言語聴覚士としてスキルアップするための方法は?おすすめの資格9選

言語聴覚士(ST)として働く中で、「もっと専門性を高めたい」「キャリアの幅を広げたい」と考えることはありませんか?
リハビリ業界は日々進化しており、言語聴覚士としてスキルアップすることでより多くの患者に貢献できるだけでなく、転職や給与アップの可能性も広がります。
しかし、「どの資格を取ればいいの?」「実務に役立つ資格は?」と迷う方も多いでしょう。
本記事では、言語聴覚士としてスキルアップするための具体的な方法と、おすすめの資格を6つ厳選してご紹介します。
資格取得を通じて、自信を持って臨床に臨みたい方、将来のキャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください!
【スキルアップ】言語聴覚士について
国家資格として定められており、医療・福祉・教育の分野で活躍しています。
「言語」という言葉が含まれているため、話すことに特化したリハビリのイメージを持たれるかもしれませんが、実際には幅広い分野をカバーします。
発達障がいや認知機能、聴覚の問題などにも対応し、患者さん一人ひとりに合った支援を行います。
言語聴覚士は英語で “Speech-Language-Hearing Therapist” と表記され、その頭文字を取って「ST」と呼ばれることもあります。
言語聴覚士の役割
言語聴覚士の主な役割は、患者さんのコミュニケーションや摂食・嚥下に関する問題を特定し、リハビリを通じて改善をサポートすることです。
具体的には、以下のような支援を行います。
- 言語障害のリハビリ:発話や発声のトレーニング、構音障害の改善
- 聴覚障がいの支援:補聴器の使用指導や聴覚リハビリ
- 摂食・嚥下の訓練:安全に食事ができるようサポート
- 認知機能のリハビリ:高齢者の認知症や脳損傷による言語機能の回復支援
言語聴覚士は、患者さんの状態を把握するためにテストや検査を行い、その結果をもとに最適な訓練プログラムを作成します。
言語聴覚士の歴史
日本における言語聴覚士の歴史は比較的新しく、1997年(平成9年) に国家資格として制定されました。
世界では、18世紀のヨーロッパや20世紀初頭のアメリカで言語聴覚士に相当する職業が確立されていましたが、日本でその必要性が議論され始めたのは 1960年代 です。
しかし、資格の認定方法や役割の範囲について意見が分かれ、制度化までに約40年を要しました。
最終的には、少子高齢化に伴い言語聴覚士の役割が重要視され、国の主導で資格制度が確立されました。
言語聴覚士と理学療法士・作業療法士の違い
リハビリの専門職には、言語聴覚士(ST)のほかに 理学療法士(PT) や 作業療法士(OT) があります。
それぞれの役割は以下の通りです。
資格 | 役割 | 主な対象 |
---|---|---|
言語聴覚士(ST) | 言語・聴覚・嚥下・認知機能のリハビリ | ことばの障がい、嚥下障がい、聴覚障害、認知症など |
理学療法士(PT) | 身体機能の回復を目的とした運動療法 | 歩行困難、麻痺、関節可動域制限など |
作業療法士(OT) | 日常生活動作(ADL)の支援・回復 | 食事、着替え、家事、精神障がいなど |
言語聴覚士は、コミュニケーションや食事に関するリハビリ に特化しており、理学療法士や作業療法士と連携しながら総合的なリハビリを提供する ことが重要です。
以上が、言語聴覚士の基礎知識のお話でした。
続いて、言語聴覚士の仕事内容についてみていきましょう。
【スキルアップ】言語聴覚士の仕事内容について
- 検査・評価
- 訓練・リハビリ
- 助言・指導
まず、患者さんごとに検査を実施し、言語や嚥下機能の状態を評価します。
その結果をもとに、個別に適した訓練を計画し、言語や発声のリハビリを進めます。
また、患者さんやその家族と連携し、日常生活での注意点やトレーニング方法について助言・指導を行い、リハビリの効果を高めることも重要な役割です。
言語聴覚士が対象とする障がい・疾患
日本言語聴覚士協会によると、言語聴覚士の主な対象は以下の3つの分野です。
- 発声・発語障がい(構音障がい・吃音など)
- 摂食・嚥下障がい(食べる機能の低下)
- 成人言語・認知障がい(高次脳機能障がいなど)
話すこと、聞くこと、食べることに関するリハビリが中心ですが、認知機能のリハビリにも関わることが多く、幅広い領域をカバーしています。
