2025年10月22日
教員免許を持っていれば児童指導員として働くことができます!|資格の仕組みをわかりやすく解説
教員免許を持っていれば、児童指導員として働くことができます。
児童指導員は、国家試験で資格を取る職種ではなく、一定の学歴や資格を持つ人が任用される”任用資格”だからです。その中の一つに、教員免許が正式な要件として認められています。
この記事では、教員免許と児童指導員の関係をわかりやすく整理し、「自分にはどちらの道が合うのか」を考えるヒントをご紹介します。
教員免許を持っていれば児童指導員になれる
教員免許を持っていれば、児童指導員として働くことができます。
これは法律でも認められたキャリアのひとつで、学校で培ったこどもへの理解や支援の力を、福祉の現場でも活かせるという意味です。
ここでは、その仕組みと背景をわかりやすく整理します。
児童指導員は「資格」ではなく「任用資格」
児童指導員とは、国家試験を受けて取る”資格”ではなく、特定の条件を満たした人が採用されるときに効力を持つ「任用資格」です。
つまり「児童指導員になるための試験」はなく、大学での専攻や持っている免許・経験などが条件に当てはまれば、児童福祉施設などに採用された時点で児童指導員として働くことができます。
この仕組みは、厚生労働省が”いろんな分野の専門家がこどもを支え合う”ことを目的に設けた制度です。
教育・心理・社会福祉などの多様なバックグラウンドを持つ人が集まることで、より質の高い支援を行えるようになっています。
教員免許を持つ人はその中でも、こどもの発達や学びに詳しい”教育の専門家”として期待されています。
関連記事:児童指導員の任用資格とは?無資格でも働ける条件と資格の取得方法を解説
教員免許は児童指導員任用資格の一要件
教員免許は、児童指導員として働くための要件のひとつとして、法律でしっかり定められています。
厚生労働省の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(第43条)」では、「小学校・中学校・高等学校・中等教育学校の教員免許を持ち、都道府県知事が適当と認めた人」が児童指導員として採用できると明記されています。
つまり、教員免許を持っている時点で児童指導員の条件をクリアしているということです。
ただし教育分野と福祉分野では求められる役割が少し違うため、「こどもをどう支えたいか」「どんなサポートがしたいか」をきちんと伝えられる人がより評価されます。
対応する教員免許の種類(幼・小・中・高など)
児童指導員として認められる教員免許は、小学校・中学校・高等学校・中等教育学校の教員免許(専修・一種・二種いずれも可)です。
2019年には制度が改正され、幼稚園教諭の免許も新たに対象に加わりました。
これは「こどもの支援はできるだけ早い時期から始めることが大切」という考えが広がったことが背景にあります。幼児教育の現場で培った知識や経験を、児童福祉の場で生かす道が広がったのです。
一方で、保育士資格はこのルートには直接含まれず、別の基準(実務経験など)で判断されます。
教員と児童指導員の違いをわかりやすく整理
教員免許を持つ人が児童指導員を目指すなら、まず「教育」と「福祉」という二つの仕事の違いを知ることが大切です。
どちらもこどもの成長を支える仕事ですが、その目的・働く場所・こどもとの関わり方には大きな違いがあります。
教員=学校教育に関わる仕事
教員免許は、学校教育法に基づいて文部科学省が定める”教育のプロ”のための免許です。学校の先生の役割は、教科を教えることだけではありません。
国語や算数などの授業を行うのはもちろん、クラスをまとめる学級経営、生活面でのサポートや進路相談、行事や部活動の運営など、学校生活全体を支える仕事です。
教員は主に30〜40人の「クラス」という集団を対象に、学びや生活を通してこどもの成長を支える存在です。
つまり、「集団を導くリーダー」というのが教員の基本的なスタイルです。
児童指導員=こどもの生活や心を支える仕事
一方、児童指導員は「児童福祉法」に基づく職種で、厚生労働省やこども家庭庁が管轄しています。
仕事の中心は、家庭環境や発達の特性などでサポートが必要なこどもたちの日常を支えること。食事や着替えなどの生活面のサポート、遊びや学習を通じた発達支援(療育)、気持ちを落ち着かせるコミュニケーションなど、一人ひとりに合わせた支援が特徴です。
