福祉施設の職員が抱えるストレス・パワハラ問題とこどもプラスの対策
「また今日も仕事に行きたくない…」
朝起きるたびにそう感じている福祉施設職員は決して少なくありません。
実際に福祉施設で働く職員の85.8%が強いストレスを感じており、パワハラが原因で心を病む職員が後を絶たない現状があります。
この記事では、福祉施設で働く職員が直面している深刻なストレス問題とパワハラの実態を詳しく解説します。
こどもプラスの対策についてもご紹介しますので、是非参考にしてください。
「また今日も憂鬱…」福祉施設の職員が直面しているストレス
福祉施設職員のストレス問題は、もはや個人の問題ではなく、業界全体が抱える構造的な課題となっています。
厚生労働省の令和5年労働安全衛生調査では、仕事や職業生活に関する強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者の割合が82.7%に達しており、
前年の82.2%からさらに上昇しています。
これは一般的な職業と比較して極めて高い数値であり、業界全体が構造的な問題を抱えていることを示しています。
さらに深刻なのは、メンタルヘルス不調による休職・離職者の存在です。
厚生労働省の同調査によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.4%、
退職した労働者がいた事業所の割合は6.4%となっており、職場での精神的負担の深刻さが浮き彫りになっています。
福祉職員を苦しめる5つの主なストレス要因
福祉施設で働く職員が日々感じているストレスには、以下のような要因があります。
慢性的な人手不足による過重労働
「また今日も残業…」「休憩も取れない…」多くの職員が感じている現実です。
人手不足により一人あたりの業務量が増加し、残業や休日出勤が常態化しています。
急な欠員時には自分の休日も返上せざるを得ない状況が続いています。
複雑で疲れる人間関係
同僚や上司との関係、利用者やその家族との関係など、福祉の現場では多方面での人間関係に気を遣う必要があります。
特に閉鎖的な環境では、ちょっとした意見の違いが大きな亀裂となり、時にはいじめやハラスメントに発展するケースも見られます。
心と体にこたえる身体的負担
夜勤や早朝勤務による不規則な生活リズム、入浴介助や移乗などの重労働により、多くの職員が腰痛や肩こりなどの職業病を抱えています。
コロナ禍以降は感染リスクへの不安も新たなストレス要因となっています。
努力に見合わない給与水準
責任の重さや業務量に対して、給与水準が低いと感じている職員が多いのが現状です。
生活費を稼ぐために夜勤を掛け持ちし、さらに体調を崩すという悪循環に陥るケースも少なくありません。
感情労働としての精神的負荷
常に笑顔を保ち、利用者に寄り添うことが求められる福祉の仕事は「感情労働」と呼ばれています。
内心でイライラや悲しみを感じても、それを表に出すことはできません。
この感情の抑制が長期間続くことで、大きな精神的負担となっています。
これらの福祉施設職員が抱えるストレス要因は単独で存在するのではなく、複合的に作用することで職員の心身に深刻な影響を与えています。
次に、特に深刻な問題となっているパワハラの実態について詳しく見ていきましょう。
「もう限界かも…」パワハラによる職員への影響
パワハラによる職員への影響は想像以上に深刻で、心身の健康に長期的なダメージを与えます。
多くの職員が経験している具体的な症状を見てみましょう。
心の健康への深刻な影響
パワハラを受けた職員の多くが、燃え尽き症候群(バーンアウト)、うつ病、適応障害などの精神的な不調を訴えています。これらは単なる「疲れ」や「やる気の問題」ではなく、医学的に認められた深刻な疾患です。
最初に現れる典型的なサインとして、「朝起きるのがつらい」「仕事のことを考えると動悸がする」「何をやっても楽しくない」といった症状があります。
これらは単なる憂鬱な気分ではなく、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで起こる生理的な変化です。
