「作業療法士の就職先ってどんな場所があるの?」

作業療法士は、多様な環境で活躍しています。

そのため、就職先選択に悩む人も少なくありません。

新しい職場では、作業療法士としての実践的な知識と技術を身につけることができます。

将来のキャリアを見据えて、自分が目指す作業療法士像を明確にし、その実現につながる就職先を選ぶことが重要です。

本記事では、作業療法士の就職先について紹介するとともに、適切な就職先の選び方をお伝えします。

作業療法士の就職先事情や統計

作業療法士の就職先は多岐にわたります。

2019年度の日本作業療法士協会会員統計によると、最も多いのが病院で35,041名、次いで介護施設が8,421名、養成校が1,483名、児童福祉施設が1,241名となっています。

このほかにも、身体障がい者福祉センターや精神保健福祉センター、保健所、特別支援学校など、様々な施設が作業療法士の就職先として挙げられます。

就職先によって業務内容は異なるため、選択する際は各施設の特徴をしっかりと把握しておくことが重要です。

作業療法士の就職・採用事情

作業療法士の主な就職先は、高度急性期・急性期の総合病院や回復期リハビリテーション病棟に特化した病院、精神病院などです。

その他にも、クリニック、老人保健施設、障がい者福祉施設、児童養護施設などがあります。

近年では、在宅サービスのニーズが高まり、訪問リハビリテーションを展開する法人も増えており、作業療法士の需要が高まっています。

ただし、人気の高い病院では求人枠が早期に埋まってしまうことも多いので、理想的な就職先が見つからない可能性もあります。

在学中から、気になる求人を調べたり、先輩や教員から情報を収集するなど、就職活動の準備を早期に行うことをおすすめします。

以上が、作業療法士の就職先事情や統計についてのお話でした。

続いて、作業療法士の就職先についてそれぞれの特徴や仕事内容についてお話していきます。

作業療法士の就職先の特徴

ここからは、作業療法士の就職先についてそれぞれの特徴や仕事内容についてお話していきます。

作業療法士の主な就職先は以下の通りです。

  • ・病院
  • ・介護施設
  • ・児童福祉施設
  • ・養成校

それぞれの特徴についてみていきましょう。

作業療法士の就職先①病院

医療の現場で活躍する作業療法士は、主に精神病院と一般病院の二種類の施設で勤務しています。

彼らの役割は、疾病や怪我により日常生活に支障をきたしている患者の方々に対して、機能回復訓練や日常生活動作の訓練を提供し、円滑な退院支援を行うことです。

精神病院

精神医療施設は、統合失調症、うつ病、認知症などの患者に対して、専門的な医療サービスを提供しています。

作業療法士は、休息、リラクゼーション、体力・コミュニケーション能力の向上、家事や職場復帰などを目的に、様々な作業活動を通してリハビリテーションを行っています。

一般病院

一般病院は、精神病院とは異なり、特定の機能に特化しない医療施設です。

一般病院は、病院の機能に応じて以下の3つに分類されます。

1. 急性期病院
急性期病院は、病気の発症直後や外傷・手術後の患者に入院治療を提供する病院です。

作業療法士は、全身のリスク管理を行いながら、機能訓練や日常生活動作訓練を実施します。

2. 回復期病院
回復期病院は、全身状態が安定した患者さんに対して積極的なリハビリを行う病院です。

作業療法士は、機能訓練や日常生活動作訓練に加え、家事や仕事復帰のための訓練も行います。

また、回復期病院では長期入院となるケースも多く、作業活動を通して患者さんの余暇時間の充実を図ることができます。

3. 療養型病院
療養型病院は、病状が比較的安定しており、引き続き医療的ケアが必要な慢性期の患者さんが入院する病院です。

療養型病院には、意識レベルが低い患者さんや経管栄養を受けている患者さんが多い傾向にあります。

作業療法士は、ベッドサイドを中心に、起居や移乗、歩行訓練などを行い、患者の生活能力の維持と向上を目指します。

作業療法士の就職先②介護施設

介護施設における作業療法士の重要な役割は、利用者の生活能力の維持や向上を目的としたリハビリテーションの提供と、日常生活の質の向上を支援することです。

作業療法士が主に勤務する代表的な介護施設は4つあります。

① 介護老人保健施設

介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す利用者に対し、リハビリテーションを提供する介護施設です。

施設の作業療法士は、病院と同様に、機能訓練や日常生活動作訓練を行うほか、介護職員に介助方法を指導したり、リハビリ方法をアドバイスしたりして、利用者の生活能力の維持・向上や退院支援を行っています。

