理学療法士という仕事に興味があるけれど、「大変なことが多いのでは?」と不安に感じていませんか?

確かに、理学療法士は患者さんの健康を支える責任ある職業であり、体力や精神面での負担が大きいと感じることもあります。

しかし、だからこそやりがいを感じられる仕事でもあります。

この記事では、理学療法士として働く上で大変なことを具体的にお伝えしながら、それらの課題を乗り越える方法や向き合い方についても考えていきます。

仕事の現実を理解し、自分に合った働き方を見つけるためのヒントを提供しますので、理学療法士を目指す方や、すでに働いている方もぜひ参考にしてください。

一緒に、理学療法士という職業について深く知り、不安を解消していきましょう。

理学療法士にとって大変なこと10選

理学療法士にとって大変なこと10選は以下の通りです。

給料が安い

「理学療法士は辛い・大変」と言われる理由の一つとして、給料の低さが挙げられます。

昇給や昇進の機会が少ない一方で、業務量は年々増加しており、それが現場でのモチベーション低下につながっているのが実情です。

2024年3月時点の求人ボックスによると、理学療法士の平均年収は約367万円とされています。

これを2023年9月に国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態調査統計」と比較すると、日本人全体の平均年収である約458万円を90万円ほど下回っています。

こうした背景から、「国家試験に合格して理学療法士になったものの、これほど給料が低いとは思わなかった」という声がリハビリ職の現場では頻繁に聞かれます。

もし「高い給料を得るためにハードに働くことも厭わない」という方であれば、他の職種を選択肢に入れることを検討するのも一つの手かもしれません。

仕事量が多い

「理学療法士は辛い・大変」と言われる理由の一つは、業務量の多さにあります。

ここでいう業務量とは、リハビリそのものではなく、リハビリ以外の付随業務を指します。

具体的には、以下のような業務が挙げられます。

  • カルテの記入
  • 名目上は任意だが実質強制参加の勉強会
  • 退院時指導書の作成
  • 新人理学療法士への指導
  • 病院の委員会活動への参加
  • カンファレンスでの意見交換
  • サービス残業で行う学会発表用のデータ作成
  • 実習生への指導業務

これらの業務をこなすため、理学療法士は限られた隙間時間を見つけて作業を進める必要があります。

一般的な職業では、「55分作業して5分休憩」のようにある程度自分でペースを調整することができますが、理学療法士の場合、リハビリのスケジュールが分単位で設定されているため、ほとんど休む間もありません。

