「保育士の給料で一人暮らしは可能なのか?」「生活費が高くてきついのでは?」と不安に感じているのではないでしょうか。

特に、これから保育士を目指す学生にとって、経済的な問題は重要なポイントですよね。

結論から言えば、保育士の一人暮らしは可能ですが、地域や生活スタイルによっては工夫が必要です。

家賃の高い都市部では苦しく感じることもありますが、自治体の支援や節約術を活用すれば、無理なく暮らすことができます。

本記事では、保育士の一人暮らしのリアルな実態を「できる場合」「きつい場合」の両面から詳しく解説します。

また、一人暮らしを成功させるためのコツや支援制度についても紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。

保育士の一人暮らしは本当に可能なのか?

保育士の給与で一人暮らしができるかどうかは、勤務地域や経験年数によって大きく異なります。

多くの保育士が一人暮らしの実現に悩む中、実際の数字から検証してみましょう。

保育士の平均給与と手取り額

まず、保育士の平均給与と手取り額を見てみましょう。

年齢階級 平均給与額(月額) 手取り目安
20~24歳 約245,000円 約190,000円
25~29歳 約266,000円 約205,000円
30~34歳 約285,000円 約220,000円

出典: 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

地域別一人暮らしの平均生活費

保育士が一人暮らしをする際の生活費は、勤務地によって大きく異なります。

以下に、主要都市と地方都市における平均的な生活費の目安を示します。

地域 家賃相場 光熱費 食費 その他生活費 合計
東京23区 7~10万円 1.5万円 4万円 4万円 16.5~19.5万円
大阪市 5~8万円 1.5万円 3.5万円 3.5万円 13.5~16.5万円
名古屋市 4~7万円 1.5万円 3.5万円 3万円 12~15万円
地方都市 3~6万円 1.5万円 3万円 2.5万円 10~13万円

その他生活費の内訳例

  • 通信費
  • 交通費
  • 日用品費
  • 交際費
  • 娯楽費

出典:※1 家賃相場:SUUMO、HOME’S、LIFULL HOME’Sなどの不動産情報サイトのデータを総合的に参照※2 光熱費、食費、その他生活費:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)」(令和4年)の単身世帯のデータを参照

これらの数字を比較すると、特に都市部では初任給での一人暮らしが厳しい状況が見えてきます。

東京23区では手取り額のほとんどが生活費に消えてしまい、貯金はおろか、予期せぬ出費に対応するのも難しくなります。

一方、地方都市であれば、保育士の給与でも比較的余裕をもって一人暮らしができる可能性が高まります。

また、公立と私立では1〜2万円の給与差があります。

公立保育園は採用倍率が高いものの、給与面では安定しています。

このように、保育士の一人暮らしは、地域や生活スタイルによって負担が大きく異なることが分かります。

都市部では工夫が必要ですが、地方では比較的余裕をもって生活できる可能性もあります。

次に、一人暮らしが難しくなるケースとその代替案について見ていきましょう。

保育士の一人暮らしが難しいケースと代替案

保育士として一人暮らしをするのが難しくなるケースには、いくつかの特徴的なパターンがあります。

これらの状況に当てはまる場合は、一人暮らしに踏み切る前に慎重な計画が必要です。

一人暮らしが特に厳しくなるケース

  • 都心部での生活: 東京・大阪・名古屋などの中心部では、家賃だけで手取りの半分以上を占めることも
  • 初任給での生活開始: 経験が浅いうちは給与も低く、一人暮らしのスタートとしては厳しい
  • 奨学金返済がある場合: 毎月2〜3万円の返済があると、生活は一気に逼迫
  • 副業が禁止されている園: 追加収入の道が閉ざされると、収支のバランスが取りにくい

