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2025年10月29日

児童発達支援管理責任者になるのは難しい?3つの壁と対策をわかりやすく解説

資格

児童発達支援管理責任者(児発管)の資格は「難しい」と言われることが多いですが、実はその理由の多くが制度の複雑さと情報不足にあります。

試験の難易度が高いわけではなく、要件の整理・研修のタイミング・OJTの理解という”3つの壁”をどう乗り越えるかが鍵です。

この記事では、厚生労働省の制度をもとに、「児発管が難しい」と言われる本当の理由と、実際に資格取得を成功させるための具体的ステップを紹介します。

児童発達支援管理責任者の資格が「難しい」と言われる3つの理由

児童発達支援管理責任者(児発管)の資格取得が「難しい」と言われる理由は、主に3つのハードルにあります。

ですが、どれも正しい知識と段取りを押さえれば、乗り越えられない壁ではありません。

児発管の資格取得は「筆記試験で知識を問われる」というよりも

  • 自分のキャリアや勤務実績を整理する
  • 必要な手続きを計画的に進める

この二つが重要です。

ここでは、資格取得を難しく感じさせる3つのハードルを順に解説していきます。

児発管の難しさ①要件が複雑でわかりにくい

最初のハードルは、実務経験の要件が非常に複雑であることです。

求められる経験年数、業務内容(直接支援か相談支援か)、勤務していた施設の種類、そして保有資格の有無が複雑に絡み合い、自分がどのルートに当てはまるのかを自己判断するのが難しいのです。

そのため、多くの志望者が「自分は要件を満たしているのか?」という初期段階で立ち止まります。

ここで必要なのは、文書管理のスキルです。これまでの勤務実績を証明し、整理して可視化することが突破口になります。

児発管の難しさ②研修の開催が少ない

次に立ちはだかるのが、研修機会の少なさです。

児発管に必要な基礎研修と実践研修は都道府県ごとに実施されますが、開催頻度や定員には地域差があります。人気地域では募集開始と同時に満席になることも珍しくなく、参加枠の確保そのものが大きな挑戦です。

つまり、資格取得の鍵を握るのは「情報収集力」と「タイミングの管理」になります。どの自治体でいつ募集があるのかを早めに調べ、申し込みスケジュールを自分のカレンダーに落とし込むことが重要です。

児発管難しさ③「OJT」の誤解

三つ目のハードルは、「OJT」という言葉の誤解から生じる混乱です。

一般的に企業で使われるOJT(On-the-Job Training)は、職場で先輩から指導を受ける「教育訓練」の意味ですが、児発管制度におけるOJTは全く別のものです。

これは基礎研修修了後に求められる一定期間の実務経験を指します

OJTを「講座や実習」と勘違いしていると、キャリアプラン全体にずれが生じてしまうので注意が必要です。

このOJTは原則2年間ですが、要件を満たした場合に限り6か月で実践研修へ進める特例もあります。

つまり、難しく見えるのは制度の仕組みが複雑だからであり、実際には「正しい定義を理解しておくこと」が最初の一歩になります。

これら3つの壁を理解したうえで、次のセクションではそれぞれの課題をどう乗り越えるかを具体的に見ていきましょう。

①児発管の要件が難しい?自己診断と証明書の準備で複雑さを解消する方法

児童発達支援管理責任者(児発管)の資格取得が難しいと感じてしまう原因は「要件が複雑すぎて、自分が該当しているのか分からない」という点にあります。

実は、実務経験の仕組みを整理すれば、意外とシンプルに道筋が見えてきます。

実務経験ルートを整理して、自分に合う道を見つける

児発管の基礎研修を受講するには、まず一定の実務経験を積んでいることが条件になります。ここでは、主要な3つのルートと確認ステップを紹介します。

相談支援業務ルート

相談支援とは、指定特定相談支援事業所などで、障害のある方やその家族の相談に応じる業務のことです。

原則5年以上の経験が必要ですが、社会福祉士などの有資格者は3年に短縮されます。

直接支援業務ルート

直接支援とは、障害者支援施設や児童福祉施設などでの介護や生活支援業務のことです。

原則8年以上ですが、保育士・社会福祉主事任用資格・介護職員初任者研修修了者などがあれば5年に短縮が可能です。

国家資格等ルート

医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士などの国家資格を持ち、その資格に基づく業務を5年以上行ったうえで、障害児・者施設で1年以上(自治体により3年の場合も)勤務していることが条件になります。

