間は介護施設で働きながら夜に勉強する人が多いです。

夜間制に通いながら介護福祉士資格に必要な実務経験を積み、理学療法士資格を取得した後、介護福祉士の受験資格も得ることができます。

これらのパターンを参考に、ダブルライセンス取得を目指してみてください。

理学療法士が介護福祉士の実技試験を免除できるルートは、実務経験や養成施設を利用する方法など複数存在します。

また、理学療法士と介護福祉士は共通する部分が多いものの、それぞれ異なる役割やスキルが求められます。

理学療法士が介護福祉士のダブルライセンスを取得することで、キャリアの幅を広げるだけでなく、昇進のチャンスも高まるため、専門知識のさらなる深掘りが可能です。

これらの情報をぜひ活用していただいて、理学療法士としてのキャリアアップを目指してください!

以下の記事では、理学療法士の国家試験の難易度などを詳しく解説しています。

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