また、対象となる患者さんは高齢者だけでなく、発達に課題を抱えるこどもも含まれるため、年齢を問わず支援が求められる仕事です。
病期ごとのリハビリ内容
患者さんの状態に応じて、リハビリの内容も変わります。
- 急性期(発症直後)
- 患者さんの症状が安定していないため、状態を見極めながらリハビリを開始
- 家族の不安を軽減するためのサポートも重要
- 回復期(症状が落ち着き、回復を目指す時期)
- リハビリの効果が出やすく、積極的な訓練を実施
- 家族への食事指導や日常生活への適応をサポート
- 維持期(機能の維持・社会復帰を目指す時期)
- コミュニケーション能力や嚥下機能を維持するための訓練
- 生活環境に合わせたリハビリを提供
患者さんの病期に合わせた適切なアプローチを行うことが、言語聴覚士の重要な役割となります。
チーム医療における言語聴覚士の役割
言語聴覚士は、チーム医療の一員として他職種と連携しながら患者さんを支えます。
特に以下のチームでの活動が多く見られます。
栄養サポートチーム(NST)
- 摂食・嚥下機能の評価を行い、適切な食形態を提案
- 看護師・管理栄養士・医師と協力し、栄養改善をサポート
摂食・嚥下サポートチーム(SST)
- 経口摂取が困難な患者さんの嚥下機能を評価し、リハビリを提供
- 患者さんに適した食事形態を決定し、安全に食事ができるよう支援
チーム医療では、各専門職が知識を持ち寄り、患者さんの回復を総合的にサポートします。
小児リハビリにおける言語聴覚士の役割
言語聴覚士は、ことば・きこえ・食べる機能に問題を抱えるこどもに対してもリハビリを行います。
話す訓練(言語発達障がい・吃音・構音障がいなど)
言葉の理解や発音のトレーニングを実施
聞く訓練(聴覚障がい・補聴器指導など)
聴力検査や適切な補聴器の使用方法を指導
食べる訓練(嚥下障がい・口唇口蓋裂など)
口や喉の機能訓練を行い、安全に食事ができるよう支援
小児リハでは、こどもだけでなく保護者のサポートも重要です。
家庭でできる訓練方法を伝え、日常生活の中で成長を促す環境作りをサポートします。
療育分野での言語聴覚士の活躍
療育とは、発達に課題のあるこどもが自立した生活を送るための支援を行うことです。
小児リハビリと内容は似ていますが、医療ではなく障がい福祉の分野で使われる言葉です。
療育を提供する主な施設には以下のようなものがあります。
- 放課後等デイサービス(学校終了後に療育を受ける施設)
- 療育センター(重症心身障がい児者施設など)
- 教育機関(小中学校・特別支援学校など)
特に教育機関では言語聴覚士の配置が少なく、人材不足が課題となっています。
以上が、言語聴覚士の仕事に内容についてでした。
続いて、本題の言語聴覚士としてスキルアップできるおすすめの資格9選をご紹介します。
言語聴覚士としてスキルアップできるおすすめの資格9選
実際に調べてみると、国家資格から民間資格までさまざまなものがあり、「どの資格を取得すればいいのか分からない…」と迷ってしまうこともあります。
そこで今回は、言語聴覚士としてスキルアップできる資格を9つ厳選してご紹介します。
自分のキャリアや目標に合った資格を見つける参考にしてみてください。
呼吸ケア指導士
概要
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会が認定する資格で、呼吸ケアに関する基礎知識と臨床技術を習得できます。
呼吸障がいを持つ患者さんの継続的なケアを実践し、チーム医療の中で指導的な役割を担うことが求められます。
取得条件
- 医師、歯科医師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など
- 3年以上「日本呼吸ケア・リハビリテーション学会」の会員であること
- 所定の研修単位(50単位以上)を取得すること
初級コースと上級コースがあり、学会の講習会や学術集会に参加することでスキルアップが可能です。
認定言語聴覚士
概要
日本言語聴覚士協会が認定する資格で、専門知識を深め、質の高い嚥下リハビリテーションの提供や指導的役割を果たすことを目的としています。
取得条件
- 言語聴覚士として5年以上の臨床経験があること
- 生涯学習システムの専門プログラムを修了していること
基礎プログラムと専門プログラムを修了後、認定言語聴覚士講習会を受講し、筆記試験に合格することで取得できます。
