2025年10月30日
児発管は基礎研修のみで働ける?できること・できないことまとめ
 
                結論から言うと、基礎研修のみを修了しただけでは正式な児発管として配置はできません。
この段階は、実践研修を受けるためのOJT期間(実務経験期間)にあたります。
正規の児発管の指導のもとで現場に入り、支援計画づくりや会議への参加を通して、
実践に必要な経験を積む大切なステップです。
本記事では、「基礎研修のみ」でできること・できないことを具体的に整理して解説します。
児発管は基礎研修のみでは正式配置はできない
基礎研修のみでは児発管として正式に配置されることはできません。
詳細を制度に基づいてわかりやすく解説します。
基礎研修のみでは「配置不可」の法的な位置づけ
児発管として働くためには、「基礎研修」+「一定期間の実務経験(OJT)」+「実践研修修了」が必須要件です。
基礎研修だけでは、法的に「児発管として1名配置」することは認められていません。
このルールは厚生労働省が定めた人員配置基準に基づくもので、各都道府県が同じ方針で運用しています。基準を満たさないまま児発管として配置すると、行政指導や報酬返還の対象になるおそれがあり、本人だけでなく事業所にも影響が出てしまう恐れがあります。
一部、2019〜2021年度に限り「経過措置」として、基礎研修修了者を一時的に児発管とみなす制度がありました。しかし、現在この特例は終了しており、これから児発管を目指す方には適用されません。
ただし「補助的な従事」は可能
基礎研修を修了した方は、児発管の業務に補助的な立場で関わることが可能になります。
この期間はOJT、つまり実践研修を受けるために必要な実務経験期間としてカウントされます。
いわば、「児発管見習い」としてのステップです。
具体的な勤務パターンは次の2つです。
①2人目の児発管として勤務するケース
既に正規の児発管が1名いる事業所で、2人目として基礎修了者を配置することが可能です。この形で現場経験を積むのが、最も一般的で安全な方法です。
②「やむを得ない事由」によるみなし配置
正規の児発管が急な退職・病気などで欠員となった場合、基礎研修修了者を最長2年間、児発管とみなして配置できる特例があります。ただし、これは緊急対応であり、通常のキャリアルートとは異なります。
「基礎研修修了者可」求人の意味とは?
求人サイトやハローワークで「児発管 基礎研修修了者 応募可」と書かれた募集を見かけることがあります。
この表記は、「すぐ児発管として配置できる」という意味ではありません。
実は、「育成前提で採用する」という事業所の意思表示です。
背景には、2019年の研修制度改正があります。以前は研修が一度きりでしたが、現在は「基礎→実践→更新」と段階的に学ぶ仕組みになっています。
このため、事業所としても研修中の専門職を採用し、OJTを通じて自社で育てていく動きが広がっています。
採用側の意図を理解すれば、「自分を育ててくれる環境」という前向きなチャンスとして捉えられます。
次の章では、この基礎研修を終えた段階で「実際にできること」と「まだできないこと」を具体的に整理します。
児発管の基礎研修のみでできること・できないこと
児発管の基礎研修のみを修了した段階では、すぐに責任者としてすべての業務を行うことはできません。
この期間はOJT(実務研修)を通じて、実際の支援業務に「補助的な立場」で関わることになります。
この章では、基礎研修修了者が現場でできること・できないことを整理し、安心して経験を積むためのポイントを紹介します。
児発管基礎研修の修了後にできる主な業務
基礎研修を終えた方がOJT期間中に担う中心的な役割は、個別支援計画の「原案」作成です。
これは、児発管の仕事の中でも最も重要なプロセスのひとつであり、実践を通じて学ぶことが求められます。
主な業務内容は次の通りです。
- 利用児童や保護者との面談・アセスメントの実施
- アセスメント結果を踏まえた支援内容の検討
- 個別支援計画の「原案」作成
- サービス担当者会議への同席・意見共有
これらの業務はすべて、正規の児発管の指導・監督のもとで行うことが前提です。
OJT期間中にさまざまなケースを経験しながら、計画づくりの考え方やチーム連携のコツを学んでいきます。