一人暮らしが難しい場合の代替案

上記のように一人暮らしが難しい状況でも、工夫次第で対応策はあります。

ルームシェアの活用

  • 同じ職場の保育士や友人とシェアすることで家賃負担を半減
  • キッチンやバスルームの共用で光熱費も節約

実家からの通勤

  • 可能な範囲であれば、数年間は実家から通勤
  • その間に貯金を増やし、将来の一人暮らしに備える

住宅手当のある園を選ぶ

  • 採用情報で「住宅手当あり」の求人を積極的に探す
  • 月1〜3万円の手当がつくだけで生活の余裕が大きく変わる

期間限定での実家暮らし

  • 「3年間は実家で貯金、その後一人暮らし」といった計画を立てる
  • 目標を持つことでモチベーションも維持しやすい

私の同期には、初任給で東京での一人暮らしを始めたものの、半年で挫折して実家に戻った保育士もいます。

彼女は2年間実家で働きながら貯金し、再度一人暮らしに挑戦して成功しました。

このように、一人暮らしが厳しい場合でも工夫次第で負担を軽減することができます。

では、実際に一人暮らしを成功させるためには、どのような工夫が有効なのでしょうか?具体的な方法を詳しく見ていきましょう。

保育士でも一人暮らしを実現する具体的な方法

実際に一人暮らしをしている保育士の中には、さまざまな工夫を取り入れて生活を安定させている人もいます。

特に、家賃の抑え方や食費の節約、住宅手当の活用など、賢い選択が生活の安定につながります。

ここでは、保育士の一人暮らしを成功させるための具体的な方法を紹介します。

家賃を抑える工夫

  • 収入の30%ルールの徹底: 手取り15万円なら家賃は4.5万円以内に設定
  • 駅から少し離れた物件を選ぶ: 駅徒歩15分の物件は5分の物件より1〜2万円安いことも
  • 1階や最上階の物件を検討: 人気が低い階は家賃が抑えられることが多い
  • 古い物件を上手に活用: 築年数が15年以上の物件は新築より3割ほど安い

保育園の近くに住む通勤戦略

通勤時間の短縮は、時間とお金の両方を節約できる賢い選択肢と言えます。

  • 自転車通勤可能な距離に住む: 交通費ゼロで体力づくりにも
  • 朝の準備時間を短縮: 通勤15分なら朝30分長く寝られる
  • 突発的な残業にも対応しやすい: 近ければ急な残業も精神的負担が軽減

住宅手当や家賃補助制度の活用

  • 住宅手当のある園を優先して就職活動: 月1〜3万円の差は年間で12〜36万円の差
  • 自治体の保育士向け住宅補助制度を調査: 東京都など一部自治体では家賃補助制度あり
  • 法人独自の住宅支援制度をチェック: 寮完備や家賃補助付きの園も

食費や光熱費の節約術

  • 園の給食を最大活用: 職員食があれば積極的に利用
  • まとめ買い・まとめ調理: 週末にまとめて作り置きする習慣づけ
  • 光熱費の見直し: LED電球使用、こまめな電源オフで月1,000円の節約も

許可された範囲での副業

  • 保育スキルを活かした副業: ベビーシッターやイベント保育など
  • 在宅でできる仕事: データ入力やWeb記事作成など
  • 季節限定のアルバイト: 長期休暇中の短期集中副業

私自身も5年前に保育士として一人暮らしを始めましたが、最初の1年は本当に苦しかったです。

しかし、園から徒歩15分の古いアパートを選び、自炊を徹底したことで少しずつ生活が安定してきました。

このように、保育士の一人暮らしは工夫次第で十分実現可能です。

ただし、保育士の仕事は不規則な勤務形態も多く、一人暮らしとの両立にはさらなる工夫が求められます。

次に、勤務形態と一人暮らしを両立させる方法を解説します。

保育士の勤務形態と一人暮らしを両立させる方法

保育士の仕事は早番・遅番などシフト制が一般的で、生活リズムを整えるのが難しいと感じることもあります。

一人暮らしをする上で、家事の効率化や健康管理は欠かせません。

ここでは、シフト勤務と一人暮らしを両立させるための具体的な工夫をご紹介します。

早番・遅番がある生活での家事効率化

保育士のシフトは週によって変動することが多いため、シフトに合わせた家事計画が必要です。

早番週の家事プラン

  • 前日の夜に翌日の準備を完了: 朝5時起きでも慌てない準備
  • 帰宅後の時間を有効活用: 早く帰れる日は集中的に掃除や洗濯
  • 簡単朝食の確保: ヨーグルトやバナナなど手軽に食べられるものを用意

