言語聴覚士(ST)は、「話す」「聞く」「食べる」機能を支える専門職であり、医療・福祉の現場で重要な役割を担っています。

しかし、「言語聴覚士になるのは難しい?」「国家試験の難易度はどのくらい?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

言語聴覚士の国家試験は決して簡単ではありませんが、適切な対策をすれば合格することは十分に可能です。

本記事では、言語聴覚士になるのは難しいのか、言語聴覚士として働く難しさ、国家試験の概要や難易度について詳しく解説します。

「言語聴覚士を目指したいけど、自分にできるか不安…」という方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください!

言語聴覚士(ST)になるのは難しい?

言語聴覚士(ST)になるのは難しいのでしょうか?

言語聴覚士(ST)として働くためには、大学や専門学校などの養成校で必要な単位を取得し、国家試験に合格することが必須です。

言語聴覚士の資格取得は簡単ではなく、専門的な授業や試験対策に取り組む必要があります。

入学後も継続して努力しなければならず、特に学業や実習の負担を感じることが多いと言われています。

では、言語聴覚士になるためにどのような学びがあり、どんな困難があるのかを詳しく解説していきます。

養成校での学びと試験対策

養成校に入学した直後は、ほとんどの授業が基礎医学に関する内容となり、人体の構造、機能、疾患の種類、医学用語などを覚える必要があります。

これまで触れる機会のなかった医学的な知識を学ぶため、最初のうちは大変に感じるかもしれません。

しかし、理解が進むにつれて授業が面白くなり、学ぶ意欲も高まるという声も多くあります。

言語聴覚士養成課程での実習の難しさ

言語聴覚士になるためには、学内の授業だけでなく、実際の臨床現場での実習を経験することが必要です。

実習は学生にとって大きな試練となる場面が多く、プレッシャーを感じる人も少なくありません。

実習には大きく分けて3種類あり、それぞれ内容が異なります。

実習の種類 期間 主な内容
見学実習 1~2日程度 言語聴覚士の仕事を病院などで見学。クラス単位で行うことが多い。
評価実習 4週間程度 指導者(バイザーST)の監督のもと、患者さんの検査計画を立案し、評価を行う。少人数のグループまたは個人で実施。
臨床実習 8週間程度 初期評価からリハビリの実施、再評価までを担当し、実際に言語聴覚士としての業務を経験する。

特に評価実習や臨床実習では、実際の患者さんに対して学んできた検査や訓練を行うため、緊張感が非常に大きいです。

また、慣れない環境での実習は、知識の不足だけでなく、周囲とのコミュニケーションや孤独感を感じることもあり、精神的にも負担がかかることがあります。

しかし、実習を通じて患者さんの回復を間近で感じることができ、退院する姿や改善する過程に喜びを感じることで、言語聴覚士としてのやりがいを見出すきっかけにもなります。

この経験が、国家試験に向けた勉強へのモチベーションにもつながるのです。

言語聴覚士国家試験の難易度

養成課程の集大成ともいえるのが、国家試験への挑戦です。

言語聴覚士の国家試験の合格率は、過去5年間の平均で約70.05%とされており、リハビリ職の中では比較的難易度が高い資格とされています。

職種 平均合格率(過去5年)
言語聴覚士(ST) 約70.05%
理学療法士(PT) 約89.2%
作業療法士(OT) 約83.4%

理学療法士や作業療法士と比べると、言語聴覚士の国家試験は合格率がやや低いことが分かります。

そのため、基礎知識をしっかりと身につけたうえで、過去問を活用しながら効率よく試験対策を進めることが重要になります。

また、養成校でも国家試験対策の授業や模擬試験が実施されるため、こうしたサポートを活用しながら学習を進めることが大切です。

グループで勉強することで、理解を深めながら効率的に学べることもあります。

以上が、言語聴覚士(ST)になるのは難しいというお話でした。

言語聴覚士になるまでの道のりは決して楽なものではなく、学業・実習・国家試験と、さまざまな壁を乗り越える必要があります。

しかし、それらの試練を乗り越えた先には、患者さんの回復をサポートできる喜びや、社会貢献につながる仕事のやりがいを実感できる瞬間が待っています。

言語聴覚士は、小児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんと関わることができる職業です。

また、医療や福祉、教育など多様な現場で活躍できるため、自分の得意な分野を見つけて専門性を高めることも可能です。

資格取得までの道のりは険しく感じるかもしれませんが、継続的な努力と計画的な学習を続ければ、国家試験合格も十分に可能です。

今後、言語聴覚士を目指す方は、学び続ける姿勢と、患者さんのために尽くしたいという気持ちを大切にしながら、しっかりと準備を進めていきましょう!