手話通訳士
概要
厚生労働大臣が認定する公的資格で、聴覚障がい者のコミュニケーションを支援する役割を担います。
言語聴覚士として手話を習得することで、支援の幅が広がります。
取得条件
- 20歳以上(試験実施年の年度末までに20歳になること)
試験は学科試験と実技試験があり、通訳の正確さや表現力、スピード、声のトーンや視線の動きまで細かく評価されます。
プロフェッショナル心理カウンセラー
概要
全心連(全国心理業連合会)が公認する心理カウンセラーの全国統一資格。
より質の高いメンタルサポートを提供するためのスキルを学びます。
取得条件
全心連認定教育機関による履修カリキュラムの修了
上級:1280時間
一般:242時間
推薦状の取得
資格は「一般」と「上級」の2種類があり、上級資格では小論文試験も課されます。
実務経験がある場合、一部の研修が免除されることもあります。
栄養サポートチーム専門療法士
概要
低栄養の患者を対象に、適切な栄養管理を行い、病気の治療や合併症の予防を目的とする資格。
医療チームの一員として、より専門的な栄養サポートができるようになります。
取得条件
言語聴覚士として5年以上、医療・福祉施設で勤務し、栄養サポートに関する業務経験があること
学術集会やセミナーに参加し、規定単位(30単位以上)を取得すること
認定教育施設で40時間の実地研修を修了すること
介護福祉士
概要
介護に関する専門知識を持ち、利用者への適切なケアを提供する国家資格。
言語聴覚士として介護の知識を深めることで、患者さんの生活支援に役立ちます。
取得条件
- 介護等の実務経験3年以上(規定の従業期間・日数を満たしていること)
- 実務者研修の修了
受験資格には国籍や年齢の制限はありませんが、実務経験が必要です。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
この資格は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が主催し、摂食嚥下に関わる臨床や研究を行う方が取得できます。
言語聴覚士だけでなく、歯科医師・歯科衛生士・栄養士など、さまざまな職種の方が取得しているのが特徴です。
実際に、嚥下訓練機器の営業職の方が取得していたケースもあります。
認定ST(摂食嚥下障がい領域)を取得している場合は、試験を受けずに申請のみで取得可能です。
2021年3月時点での有資格者数は3,349名です。
ディサースリア認定セラピスト
日本ディサースリア臨床研究会が主催する資格で、比較的新しいため、言語聴覚士の中でも認知度が低いかもしれません。
この資格は、ディサースリア(構音障がい)の評価手技と治療手技について一定の水準を満たしたことを証明するものです。
講習会に参加することで取得可能で、2021年3月時点での有資格者は92名となっています。
講習では、養成校で学ぶディサースリア検査をより詳細に学べるほか、西尾正輝先生が考案した発話と嚥下の運動機能向上プログラム(MTPSSE)についても、実技を交えて習得できます。
LSVT−LOUD認定資格
LSVT(リー・シルバーマン法)は、アメリカのRamigらが考案したパーキンソン病に対するリハビリ手法のひとつです。
LSVTにはLOUDとBIGの2種類があり、
- LOUD … 発声・発語明瞭度改善を目的とし、STが担当
- BIG … 身体運動機能の改善を目的とし、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が担当
と、それぞれ専門職が異なります。
LSVT-LOUDは、言語療法の中でもエビデンスレベルが非常に高く、資格取得者のみが治療を行えます。
方法も厳格に決められており、日本では2021年3月時点で年7回程度の講習会が開催されています。
講習会への参加で得られる修了証
ここからは、資格ではなく講習会を受講することで修了証がもらえるものを紹介します。
STのためのインフォメーション講習会
日本ボバース研究会が主催する講習会で、4日間の受講で修了証が取得できます。
ボバース法は理学療法(PT)や作業療法(OT)の分野では広く知られていますが、言語聴覚士分野ではまだ認知度が低いのが現状です。
この講習会では、実技を中心に学べるため、臨床現場で役立つ技術を習得できます。