遅番週の家事プラン

  • 朝の時間を活用した家事: 出勤前に洗濯機を回す習慣
  • 調理の工夫: 朝のうちに夕食の下準備を済ませておく
  • 帰宅後の負担軽減: 最低限の片付けのみにして早く休む

疲労回復と健康維持の方法

保育士は身体的・精神的に消耗しやすい職業です。

一人暮らしでは自己管理が特に重要になります。

  • 質の高い睡眠確保: 仕事用と休息用の明確な空間分け
  • 効率的なリフレッシュ法: 20分の仮眠や半身浴など短時間で効果的な休息法
  • 栄養バランスの管理: 不足しがちな栄養素(ビタミン、ミネラル)の意識的な摂取

時短家事テクニック

限られた時間で家事をこなすポイントは以下の通りです。

  • 「5分家事」の習慣化: 帰宅後すぐに5分だけ片付け
  • 洗い物を溜めない: 使ったらすぐ洗う習慣
  • 掃除の分散化: 「月曜はキッチン、火曜はバスルーム」など曜日ごとに担当場所を決める

製作物作りと部屋の使い方

保育士は家でも製作物を作ることが多いですが、狭い一人暮らしの部屋でも工夫次第で対応できます。

  • 折りたたみテーブルの活用: 必要な時だけ広げて作業スペースを確保
  • 壁面収納の工夫: 100均の収納グッズで壁を有効活用
  • 季節ごとの収納ボックス: 使わない季節の製作材料は明確にラベリングして収納

私も以前は早番と遅番が混在する週が特に大変でした。

そこで、スマホのリマインダーを活用して「早番前日の夜は22時就寝、遅番の朝は家事3つ」など、シフトごとのルーティンを作りました。

このように、保育士の一人暮らしは、勤務形態に合わせた生活リズムの工夫が重要です。

時間の使い方を工夫することで、シフト勤務でも快適に暮らすことができます。

しかし、仕事のストレスや孤独感と向き合うことも大切です。

次に、一人暮らしで直面する精神的課題とその対処法について考えていきます。

保育士が一人暮らしで直面する精神的課題とその対処法

保育士の一人暮らしでは、仕事のストレスと孤独感という二重の精神的負担に直面することがあります。

これらの課題への対処法を知っておくことが大切です。

こどもと関わる仕事のストレスと自宅でのリセット方法

保育士は一日中、こどもたちのエネルギーに囲まれ、常に笑顔で対応することが求められます。

その緊張から解放される方法を持っておきましょう。

  • 帰宅後の「切り替え儀式」: 玄関を入ったら深呼吸して「ただいま」と声に出す
  • 五感を使ったリラックス法: アロマ、お気に入りの音楽、温かい飲み物など
  • 静けさを楽しむ時間: 一日15分だけでも「何もしない時間」を確保

一人で悩みを抱え込まないためのコミュニティ作り

一人暮らしだからこそ、意識的につながりを作ることも重要です。

  • 同じ園の保育士との関係づくり: ランチや帰り道を共にする機会を作る
  • 地域の保育士サークルへの参加: 園を超えた横のつながり
  • 定期的な実家との連絡: 週に一度は家族と通話する習慣

オンライン・オフラインでの同業者とのつながり方

  • SNSの保育士コミュニティ: インスタグラムやTwitterでの情報交換
  • オンライン勉強会への参加: ZoomやTeamsを使った研修や事例検討会
  • 保育士向けイベントへの参加: 製作物展示会や保育フェスなど

メンタルヘルスを維持するための習慣や環境づくり

  • 「心の天気予報」習慣: 毎日の心の状態を天気に例えて認識
  • 小さな成功体験の記録: 仕事や生活で上手くいったことをメモする習慣
  • 部屋の居心地を高める工夫: 観葉植物や好きな色の小物で癒し空間を作る