次に、言語聴覚士の国家試験について詳しくみていきましょう。

言語聴覚士(ST)国家試験の詳細ガイド

言語聴覚士(ST)として働くためには、国家試験に合格することが必須です。

本試験は厚生労働省によって実施され、例年のスケジュールや試験内容、手続きなどが決められています。

受験を控えている方にとって、試験の流れや勉強の進め方を理解することは非常に重要です。

ここでは、言語聴覚士の国家試験の概要、試験科目、合格基準、必要な手続き、試験会場、試験のポイントなど、詳細ガイドとして詳しく解説していきます。

言語聴覚士国家試験のスケジュールと出願手続き

言語聴覚士国家試験は、毎年1回実施されます。

受験の流れは以下のようになっています。

  • 9月上旬:厚生労働省より試験概要の発表
  • 11月下旬~12月上旬:願書提出期間
  • 2月中旬:試験実施
  • 3月下旬:合格発表

合格発表は厚生労働省および公益財団法人医療研修推進財団のホームページに掲載され、合格後には免許登録手続きを行う必要があります。

また、受験にあたっては、願書の提出、証明写真の添付、卒業見込証明書の準備、受験手数料(34,000円)の振り込みといった手続きが必要です。

願書に記載する氏名は、戸籍上の正式な表記が求められるため、事前に確認しておきましょう。

試験の実施場所と注意点

試験は全国6か所の指定会場で実施されます。

  • 北海道(札幌)
  • 東京都(23区内)
  • 愛知県(名古屋)
  • 大阪府(大阪市)
  • 広島県(広島市)
  • 福岡県(福岡市)

遠方から受験する場合は、交通手段の確保や宿泊施設の手配を早めに行いましょう。

また、試験当日は電車遅延などのトラブルに備え、余裕を持って試験会場に到着できるよう計画を立てておくことが大切です。

試験内容・出題科目・試験時間

国家試験は、基礎科目と専門科目の2部構成となっており、出題範囲は広範囲にわたります。

試験科目一覧

  • 基礎医学
  • 臨床医学
  • 臨床歯科医学
  • 音声・言語・聴覚医学
  • 心理学
  • 音声・言語学
  • 社会福祉・教育
  • 言語聴覚障害学総論
  • 失語・高次脳機能障害学
  • 言語発達障害学
  • 発声発語・嚥下障害学
  • 聴覚障害学

出題形式は5択のマークシート方式で、基礎科目100問、専門科目100問の合計200問が出題されます。

  • 試験時間:午前150分+午後150分
  • 満点:200点(1問1点)

試験は、午前・午後に分かれて実施されるため、長時間の集中力を維持することが求められます。

合格基準と試験対策のポイント

合格基準は、120点(6割)以上の得点が必要とされています。

しかし、毎年の試験では難問や不適切問題が含まれることもあるため、余裕を持って7割以上の得点を目指すのが理想的です。

効果的な試験対策のポイント

  1. 過去問を徹底的に解く:国家試験の出題傾向を把握するために、過去問を解いて問題の形式に慣れておく。
  2. 模擬試験を活用する:学校や専門機関が実施する模擬試験を受験し、実力を確認する。
  3. 分野ごとに計画的に勉強する:苦手分野を早めに克服し、全範囲を網羅する。
  4. 時間配分を意識する:試験本番では、解答に時間をかけすぎず、まずは全問に目を通すことが重要。

