作業療法士の国家試験の合格率は?難易度や合格最低点について解説!
作業療法士を目指すなら、国家試験の合格率や難易度について知っておくことは欠かせません。
果たして、作業療法士の国家試験は難しいのか、合格率はどれくらいなのか気になりませんか?
この記事では、作業療法士の国家試験について徹底解説していきます。
合格率や難易度だけでなく、合格に必要な最低点や具体的な対策方法もお伝えします。
作業療法士を目指す方々の合格への不安を解消できるように、分かりやすく解説いたします。
自信を持って国家試験に臨めるようになりましょう。
作業療法士になるために必要な国家試験の受験者数・合格率
作業療法士国家試験の受験者数は、数年ここほぼ6,000人前後を維持してきました。
しかし、令和4年度は前年度より少し減少し、5,719人となったようです。
作業療法士の国家試験合格率は、年によって若干の変動がみられます。
直近の令和4年度では、前年度より高い83.8%の合格率を記録しています。
令和4年度の作業療法士国家試験では、新卒受験者が4,809人、既卒受験者が910人という構成でした。
比率としては、新卒が84.1%、既卒が15.9%を占めていました。
合格率に目を向けると、新卒の合格率が91.3%と大幅に高いのに対し、既卒の合格率は44.3%にとどまっていることが分かります。
作業療法士試験では、合格最低点数が定められています。
2023年の作業療法士試験の合格最低点数は以下の通りです。
- ・総得点168点以上(279点満点)
・実地問題43点以上(120点満点)
参照:第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について
このように、作業療法士の国家試験合格率は、年によって若干の変動がみられることが分かります。
次に、作業療法士の国家試験の概要についておさらいしましょう。
作業療法士になるために必要な国家試験
作業療法士になるためには、国家試験に合格しなければなりません。
作業療法士は、厚生労働省が主管する国家資格取得者です。
国家試験に合格することで、この資格を取得することができます。
この資格は「名称独占資格」と呼ばれており、作業療法士としての名称を名乗るためには資格取得が必須となっています。
ただし、作業療法の実践自体は、資格がなくても可能です。
作業療法士になるための国家試験の難易度
作業療法士国家試験の合格率は近年高水準を維持しています。
これは、多くの養成校が受験資格を慎重に与えているためです。
しかし、試験自体は容易ではありません。
合格するには、学校の授業に加えて自宅での予習復習や試験対策に熱心に取り組む必要があります。
過去には、合格率が低かった年に問題を緩和して合格者を増やす傾向がありました。
しかし、ここ数年は逆に合格率が低下し続けています。
これには、作業療法士の供給が一定水準に達したため、新規資格取得者を抑制しようとする厚生労働省の意向があるとの指摘があります。
今後、試験の難易度がさらに高まる可能性もあります。
作業療法士になるための国家試験の受験資格
作業療法士を目指す者にとって、国家試験の受験資格を得ることは必須の条件です。
この資格を得るには、指定された養成校で3年以上の教育課程を修了し、所定の単位を取得して卒業見込みとなるか、実際に卒業することが求められます。
しかし、学業成績が芳しくない学生については、学校が国家試験の合格率を下げたくないため、あえて受験資格を与えないケースも見られます。
作業療法士に必要とされる知識は膨大であり、座学だけでなく臨床実習にも多くの時間を割かなければなりません。
したがって、真摯に学習に取り組まなければ、この受験資格を得ることは難しいでしょう。
なお、理学療法士の国家資格を既に取得している者については、一部の知識が重複しているため、養成校での学習期間が2年に短縮されます。
作業療法士になるための国家試験の内容
作業療法士試験は、マークシート形式で行われます。
問題は、基礎知識を問う「一般問題」160問と、より実践的な知識を問う「実地問題」40問の計200問で構成されています。
一般問題では、医学全般の科目が出題されます。
一方、実地問題の科目は、リハビリテーション医学や作業療法に特化した内容となります。
試験は午前と午後に2時間40分ずつ行われ、1日をかけて実施されます。
そのため、時間配分と集中力の維持が合否を左右する重要な要素となります。
なお、厚生労働省の試験概要には口述試験と実技試験の記載もありますが、これは視力障がい者を対象とした特別な措置であり、一般の受験生には筆記試験のみが課されます。