このように、資格と職務経験の組み合わせで条件が変わるため、自分の経歴を細かく分類することが大切です。

こちらの記事で詳しく解説しています:児童発達支援管理責任者になるには?完全ガイド

細かい規定の見落としに注意

要件を読み違えてしまう人の多くは、年数や施設区分の細かい規定を見落としています。

(1)パートタイムでも「年間180日以上」で1年換算になる

パート勤務でも不利にはなりません。同一年度で「勤務日数180日以上」なら「1年」としてカウントされます。1日あたりの就業時間は自治体要項で扱いが分かれるので注意が必要です。

(2)複数の職場の経験は「通算」できる

事業所が違っても同じ分野の実務なら合算ができます。

ただし証明書は職場ごとに必要なので、各勤務先から実務経験証明書を取り寄せましょう。

在籍期間・従事業務・年間勤務日数が分かる形で揃えます。その際、業務区分の表現が制度用語と合っているか(例:相談支援/直接支援)確認しましょう。

【依頼する際の例文】
「児童発達支援管理責任者の研修申込に必要なため、在籍期間・業務区分(相談支援/直接支援)・年間勤務日数を明記した実務経験証明書の発行をお願いいたします。」

(3)実務経験の対象施設の範囲に注意

要件で数えられるのは、障害児・者分野または児童福祉分野の実務です。高齢者介護施設のみの経験は原則カウントされません。

  • OK例:放課後等デイサービス/児童発達支援/障害者支援施設/相談支援(計画相談・特定相談)/児童相談所 等
  • NG例:特養・老健・デイサービス(高齢)のみ/一般病棟の看護のみ(※別途要件で補完できるケースはあるが単独では不可が多い)

国家資格取得者の一部では医療機関での業務+障害・児童分野1年以上などの組み合わせで満たす道もあります(自治体要項を要確認)。

次は、2つ目の壁「児発管研修の受講チャンスが少ない」問題を攻略する方法を紹介します。

②児発管研修が受けにくい理由と対策|逆算スケジュールでチャンスをつかむ

児童発達支援管理責任者(児発管)になるために必要な基礎研修や実践研修は、開催時期や定員が限られており、申し込み競争が激しい傾向があります。

そのため、受講を確実にするには、事前の情報収集と早めの準備が欠かせません。

ここでは、研修の開催状況と「逆算スケジュール」で進める前倒し準備のコツを紹介します。

都道府県ごとの研修実施状況を把握する

児発管研修は全国一律ではなく、自治体ごとに開催回数・定員・申込方法が異なります。

たとえば、東京都では年に数回、1,000名規模の研修が実施されますが、申込期間は2週間ほどと非常に短く、油断するとすぐ締め切られてしまいます。

大阪府では優先順位制が導入されており、すでに児発管の欠員補充が決定している人などが先に選ばれる傾向があります。

さらに、埼玉県や千葉県では「電子申請+書類郵送」が必要、「当日消印有効」など手続きのルールもまちまち。

このように、研修の”チャンス”は地域差が大きく、「自分の自治体がどんな方式か」早めに知っておくことが第一歩になります。

逆算スケジュールで「前倒し準備」を完了させる

研修の申込は「募集開始と同時に埋まる」前提で動くのが鉄則です。そのために有効なのが、【前年】の実施時期から逆算してスケジュールを組むこと。

まず、自身が受講を希望する都道府県のウェブサイトで、前年度の研修募集要項を確認します。

これにより、今年度の募集が何月頃に開始されるか、高い精度で予測できます。この予測月を「X月」と設定し、逆算カレンダーを作成してみましょう。

①前年データを調べる

希望する都道府県のサイトで、前年の募集要項を確認。今年の募集月(X月)を予測します。

②X−3〜2か月前

実務経験証明書など外部発行の書類をすべて揃える。

③X−1か月前

職場と最終調整。シフト調整・費用負担・推薦書への押印など、内部手続きを完了。

④X月(募集開始)