特に、模擬試験の段階で過去問の正答率を9割以上、養成校の模試では7〜8割を目標にすると、本番でも安定した点数を狙えます。

試験委員会の構成と試験実施の管理

言語聴覚士国家試験は、厚生労働省が管理し、試験委員によって運営されています。

  • 委員長:1名
  • 副委員長:1名
  • 委員:45名

試験委員の詳細な名簿は、毎年9月頃に厚生労働省の公式サイトで公開されます。

受験を考えている方は、最新の情報を確認するようにしましょう。

国家試験に合格した後の手続き

合格者は、厚生労働省および公益財団法人医療研修推進財団のホームページで発表されます。

試験に合格した後は、言語聴覚士として正式に活動するために、免許登録の手続きが必要です。

登録を済ませることで、医療機関や福祉施設などの現場で働くことができます。

以上が、言語聴覚士(ST)国家試験の詳細ガイドでした。

言語聴覚士の国家試験は、広範な知識が求められる難関試験ですが、事前の準備と計画的な学習によって合格の可能性を高めることができます。

特に、過去問演習や模擬試験を活用した対策、試験当日の時間配分の管理が成功のカギを握ります。

また、試験当日は余裕を持って行動し、万全の体制で挑むことが大切です。

受験を控えている方は、試験の詳細や受験手続きについて厚生労働省の公式サイトを定期的に確認し、必要な準備を進めていきましょう。

国家試験に向けて、しっかりと対策をしながら、自信を持って本番に臨んでください!

次に、言語聴覚士の試験は難しいとされ、合格率が他の職種に比べて低くなるのか、その理由についてみていきましょう。

言語聴覚士(ST)国家試験は難しい?合格率はなぜ低い?

言語聴覚士(ST)の国家試験は、リハビリ職の中でも比較的合格率が低いと言われています。

では、なぜ言語聴覚士の試験は難しいとされ、合格率が他の職種に比べて低くなるのでしょうか?

ここからは、言語聴覚士の国家試験の合格率が低いその要因について詳しく解説していきます。

理由①試験範囲が非常に広い

言語聴覚士の国家試験は、試験科目の多さが特徴的です。

他のリハビリ職と比較すると、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の試験科目数が7科目であるのに対し、STは12科目にわたる筆記試験が課せられます。

さらに、言語聴覚士の試験範囲を詳しく見てみると、基礎科目だけで23科目、専門科目が9科目と多岐にわたります。

言語聴覚士の国家試験科目の一例

  • 基礎科目:解剖学、生理学、心理学、言語学、音声学、臨床医学、耳鼻咽喉科学、認知心理学など
  • 専門科目:失語症、高次脳機能障がい、嚥下障がい、発声障がい、吃音、聴覚障がいなど

このように、言語・発声・嚥下などのリハビリ技術に加え、医学的・心理学的な知識も必要となるため、試験範囲が非常に広く、学習の負担が大きくなります。

また、試験問題の出題数にもばらつきがあり、得意な科目が1問しか出題されないこともあれば、苦手な科目から多く出題されることもあるため、全科目をバランスよく学習する必要があります。

理由②試験の時間が長く、集中力を維持するのが難しい

言語聴覚士の国家試験は、午前と午後に分けて1日で実施されます。

試験時間は各150分、合計300分間(5時間)で200問を解かなければなりません。

単純計算すると1問にかけられる時間は約1分半となり、試験中の集中力を維持するのが非常に難しくなります。

また、問題の中には複雑な医療知識を要するものも多く、緊張や焦りから問題を読み違えてしまったり、時間内にすべて解き終えられなかったりする可能性もあります。

理由③国家試験対策にかけられる時間が少ない

言語聴覚士の養成課程は、2~4年と学校によって異なります。

国家試験を受験するためには、大学や専門学校で必要な単位を取得し、さらに臨床実習を行う必要があります。

臨床実習のスケジュール(例)

  • 見学実習:1日~数日
  • 評価実習:約4週間(実際に患者の評価を行う)
  • 臨床実習:約8週間(訓練立案・実施を行う)

