作業療法士の資格を活かせる仕事は?主な活躍場所から意外な職場まで
作業療法士の資格を活かせる仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。
作業療法士の職域は多岐にわたります。
代表的な職場から意外な職種まで、様々な就職先が用意されています。
作業療法士の資格を活かせる仕事の分野は幅広く、医療機関はもちろん、福祉施設や教育現場、企業など、多様な職場で活躍の場があります。
それぞれの職場で、対象者の状況に合わせた支援を行うことが求められます。
作業療法士を目指している方や、就職活動を控えている方、転職を検討している方は、この多彩な職域を参考にしてみてはいかがでしょうか。
あなたのスキルとやりがいを最大限に発揮できる職場を見つけられるかもしれません。
作業療法士の資格を活かせる仕事の現場
作業療法士の資格を活かせる仕事の現場は以下の通りです。
- ・病院
- ・介護施設
- ・障がい者施設
- ・児童福祉施設
作業療法士は、身体障害、精神障害、発達障がい、老年期障害の4つの分野で活躍しており、それぞれの分野で対象者や勤務先が異なります。
日本作業療法士協会の統計によると、作業療法士の主な就職先は以下のようになっています。
病院が最も多く、全体の56.3%を占めています。
次いで介護施設が13.5%、その他の施設が27.3%となっています。
つまり、作業療法士の7割近くが病院や介護施設で働いているのが現状です。
特に病院では、一般病床のほか、回復期リハビリテーション病棟や精神病院などでも多数の作業療法士が活躍しています。
一方、介護施設での就業者も少なくありません。
このように、作業療法士は医療・福祉の分野で幅広く活躍しているのが特徴といえるでしょう。
病院
医療施設で働く作業療法士は、患者一人ひとりに合わせたリハビリテーションの提案が主な業務です。
急性期の患者には早期の機能回復を目指し、回復期の患者には基本動作から社会復帰まで、個別のニーズに応じたアプローチを行います。
さらに慢性期の患者に対しては、日常生活動作の向上をサポートするなど、患者の状態に応じて柔軟に対応が求められます。
一方、精神科病院に勤務する作業療法士は、統合失調症やうつ、認知症などの精神疾患患者を支援の対象としています。
創作活動やレクリエーションを通じて、患者が病気と向き合い、自立した生活を送れるよう支援しています。
介護施設
介護現場で活躍する作業療法士は、利用者の身体的・精神的リハビリテーションを担当しています。
身体的障害のある利用者には日常生活動作のリハビリを、精神的障害のある利用者には症状に合わせたリハビリを提供しています。
また、介護士や家族への介護指導や、レクリエーション企画・実施など、幅広い業務を担っています。
介護老人保健施設、老人ホーム、デイサービス、訪問リハビリなど、様々な介護現場で活躍しており、特に介護老人保健施設では利用者の在宅復帰支援を目的として、作業療法士の需要が高くなっています。
作業療法士の資格は、機能訓練指導員としての要件にもなっています。
機能訓練指導員は、介護施設で利用者一人一人の身体機能回復や健康維持を目的とした機能訓練を行う職業です。
通所介護サービスでは人員配置が義務付けられているため、作業療法士の求人も常に一定のニーズがあるといえるでしょう。
障がい者施設
作業療法士は、知的・発達・身体の各種障がいを抱える人々に対し、日常生活動作の回復や社会復帰支援を担う重要な役割を担っています。
障がい者施設で働く作業療法士の主な業務は、生活機能の改善と就労支援です。
個々の障がいの特性に合わせて、身体機能の維持・向上を図る訓練を行うとともに、一般企業への就職を目指す人に対して、必要な作業能力の評価と習得のための支援を行います。
具体的には、施設利用者の日常生活動作を評価し、その困難点に応じた訓練プログラムを立案・実施します。
一方で就労支援では、企業の業務内容や就業環境を踏まえ、利用者の作業能力を見極め、就職後の順調な業務遂行に向けた準備を行います。
このように、作業療法士は障がい者の自立と社会参加を促進する重要な専門職として、多岐にわたる支援を提供しているのです。
児童福祉施設
作業療法士は発達障がいの分野において専門性を有しており、児童発達支援事業所や児童発達支援センターといった施設で活躍しています。
これらの施設は、就学前の障がいを抱える子どもたちのための通所支援拠点です。
児童発達支援事業所は地域に広く点在し、より身近な療育の場となっています。
一方、児童発達支援センターは基本的な福祉サービスに加え、訪問支援や障がい児支援計画の作成など、地域支援の機能も備えています。
作業療法士は、これらの施設において、一人ひとりの子どもに合わせた個別支援計画の作成や直接的なケアの提供、さらには保育園への助言や支援など、多様な役割を担っています。
以上が、作業療法士の資格を活かせる仕事の現場でした。
次に、作業療法士の資格が活かせるその他の職場をご紹介します。
作業療法士の資格を活かせる仕事は他にもたくさんある
作業療法士の資格を活かせる仕事は、一般的な就職先以外にも多数存在します。
例えば、企業の福祉部門での就労支援、障がい者支援施設での生活支援、学校での発達支援、行政の福祉部門での相談業務など、幅広い分野で活躍の場が広がっています。