症状が進行すると、さらに深刻な変化が現れます。
記憶力の減退や思考力の鈍化といった認知機能の低下により、普段なら簡単にできる判断ができなくなったり、利用者の名前が思い出せなくなったりします。
感情のコントロールも困難になり、突然泣き出したり、逆に感情が麻痺して何も感じなくなることもあります。
最も注意すべきは重篤化のサインです
- 長期休職が必要な状態への進行
- 自傷行為や自殺念慮の出現
- アルコールや薬物への依存傾向
多くの職員が「自分はダメな人間だ」「みんなに迷惑をかけている」という強い自己否定感に苦しみ、社会的に孤立していきます。
このような状態は放置せず、早期の専門的な支援を受けることが極めて重要です。
身体に現れる様々な症状
精神的なストレスは心だけでなく、身体にも明確で深刻な影響を与えます。
これは医学的に「心身症」と呼ばれ、決して珍しいことではありません。
最も多くの人が経験するのが睡眠障害です。
-
- ベッドに入っても2時間以上眠れない
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝早く目覚めてしまう
パワハラの場面が悪夢として繰り返し現れることもあり、十分な休息が取れなくなります。
食事や消化器系にも大きな変化が生じます。
食べ物を見ても食べたいと思わない状態になったり、逆にストレス発散のために異常に食べてしまうこともあります。常に胃がムカムカして胃薬が手放せなくなったり、下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群を発症するケースも少なくありません。
身体症状で特に注意が必要なもの
- 動悸や息切れ(階段を上らなくても心臓がドキドキする)
- 慢性的な頭痛や肩こり、腰痛
- めまいやふらつき、手足のしびれ
皮膚や免疫系にも影響が現れ、ストレスホルモンの影響で肌荒れやニキビが増加し、円形脱毛症を発症することもあります。
免疫力が低下するため風邪をひきやすくなり、既存の皮膚疾患が悪化することもよくあります。
これらの症状により、集中力不足で作業効率が大幅に低下し、普段しないようなミスを繰り返すようになります。
利用者や同僚との適切なコミュニケーションも困難になり、緊急時の判断力も鈍ってしまうため、職場全体の安全性にも影響を与えかねません。
大切なのは、これらの症状を「甘え」だと思わないことです。
医学的に認められた症状であり、適切な治療により改善できます。
症状に気づいたら、専門医への相談、職場への報告、そして信頼できる人への相談を躊躇しないでください。
現場で起きている深刻な事例
福祉業界におけるパワハラの実態は、残念ながら決して珍しいものではありません。
ある介護施設では、管理職からの過度な叱責により職員が休職に追い込まれました。
この出来事をきっかけに、チーム全体のモチベーションが著しく低下し、連鎖的に離職者が増加する事態となりました。
同様の問題は業界全体で散見される深刻な課題となっています。
別の施設では、職員間のいじめが長期間放置されたことで、経験豊富で優秀な職員の退職が相次ぎました。
結果として、サービス品質の低下と人手不足の深刻化という悪循環に陥り、施設運営そのものが困難な状況に陥った事例も報告されています。
パワハラが職場全体に与える負の連鎖
影響の段階 | 職員への影響 | 職場への影響 | サービスへの影響 |
---|---|---|---|
初期段階 | 不安・恐怖感の増大 | 職場の雰囲気悪化 | コミュニケーション不足 |
進行段階 | 集中力・判断力の低下 | チームワークの崩壊 | ケアの質の低下 |
深刻段階 | 休職・離職の増加 | 人手不足の深刻化 | 事故リスクの増大 |
このように、福祉施設職員が抱えるストレス被害は個人にとどまらず、職場全体、そして最終的には利用者へのサービス品質にまで深刻な影響を及ぼします。
このような状況を改善するためには、職場全体での取り組みが不可欠です。
最後に、こどもプラスが掲げるパワハラのない職場への取り組みをご紹介します。
こどもプラスのストレス軽減・パワハラ防止対策|職員の心身の健康を第一に考えた職場づくり