特に最終学年では、実習や卒業研究、就職活動と並行して国家試験の勉強をしなければならないため、試験対策にかけられる時間が限られています。

また、2年制や夜間の学校では、カリキュラムが詰め込まれているため、実習期間が長く、国試対策の時間を確保するのが難しくなるという課題もあります。

理由④参考書や対策教材が少ない

言語聴覚士の国家試験は、1999年から始まりましたが、他のリハビリ職と比べると比較的新しい資格です。

そのため、試験対策用の参考書や教材の種類が限られており、対策がしづらいという問題があります。

さらに、出題範囲が広く、毎年出題傾向が変わるため、参考書だけでなく、過去問や模試を活用しながら自分で学習の進め方を工夫する必要があります。

理由⑤再受験者の合格率が低い

言語聴覚士の国家試験の合格率は、例年約70%前後ですが、この合格率には現役生だけでなく、再受験者(国試浪人)も含まれています。

現役生に比べて、再受験者はモチベーションの維持が難しくなったり、試験対策のための最新情報を得る機会が減ったりするため、合格率が低くなる傾向があります。

また、大学や専門学校に在籍している間は、教員や同級生と情報を共有しながら勉強できますが、卒業後に独学で試験勉強を進めるのは困難です。

このように、再受験者の合格率の低さが、全体の合格率を押し下げている要因の一つとなっています。

以上が、国家試験の合格率が低いその要因でした。

言語聴覚士の国家試験の合格率が低い理由には、以下のような要因が関係しています。

  • 試験範囲が広く、学習の負担が大きい
    1日5時間の長時間試験で、集中力を維持するのが難しい
    臨床実習や卒論、就活と並行して試験勉強を進めなければならない
    対策用の参考書や教材が少なく、効率的な学習が難しい
    再受験者の合格率が低く、全体の合格率を引き下げている

しかし、事前に計画的に勉強を進め、実習や学校の授業と並行して対策を進めることで、合格率を高めることは十分可能です。

また、過去問を活用し、出題傾向を分析しながら効率的に学習を進めることが重要です。

言語聴覚士を目指す方は、早めに試験対策を始め、自分に合った勉強法を見つけることが、合格への近道となるでしょう。

次に、言語聴覚士として働く難しさについてみていきましょう。

言語聴覚士として働くのはとても難しい?

言語聴覚士として働くのはとても難しいことです。

言語聴覚士(ST)として臨床の現場に出ると、複数の患者さんを担当し、それぞれの初期評価からリハビリ計画の立案、訓練の実施、経過観察、調整まですべてを一人でこなしていくことになります。

実習時代は指導者のもとでリハビリを行うため、サポートを受けながら進めることができますが、実際に現場で働くようになると、言語聴覚士としての専門業務だけでなく、リハビリチームや施設全体の一員としての役割も求められます。

そのため、「言語聴覚士の仕事だけに集中すればいい」というわけではなく、他職種との連携や、患者さんの生活全体を見据えた支援が必要になります。

これは、臨床に出て初めて実感する難しさのひとつかもしれません。

リハビリの効果を日常生活に還元する重要性

訓練室で行うリハビリの目的は、患者さんが日常生活で困らないようにすることです。

しかし、リハビリで回復した能力を日常生活で活かせなければ、せっかくの努力も無駄になってしまいます。

例えば、嚥下(えんげ)機能の訓練をしても、実際の食事場面で適切に活用されなければ、飲み込みにくさが改善されないままになってしまうことがあります。

また、ことばの訓練で発音が改善されても、コミュニケーションの場面で使えなければ、本当の意味での回復とは言えません。

さらに、リハビリを日常生活に還元できなければ、再び機能が低下してしまう可能性もあります。

これにより、患者さん本人のQOL(生活の質)が下がるだけでなく、介助者の負担も増えてしまうことになります。

このような悪循環を防ぐためには、リハビリの場面だけでなく、日常生活の中でどのように活かせるかを考えることが重要です。

多職種との連携が求められる言語聴覚士の役割

言語聴覚士は、患者さんの生活の中でリハビリを活かせる環境を整えるために、看護師や介護士などの他職種と積極的に連携する必要があります。

例えば、介護スタッフが食事介助の際に困っていることをヒアリングし、リハビリの視点から適切な支援策を考えることが大切です。

また、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)と連携し、それぞれが行っている訓練内容を言語聴覚士のリハビリにも取り入れることで、患者さんにとってより効果的な支援を提供することができます。

リハビリは言語聴覚士だけで完結するものではありません。

他の職種と協力しながら、「どのようにすれば患者さんにとって最適なサポートができるのか」を常に考えながら業務に取り組むことが求められます。

退院後の生活を見据えた指導も大切な仕事

病院や施設で行うリハビリだけでなく、退院後や在宅生活に戻った際にどのようにリハビリの成果を活かせるかを考え、家族や介護者に伝えることも言語聴覚士の重要な役割です。

例えば、家での食事の際に嚥下機能を維持するための工夫を指導したり、日常生活での発声練習の方法を伝えたりすることで、継続的なリハビリの効果を引き出すことができます。