私も一人暮らしを始めた頃は、帰宅後に誰とも話さない日々が続き、精神的に辛い時期がありました。

そこで、同じマンションに住む別の園の保育士と週1回のお茶会を始めたところ、大きな支えになりました。

このように、保育士の一人暮らしでは、ストレス管理や人とのつながりが大切です。

上手にリフレッシュし、孤独感を軽減することで、より快適な生活を送ることができます。

では、これから保育士を目指す学生は、どのように一人暮らしの準備を進めればよいのでしょうか?次に、学生ができる準備について解説します。

保育士を目指す学生が今からできる一人暮らし準備

これから保育士になる学生さんは、家計管理や生活スキルの習得、就職先選びのポイントを押さえておくことで、スムーズな一人暮らしが可能になります。

今からできる具体的な準備をご紹介します。

学生時代から始める家計管理の練習

お金の管理は一人暮らしの最大の課題です。

学生のうちに以下の習慣をつけておきましょう。

  • 家計簿アプリの活用: 日々の支出を記録する習慣づけ
  • 仮想家計シミュレーション: 保育士の給料から生活費を差し引くシミュレーション
  • 固定費と変動費の区別: どの支出が必須でどれが調整可能か把握する
  • 貯金の習慣化: 収入の10%は必ず貯金するルール作り

アルバイトで身につけておくべきスキル

学生時代のアルバイトで、以下のような一人暮らしに役立つスキルを身につけましょう。

  • 飲食店での経験: 効率的な調理法や食材管理のコツを学べる
  • 塾講師やベビーシッター: 将来の副業に直結するスキルが身につく
  • 事務アルバイト: PCスキルや書類管理など転職にも役立つ能力を養える

就職先選びで重視すべき条件

一人暮らしを視野に入れた就職先選びのポイントです。

  • 給与体系の詳細確認: 基本給だけでなく、手当や賞与も含めた年収で判断
  • 住宅手当の有無: 月1〜3万円の住宅手当があるかどうかで大きく変わる
  • 通勤の利便性: 交通費全額支給か、徒歩・自転車圏内か
  • キャリアパス: 昇給の仕組みや主任・副主任への道が明確か

初期費用の貯め方と目安

一人暮らしを始めるには初期費用が必要です。

学生のうちから計画的に貯めましょう。

必要な初期費用の目安

項目 必要額 節約術
敷金・礼金 家賃3〜4ヶ月分
礼金なし物件、敷金・礼金分割払いなどを検討
家具・家電 20〜30万円
リサイクルショップ、フリマアプリ、家電レンタルなどを活用
引越し費用 5〜15万円
友人・知人に手伝いを依頼、引越し業者の閑散期を利用
生活準備金 10万円〜
100円ショップやリサイクルショップを活用
合計 45〜70万円

貯金計画例

  • 月3万円×20ヶ月=60万円
  • 月4万円×15ヶ月=60万円

実習先で知り合った先輩保育士は「学生時代に調理実習で覚えた一人分の料理レシピが一人暮らしで本当に役立った」と言っていました。

保育士として一人暮らしを成功させるためには、学生のうちから家計管理や生活スキルを身につけ、計画的に準備を進めることが大切です。

しかし、実際に働き始めると、一人暮らしが想像以上に厳しいと感じることもあります。

次に、一人暮らしを諦めざるを得ないケースと、その後の選択肢について見ていきましょう。

一人暮らしを諦めざるを得ないケースとその後の選択

保育士の給与や生活費のバランスを考えたとき、どうしても一人暮らしを続けることが難しいケースもあります。

しかし、それは夢を諦めることではなく、将来的な自立に向けた別の選択肢を検討するチャンスでもあります。

ここでは、一人暮らしを諦める判断基準と、その後の選択肢について紹介します。

一人暮らしを諦める判断基準

以下のような状況では、一時的に一人暮らしを見送ることも賢明な選択かもしれません。

  • 手取りの50%以上が家賃に消える計算になる場合
  • 毎月の収支がマイナスになる見込みの場合
  • 奨学金返済が月3万円を超え、生活を圧迫する場合
  • 地域の家賃相場が給与に見合わない場合

