理学療法士になる難易度は高い?国家試験について徹底解説!
「理学療法士になる難易度は高いって聞くけど本当なの?」
そう不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
理学療法士は、医療や介護、スポーツ分野などで幅広く活躍できる専門職ですが、その道のりは簡単ではありません。
特に、資格取得のためには国家試験に合格しなければならず、この試験が「高い壁」として立ちはだかることも事実です。
しかし、理学療法士になる難易度が高いからといって尻込みする必要はありません。
しっかりと学習計画を立て、基礎から応用へと段階的に知識を身につけていくことで、合格への道は着実に広がります。
この記事では、理学療法士国家試験の概要から内容、養成校について解説します。
不安や疑問を抱える受験生の方々が、前向きな気持ちで学習に取り組めるよう、できる限り丁寧にお伝えしていきます。
少しでも合格へのヒントを得て、目標へ近づくお手伝いができれば幸いです。
理学療法士になる難易度はそこそこ高い
理学療法士になる難易度は、決して低くはありません。
専門知識や技術を身につけるための時間と労力はもちろん、大学や専門学校で数年間みっちりと学ぶ必要があります。
また、医療や福祉の現場で活躍するために、実習やインターンシップなど実務経験を積む機会も重要です。
こうしたプロセスは容易ではありませんが、その分、理学療法士としての自信や専門性が得られる大切な過程ともいえます。
理学療法士になる難易度は「そこそこ高い」と感じる人が多いのは、合格率や学習内容の専門性だけでなく、医療従事者としての責任感や倫理観を理解する必要があるからです。
しかし、努力を重ねれば必ず道は開けます。
理学療法士について
理学療法士は、医師の指示のもと、患者さんの運動機能回復や維持をサポートする専門職です。
痛みを軽減したり、歩行訓練や筋力強化プログラムを組んだりして、患者さんが再び自立した生活を送れるよう手助けします。
また、老人ホームやスポーツ現場、在宅医療など、働ける場所や活躍の場は多岐にわたります。
そのため、理学療法士は単なる技術者ではなく、患者さんの生活背景や心理的状態も考慮しながら、最適なリハビリテーションを提供する総合力が求められます。
こうした背景から、理学療法士になるためには、専門的な知識と技術、そしてコミュニケーション能力や思いやりが不可欠なのです。
次に、理学療法士になるためには避けて通れない国家試験について解説します。
国家試験に合格する必要がある
理学療法士として働くためには、国家試験に合格し、国家資格を取得することが必須条件となります。
この試験は、大学や専門学校での学習内容を総合的に問われるため、学問的な基礎知識はもちろん、臨床場面で役立つ実践的な知識も評価されます。
試験範囲は広く、解剖学や生理学、運動学など多岐に及ぶため、入念な対策が必要です。
合格率は年によって変動しますが、しっかりとカリキュラムをこなし、対策を積めば合格は決して不可能ではありません。
特に、臨床経験を通じて習得した実践的な知識や判断力は、国家試験対策にも大きく役立ちます。
また、専門学校や大学では国家試験対策講座や模擬試験も充実しています。
それらを有効活用することで、合格への一歩を確かなものにすることができるでしょう。
理学療法士になる難易度は低くないことが分かったところで、どうして難易度が高いのかみていきましょう。
理学療法士になる難易度はなぜ高い?
理学療法士になる難易度はなぜ高いといわれているのでしょうか。
以下の3点に分けて説明していきます。
養成校への進学が必要
理学療法士の国家試験は、誰でも自由に受けられるわけではありません。
まず、専門学校や大学など、理学療法士を養成する教育機関で所定のカリキュラムを修了することが必須です。
難関校もある
養成校の入学難易度はさまざまで、偏差値は45~75前後と幅広いです。
中には医学部と同等水準といえるほど高い偏差値の学校も存在します。
学ぶ範囲が広い
養成校で学ぶ科目は医学の基礎をはじめ、運動学、解剖学、生理学、心理学、神経内科学、脳外科学など多岐にわたります。
こうした幅広い医療・理学療法の知識を身につけ、さらに数ヶ月間に及ぶ実習を経て、ようやく国家試験に挑戦する資格を得ることができるのです。
以上が、理学療法士になる難易度が高い理由でした。
次に、理学療法士になるための養成校についてお話していきます。
理学療法士になるための養成校について
理学療法士になるには、高等学校を卒業したうえで、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定する養成校へ進み、国家試験の受験資格を取得する必要があります。
養成校には以下の4種類があり、いずれの場合でも入学には受験を経て合格しなければなりません。
<理学療法士養成校の種類>
- 4年制大学
- 短期大学
- 専門学校
- 特別支援学校(主に視覚障害者対象)
受験科目は、理系・文系科目や小論文などが中心ですが、校種や各校の方針によって異なります。
また、社会人入試を行っている養成校も一部存在します。
各養成校は募集人数や志願者数が異なるため、合格倍率や入試難易度もさまざまです。
学費が比較的低く、人気のある国公立大学は偏差値が高くなりがちで、その分入学難易度も上昇します。
一方で、志願者不足や定員割れが発生している専門学校などでは、入学難易度が下がる傾向があります。
授業の種類とその難易度
理学療法士の養成校では、国家試験合格やその後の実践的な活躍を見据え、幅広いカリキュラムが用意されています。
ここでは、学内で学ぶ授業内容や実習について、順を追ってご紹介します。
授業内容について
養成校での授業は「基礎科目」と「専門科目」に大きく分けられます。
<基礎科目>
