作業療法士になるには最短で3年?資格取得方法や社会人の目指し方!
「作業療法士になるには最短で3年かかるってほんと?」
作業療法士(OT)は、個人の「その人らしさ」を大切にする作業活動に焦点を当てたリハビリを提供できる素晴らしい職業です。
別の仕事に挑戦したい、人々の役に立つ仕事をしたいと考えているなら、作業療法士はそのような希望を叶えてくれるでしょう。
作業療法士とはどのような仕事なのか、作業療法士として働くためにはどのようなルートで資格を取得する必要があるのか、また資格取得の難易度はどの程度なのかなど、多くの疑問があるのではないでしょうか。
そこで本記事では、作業療法士の資格取得に必要な学習環境や期間について解説します。
作業療法士になるための最短の道のりをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
作業療法士(OT)への最短の道のりは3年!
作業療法士になるためには、国家試験を受験し、合格しなければいけません。
作業療法士への道のりは最短で3年となっています。
ここでは、作業療法士についての概要や、作業療法士になるための道のりについてお話していきます。
作業療法士(OT)について
作業療法は、リハビリテーションの専門分野の一つです。
その特徴は、「作業」を通してリハビリを行うことにあります。
病気や怪我により生活に障がいを抱えた人に対して、その人らしい作業に取り組めるよう支援し、生活能力の回復や環境への適応を図ります。
作業療法士が扱う「作業」とは、日常生活に必要な活動全般を指します。
食事、入浴、掃除、趣味活動など、人それぞれ価値観や環境によって大きく異なります。
作業療法士は医師の指示に基づき、患者の「身体」と「心」の両面にアプローチしてリハビリを行います。
障がいの種類や程度は一人一人異なるため、多様な作業療法プログラムを立案し、提供しています。
作業療法士は主に医療機関や高齢者施設、障がい者施設で働きます。
身体障がいや老年期障がいの領域では、自立度向上や自宅復帰のサポートを行います。
精神障がい領域では、作業を通した精神面へのリハビリを提供することができます。
発達領域では、先天的な病気や発達障害のある子供に対してもリハビリを行います。
作業療法士になるための道のり
作業療法士(OT)は国家資格であり、その取得には一定の条件が課されています。
高校卒業後、4年制大学や3年制短期大学、3年制もしくは4年制の専門学校といった養成校で必要な知識と技能を修得する必要があります。
したがって、作業療法士を目指す場合、養成校で3年間学び、国家試験に合格することが最短で働くための道筋となります。
養成校では、まず解剖学や生理学、運動学といった医療的基礎知識を学びます。
その後、作業療法士として必要な専門知識を習得し、リハビリの実技練習や臨床実習を行い、所定の単位を取得していきます。
すべての単位を取得した上で、初めて国家試験を受験することができるのです。
通信教育で資格は取得できる?
作業療法士の資格取得には、通信教育では不可能であり、指定された養成課程の大学や短大、施設で3年以上の学習と、必要な知識や技能の習得が必須です。
国家試験の受験には、専門課程での講義受講と病院などの医療施設での臨床実習が求められます。
臨床実習では、実習時間の3分の2以上を医療提供施設で行う必要があり、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院などが含まれます。
さらに、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションに関する実習も1単位以上行う必要があります。
働きながら作業療法士の資格取得を目指す方法
働きながら作業療法士(OT)の資格を取得するには、夜間の学部に通う選択肢があります。
多くの学校では、18:00~21:00頃まで講義が行われています。
これらの夜間コースは、昼間のコースと同じカリキュラムを提供しており、内容が薄いことはありません。
夜間コースの主なメリットは、日中の仕事と両立しながら学習できることです。
社会人で新たに作業療法士を目指す人にとって、非常に適した方法と言えるでしょう。
加えて、費用が昼間コースより安く、同じ境遇の仲間と共に学べるというメリットもあります。
一方で、働きながら夜間コースに通うことは肉体的・精神的にハードな面があります。
国家資格取得が最終目標であるため、講義以外にも学習時間を確保する必要があり、プライベートな時間を確保するのが難しい可能性があります。
また、実習は昼間のスケジュールを開ける必要があるため、日中の仕事のスケジュールを柔軟に調整できる職場環境が条件となります。
これらのデメリットも十分に考慮し、学校を選択する必要があります。
以上が、作業療法士への最短の道のりについての解説でした。
続いて、各養成校の特徴や学費についてお話していきます。
作業療法士の養成校の特徴