実家暮らしでも自立性を保つ方法

実家に住みながらも「自立した大人」として生活する選択もあります。

  • 家計への適正な貢献: 収入の15〜20%を家族に渡す習慣
  • 家事の担当制: 炊事・洗濯・掃除など明確な役割分担
  • プライベート空間の確保: 自室は自分で管理し、一人の時間を大切に
  • 家族との適切な距離感: コミュニケーションと独立性のバランス

将来的な一人暮らしに向けたステップアップ計画

今は難しくても、将来に向けた具体的な計画を立てましょう。

  • 3年計画の作成: 「3年後までに○○万円貯めて一人暮らし」など具体的目標
  • スキルアップ投資: 収入アップにつながる資格取得や研修参加
  • 副業の開拓: 保育の知識を活かした在宅ワークの模索
  • 同じ目標を持つ仲間との共有: モチベーション維持のためのコミュニティ

キャリアアップによる収入増の可能性

保育士としてのキャリアを積むことで、収入アップの道も開けます。

  • 主任・副主任への昇進: 役職手当で月1〜3万円の収入増
  • 専門性の向上: 障がい児保育や英語保育などの専門分野での評価向上
  • キャリアラダーの活用: 園が提示するキャリアパスに沿った成長

転職や資格取得で状況を変える選択肢

保育士の資格を活かしつつ、収入面での改善を図る方法もあります。

  • 好条件の園への転職: 大規模園や企業主導型保育所など待遇の良い園へ
  • 関連資格の取得: 幼稚園教諭、児童指導員、社会福祉士など
  • 保育関連企業への転職: 保育用品メーカーや保育関連サービス企業
  • 独立の道: 小規模保育や家庭的保育など

私の同期は実家暮らしを続けながら、休日に保育士試験対策講座の講師として副業を始めました。

3年後には十分な貯金ができ、念願の一人暮らしを実現しています。

保育士として一人暮らしが厳しい場合でも、実家での生活を工夫したり、キャリアアップを目指したりすることで、将来的な自立の道を開くことができます。

無理に一人暮らしを続けるのではなく、自分のライフプランに合わせた最適な選択をすることが大切です。

では、実際に一人暮らしを経験した保育士たちは、どのような成功や苦労を感じているのでしょうか?

次に、リアルな体験談を紹介します。

保育士の一人暮らし体験談:成功と挫折両方の声

保育士として一人暮らしを始めた人の中には、順調に生活を軌道に乗せた人もいれば、経済的な負担が大きく一時的に実家に戻った人もいます。

ここでは、実際の体験談を通じて、成功の秘訣や難しさを詳しく見ていきます。

初任給での一人暮らし成功例

Aさん(26歳・保育士5年目・東京郊外)

「新卒で月給17万円、手取り14万円からのスタートでした。家賃5.5万円のアパートを選び、自転車通勤で交通費ゼロ。最初の半年は本当に苦しかったですが、バイトを週1回入れて乗り切りました。今は昇給もあり、少し余裕が出てきています」

Aさんの家計内訳(初年度):

  • 収入: 手取り14万円+副業2万円=16万円
  • 支出: 家賃5.5万+光熱費1万+食費3万+通信費1万+雑費2万=12.5万円
  • 貯金: 3.5万円/月

一人暮らしを諦めた経験と現在の状況

Bさん(24歳・保育士3年目・大阪市)

「憧れて始めた一人暮らしでしたが、家賃6万円に対して手取り15万円では毎月赤字でした。8ヶ月で貯金が底をつき、実家に戻る決断をしました。今は実家から通い、家族には3万円入れています。2年間で100万円貯まったので、来年また挑戦する予定です」

数年働いてから一人暮らしを始めた例

Cさん(28歳・保育士6年目・名古屋市)(続き)

「新卒では実家から通い、3年間貯金に励みました。主任になってから手取りが18万円に増え、ようやく一人暮らしを始めました。最初から無理せず段階を踏んだおかげで、今は家賃5万円の1LDKに住み、毎月5万円貯金もできています。焦らなくて良かったと思います」