ただし、内容が多く、覚えるのに苦労することもあります。
言語聴覚士がボバースを学べる機会は限られていますが、京都のKNERC(ネルク)では、言語聴覚士限定のボバース講習会が開催されています。
身体機能面のアプローチが中心となるため、嚥下・発声といった言語聴覚士の専門領域に特化しているわけではありませんが、ボバースの基礎を学ぶには最適な環境です。
少人数制で実技を重視した内容となっています。
認知神経リハビリテーション学会ベーシックコース、アドバンスコース
認知神経リハビリテーションは、作業療法士・理学療法士の分野では広く知られていますが、言語聴覚士ではまだあまり浸透していません。
このコースは、ベーシック・アドバンス・マスターの3段階に分かれており、各コースを修了すると修了証が発行されます。
最上位のマスターコースを修了すると、認知神経リハビリテーション士を名乗ることができますが、研修がイタリアで行われるため、参加のハードルが高くなっています。
学会関係者によると、言語聴覚士でマスターコースを修了した人は10名未満とのことです。
言語聴覚士向けのベーシックコースは、年に1回程度の開催ですが、アドバンスコースは作業療法士・理学療法士向けの内容が中心です。
一見、言語聴覚士には関係がないように思えますが、認知神経リハビリテーションの基礎を学ぶには十分な価値がある講習会です。
以上が、言語聴覚士としてスキルアップできるおすすめの資格9選でした。
続いて、言語聴覚士としてスキルアップするための、ジャンル別のおすすめ資格をご紹介します。
【言語聴覚士】スキルアップのために何を学ぶ?ジャンル別おすすめ資格をご紹介!
そこで、言語聴覚士としてスキルアップしたい分野ごとにおすすめの資格をピックアップしました。
どの資格が自分に適しているのか、ぜひ参考にしてください。
メンタルサポートを強化したい方へ
▶ プロフェッショナル心理カウンセラー
患者さんの心の状態は、リハビリの成果にも大きく影響します。
心理カウンセラーの知識や技術を習得することで、患者さんの気持ちをより深く理解し、信頼関係を築きやすくなります。
コミュニケーション力を高めたい方へ
▶ 手話通訳士
言語聴覚士のリハビリでは、音声による会話が中心ですが、聴覚障害や難聴の患者さんと接する機会もあります。
簡単な手話を習得しておくことで、ジェスチャーを交えたスムーズな意思疎通が可能になり、患者さんとの関係がより深まります。
身体のサポートスキルを向上させたい方へ
▶ 介護福祉士
言語聴覚士として、リハビリ時に直接身体を支援する場面は少ないですが、患者さんの移乗介助などで役立つ知識を得ることができます。
特に介護施設で働く場合、安心して身体を預けてもらえるようなスキルを身につけられるため、より実践的な支援が可能になります。
病院内でのチーム医療を強化したい方へ
▶ 栄養サポートチーム専門療法士
嚥下や咀嚼に問題がある患者さんにとって、適切な栄養管理は重要です。
言語聴覚士がこの資格を取得することで、栄養ケアチームの一員として適切な食事内容を提案し、チームの質を向上させることができます。
以上が、言語聴覚士としてスキルアップしたい人のためのジャンル別のおすすめ資格でした。
続いて、言語聴覚士のスキルアップに資格はいらない?その理由についてみていきましょう。
言語聴覚士のスキルアップに資格はいらない!?その理由は?
なぜなら、資格を取得したからといって、それが直接スキル向上につながるとは限らないからです。
前述のとおり、資格取得の目的が明確でなければ、その資格を十分に活かせず、せっかくの努力が無駄になってしまう可能性もあります。
まずは、「どのように仕事に活かしたいのか」をしっかり考え、それが明確になるまでは、別の方法でスキルアップを図るのが効果的です。
では、どのような方法がスキルアップにつながるのでしょうか?
その一つが、勉強会や講習会、セミナーへの積極的な参加 です。
これらに参加することで、言語聴覚士としての知識や技術を深め、実践的なスキルを向上させることができます。
特に、経験が浅い方は、新たな資格を取得するよりも、まずは言語聴覚士としての基盤をしっかり築くことが大切です。
職場で開催される勉強会や講習会はもちろん、外部で行われるセミナーにも積極的に参加してみましょう。
講習会やセミナーの情報は、日本言語聴覚士協会のホームページで確認できます。
資格取得による給与・年収アップは期待できるのか?