② 特別養護老人ホーム

老人ホームは、在宅での生活が難しい方々が、包括的な介護サービスを受けながら生活する施設です。

作業療法士は、介護スタッフに対してリハビリプログラムの指導を行ったり、集団体操やレクリエーション活動の実施を通して、利用者の生活をサポートします。

利用者が快適で楽しい生活を送れるよう、多様な支援を担っています。老人ホームは、利用者の生活環境づくりに関心のある作業療法士にとって、魅力的な職場といえるでしょう。

③ デイサービス・デイケア

デイサービス・デイケアは、自宅で生活する要介護者が介護やリハビリを受けるための介護施設です。

近年、先進的な機器を導入した施設が増えており、作業療法士は、マシーントレーニングなどの手法を取り入れながら、きめ細かいリハビリを提供しています。

また、デイサービス・デイケアは地域に根差した施設であるため、利用者との顔なじみの関係を築きやすく、些細な変化にも気づきながら、きめ細やかなケアを行うことができるのが特徴です。

④ 訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、訪問看護・リハビリスタッフが所属する事業所です。

そこに所属する作業療法士は、利用者の自宅を訪問し、歩行や外出、日常生活動作などのリハビリを行います。

訪問リハビリでは、急変時のバイタルサイン確認や救護措置を迅速に行える能力が求められます。

訪問看護ステーションを目指す方は、リスク管理に関する知識と技術を十分に身につけておく必要があります。

作業療法士の就職先③児童福祉施設

児童福祉施設における作業療法士の役割は多岐にわたります。

発達障がいや肢体不自由のある子どもたちに対し、遊びや学習を通じて日常生活動作の習得や社会参加を支援しています。

さらに、保護者への相談支援や学習会の開催など、家族への支援も重要な業務となっています。

作業療法士は、子どもたちの自立と社会参加を促すために、様々な取り組みを行っているのです。

作業療法士の就職先④養成校(大学・専門学校)

リハビリの現場で長年の経験を積んだ作業療法士の中には、養成校の教員として活躍する人も少なくありません。

多くの場合、臨床経験が5年以上あれば、専門学校などの教育機関で教職に就くことが可能になります。

養成校では、学生に対して講義や実習指導、国家試験対策などの教育活動を行っています。

リハビリの現場で働く中で、後進の育成に興味を持つ作業療法士も多いようです。

将来的な選択肢として、養成校での教職を検討することも有意義かもしれません。

以上が、作業療法士の就職先についてそれぞれの特徴や仕事内容でした。

最後に、失敗しないための作業療法士の就職先の選び方についてご紹介します。

失敗しない!作業療法士の就職先の選び方

自分に合った就職先を見つけるには、いくつかのポイントを検討することが重要です。

ここからは、作業療法士が就職先を選ぶ際のポイントをご紹介します。

どんなリハビリが行える作業療法士になりたい?

作業療法士の職場環境は多様であり、リハビリアプローチは施設によって大きく異なります。

病院では個別リハビリが中心となりますが、介護施設では集団リハビリや介護士の指導が主要な役割となる場合が多いのです。

作業療法士としての適性と興味関心は重要で、自分に合った職場を選ぶことが、仕事のやりがいと専門性の向上につながります。

そのためには、まず自分が理想とする作業療法士像を明確にイメージすることが大切です。

教育・研修体制が整っているかどうか

新人作業療法士にとって、就職先の教育・研修体制は重要な選考基準となります。

なぜなら、初期の学びが、後のキャリア形成の基盤となるからです。

基礎的な知識や技術を十分に習得できないまま経験を重ねても、適切な評価と治療を行うことは困難です。

したがって、就職先の研修制度の充実度を慎重に確認することが不可欠です。

職場見学やウェブサイト、SNSなどで、求人先の教育体制に関する情報を丁寧に収集し、研修が整備されている企業を見極めましょう。

新人作業療法士の平均よりもお給料は少なくないか

厚生労働省の最新の「賃金基本統計調査」によると、20~24歳の新人作業療法士の平均月収は、男性が242,500円、女性が239,000円と報告されています。

この水準の給与が得られれば、自己研鑽やプライベートの充実など、様々な可能性が広がるでしょう。

しかし一方で、昇給が望めない職場もあるため、求人情報を慎重に検討することが重要です。

初任給が低い職場に就職すると、キャリアを重ねても収入が上がらない可能性があります。

求人を比較する際は、新人作業療法士の平均年収を参考指標として活用することをおすすめします。

以上が、作業療法士が就職先を選ぶ際のポイントでした。

作業療法士は、その多岐にわたる職域によって、獲得できるスキルが異なります。

新人時代に培った基礎は、実践の中で自身の土台となるでしょう。

就職先を選ぶ際は、自身の理想とするリハビリテーションを実現できる場所を見極めることが重要です。

将来のキャリアビジョンを持って、慎重に選択しましょう。

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