作業療法士の専門性は、様々な場面で活かすことができるのが特徴といえるでしょう。
作業療法士の養成施設
教育の場での活躍も作業療法士の選択肢の一つです。
大学や専門学校の作業療法関連学部で教鞭を取ることで、これからの作業療法士を育成する機会が得られます。
教員としての役割は、学生への講義や実習指導、国家試験対策など多岐にわたります。
ただし、この道を選ぶには一定の条件があります。
すなわち、現場での5年以上の実務経験と、厚生労働省が定める専任教員講習会の修了が求められます。
スポーツトレーナー
スポーツ界で活躍できる国家資格といえば、理学療法士が有名かもしれませんが、作業療法士もまた重要な役割を果たしています。
作業療法士は、スポーツそのものを治療の手段として活用し、運動選手の心身両面をサポートすることができるのです。
実際に、作業療法士の中には、その資格を活かしてスポーツトレーナーとして活躍している者もいます。
特に、ハンドセラピーや手の外科といった分野は作業療法士の得意分野であり、専門性を高めれば、さらなる需要が期待できるでしょう。
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がい者の方々の生活環境を改善するためのアドバイザーです。
彼らは利用者の住環境を詳細に把握し、問題点を整理します。
そして、より安全で快適な生活を送れるよう具体的な改善策を提案します。
この職種は医療、介護・福祉、建築など幅広い分野で活躍できるため、これまでのスキルや経験を活かしてフリーランスとして活動する作業療法士の方々もいます。
リハビリ機器や福祉用品を扱う関連企業
作業療法士の経験を活かして、リハビリ機器や福祉用品を扱う関連企業で働くのも選択肢の一つです。
直接リハビリを行うのではなく、機器や用具の提供を通して、間接的に患者さんや医療従事者をサポートする仕事です。
このような企業では、作業療法士の知識や経験が活きる営業や技術支援などのポジションが見つかりやすいでしょう。
このように、作業療法士の資格を活かせる仕事はたくさんあります。
最後に、作業療法士が就職先を探す際のポイントについてご紹介します。
作業療法士が就職先を探す際のポイント
作業療法士の皆さん、さまざまな就職先からあなた自身にぴったりの職場を見つけるには、どのような点に注目すべきでしょうか。
作業療法士の就職先選びのコツを見ていきましょう。
作業療法士は多様な分野で活躍できる専門職です。
医療機関はもちろん、福祉施設、学校、企業など、幅広い選択肢があります。
自分の興味関心や得意分野に合った職場を見つけることが重要です。
また、職場の雰囲気や人間関係、働きやすさなども見逃せません。
上司や同僚とうまくコミュニケーションが取れるかどうか、ワークライフバランスが保てるかどうかなど、自分に合った環境かどうかを慎重に検討しましょう。
自分がどんなリハビリを行いたいか
作業療法士が提供するリハビリテーションは、その専門領域によって大きく異なります。
身体障がい領域では基本動作の訓練が中心となりますが、精神障がい領域ではより心理的な要因の分析と評価が重要になります。
一方、発達障がい領域では、遊びを通じた身体と脳の両面の発達支援が求められます。
このように、作業療法士の仕事内容は、担当する領域によって大きく変わってきます。
したがって、自分の興味関心や得意分野を踏まえて、どのようなリハビリを行いたいかを考えることが重要です。
どんな人を支援したいか
自分のキャリアを考える際、具体的なリハビリ活動よりも、どのような人々を支援したいかという目標を先に定めることが重要です。
例えば、精神的な課題を抱える人々の力になりたいと考えるなら、精神科領域への就職を検討するでしょう。
一方で、じっくりと個々の患者さんと向き合いたいと思うなら、療養型病院などの慢性期医療分野が適切かもしれません。
このように、自分の支援したい対象者像を明確にすることで、自ずと就職先の選択肢が絞り込まれていくでしょう。
条件を整理して、優先順位をつけよう
作業療法士を目指す者にとって、自身のリハビリ方針や支援対象者の希望は重要な選考基準でしょう。
しかし、それ以外にも職場環境や待遇など、検討すべき要素は数多く存在します。
理想の条件を100%満たす企業を見つけるのは容易ではありません。
そのため、まずは自身の希望条件を明確化し、優先順位をつけて求人を検討することが賢明です。
仕事内容、給与水準、福利厚生、雇用形態、ワークライフバランスなど、様々な観点から企業を吟味し、最適な選択肢を見出していくことが重要でしょう。
以上が、作業療法士が就職先を探す際のポイントでした。
作業療法士の就職先は多岐にわたります。
以下の記事では、作業療法士の転職先についてさらに詳しくご紹介しています。
大部分は病院や介護施設でリハビリテーションに携わっていますが、障がい福祉や児童福祉など、さまざまな分野で活躍しています。
提供するリハビリや業務内容は職場によって大きく異なるため、自身の志向性に合わせて、適切な就職先を選ぶことが重要です。
「どのようなリハビリを行いたいか」「どのような人々を支援したいか」「患者さんとどのように関わりたいか」といった点を十分に検討し、自分に最適な職場を見つけることが求められます。