2024年9月13日
作業療法士に向いてない人はどんな人?向いている人の特徴・やりがい
作業療法士に向いていない人とはどのような人なのでしょうか。
作業療法士を目指す中で、「自分に向いているのだろうか?」と適性に対する不安を感じている方もいるかもしれません。
作業療法士は、患者とのコミュニケーションや自己成長への意欲が求められる重要な職業です。しかし、全員がこの職に向いているわけではありません。
この記事では、作業療法士に向いていない人について特徴を解説し、その上で向いている人の特性や、作業療法士として必要なスキルについてご紹介します。
適性を理解し、自分に合ったキャリア選びの参考にしてください。
作業療法士に向いていない人の特徴
作業療法士に向いていない人には、以下のような特徴があります。
- コミュニケーションが苦手な人
- 向上心がない人
- 収入に対して強い執着を持つ人
- 忍耐力がない人
これらの特徴について、順に詳しく解説していきます。
コミュニケーションが苦手な人
人と話すことが得意でない場合、作業療法士としての適性が低いかもしれません。
なぜなら作業療法士の仕事は、患者さんと直接向き合いながら、コミュニケーションを通じてリハビリを進めることが求められるためです。
たとえば、患者さんが緊張しているときには、積極的に声をかけて場を和ませる必要があります。
また、効果的なリハビリを行うためには、患者さんに対して質問をして必要な情報を引き出すことが欠かせません。
もし「人と話すのが苦手だから」と消極的になってしまうと、質の高いリハビリを提供するのが難しくなるでしょう。
ただし、話すのが苦手でも、作業療法士に適している場合もあります。
たとえば、「相手を傷つけたくない」という慎重さからコミュニケーションに対して苦手意識を持っている場合、その思慮深さが患者さんに寄り添う力となり、作業療法士としての大きな強みとなることもあるでしょう。
向上心がない人
向上心が欠けている人は、作業療法士として適性に欠ける可能性があります。
リハビリ業界では、治療機器や手法が年々進化しています。
そのため、大学や専門学校で学んで作業療法士になった後も、継続的な自己研鑽が必要です。
向上心を持たず、ただ業務をこなすだけでは、リハビリ分野の進歩に取り残されてしまうことがあります。
最悪の場合、適切でないリハビリを患者さんに提供してしまうリスクさえあるでしょう。
収入に対して強い執着を持つ人
作業療法士の多くは固定給制で働いています。
安定した収入が得られる一方で、成果が給与に反映されにくい職種とも言えます。
たとえば、
・今月、誰よりも多くの患者にリハビリを提供して収益に貢献した
・質の高いリハビリを提供するために新たな資格を取得した
このような努力をしても、給与に大きな変化があることは期待しにくいのが現実です。
もし成果報酬を求めるのであれば、歩合制の仕事に就くか、起業する選択肢を考えるのも一つの方法かもしれません。
忍耐力がない人
忍耐力が欠けている人は、作業療法士に向いているとはいえません。
医療の現場は常に進化し続けており、作業療法士は長期にわたって地道に学び続けることが求められます。
さらに、患者さんやその家族からの苦情に対応する場面も少なくありません。
相手の立場や状況を冷静に理解し、納得してもらえるよう丁寧に応対する忍耐力が重要です。
そのため、忍耐力や辛抱強さが不足している人には、この職業は難しいといえるでしょう。
手先の不器用さは作業療法士の適性に影響しない
作業療法士が行うリハビリには、工作や絵を描くなど手先を使う活動が多く含まれています。
そのため、「手先が器用でなければ作業療法士には向いていない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、実際には手先の器用さは作業療法士にとって重要な要素ではありません。
なぜなら、リハビリにおいて作品を作るのは患者さん自身だからです。
作業療法士の主な役割は、患者さんがリハビリを楽しく進められるように、必要な道具や環境を整え、適切なアドバイスを提供することです。
場合によっては、患者さんが「作業療法士に作品作りを教える先生」としての役割を担い、それをリハビリに取り入れることもあります。