この段階は、知識を実践に落とし込む貴重な時期です。
特に「こどもや保護者との面談」「他職種との情報共有」など、支援現場のリアルを体感できる機会が多くあります。
児発管として正式に行えない業務
一方で、基礎研修のみ修了の段階では責任者としての業務は行えません。
最終的な判断や行政上の責任が伴う業務は、必ず正規の児発管が行います。
具体的には、以下の業務は「できないこと」に分類されます。
- 個別支援計画の最終決定・交付(保護者への説明・同意取得を含む)
- サービス担当者会議の主宰や最終的な意思決定
- 人員配置基準上の単独算定(唯一の児発管としてカウントされること)
ただし、「会議への参加」や「保護者への説明補助」など、補助的な関与は可能です。
現場で徐々に経験を積みながら、最終責任を担う立場にステップアップしていくイメージです。
基礎研修のみ修了時点での業務範囲の早見まとめ
| 業務内容 | できること | できないこと | 注意点 | 
|---|---|---|---|
| アセスメント・面談 | 原案作成の一環として参加 | 単独で最終判断 | 常に正規児発管の監督下で行う | 
| 個別支援計画 | 原案の作成 | 計画の最終決定・承認 | 最終承認は正規児発管が行う | 
| 支援会議 | 同席・発言補助 | 主宰・最終意思決定 | 議事進行は補助にとどめる | 
| 保護者への説明 | 同席・補助 | 単独での説明と同意取得 | 計画の説明責任は正規児発管が負う | 
| 人員配置基準 | 2人目・みなし配置として可 | 唯一の児発管として不可 | 特例を除き単独配置は不可 | 
このように、「責任を持つ」業務と「経験を積む」業務を明確に区別することが重要です。
最後に、児発管の基礎研修ついてよくある誤解とトラブル事例をご紹介します。
児発管でよくある誤解とトラブル事例
児発管の研修制度は複雑で、少しの勘違いや手続きの抜け漏れが大きなトラブルにつながることがあります。
ここでは、実際に現場で起こりやすい2つの誤解とトラブルを分かりやすく整理していきます。
①「基礎研修だけで児発管になれる」と思い込む誤解
最も多いのが、「基礎研修を終えたら児発管として働ける」という誤解です。
求人票の「基礎研修修了者 応募可」という文言をそのまま「配置できる」と解釈してしまうケースが目立ちます。
しかし、児発管として正式に配置されるには、実践研修の修了が必須要件です。
基礎研修だけの状態で児発管として配置すると、人員配置基準違反となり、行政からの指導や報酬返還が求められる可能性があります。
【防止策】
- 管理者・職員ともに「研修制度は基礎→実践の2段階で完結する」ことを正確に理解する
- 不明点は必ず都道府県や市区町村の福祉担当課に確認する
この基本を押さえておくことで、無用なトラブルを避けることができます。
②届出に不備がありOJT期間が認められなかったケース
次に多いのが、「OJT期間(実務経験)」に関する届出の不備です。
届出先を誤るケースもあります。
政令指定都市内の事業所が「市ではなく県に届出」をしてしまい、無効扱いになる例も確認されています。
【防止策】
- 法人(管理者)が届出を提出する責任者であることを理解し、研修修了直後に手続きする
- 職員本人も、届出が提出されているかを確認する
- 届出窓口が「市」か「県」かを必ず事前にチェックする
管理者の責任が大きいですが、必要書類・情報を整えておくなど、個人としてできることもあります。
- 基礎研修の修了証(写し)…届出書類に添付を求める自治体が多い。
- 職歴(実務経験)一覧・・・ 「いつ・どの事業所で・どんな支援に従事したか」を整理しておく。
- 現在の担当業務の概要メモ・・・個別支援計画の原案作成や会議同席など、OJT対象となる業務を具体的に書き出しておくと、法人側が証明書を作る際に助かる。
これらを揃えておけば、法人が「OJT届出書」「従事証明書」などを作成する際に、短時間で正確に処理ができます。
また、こうした準備をしておく姿勢は「資格を本気で取りたい」という前向きな気持ちとして伝わります。管理者や法人側からもサポートを受けやすくなるでしょう。
 
                 
            
            
             
        