こどもプラスでは、施設職員が抱える深刻なストレス問題とパワハラによる健康被害を防ぐため、職員の心身の健康を最優先に考えた職場環境づくりに取り組んでいます。
「また今日も仕事に行きたくない」と感じることのない、安心して働ける環境を実現しています。
ストレス軽減とメンタルヘルスケアの充実
職員の心の健康を守るため、定期的なストレスチェックを実施し、結果に応じた個別面談などで相談しやすい環境づくりを行っています。
心身の不調が業務に影響する前に、早期にケアを行うことを重視しており、職員が「つらい」と感じたときにすぐに相談できる体制を整えています。
管理者等の担当者が定期的に一人ひとりと面談を行い、日頃の悩みを気軽に相談できる環境をつくっています。
また、直接話しにくい場合でも相談しやすいよう、チャット機能等の連絡ツールも活用し、職員が孤立することなく心の負担を軽減できるよう配慮しています。
人手不足解消と業務負担の軽減
慢性的な人手不足による過重労働を防ぐため、経験年数や資格に応じた適正な人員配置を行っています。
一つの業務に対して担当できる職員を2名以上置くことや業務マニュアルを整備することで、特定の職員に負担が集中しないよう配慮しています。
事務作業の効率化を図るためのシステムソフトの導入も進めており、事務業務の時間を削減し、残業のない職場環境をつくることを目指しています。
管理者等の担当者が個人の有給休暇の取得率を把握して個別に取得を促す体制も整えており、しっかりと休息を取れる職場環境を実現しています。
パワハラ防止と早期発見の徹底
パワハラによる心身への深刻な影響を防ぐため、ハラスメントに関する相談ができる専用窓口を設置し、行政機関による相談先についても職員に周知しています。
ハラスメント防止に関する指針を明確に定め、すべての職員が安心して働ける環境づくりに努めています。
月に1回程度の定期ミーティングを職員全員で行い、課題の共有や解決策の検討を行っています。
小さな問題や違和感も早めに話し合える環境をつくることで、パワハラに発展する前に問題を解決し、職場全体の負の連鎖を防いでいます。
新人職員の心の負担を軽減
福祉の仕事が初めての方や転職してきた方の心の負担を軽くするため、新入職員に対する先輩職員によるサポート制度を導入し、先輩職員が継続的にサポートする体制を整えています。
入職時には段階的な研修を実施し、仕事の心構えや療育の基礎知識から感染症対策、虐待防止といった法定研修まで、職員が安心してスタートできる環境を提供しています。
「わからないことがあっても大丈夫」という安心感を持って働けるよう、丁寧なサポートを行っています。
職員の努力と成長を適切に評価
努力に見合わない給与という問題を解決するため、経験年数や資格に応じた昇給制度を導入しています。
職員の成長や努力が適切に給与に反映される仕組みを整えることで、やりがいを持って働き続けられる環境をつくっています。
支援に係る資格や研修の受講を職員全員に促しており、研修参加日・試験日の特別有給休暇や受講料の助成も行い、職員のスキルアップを会社がしっかりとサポートしています。
利用者からの謝意や好事例を定期会議にて全体共有を行い、職員のやる気向上につなげています。
女性職員が安心して働ける環境
感情を使う仕事による負担が特に大きい女性職員が安心して働けるよう、産休・育休取得率と復帰率の向上を目指すと共に、子育て中の職員に対する時短勤務制度も導入しています。
人生の変化に応じて柔軟に働ける環境を整えており、長期的なキャリア形成を支援しています。
このような様々な取り組みにより、こどもプラスでは職員のストレス軽減とパワハラ防止を実現し、心身ともに健康で安心して働ける環境をつくっています。
「毎朝仕事に行くのがつらい」「人間関係で悩んでいる」という不安をお持ちの方も、こどもプラスなら安心して新しいスタートを切ることができます。
こどもプラスでは、心身の健康を大切にしながらこどもたちの成長を一緒に支えてくださる職員を募集しています。
ストレスのない職場環境で、あなたも安心して福祉の仕事に取り組んでみませんか?