放課後等デイサービス(放デイ)の就職・転職活動において、志望動機は合否を分ける最も重要な要素の一つです。
特に障がい児支援の現場では、スキルや経験以上に「なぜここで働きたいのか」という熱意や人柄が重視されます。
この記事では、採用担当者の心に響く志望動機の作り方、転職・背景別の例文、面接での答え方まで、履歴書作成から面接突破までを徹底的にサポートします。
放課後等デイサービスの志望動機で採用担当者が見る点
採用担当者は、志望動機から以下の3点を確認しています。
①熱意と適性
本当に障がい児支援に意欲があるか。子どもと向き合う忍耐強さや優しさを持っているか。
➁理解度
放課後等デイサービスの役割(単なる預かりではなく「療育」の場であること)を正しく理解しているか。
➂定着可能性
自社の理念や療育方針とマッチし、長く働いてくれる人材か。
これらの点を押さえた志望動機を作成することが、内定への第一歩です。
放課後デイ志望動機の「核」を作る3つのポイント
ありきたりな内容を避け、あなた自身の言葉で伝えるために、以下の3ステップで志望動機の「核」を作りましょう。
1. 「なぜ他ではなく、放課後等デイサービスか」を明確に
子どもと関わる仕事は他にもあります(保育園、児童発達支援、学童など)。その中で「なぜ放デイなのか」を明確にする必要があります。
| 施設形態 | 対象年齢 | 主な目的・特徴 |
| 放課後等デイサービス | 6歳~18歳 (小中高) | 障がいのある子の療育・自立支援・居場所提供 |
| 児童発達支援センター | 0歳~6歳 (未就学) | 障がいのある子の早期療育・発達支援 |
| 保育園 | 0歳~6歳 (未就学) | (障がいの有無問わず)日中の保育・基本的な生活習慣 |
| 学童 (放課後児童クラブ) | 6歳~12歳 (小学生) | (障がいの有無問わず)放課後の生活・遊びの場(預かり) |
<動機に繋げる例>
- 「保育園での経験から、就学後の長期的な成長と自立を支援したいと思った」
- 「学童とは違い、SST(ソーシャルスキルトレーニング)など専門的な療育に携わりたい」
- 「自らの障がい経験(または家族の経験)から、学齢期の子どもたちの可能性を広げる仕事がしたい」
2. 「なぜその施設か」で理念への共感を示す
日本全国に放デイ施設は多数あります。「数ある施設の中で、なぜうちを選んだのか」という問いに答える必要があります。
施設の理念・方針を徹底的に調べる
・公式HPの「理念」「代表挨拶」
・療育プログラムの内容(運動療育、学習支援、音楽療法、SSTなど)
・ブログやSNS(X, Instagram)での活動の様子
自分の価値観と結びつける:
(例)「貴施設の『個性を伸ばす』という理念に共感しました。私も前職で、一人ひとりの得意分野を見つけることを大切にしてきたからです」
(例)「運動療育に力を入れている点に惹かれました。私自身、学生時代に〇〇を続けた経験があり、体を動かすことが自己肯定感に繋がることを実感しています」
3. 「どう貢献できるか」で経験・スキルを繋げる
最後に、あなたの経験がどう活かせるかを具体的にアピールします。未経験者でもアピールできることは必ずあります。
経験者の場合
保育・介護経験:
「集団生活での配慮」「個別支援計画の作成補助」「保護者対応」
児童指導員・児発管経験:
「アセスメント」「SSTの実践経験」「関係機関との連携」
未経験者の場合
一般企業(事務職):
「正確な事務作業(記録作成)」「PCスキル」「スケジュール管理能力」
接客・営業職:
「高いコミュニケーション能力」「傾聴力」「保護者対応への応用」
主婦(夫)経験:
「子育て経験」「マルチタスク能力」「地域の情報に明るい」
放課後等デイサービス志望動機【NG例と改善OK例】
ありがちなNG例と、ポイントを押さえたOK例を比較します。