地方と都市部での違いを経験した保育士の声

Dさん(30歳・保育士8年目・地方都市→東京)

「最初は地方の小さな園で働き、家賃3万円の物件で余裕のある一人暮らしをしていました。キャリアアップを目指して東京の園に転職しましたが、家賃が倍になり生活が一変。でも都会の刺激や研修の機会が増えたことは大きなメリットです。今は副業も取り入れて何とか両立できています」

Dさんの地方と都市部の比較:

項目 地方都市時代 東京転職後
手取り給与 16万円 17.5万円
家賃 3万円 6.5万円
交通費 なし(徒歩通勤) 1万円
食費 2.5万円 3万円
自由に使えるお金 5万円 2万円
生活の満足度 経済的に余裕あり 刺激が多く充実

これらの体験談から見えてくるのは、一人暮らしの成功は収入と支出のバランスだけでなく、タイミングや地域選び、キャリア計画との連動も重要だということです。

保育士の一人暮らしは、計画的に進めることで成功する人もいれば、厳しさを感じて一時的に実家に戻る人もいます。

しかし、それぞれの経験を通じて、自分に合った暮らし方を見つけることが大切です。

では、これから保育士を目指す学生が、一人暮らしと仕事を両立させるためには、どのような心構えが必要なのでしょうか?次に、これから保育士になる学生へのアドバイスをお伝えします。

これから保育士になる学生へのアドバイス

これから保育士として働き始める学生にとって、一人暮らしと仕事の両立には、収入に見合った生活設計や精神的な自立が求められます。

ここでは、保育士として充実した一人暮らしを送るための心構えや、就職活動で確認すべきポイントについて解説します。

一人暮らしと保育士の両立に関する心構え

  • 収入に見合った生活設計の重要性: 手取り額を正確に把握し、その範囲内での計画を
  • 長期的視点を持つこと: 初年度は苦しくても、経験を積むごとに状況は改善する
  • 「保育士だから」を言い訳にしない: 工夫と努力で道は開ける
  • 精神的自立の大切さ: 一人で悩まず助けを求める勇気を持つ

学生のうちに身につけておくべき自立スキル

  • 基本的な家事スキル: 自炊、洗濯、掃除の基本は必須
  • 金銭管理能力: 収支計算、家計簿付け、節約術
  • トラブル対応力: 電球交換、排水口掃除など簡単な修理
  • 健康管理スキル: 体調不良時の自己ケア、常備薬の管理

就職活動時に確認すべき待遇や条件

面接時に遠慮せず確認しておきたいポイントは以下の通りです。

  • 住宅手当や家賃補助の有無と条件
  • 昇給システムの詳細: 年数だけか、評価も加味されるか
  • 残業の実態と残業代の支給状況
  • 休暇取得の実績: 有給消化率や連休取得の可能性

保育士として働きながらも自分らしい生活を築くための視点

  • 「本当に大切なこと」の優先順位づけ: 限られた収入の中で何にお金を使うか
  • 保育の喜びと生活の充実のバランス: 仕事のやりがいだけでなく私生活も大切に
  • 同じ価値観を持つ仲間との交流: 共感し合える保育士仲間の存在
  • 将来を見据えたキャリアプラン: 5年後、10年後の姿を思い描く

このように、保育士の一人暮らしは、収入に見合った生活設計や精神的な自立が求められます。

この記事でご紹介したように、地域選びや住まい方の工夫、キャリアプランの設計によって、保育士の一人暮らしは実現可能です。

大切なのは、理想と現実のバランスを取りながら、自分に合った生活スタイルを見つけること。

初めから完璧を目指すのではなく、段階的なアプローチで少しずつ自立の基盤を築いていくことが成功への近道です。

これから保育士になる学生の皆さんには、この記事が一人暮らしへの現実的な道筋を示す参考になれば幸いです。

こどもたちの成長を支える素敵な仕事と、自分らしい暮らしの両立を目指して、ぜひ前向きに挑戦してみてください。