また、家族や介助者がどのようにサポートすればよいかを分かりやすく伝え、無理のない形で実践できるようにアドバイスすることも大切です。

現場での経験を通じて学ぶことが多い言語聴覚士の仕事

これらのスキルや考え方は、学校の授業だけでは学びきれないものが多く、実際に臨床の現場で経験を積みながら少しずつ習得していくものです。

言語聴覚士として働き始めたばかりの頃は、目の前の業務をこなすことに精一杯で、他職種との連携や日常生活への介入まで意識する余裕がないかもしれません。

しかし、経験を重ねることで、徐々に視野が広がり、より患者さんに寄り添ったリハビリができるようになっていきます。

また、先輩・言語聴覚士のアドバイスを受けながら成長することも重要です。

職場の同僚や先輩からの意見を積極的に取り入れ、実際の臨床で活かしていくことで、自分なりのリハビリのスタイルを確立していくことができます。

以上が、言語聴覚士として働く難しさについてでした。

言語聴覚士として臨床の現場に出ると、単にリハビリを実施するだけでなく、患者さんの生活をより良くするために多職種と連携し、リハビリの効果を日常に還元する役割が求められます。

実習時代とは異なり、言語聴覚士して独り立ちすると、評価から訓練、経過観察、他職種との連携、家族への指導まで、幅広い業務を一人でこなさなければなりません。

しかし、経験を積むことで少しずつ視野が広がり、より充実した支援ができるようになっていきます。

最初のうちは戸惑うことも多いですが、先輩や他のリハビリ職と協力しながら学び、自分自身の成長につなげていくことが大切です。

言語聴覚士としての役割を深く理解し、患者さんに寄り添ったリハビリを提供できるよう、一歩ずつ経験を積んでいきましょう。

次に、実際に言語聴覚士として働くからこそ分かる魅力についてお話していきます。

実際に言語聴覚士として働くからこそ分かる魅力

言語聴覚士(ST)の仕事は、患者さんがその人らしく生活できるよう、最適な支援を提供することにあります。

実際に言語聴覚士として働くからこそ分かる魅力は、一人ひとりの患者さんに合わせたリハビリを考え、実践することです。

ですが、それと同時に、簡単ではない難しさも伴います。

臨床の現場では、似たような障害を持つ患者さんや、検査結果がほぼ同じである患者さんがいても、それぞれのリハビリの目標やアプローチは大きく異なることが多々あります。

その理由は、患者さん一人ひとりが歩んできた人生や、現在置かれている環境が違うからです。

年齢や性別、性格、過去の生活経験、今後の生活環境など、さまざまな要素を考慮しながら、どの訓練方法を取り入れるのが最適なのか、どのレベルを目標にするのかを慎重に決めていく必要があります。

この判断が適切であるかどうかは、患者さんの経過を見ながら調整していくため、一筋縄ではいきません。

患者さんの個性に寄り添う難しさとやりがい

言語聴覚士は、患者さんの個性を尊重しながら、モチベーションを高める方法を考えることも大切な仕事の一部です。

たとえば、趣味活動をリハビリに取り入れることで、より効果的なトレーニングを行うことができます。

失語症の患者さんが普段は言葉を発しにくくても、好きな音楽を口ずさむと自然と歌詞が出てくることがあります。

また、嚥下障がいを持つ患者さんが、苦手な食材ではうまく飲み込めなくても、大好物を口にした瞬間に驚くほどスムーズに嚥下できることもあります。

このような場面に直面したとき、言語聴覚士としての工夫やアプローチの仕方が患者さんの反応に大きく影響することを実感できるのです。

リハビリのアイデアが患者さんの変化につながる

リハビリは単なる訓練の繰り返しではなく、患者さんが前向きに取り組めるような工夫を凝らすことがとても重要です。

リハビリの内容に患者さんの興味や楽しめる要素を組み込むことで、モチベーションを引き出し、より良い結果につなげることができます。

たとえば、食事を楽しみにしている患者さんには、好きな食べ物を用いた訓練を行ったり、会話が苦手な患者さんには、好きなテレビ番組や家族の話題を取り入れることで、スムーズな発話を促したりすることが可能です。

このように、「患者さんが楽しみながらリハビリに取り組める環境を作ること」こそ、言語聴覚士の仕事の醍醐味です。

以上が、実際に言語聴覚士として働くからこそ分かる魅力についてのお話でした。

言語聴覚士の仕事は、患者さんそれぞれの状況に応じたリハビリを考え、実践し、少しずつ改善へと導くことです。

そのため、決まった方法だけでなく、患者さん一人ひとりに合った訓練をオリジナルで作り上げていく力が求められます。

「この方法ならもっと効果が出るのではないか?」と試行錯誤を重ね、患者さんが笑顔でリハビリに取り組めたとき、そして小さな成功体験を積み重ねていく姿を見たとき、言語聴覚士としてのやりがいを強く感じることができます。