「解剖学」や「生理学」、「運動学」など、人間の体の構造や機能を理解するための基礎的な知識を身につけます。
骨格・筋肉の構造や、体のはたらき、運動力学など、理学療法士に必要な土台を築く段階です。
<専門科目>
基礎を踏まえた上で、「整形外科学」「神経内科学」など、より専門性の高い医学知識を学びます。
また、「理学療法評価学」「運動療法学」「物理療法学」といった理学療法に特化した授業が行われ、実務に即した知識・技術を習得します。
1年次は基礎を固め、学年が進むにつれて専門科目が本格化する流れです。
定期テストについて
一定の時期ごとに定期テストが実施され、筆記試験はもちろん、関節可動域測定や筋力テストといった実技試験も行われます。
一定の得点に達しない場合は単位を修得できず、進級や卒業に支障が出るため、日頃から計画的に学習に取り組むことが求められます。
実習について
3~4年次には、病院やクリニックなどの現場で患者さんと直接関わる「実習」が行われます。
実習は「見学実習」「評価実習」「臨床実習」の3段階に分かれ、合計20単位(800時間以上)以上の経験が必要です。
慣れない環境や患者さんとの関わりに不安を感じる学生もいますが、ここで得られる学びは非常に貴重です。
養成校で身につけた知識・技術を実践し、自分が理学療法士として働く姿を具体的にイメージできる、重要なプロセスといえます。
以上が、理学療法士になるための養成校についてのお話でした。
最後に、最も大切な部分である国家試験についてお話していきます。
理学療法士になるための国家試験について
理学療法士になるためには避けて通れないのが国家試験です。
概要や内容についてご説明します。
少しでも事前に情報を頭に入れておきましょう。
国家試験の概要
試験日程
- 筆記試験:令和7年2月24日(月曜日)
- 口述試験・実技試験:令和7年2月25日(火曜日)
申込期間
令和6年12月16日(月曜日)~令和7年1月6日(月曜日)
試験会場
- 筆記試験:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県
- 口述試験・実技試験:東京都
受験資格
文部科学大臣指定校または都道府県知事指定の理学療法士養成施設で、理学療法士として必要な知識・技能を3年以上修得した者(令和7年3月13日(木曜日)までに修了・卒業見込みの者を含む)など。
試験科目
<筆記試験>
一般問題および実地問題を下記科目で実施。
ただし、重度視力障害者(特定の視力・視野条件を満たす者)には実地問題を行わず、点字・読み上げ・併用による受験が可能。
また、弱視者(別基準あり)には弱視用試験を認める。
- 一般問題科目:
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論含む)、臨床医学大要(人間発達学含む)、理学療法 - 実地問題科目:
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学含む)、理学療法
<口述試験・実技試験>
重度視力障害者向けに、筆記試験の実地問題代替として以下の科目を実施:
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学含む)、理学療法
合格率
令和5年度:89.2%
合格発表
令和7年3月21日(金曜日)午後2時、厚生労働省ホームページ「資格・試験情報」ページに受験地・受験番号を掲載
受験料
10,100円
詳細情報
厚生労働省 理学療法士国家試験
国家試験の受験資格
理学療法士試験を受験するには、文部科学大臣または都道府県知事の指定する大学、短大、専門学校など「理学療法士養成施設」において3年以上学習し、所定の単位を修得したうえで卒業することが求められます。
なお、学校側では校内模擬試験の結果を参考に、合格率の維持を目的として成績不振の学生を国家試験から外す場合もあります。
受験資格を得るためには、在学中から着実に学習を積み重ねる必要があるでしょう。
また、すでに作業療法士の資格を有している場合、養成施設での修学期間は2年間に短縮される制度があります。
国家試験の内容
理学療法士試験はマークシート方式で行われ、5つの選択肢から1つまたは2つを選ぶ形式となっています。
試験は「一般問題」と「実地問題」の2種目に分かれています。
一般問題では解剖学・生理学・病理学などの医学的基礎知識。
実地問題ではリハビリテーション医学や理学療法に関連する計算・画像診断など、より実務的な内容が問われます。
出題数は一般問題160問、実地問題40問の計200問と非常に多く、試験当日は午前・午後に分けて1日かけて実施されるため、受験者には相応の集中力と体力が求められます。
なお、重度視力障がい者に対しては特例として口述試験・実技試験が行われますが、障がいのない受験者がこれらの試験を受けることはできません。
国家試験の難易度・勉強時間
理学療法士試験の合格率は、近年80%前後と高水準を維持しています。
ただし、これは試験が容易であることを意味しません。
多くの養成校では、あらかじめ合格レベルに達した学生だけを受験させるなど、合格率を高めるための工夫が行われているのです。
合格基準は得点率60%以上とされますが、授業だけで十分な学力を得るのは難しいため、自宅学習や自主的な勉強時間が必要となります。
一般的には、授業や実習に加え、国家試験対策の予習・復習などで1日3~4時間程度の自習を行う学生も少なくありません。
また、学費や生活費のためアルバイトをする人も多く、講義・仕事・勉強でスケジュールは過密になりがちです。
自由な時間は限られ、早朝・深夜や移動中の時間を活用して勉強に取り組むといった工夫が、合格への道を開くカギとなるでしょう。
以上が、理学療法士の国家試験についてのお話でした。