病気や障がいでできることが制限されてしまった患者さんが、自分の知識や技術を他者に教えることで、喜びや自信を取り戻すことができるのです。
作業療法士に求められるのは、手先の器用さよりも、患者さんと一緒に作品づくりを楽しむ姿勢です。
文系でも作業療法士を目指せる
「医療」や「リハビリ」という言葉から理系を連想する人は多いかもしれません。
実際、多くの作業療法士養成校では、入試科目として数学や理科を課しています。
しかし、作業療法士は文系出身者でも十分に目指せる職業です。
その理由は、養成校で学ぶカリキュラムが文系・理系の枠にとらわれない内容だからです。
例えば、文系科目では心理学、理系科目では解剖学が学ばれます。
これらの知識は、現場で患者さんのリハビリを行う上で欠かせないものです。
確かに、文系の人が理系科目に苦手意識を持つことはあるかもしれませんが、それは理系の人が文系科目を学ぶ際に感じる負担と同じです。
最も重要なのは、作業療法士になるために努力を続けられるかどうかであり、文系・理系は適性には関係ありません。
以上が、作業療法士に向いていない人の特徴でした。
では、作業療法士に向いている人は一体どんな人なのでしょうか。
続いては、作業療法士に向いている人の特徴についてみていきましょう。
作業療法士に向いている人の特徴
作業療法士に向いている人には、以下のような特徴があります。
- 協調性があり、チームワークが得意な人
- フットワークが軽い
- 細かい変化に気づける人
- 人に対して探究心がある
- 想像力が豊かな人
- 遊ぶことが大好き
これらの特徴について、順に詳しく解説していきます。
協調性があり、チームワークが得意な人
他者とのコミュニケーションが得意で、協調性に優れている人は、作業療法士に向いていると言えます。
前述したように、作業療法士は患者さんだけでなく、リハビリスタッフや他職種の医療従事者と頻繁にやりとりする機会が多くあります。
特に、患者さんの急変時や病状の説明が必要な場面では、チームとして円滑に連携するためにも、高い協調性が不可欠です。
協調性があることで、スムーズなコミュニケーションを実現するだけでなく、患者さんの安全確保やリハビリの質の向上にも繋がります。
フットワークが軽い
作業療法士は、さまざまな職種と協力しながらリハビリを進めるため、他職種との円滑な情報共有ができる柔軟な対応力が求められます。
具体的には、安全なリハビリを提供するために、医師に運動の負荷量を確認したり、看護師から患者の健康状態について情報を得たりする場面があります。
さらに、理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)といった専門職とリハビリの目標や方針を共有することも重要です。
加えて、退院後の生活環境を見据えたリハビリを行うためには、ソーシャルワーカーとの連携が不可欠です。
これらの連携が整うことで、作業療法士は安全かつ効果的なリハビリを提供することができるのです。
細かい変化に気づける人
細かな変化に気づける人も、作業療法士として適性があります。
患者さんは体調や状態が変わりやすく、その小さな変化に適切に対応しながらリハビリを進めることで、身体機能の改善が期待できます。
さらに、わずかな変化が体調悪化のサインとなることもあります。
そうした変化を見逃さず、適切な対応ができれば、体調の悪化を未然に防ぐことも可能です。
このような変化に敏感な作業療法士は、職場においても非常に貴重な存在です。
人に対して探究心がある
同じ病名や障がい名であっても、患者さん一人ひとりの身体機能やできる動作、生活スタイル、趣味嗜好は異なります。
作業療法士は、患者さんに興味を持ち、その方が持つ能力を最大限に引き出し、モチベーションを高められるように、様々な工夫を凝らしてリハビリを行う必要があります。
「もっと相手を理解したい」という探究心がある人であれば、患者さん一人ひとりに最適なオーダーメイドのリハビリを提供できるでしょう。
想像力が豊かな人
作業療法士には、豊かな想像力を持つ人も適しています。
患者さん一人ひとりの状態に応じたリハビリを提供するためには、柔軟な発想が求められます。