言語聴覚士(ST)を含む医療職は、資格による能力給よりも、経験年数や年齢に応じた昇給が一般的です。
そのため、基本給は勤務先の施設ごとに異なり、経験年数や役職手当などによって給与が変動する傾向があります。
ただし、一部の施設ではスタッフのモチベーション向上や業績評価の一環として、資格取得やスキルアップを支援しているケースもあります。
資格手当が支給される職場もあり、昇給考査の際に実績として評価されることもあるため、資格取得が給与アップにつながる可能性もあります。
仮に給与や年収の直接的なアップが見込めなくても、資格を取得することで臨床に対する自信がつき、より専門性の高いリハビリを提供できるようになります。
また、転職時には強みとしてアピールできるため、将来的なキャリアアップの選択肢を広げる意味でも、スキルアップに挑戦しておく価値は十分にあるでしょう。
無資格でもチャレンジできる分野
高齢化が進む中、医療や福祉の現場だけでなく、日常生活の中でも高齢者と関わる機会が増えています。
そうした環境で役立つのが 「認知症サポーター」 です。
認知症サポーターは資格ではなく、認知症について正しく理解し、偏見を持たずに認知症の方やその家族を地域で支えることを目的とした国の制度です。
サポーターになるためには、自治体が実施する 「認知症サポーター養成講座(90分)」 を受講する必要がありますが、年齢や職業を問わず誰でも参加可能です。
自治体が主催するため、地域の高齢者の実情を知る機会にもなり、正しい知識を身につけることで、患者との関わり方や必要な支援内容を適切に判断できるようになります。
言語聴覚士としてのスキルを活かすだけでなく、地域医療や高齢者支援に関心がある方は、こうした制度を活用することでより幅広い視点を持つことができるでしょう。
以上が、言語聴覚士のスキルアップに資格はいらない?その理由についてでした。
続いて、言語聴覚士に向いている人の特徴をご紹介します。
【スキルアップ】言語聴覚士に向いている人の特徴
言語聴覚士の仕事は、患者さんやその家族と協力しながら、社会復帰や生活の質向上をサポートすることが主な役割です。
そのため、患者さん一人ひとりに関心を持ち、相手の気持ちを理解しようとする姿勢が大切になります。
また、患者さんごとに異なる考え方や個性があるため、それぞれに適したリハビリ方法を提案する柔軟な対応力も求められます。
こうした基本的な姿勢を踏まえ、言語聴覚士に向いている人の特徴について詳しく紹介していきます。
言語聴覚士に向いている人の特徴・性格
言語聴覚士に適した特徴や性格は、以下のようなものが挙げられます。
- 粘り強い
- 観察力がある
- 協調性がある
- 向上心がある
リハビリは、すぐに成果が出るものではありません。
継続的に訓練を行い、患者さんの変化を見守る粘り強さが重要です。
さらに、患者さんの様子を細かく観察し、その時々の状態に合わせたリハビリを提案するための観察力も不可欠です。
また、言語聴覚士は医師や看護師、理学療法士、作業療法士など、他の医療スタッフと連携しながら業務を進めることが多いため、チームワークを大切にする協調性も求められます。
加えて、リハビリの手法は日々進化しており、新しい知識を学び続ける向上心も必要です。
最新のリハビリ技術を身につけ、患者さんに最適な支援ができるよう努力し続けることが大切です。
言語聴覚士に求められる能力・スキル
言語聴覚士として活躍するために、以下のような能力やスキルが求められます。
- コミュニケーション能力
- 共感力
- 問題解決能力
コミュニケーション能力は、患者さんだけでなく、そのご家族や医療チームと連携を取る上で欠かせません。
相手の話をしっかりと聞き、適切に伝える力が求められます。
また、患者さんの中には、言葉が思うように出せなかったり、当たり前の動作が難しい方もいます。
そうした方々の気持ちを理解し、共にリハビリに取り組むためには、相手に寄り添う共感力が不可欠です。
さらに、言語障がいの症状は患者さんによって異なり、画一的な治療法がすべての人に適用できるわけではありません。
そのため、個々の症状を分析し、適切なアプローチを考える問題解決能力も重要です。
言語聴覚士は、高い専門性と人間力が求められる仕事ですが、その分、患者さんの成長や回復を実感できるやりがいのある職業です。
自身の強みを活かしながら、患者さんに寄り添ったサポートができるよう努めていきましょう。
以上が、言語聴覚士に向いている人の特徴でした。
続いて、言語聴覚士の需要・将来性についてみていきましょう。
【スキルアップ】言語聴覚士の需要・将来性は?