また、こどもの生活を支えるために、学校の先生や保護者、児童相談所などとの連携も欠かせません。
つまり、「個別に寄り添うパートナー」というのが児童指導員のスタイルです。
教員と児童指導員の働き方の違い
どちらも「こどもを支える仕事」ですが、働き方の仕組みには大きな差があります。
教員は、基本的に学校カレンダーに沿った勤務になります。
夏休みなど長期休暇がある一方で、授業以外の時間も会議・行事準備・保護者対応などに追われ、実働時間が長くなりがちです。
行事や学期スケジュールに合わせて仕事量が波のように増減するため、時間の融通が利きにくいのが実情です。
一方、児童指導員は施設勤務が多く、シフト制で働ける柔軟さがあります。
施設によっては「9:00〜17:00」「13:00〜19:00」など複数の勤務パターンがあり、家庭の事情に合わせて調整できる職場も少なくありません。
特に放課後等デイサービスでは、学校の放課後だけの短時間勤務も可能な施設もあるため、子育て中やブランク明けの復職にも向いています。
つまり、教員が「生活のリズムを学校に合わせる働き方」なのに対し、
児童指導員は「自分や家族の生活リズムに合わせやすい働き方」と言えます。
子育てやライフステージの変化を経ても、「こどもと関わる仕事」を続けられる選択肢がある。それが、教員免許を持つ人にとっての児童指導員という道の大きな魅力です。
教員免許を活かして児童指導員として働く方法
教員免許を持っている人は、実は児童指導員への転職にとても有利です。
ここでは求人の見方から自己PRのコツまで、教員経験をどう活かせばいいかを具体的に紹介します。
応募条件「児童指導員任用資格あり」とは?
児童指導員の求人票には、よく「児童指導員任用資格をお持ちの方」または「要件を満たす方」と書かれています。
この場合、教員免許を持っている人は応募条件を満たしています。
つまり、「教員免許あり=応募OK」です。
多くの求人ではさらに親切に「保育士・社会福祉士・教員免許のいずれかをお持ちの方」と明記されており、教育免許が正式に歓迎されていることがわかります。
応募時には、資格を証明する書類として「教育職員免許状の写し」を提出するケースが多いため、あらかじめ準備しておくとスムーズです。
児童指導員への転職で評価されるポイント
教員としての経験は、児童指導員の仕事と驚くほど多くの部分で重なります。
特に評価されるのは、次の4つのスキルです。
① 学習支援のスキル
放課後等デイサービスでは、学校の宿題を一緒に進めたり、勉強のサポートをする場面が多くあります。
こどもが「どこでつまずいているか」を見抜いて教えられる力は、まさに教員の強みです。
② 観察力とアセスメント力
教員は毎日多くのこどもを見ながら、表情や態度から小さな変化を読み取る訓練を積んでいます。
その力は、支援の現場でも一人ひとりの状態を理解し、最適な対応を考える上で欠かせません。
③ 発達と心理の知識
教員免許を取る過程で学んだ発達心理学や教育心理学の知識は、こどもの行動を理解する土台になります。
この理論的な理解は、児童指導員として支援の質を高める重要な武器です。
④ 保護者対応の経験
保護者会や面談を通じて家庭と協力してきた経験も強みです。
福祉現場では保護者との連携が欠かせないため、信頼関係を築く力は高く評価されます。
教職経験をどうPRする?児童指導員の面接で伝わる表現のコツ
面接や履歴書で経験を伝えるときは、教育の専門用語を福祉の言葉に翻訳するのがコツです。
たとえば──
- 「学級経営」→「集団生活でルールをつくり、こども同士の関係づくりを支えた経験」
- 「個別最適な学び」→「一人ひとりの特性に合わせた支援や環境づくりを行った経験」
- 「保護者面談」→「家庭と協力してこどもの成長を支えた経験」
また、志望動機では「教育現場ではクラス全体を見る必要があったが、一人ひとりともっと深く関わりたいと思った」など、キャリアチェンジの理由を前向きに伝えると印象が良くなります。
具体的なエピソードを添えると説得力が増します。
その経験から、一人ひとりのペースに合わせた支援の大切さを実感し、児童指導員を志しました。
学校の外にも、あなたの「教える力」を必要としているこどもたちがいます。
教員免許を活かして児童指導員として働く道は、教育の経験を”支える力”へと変える新しいキャリアです。
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