言語聴覚士としての経験を積むほどに、新たな視点やアプローチが生まれ、「患者さんにとって最適なリハビリ」を提供できることこそが、この仕事の最大の魅力なのです。

次に、スキルアップの難しさや楽しさについてお話していきます。

スキルや知識のアップデートは楽しみながら!継続的な学びの大切さ

語聴覚士(ST)として働くうえで、楽しみながらスキルや知識をアップデートし続けることはとても重要です。

医療やリハビリの分野は常に進化しており、より良い支援を提供するためには、日々学び続ける姿勢が求められます。

スキルを磨く方法としては、施設内や地域の勉強会への参加、臨床での経験をもとにした文献の活用、専門書や学会の資料を読むことなどが挙げられます。

どの方法を選ぶにせよ、「楽しみながら学ぶこと」が何よりも大切です。

学び続けることが義務のように感じると、モチベーションが下がり、負担に感じてしまうこともあります。

しかし、学ぶことを楽しむ姿勢を持つことで、知識の吸収力が向上し、より効率的に成長することができます。

また、学び方は一つに絞る必要はありません。

自分に合った学習スタイルを見つけることが、長く続けるコツです。

学び続けることは言語聴覚士としての基本

臨床現場で働く言語聴覚士にとって、勉強は「資格取得のため」ではなく、「退職するまで続くもの」です。

患者さんにとって必要な知識があれば、自分の得意・不得意に関わらず、その分野を学ぶことが求められます。

例えば、ある分野の知識が不足していると感じた場合、以下のような方法で補うことができます。

  • 勉強会や研修に参加する(最新の治療法やリハビリ技術を学ぶ)
  • 専門書や論文を読む(理論的な知識を深める)
  • 他の言語聴覚士と意見交換をする(実践的な学びを得る)

また、学ぶ環境を整えることも重要です。

知識や経験を共有できる仲間を作ることで、モチベーションを維持しながら学び続けることができます。

趣味を広げることも言語聴覚士の成長につながる

一見、臨床とは関係ないように思える趣味やプライベートの充実も、実は言語聴覚士の仕事に役立つことがあります。

リハビリの際には、患者さんの性格や生活スタイル、これまでの経験を考慮しながら評価を進めることが大切です。

そのため、多様な話題を引き出せるコミュニケーションスキルや、幅広い知識・経験が求められます。

たとえば、趣味を持っていることで患者さんと共通の話題ができ、言葉数が少ない患者さんとの会話のきっかけになることもあります。

また、ベッド上で過ごす時間が長い患者さんに対して、会話を通じて活動量を増やし、リハビリへの参加意欲を高めることにもつながります。

雰囲気の良いリハビリ環境を作ることが、患者さんの回復にとって重要な要素の一つです。

そのためにも、言語聴覚士としての知識だけでなく、患者さんとのコミュニケーションを円滑にするための話題作りや、親しみやすい人柄を意識することも大切です。

以上が、スキルアップの難しさや楽しさについてのお話でした。

言語聴覚士としての知識を深めることも、患者さんとのコミュニケーションを円滑にするための話題作りも、どちらも仕事に欠かせない要素です。

スキルを磨き続けることが必要な職業だからこそ、「学ぶことを楽しむ」ことが継続のカギとなります。

興味のある分野から勉強を始めたり、仲間と情報共有しながら学んだりすることで、スキルアップの過程を前向きに捉えることができるでしょう。

また、知識だけでなく、自分の視野を広げることが、より良いリハビリ提供につながることを忘れず、さまざまな経験を積み重ねていくことが大切です。

言語聴覚士として成長し続けるために、ぜひ「楽しみながら学ぶ姿勢」を大切にしてください!

言語聴覚士の国家試験は、決して簡単ではありませんが、しっかりと計画を立て、効率的に勉強することで十分に合格を目指せる試験です。

国家試験の合格率は例年、約65~75%と、他の医療系資格と比較しても極端に低いわけではありません。

しかし、出題範囲が広く、暗記だけでは対応しきれないため、基礎から応用までバランスよく学習することが重要です。

「難しいから…」と諦めるのではなく、適切な試験対策を行いながら、着実に知識を積み重ねていきましょう。

努力が確実に結果につながる試験なので、自分に合った学習方法を見つけ、合格を目指してください!