NG例(未経験者の場合)
NGポイント:
- 「子どもが好き」だけでは具体性に欠ける。 (保育園や学童ではなく「なぜ放デイなのか」が不明瞭)
- 「興味がある」だけでは熱意が伝わらない。 (採用側は「貢献意欲」を知りたい)
- 「勉強させていただきたい」という受け身の姿勢はNG。 (施設は学校ではなく、「貢献してくれる人」を求めている)
OK改善例(未経験者の場合)
OKポイント:
- 「なぜ放デイか」が明確になっている。 (「自立支援」という言葉で、放デイの役割を理解していると伝わる)
- 「どう貢献できるか」を提示できている。 (未経験でも「傾聴力を活かす」と、貢献できるスキルを示している)
- 「主体的な姿勢」をアピールできている。 (「主体的に学びながら貢献したい」という言葉で、前向きな意欲が伝わる)
放課後デイ志望動機【転職・背景別】例文4選
あなたの状況に合わせて例文をアレンジしてご活用ください。
例文1:保育園・幼稚園からの転職
「保育士として〇年間、未就学児の成長に携わってまいりました。集団生活の中で配慮が必要な子どもたちと接するうち、一人ひとりの特性に合わせた専門的な支援を行いたいという思いが強くなりました。
特に学齢期は、社会性を身につける重要な時期であり、長期的な視点で自立を支援できる放課後等デイサービスに魅力を感じています。
貴施設は、学習支援とSSTのバランスが取れたプログラムを実践されており、前職で培った『子どもの小さな変化に気づく観察力』と『保護者に寄り添う傾聴力』を活かし、子どもたちの『できた』を一つでも多く増やせるよう貢献したいです。」
例文2:他福祉施設(障がい者支援・介護等)からの転職
「障がい者就労移行支援施設で、〇年間生活支援員として勤務しました。利用者様の多くが、学齢期にもっと適切な支援を受けたかったと話されるのを聞き、児童期の療育の重要性を痛感しました。
(なぜ放デイか)
子どもたちが将来、社会で自分らしく生きるための『土台作り』に関わりたいと考え、放課後等デイサービスへの転職を決意しました。
(なぜその施設か)
貴施設の『地域交流を重視し、社会参加を促す』という理念は、前職で感じていた課題意識と強く一致します。成人の支援現場で培った『本人の意思を尊重する姿勢』と『関係機関との連携経験』を活かし、子どもたちとご家族の双方を支えていきたいです。」
例文3:未経験・他業界からの転職
「前職では〇〇(一般企業名)で営業事務として〇年間、顧客対応とデータ管理を担当しました。正確さとスピードを求められる業務を通じ、PCスキルと調整能力を磨いてきました。
(志望のきっかけ)
学生時代に障がい児支援のボランティアに参加した経験があり、いつか福祉の仕事に就きたいと強く願っていました。
(なぜ放デイか)
放課後等デイサービスが、子どもたちの放課後の居場所であると同時に、専門的な療育の場であると知り、深く興味を持ちました。
(貢献)
未経験の分野ではありますが、前職で培った事務処理能力は日々の支援記録の作成などで活かせると考えます。また、持ち前の明るさとコミュニケーション能力で、一日も早く子どもたちとの信頼関係を築き、貢献していきたいです。」
例文4:放課後デイサービス バイト・パート希望の場合
「現在、子育てが一段落したため、地域の力になれる仕事を探していました。私の子どもが小学生の時、同級生が放課後等デイサービスに通っており、そこで日々成長していく姿を見て、この仕事の意義深さを感じていました。
(経験)
障がい児支援の直接的な経験はありませんが、〇年間の子育て経験や、PTA役員として多様な保護者の方と連携してきた調整力があります。
(貢献)
貴施設は、近隣の小学校とも連携し、地域に開かれた運営をされている点に魅力を感じています。まずはパートとして、送迎業務や支援の補助など、職員の皆様のサポート役として着実に貢献したいです。」