そのため、隙間時間がほとんどなく、業務が過密化しがちです。

こうした状況が、理学療法士が激務だと感じられる大きな要因となっています。

サービス残業が多い

「理学療法士は辛い・大変」と言われる理由の一つに、サービス残業の多さが挙げられます。

多忙な業務量が、サービス残業を招いている現状があります。

定時後にタイムカードを切り、その後にカルテの記入や勉強会を行うといった状況が、いまだに一般的とされている職場も少なくありません。

こうしたサービス残業は、昔ながらの根性論が根付いていることが要因の一つです。

また、休日に行われる学会への参加や症例発表の準備に追われることで、実質的な残業が発生するケースも多く見られます。

近年、働き方改革が進められていますが、こうした問題はまだ改善の途上といえるでしょう。

こうした過酷な働き方が、若い理学療法士の離職につながる原因の一つとも考えられます。

精神的な負担を感じる場合、職場の環境が自身に合っていない可能性もあるため、見直しを検討することが重要です。

プライベートが犠牲になる

「理学療法士は辛い・大変」と言われる理由の一つに、プライベートが犠牲になりやすい点が挙げられます。

理学療法士の仕事は多忙で、サービス残業が日常的だと言われています。

それでも仕事が終わらない場合、症例発表や研究用資料の作成を自宅で行わざるを得ないことも少なくありません。

さらに、休日であっても学会への参加が義務付けられる場合があり、本来の休息の時間が確保できないこともあります。

低い給料と多忙な業務に加え、プライベートの時間まで圧迫される現状に、不満を感じるのも無理のないことでしょう。

患者さんとのコミュニケーションが大変

「理学療法士は辛い・大変」と言われる理由のひとつに、患者さんとのコミュニケーションの難しさがあります。

特に、1セッションで3単位(60分間)が必要な場合、リハビリを進めながら患者さんの機嫌を伺い、会話を続ける必要があります。

理学療法士は、患者さんに寄り添うサービス業の側面があるため、気を遣う場面が多く、コミュニケーションに疲れてしまうこともあります。

リハビリ自体が「体力的に大変」と感じる人はあまりいませんが、初対面の方との会話が苦手な方には精神的に負担となる可能性があります。

例えば、仲の良い友人と話すのと、知らない方と話すのでは、全く異なる感覚ですよね。

それと同じように、患者さん一人ひとりに合わせた対応が求められるのです。

患者さんの考え方や性格は十人十色で、共通の話題が見つかる場合もあれば、そうでない場合もあります。

そんな中で、20~60分間、密接なやり取りを続けることに負担を感じる人もいるでしょう。

理学療法士の仕事には、そうした側面もあることを知っておくことが大切です。

人間関係が複雑

「理学療法士は辛い・大変」といわれる理由の一つに、職場の人間関係の複雑さが挙げられます。

特にリハビリ職では、上下関係が厳しいことが多く、それが原因で退職を選ぶ人も少なくありません。

上司の指示に従わざるを得ない環境が強く、新人が不満や困難を感じるケースも多いです。

リハビリ職の現場では依然としてハラスメントが見受けられるのが現状です。

このような職場環境の改善が、今後の課題となっています。

勉強する範囲が広くて大変

理学療法士として知識やスキルを向上させるには、医学、生理学、薬学など、多岐にわたる分野の理解が求められます。

特に、脳や整形外科、神経系といった専門領域の知識を深めるためには、時間と労力を要し、その学習には大きな負担が伴うこともあります。

さらに、医学の進歩により、新しい治療法やアプローチが次々と生まれています。

理学療法士はこうした最新情報を常に把握し、患者さんに最適なケアを提供するために、継続的に学び続けることが不可欠です。

他職種との人間関係が大変

理学療法士は、患者さんだけでなく、医師や看護師、作業療法士などの他職種と密接に連携する必要があります。

その過程で、意見が食い違ったり、コミュニケーションがうまくいかなかったりすることがあり、人間関係にストレスを感じる場面も少なくありません。

異なる専門分野の人々と協力することは、患者さんに最適なケアを提供する上で欠かせませんが、その分、調整や意思疎通が課題となることもあります。

そのため、協調性を高める努力や、コミュニケーションスキルを磨くことが求められます。

リハビリの効果が出ない

理学療法士は、患者さんのリハビリテーションを支援し、健康回復を目指す重要な役割を担っています。

しかし、患者さんの病状や個人差によっては、リハビリの効果が思うように現れないこともあります。

このような場合、理学療法士自身が挫折感を感じることも少なくありません。

リハビリの成果には、患者さんとの円滑なコミュニケーションや、正確な評価が大きな影響を与えます。

そのため、患者さん一人ひとりに合った最適な治療方法を見つけるために、チームと協力しながら柔軟に対応する姿勢が求められます。

歩行介助や移乗で腰が痛くなることも

理学療法士は、患者さんのリハビリテーションを支援する中で、歩行のサポートやベッドからの移乗といった身体的な作業を行うことがあります。

これらの作業は患者さんの安全を守るために重要ですが、長時間にわたって行うことで腰に負担がかかり、腰痛を引き起こす可能性があります。

特に、高齢者や重度の患者さんのサポートでは、より多くの体力と技術が求められます。

そのため、腰痛や肩こりなどの身体的負担に対処するためには、日々の自己ケアや適切なエクササイズを取り入れることが大切です。

以上が、理学療法士にとって大変なこと10選のご紹介でした。

次に理学療法士を目指す上で大変なことをご紹介いたします。

理学療法士になるのも大変?

理学療法士として働くには、国家資格の取得が必要です。

この資格を手に入れるためには、さまざまな試練を乗り越える必要があります。

ここでは、理学療法士になるために直面する大変なこと・主な課題について詳しく解説します。

お金がかかる

理学療法士になるためには、まず理学療法学科を設置している専門学校や大学に入学する必要があります。

養成校には、3年制と4年制の専門学校、3年制の短期大学、4年制の大学があります。

大学には国立・公立校と私立校があり、一般的に国立や公立の学校のほうが学費が安い傾向にあります。

たとえば、4年間の学費は約240万円が目安です。

一方、私立校の場合は学校ごとに異なりますが、3年制の専門学校や短期大学では平均して350万~500万円程度、4年制の専門学校や大学では550万~800万円程度とされています。