想像力があると、リハビリのバリエーションが広がり、患者さんにより適した方法を提案できるようになるのです。
それが身体機能の改善にもつながります。
さらに、多様なリハビリを受けることは、患者さんにとって良い刺激となり、モチベーションを高める効果も期待できます。
想像力を活かし、柔軟に対応できる力は、作業療法士にとって欠かせないスキルといえるでしょう。
遊ぶことが大好き
作業療法士は、基本的な動作や日常生活の動作を改善するリハビリを行いますが、特に「作業」を活用したリハビリこそが、作業療法の本質と言えます。
患者さんや利用者さんの趣味や仕事といった、生活に密着した活動をリハビリに取り入れることが多く、作業療法士自身の経験や趣味が大きな武器になります。
例えば、リハビリに取り入れるものとして以下のようなものが挙げられます。
- 釣り
- 将棋
- 麻雀
- 日曜大工
- 農作業
- 園芸
- プラモデル作り
このように、遊びや趣味が豊富な人は、リハビリで提供できるアイデアやスキルが広がり、作業療法士として非常に適していると言えるでしょう。
以上が、作業療法士に向いている人の特徴でした。
自分の好きなことや趣味が強みに変わる作業療法士。
そんな作業療法士のやりがいとは一体なんなのでしょうか。
作業療法士としてのやりがいを感じる場面
作業療法士には多くのやりがいがありますが、特に強調したい3つの場面を紹介します。
患者さんが回復したとき
患者さんがリハビリを通じて少しずつ回復していく過程で感じる達成感は、作業療法士にとって大きなやりがいの一つです。
患者さんの症状はさまざまで、重度の病気やケガによって大きく身体機能が低下している方も少なくありません。
そんな患者さんにリハビリを提供し、徐々に症状が改善していく喜びは、この仕事ならではのものです。
「患者さんの回復に貢献している」という実感が得られれば、作業療法士としての仕事に対する愛着もさらに深まるでしょう。
感謝の言葉を受け取ったとき
リハビリを通じて症状が改善すると、患者さんから感謝の言葉をいただくことが増えます。
このような瞬間は、作業療法士として大きなやりがいを感じる場面の一つです。
作業療法士をはじめとするリハビリ職の役割は、単にリハビリを提供するだけではありません。
患者さんの中には、病気やケガの直後に現実を受け入れられず、落ち込んでしまう方も多くいます。
そんな時、作業療法士は思いやりを持って寄り添い、精神的なサポートも行うことが重要な仕事です。
患者さんがリハビリに前向きになり、少しずつ回復していく姿に感謝される瞬間こそ、「作業療法士になって本当に良かった」と実感できるでしょう。
多職種と協力してリハビリを進めるとき
他職種と連携しながらリハビリを進める際にも、作業療法士としてのやりがいを感じる瞬間があります。
作業療法士は単独で行う仕事ではなく、リハビリ職に加え、医師や看護師など、さまざまな職種と協力しながらチームとして患者をサポートすることが重要です。
多職種との連携がうまく進み、効率的にリハビリができるようになると、仕事の面白さや達成感を強く感じられるでしょう。
異なる職種とのやりとりは時に大変ですが、それだけに、チームに貢献しているという実感が得やすいのもこの仕事の魅力です。
最初は他職種からのサポートに頼る場面も多いかもしれませんが、経験を積むにつれて信頼が深まり、チームの中で欠かせない存在へと成長していきます。
その瞬間、自分自身の成長を感じるとともに、作業療法士としてのやりがいをより一層感じることができるでしょう。
以上が、作業療法士としてのやりがいを感じる場面の紹介でした。
作業療法士に向いている人とは、コミュニケーション能力や協調性が高く、患者さんの小さな変化に気づける人です。
また、向上心を持ち、柔軟な対応ができることも重要です。
一方、収入に執着する人や忍耐力が欠ける人は向いていないかもしれません。
手先の不器用さや文系出身かどうかは適性に大きく影響せず、努力次第で誰でも目指せます。
最も大切なのは、患者さんを支え続ける意欲と情熱です。
以下の記事では、作業療法士に向いている人についてさらに詳しく解説しています。
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