放課後等デイサービス志望動機【職種別】例文
希望する職種によって、アピールすべきポイントが変わります。
例文1:児童指導員・保育士
「大学で社会福祉学を専攻し、児童指導員任用資格を取得しました(または、保育士資格を保有)。実習で放課後等デイサービスを訪問した際、職員の方々が一人ひとりの特性を深く理解し、その子に合った声かけを工夫されている姿に感銘を受けました。
私は、子どもたちが安心して自己表現できる『居場所』を作ることが支援の第一歩だと考えます。貴施設の『自己肯定感を育む』という理念の下、子どもたちの目線に立ち、小さな成功体験を積み重ねるサポートを全力で行いたいです。」
例文2:児童発達支援管理責任者(児発管)
「児童指導員として〇年間、放課後等デイサービスで実務経験を積んでまいりました。支援を行う中で、より深くご家族のニーズに応え、一貫した療育を提供するためには、個別支援計画の作成が不可欠であると痛感し、児童発達支援管理責任者の資格を取得しました。
(なぜその施設か)
貴施設は、関係機関(学校・相談支援事業所)との連携を密にし、地域全体で子どもを育てる姿勢を貫いておられます。前職で培った連携の経験とアセスメントスキルを活かし、ご家族に最も近い立場で伴走できる児発管として、貴施設の療育の質向上に貢献したいです。」
放課後デイサービス 履歴書・面接での重要Q&A
履歴書だけでなく、面接での受け答えも重要です。よくある質問への準備をしておきましょう。
Q. なぜ前職(保育園など)を辞めようと思ったのですか?
<回答のポイント>
ネガティブな理由(人間関係、給与など)をそのまま伝えるのはNGです。必ず「放デイで実現したいこと」に繋がる、ポジティブな転職理由に変換してください。
<回答例>
「保育園での仕事は非常にやりがいがありましたが、集団保育の中では一人ひとりと向き合う時間に限界も感じていました。今後は、より専門性の高い環境で、障がいのある子どもたちの個性に寄り添った長期的な支援に携わりたいと考え、転職を決意しました。」
Q. 障がいのある子どもと接する上で、何が一番大切だと思いますか?
<回答のポイント>
あなたの支援に対する「軸」が問われています。正解はありませんが、施設の理念と大きくかけ離れないよう注意しましょう。
<回答例>
「『その子の可能性を信じること』が最も大切だと考えます。できないことに目を向けるのではなく、その子なりのペースや得意なことを見つけ、小さな『できた』を一緒に喜ぶ姿勢が、子どもの自己肯定感と信頼関係に繋がると信じています。」
Q. 保護者対応で気をつけることは何ですか?
<回答のポイント>
保護者支援も放デイの重要な役割です。傾聴と共感の姿勢を示しましょう。
<回答例>
「保護者様の不安や悩みに『共感し、傾聴する』ことを第一に心がけます。支援者として一方的に指導するのではなく、ご家庭での様子を丁寧に伺い、施設での成長を具体的に共有することで、一緒に子どもの成長を支えるパートナーとしての信頼関係を築いていきたいです。」
さいごに
放課後等デイサービスの志望動機を作成するプロセスは、単なる書類作成ではありません。それは、「なぜ自分はこの仕事がしたいのか」という原点を見つめ直し、「どのように子どもたちの未来に貢献できるか」を具体的に考える大切な時間です。
この記事で紹介したポイントや例文を参考にしながら、ぜひあなた自身の経験や言葉で、熱意のこもった志望動機を完成させてください。
障がいのある子どもたちの成長と自立を支える仕事は、大きな責任を伴いますが、それ以上に「できた」の瞬間を共に喜べる、計り知れないやりがいに満ちています。
あなたの想いが採用担当者にしっかりと伝わり、希望の職場で活躍されることを心から応援しています。