学費は決して安い金額ではないため、多くの学生が奨学金制度を利用して学んでいます。

実習が大変

学生にとって、学生生活の中で特に重要なイベントのひとつが「臨床実習」です。

学校によって回数や期間は異なりますが、最終学年になると、約2カ月間にわたり病院や施設で実際に患者さんを担当し、リハビリに取り組む実習が行われます。

この実習を通じて、教科書では学べない現場の厳しさや、自分の知識や経験の不足を実感する場面も多いでしょう。

それでも、患者さんと直接コミュニケーションをとり、リハビリを通じて笑顔を見られた瞬間に、「理学療法士になりたい」という目標がより明確になるはずです。

この経験が、その後の学びや成長への大きなモチベーションとなることは間違いありません。

勉強量が多い

養成校では、国家試験に必要な知識を学ぶだけでなく、実際の評価や治療に役立つ実技講習も行われます。

これにより、机上の知識だけでなく、実践的なスキルを身につけることができます。

また、養成校では幅広い分野の基礎を学ぶため、学生には膨大な学習量が求められるのも特徴です。

試験の難易度

理学療法士になるためには、まず学校の入学試験をクリアする必要があります。

学校では、専門的な知識だけでなく、実技試験を行うところも多く見られます。

学生同士で患者役と理学療法士役に分かれ、評価や治療の手順を実践しながら学び、その理解度やスキルをチェックされます。

卒業後にはついに国家試験が。

この試験はマークシート方式で、学校で学んだすべてが試験範囲となります。

一見基礎的な問題が多いように見えますが、幅広い知識を持つことが求められる試験です。

かつて理学療法士の国家試験合格率は90%と高い水準を維持していましたが、近年では70%程度まで下がり、試験の難易度が高まる傾向にあります。

そのためしっかりとした準備が重要です。

以上が理学療法士になるために直面する大変なこと・主な課題でした。

続いて、理学療法士を辞めたいときの対処法3選をご紹介いたします。

理学療法士は大変…辞めたいときの対処法3選

ここでは、理学療法士として働く中で「仕事が辛い」「自分に向いていないかもしれない」と感じて辞めたいときの対処法をご紹介します。

実際に多くのPT(理学療法士)が実践している方法ですので、以下の3つを試すことで悩みの解消につながる可能性があります。

理学療法士の悩みを解決する3つの方法

  1. 時短勤務に契約変更する
  2. 異動を申請する
  3. 転職する

最初の①と②は、現在の職場を辞めずに状況を改善するための方法です。

特に、業務負担が原因で悩んでいる方におすすめです。

一方、③の転職は、職場環境自体が合わない、または根本的に仕事に不満を感じている方に向けた解決策です。

それぞれの方法を検討し、自分にとって最適な選択肢を見つけてみましょう。

以上が理学療法士を辞めたいときの対処法3選でした。

それでは最後に理学療法士を目指すのはやめとけ、と言われることについて考えていきましょう。

「理学療法士を目指すのはやめとけ」って本当?

理学療法士を目指すのはやめとけ、という噂は本当なのでしょうか?

せっかく努力して取得した理学療法士の資格ですから、できるだけ長く、定年まで安心して働き続けたいですよね。

しかし、収入面や体力面での不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、理学療法士としての将来性や仕事の展望について詳しくお伝えします。

理学療法士を目指すのはやめたほうがいいのかどうかの判断材料にしてください。

給料は上がる?

理学療法士の給料についてですが、初任給は他の職業と比較して同等か、やや高めの水準といえるでしょう。

昇給に関しては、多くの病院で「少しずつ、緩やかに上がる」といった傾向があります。

景気の影響を受けにくい職業であるため、減給やボーナスカットといったリスクが少ない一方で、大幅な昇給が期待しづらい点は理解しておく必要があります。

ただし、経験を積んで管理職に昇進すれば、管理職手当が支給されるため、一定の昇給が見込める可能性があります。

肉体労働は続く?

冒頭でも触れたように、リハビリ業務には肉体労働が伴います。

現場で働き続ける限り、妊娠や病気など特別な理由がない場合は、基本的にこの肉体労働が続くことになります。

しかし、管理職に昇進すると、現場でのリハビリ業務の比重が減り、事務処理やデスクワークが中心となる傾向があります。

「理学療法士はやめとけ」という意見に迷っている方も多いと思います。

そこで、私からお伝えしたいのは次のことです。

結論:理学療法士を目指すかどうかは、自分でしっかり考えて決めましょう。

他人の意見だけで進路を決めてしまうと、後悔する可能性が高いからです。

人生の選択は自分自身でしっかり悩み、考え抜いて判断することが大切です。

人それぞれ得意不得意や好き嫌いがありますし、実際にやってみなければ向いているかどうかはわかりません。

理学療法士として働けば、生活に困ることは少ないかもしれませんが、給料が安く、昇給も期待しづらい現状があります。

一方で、業務量や責任は増えることが多いです。もし安定した職を求めるのであれば理学療法士は適職でしょう。

しかし、裕福な生活を目指すなら、他の選択肢を検討することも一つの方法です。

自分が何を求めているのか、どんな働き方をしたいのかをしっかり考えることが大切です。

理学療法士の資格は転職にも役立つため、「とりあえず資格を取ってみる」というアプローチも可能です。

実際に働きながら適性を確認し、その後に別の職業に転職することもできます。

周りの意見に流されて「理学療法士はやめたほうがいい」と決めるのではなく、自分の意思で「やる」「やらない」を判断してください。

その選択が、後悔しない未来をつくる第一歩になります。

理学療法士は、患者さんの人生に寄り添いながら健康をサポートする素晴らしい仕事ですが、その分、大変なことも少なくありません。

体力的な負担、精神的なプレッシャー、さらには人間関係やキャリアアップの悩みなど、さまざまな課題があります。

しかし、大変さの裏には患者さんの感謝や回復の喜びを共有できるやりがいがあります。

また、課題を乗り越えるためには、自分自身のスキルアップや職場環境の見直し、ストレス管理が大切です。

理学療法士としての仕事を通じて得られる成長や充実感は、これらの困難を乗り越える原動力となるでしょう。

理学療法士を目指す方も、すでに働いている方も、今回の記事を参考にして、理学療法士という仕事を前向きに捉え、自分らしい働き方を見つけてください。

しかし、どうしても辛いときは無理をする必要はありません。

理学療法士の経験を活かしてセカンドキャリアを目指すことも選択肢の一つでしょう。

以下の記事では、理学療法士のセカンドキャリアについて解説しています。

こちらの記事もぜひご参考にしてみてください。

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