以上が、作業療法士になるために必要な国家試験の合格率と概要でした。
最後に、作業療法士の国家試験に合格するための勉強方法についてみていきましょう。
作業療法士になるために必要な国家試験の勉強方法
作業療法士を目指す学生にとって、国家試験の合格は重要な目標です。
一般的にはその対策が、卒業を控えた最終年次の1年半前頃から始められます。
養成校によって多少の差異はありますが、多くの場合、最終年次の1年前の9月頃から、国家試験対策の授業が行われるようになります。
つまり、3年制の場合は2年目の9月から、4年制の場合は3年目の9月頃から、本格的な試験対策がスタートするのが一般的な流れと言えるでしょう。
国家試験までのスケジュール
大学生活の最後の年は、試験対策に追われる忙しい時期となります。
4月から始まる最終学年ではず、ま夏頃にかけて1~2ヶ月の臨床実習に取り組むことになります。
この期間は試験勉強を一時中断せざるを得ません。
実習を無事に終えた秋頃には、学内外の模擬試験が実施されます。
これらに参加し、自身の進捗状況を確認しながら、引き続き勉強に励むことになります。
そして年が明けると、いよいよ本格的な追い込みの時期となります。
ほとんどの時間を勉強に費やすことになるでしょう。
最終的に全ての単位を取得し、模擬試験でも優秀な成績を収めることで、学校から「卒業見込み」と認定されます。
そして2月頃に行われる本番の試験に臨むことになります。
作業療法士になるために必要な国家試験の勉強方法
作業療法士になるために必要な国家試験の勉強方法についてご紹介します。
・過去問を徹底的にやりこむ
・それぞれの科目ごとに勉強方法を変える
・分からないことは積極的に質問する
過去問を徹底的にやりこむ
作業療法士国家試験に向けて、過去問の徹底的な演習が最優先事項となります。
繰り返し過去問に取り組むことで、出題形式や考え方に習熟し、例年の問題傾向を把握することができます。
これにより、得点力の向上につなげることができます。
初めは各年度の一般問題から取り組み、基礎知識を確実に身につけてから、応用的な実地問題へと進んでいくことがスムーズな学習につながります。
また、単に正解を選ぶだけでなく、誤答肢の理解にも注力することが重要です。
根拠が不明な場合は、教科書などを活用して知識の定着を図りましょう。
過去問は最低5年分、できれば10年分以上を繰り返し解くことで、確実な理解を深めることが望ましいでしょう。
それぞれの科目ごとに勉強方法を変える
作業療法士国家試験の勉強には、科目に応じた柔軟な学習方法が重要です。
生理学や運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学など、8つの科目から出題されますが、それぞれの科目で有効な勉強法は異なります。
生理学のように、身体の機能の流れを理解する必要がある科目もあれば、運動学のように、筋肉の名称を暗記しなければならない科目もあります。
そのため、単語帳の作成やグラフ化、絵による表現など、科目に合わせて勉強方法を変えることが鍵となります。
特に実地問題については、心電図などのように、理論よりも画像の暗記が効果的な場合もあるため、様々な学習方法を試してみることをおすすめします。
国家試験に向けて、柔軟な取り組みが合格への近道となるでしょう。
分からないことは積極的に質問する
作業療法士国家試験に合格するには、養成校での学習が必須です。
そこでは、教師や同級生に質問できる環境が整っています。
教科書や参考書の内容がよくわからない場合、一人で悩むよりも、誰かに尋ねることが遥かに効率的です。
お互いに教え合うことで、知識の定着も早まり、試験に向けた意欲の維持にもつながります。
近年、過去問では見られなかった新しい問題が出題されることが多くなっています。
参考書だけでは対策に限界があるため、他者と協力して考えることが、作業療法士国家試験に合格する近道となるかもしれません。
以上が、作業療法士になるために必要な国家試験の勉強方法でした。
作業療法士の国家試験の合格率は、概して良好な水準にあります。
一般的に80%前後の合格率を誇っており、中には新卒者の合格率が100%に達する大学もあります。
しかし、既卒者の場合、合格率がやや低下する傾向にあるため、できるだけ一発での合格を目指すことが望ましいでしょう。
作業療法士を目指す学生にとって、国家試験対策に力を入れている大学、短期大学、専門学校は数多く存在します。
自身の目標や条件に合った教育機関を選び、一発合格を目指すことをおすすめします。
以下の記事では、作業療法士の国家資格を活かせる仕事をご紹介しています。
合格した後の就職先として、こちらもぜひ参考にしてみてください。