しかし、こうした言葉の多くは、閲覧数を増やすために意図的に使われているケースが多く、深刻に受け止める必要はありません。
とはいえ、中には本気で「言語聴覚士はやめたほうがいい」と主張しているサイトもあります。
では、どのような理由でそのように言われているのでしょうか?
言語聴覚士をやめたほうがいいと言われる理由
実際に「やめたほうがいい」と書かれているサイトでは、以下のような理由が挙げられています。
- 人間関係が大変
- 希望の配属先に行けない
- 理学療法士・作業療法士に比べて需要が少ない
- 収入が少ない
確かに、これらの要素は言語聴覚士の仕事に影響を与えることはありますが、決してこの職業に限った問題ではありません。
例えば、人間関係や配属の問題は医療業界に限らず、多くの職業で直面する課題です。
また、「言語聴覚士は理学療法士・作業療法士より需要が少ない」という意見もありますが、これは誤解です。
実際には、言語聴覚士は圧倒的に人数が少なく、そのために需要が高まっている職業です。
収入面に関しては、確かに言語聴覚士の平均年収は全産業の平均よりやや低い傾向がありますが、女性の言語聴覚士の平均年収は全産業平均よりも高く、安定した収入を得られる職業でもあります。
言語聴覚士が少ない理由とは?
言語聴覚士が理学療法士や作業療法士と比べて人数が少ないのは事実です。
その背景には、次のような理由があります。
歴史が浅い職業であること
理学療法士・作業療法士の国家資格が制定されたのは1965年ですが、言語聴覚士の資格が制定されたのは1997年と、30年以上の差があります。
そのため、資格取得者の数もまだ少ないのです。
養成施設の数が少ない
言語聴覚士の養成校は理学療法士・作業療法士と比べて少なく、学びたくても学べる環境が限られているのが現状です。
試験の難易度が高い
国家試験の難易度が高く、合格率の変動が大きいことも、資格取得者が増えにくい要因の一つです。
言語聴覚士の需要は年々増加している
では、言語聴覚士の将来性はどうなのでしょうか?
結論として、言語聴覚士の需要は年々増え続けています。
日本では少子高齢化が進み、医療の現場は「入院中心」から「在宅医療中心」へとシフトしています。
その中で、言語聴覚士の役割はますます重要になっています。
回復期リハビリテーション病床の増加
2020年3月時点で86,397床だった回復期リハビリ病床は、2024年3月には95,055床に増加しました。
回復期リハビリの需要が高まることで、言語聴覚士の求人数も増えています。
訪問リハビリ・訪問看護の拡大
訪問看護ステーションの数は2017年の9,422事業所から、2023年には14,074事業所へと約1.5倍に増加しており、訪問リハビリの求人も増加しています。
教育機関でも言語聴覚士が求められている
さらに、最近では教育現場での言語聴覚士の活躍も期待されています。
2024年3月のNHKニュースによると、奈良県教育委員会は2025年度(令和7年度)から奈良市内の小学校に言語聴覚士の資格を持つ教員を配属することを決定しました。
これは全国的にも珍しい取り組みですが、今後はこのような動きが広がる可能性があります。
背景には、発達障がいのこどもが増加していることが挙げられます。
2022年12月の読売新聞の報道によると、小学生の8.8%が発達障がいの可能性があるとされており、2012年の調査と比べて2.3ポイント増加しています。
このような状況を受け、教育現場における言語聴覚士の需要も高まっているのです。
以上が、言語聴覚士の需要・将来性についてでした。
言語聴覚士としてスキルアップするには、知識を深めるだけでなく、資格取得を通じて専門性を高めることも有効です。
本記事で紹介した資格は、実務で役立つものばかりなので、自身のキャリアや興味に合わせて検討してみてください。
資格を取得することで、臨床の幅が広がるだけでなく、転職や昇給のチャンスが増えることもあります。
また、学びを深めることで、より自信を持って患者さんと向き合えるようになるでしょう。
スキルアップの方法は人それぞれですが、自分に合った道を選び、言語聴覚士として成長を続けていきましょう!