作業療法士(OT)の養成には、さまざまな教育機関が存在しています。
それぞれの施設が独自の重点事項や教育方針を持っており、学生の適性に応じて選択することが重要です。
ここでは、作業療法士の養成校の特徴と、どのような学生に適しているかを詳しく説明します。
最初に高卒資格を手に入れよう
OTの養成校に入学するには、高校卒業が必須条件となります。
高校を卒業していれば、この要件を満たしているため心配する必要はありません。
しかし、中卒の方は先に高卒認定試験を受け、高認を取得することをおすすめします。
加えて、OT養成校への入学や国家試験の受験に年齢制限はないので、年齢を気にする必要はありません。
4年制大学の特徴
4年制の大学では、作業療法士を目指すために必要な知識だけでなく、幅広い科目を学習します。
医療や福祉の専門知識だけでは、患者の生活や仕事を総合的に支援することはできません。
大学で得られる一般教養や語学などの知識は、臨床現場で活かすことができます。
また、4年間かけて学習することで、単なる知識や技能の習得だけでなく、考え方や学び方も身につけることができます。
さらに、作業療法学科以外にも医療や福祉、介護分野の学科が併設されている大学が多く、学生の間から他職種の特性を知り、多職種連携について学ぶ機会があるのも大きな魅力です。
これらの経験は、将来の臨床実践において大きな役割を果たすことでしょう。
短期大学の特徴
短期大学では、一般教養科目の単位取得が必須となっています。
これにより、幅広い知識と共に、OTに必要な基礎知識や専門知識、技能を習得することができます。
そのため、幅広い学びを望みつつ、早期にOTとしての実務経験を積みたいという方にとって、短期大学は魅力的な選択肢と言えるでしょう。
また、既に大学を卒業しているか、社会人経験を持つ方が、OTを目指して短期大学に通う例も多く見られます。
専門学校の特徴
専門学校は、広範な知識の習得よりも、実践的な技能と知識の修得に重点を置いています。
大学と比べると入学が比較的容易であり、OTとしての実践力を十分に身につけたい方にとって適した選択肢となります。
また、4年制の専門学校では、国家試験対策に十分な期間を確保できるため、試験に不安を感じたり、第一回での合格を希望する方にも安心して学べる環境が整っています。
各養成校別のおおまかな学費
作業療法士(OT)を目指す上で、養成校の選択は重要です。
大学、短大、専門学校と、さまざまな選択肢がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
大学では、国公立と私立で学費に大きな差があります。
国公立は約250万円前後と比較的安価ですが、入学時の学力要件が高くなります。
一方、私立大学は550万〜700万円と高額ですが、専門分野以外の学習も可能です。
短大は3年間の修学期間で、約400万〜450万円の学費がかかります。
専門知識を集中的に学べるほか、一般教養も学べるというメリットがあります。
ただし、全国で4校しかない点が課題です。
専門学校には4年制と3年制があり、それぞれ500万〜650万円、400万〜550万円の学費がかかります。
専門分野に特化した教育が受けられる一方で、一般教養の学習は限られます。
3年制は短期間で学べますが、学習ペースが速くなります。
以上のように、養成校によって学費や修学期間、カリキュラムなどが大きく異なります。
自身のニーズや条件に合わせて、慎重に検討する必要があります。
作業療法士の養成校の特徴や学費について解説しました。
では最後に、作業療法士の国家試験の難易度についてお話していきます。
作業療法士になるための国家試験の難易度は?
作業療法士になるための国家試験の難易度はどれくらいなのでしょうか。
過去10年間、作業療法士(OT)の国家試験の合格率は70〜80%の範囲にあります。
2018年と2019年は70%台と低めでしたが、それ以外の年は80%を超えています。
この高い合格率の背景には、在学中の定期試験や臨床実習を通じて、受験に必要な知識を確実に習得できることがあります。
換言すれば、国家試験受験までに一定のハードルを乗り越える必要があるということです。
中には、卒業試験に合格しなければ国家試験の受験資格を得られない養成校もあります。
つまり、作業療法士の国家試験は、在学中の学習過程で基礎を固めることで、高い合格率を維持できているのが特徴といえるでしょう。
以上が、作業療法士になるための国家試験の難易度でした。
作業療法士(OT)への道のりは決して平坦ではありませんが、その魅力に惹かれる人は年々増えています。
作業療法士の資格保有者数の増加は、この職業が徐々にメジャーな存在になりつつあることを示しています。
作業療法士の魅力を知れば知るほど、より多くの人にこの職業を目指してほしいと思います。
作業療法士について詳しく学んでいけば、きっとあなたも自分なりの作業療法士の姿を見出すことができるはずです。