都道府県サイトを毎日チェック。募集開始日に即申込できるよう、全書類・承認済みの状態にしておく。

この「逆算型準備」を習慣化すれば、焦らず確実にチャンスを掴めます。

職場との合意形成がスピードを左右する

研修申込には、ほとんどの自治体で法人からの推薦書や上長の承認が必要です。

そのため、資格取得を決意した時点で早めに上司や人事へ相談し、理解を得ておくことが欠かせません。

上司が事情を知っていれば、シフト調整や書類作成がスムーズに進みますし、研修参加が組織的にもサポートされやすくなります。

次は、最後の壁である「児発管のOJT(実務経験)」の誤解とその乗り越え方を見ていきましょう。

③児発管のOJTとは?2年と6か月の違いを制度の仕組みからわかりやすく整理

児童発達支援管理責任者(児発管)の資格取得で、多くの人が混乱するのが「OJTって結局なに?」という部分です。

「2年間も研修を受けるの?」「特別な実地研修があるの?」といった疑問は、OJTという言葉の意味を誤解していることが原因にあります。

ここでは、厚生労働省の通知に基づいて、OJTの正しい位置づけと、6か月で受講できる特例の条件を分かりやすく解説します。

OJTは研修ではなく「実務経験」

まず知っておきたいのは、児発管のOJT=実務経験ということです。

OJTとは、基礎研修を修了したあとに現場で積む一定期間の「実務経験」を指し、数日〜数週間の短期研修(実地研修)があるわけではありません。

つまり、「2年間OJTを受ける」というよりも、「2年間現場で実務を積む」期間を意味します。

ここを誤解して「2年間は資格が取れない」と勘違いしてしまう人が多いのです。

実際には、日々の勤務を通して経験を積むことがOJTになるため、働きながら資格要件を満たしていく仕組みだと理解しましょう。

2つの「原則ルート」と「特例ルート」を知ろう

児発管のOJTには、原則ルートと特例ルートの2パターンがあります。

原則ルート(2年以上の実務経験)

基礎研修修了後、実践研修を受けるまでに2年以上(勤務日数360日以上)の実務経験を積む必要があります。この経験は、実践研修申込日から遡って5年以内でなければなりません。

つまり、働きながら少しずつ経験を積み、計画的に次のステップを目指すイメージです。

特例ルート(6か月以上の実務経験)

2023年度の制度改正で導入された新ルートです。

すでに現場経験が豊富な人に限り、OJT期間を6か月以上に短縮できる特例が設けられました。

これは「経験者を早く現場リーダーに」という国の方針で、児発管不足の解消を目的としています。短期間で資格取得を目指す人にとって、大きなチャンスといえます。

「OJT6カ月」特例適用の3条件を正しく理解しよう

OJTの6か月特例を利用するには、以下3つの条件をすべて満たす必要があります。

要件①基礎研修受講時点での実務経験

基礎研修の時点で、児発管として配置されるための実務経験(相談支援3〜5年・直接支援5〜8年)を満たしていること。

要件②個別支援計画の原案作成などに従事

基礎研修修了後、児発管が配置されている事業所で、個別支援計画の原案作成やサービス担当者会議など、一連の業務に6か月以上(計10回以上が目安)関わること。

要件③指定権者への届出

事業所を運営する法人が、対象者が上記の業務に従事することを、都道府県・市区町村の指定権者に事前届出していること。

届出は必須で、口頭確認や事後報告は不可です。

書類には届出書・証明書・研修修了証の写し・組織図などが必要です。

届出はOJTの開始前、実施中、実施後のいずれの時点までに提出するかは自治体によって大きく異なります。
しかしどの自治体にも共通して、次のステップである実践研修に申し込む前までに、届出が指定権者に受理されていなければならない点には注意が必要です。
例えば茨城県の自治体の公式情報では以下のような記述があります。

届出書は、原則OJTを開始する10日前までに提出してください。
ただし、令和6年1月31日までは、既にOJTを開始している場合でも遡及して受付けします。
なお、令和6年1月31日を過ぎた場合には、すみやかに提出をお願いいたします。

つまり、わかりやすくまとめると以下のようになります。
ステップ 内容 タイミング
① 基礎研修受講時点での実務経験 児発管として配置できるだけの実務経験(相談支援3〜5年/直接支援5〜8年など)をすでに満たしていること。 基礎研修を受ける前までに達成済み。
② 基礎研修修了後の6か月間で実務に従事 児発管が配置されている事業所で、児発管の指導を受けながら個別支援計画の原案作成・担当者会議など一連の業務に6か月以上関わる(10回以上が目安)。 基礎研修修了後のOJT期間として実施。
③ 指定権者への届出 法人が基礎研修修了後に指定権者へ届出。
届出には「届出書・研修修了証の写し・実務経験証明書・組織図」などを添付。
基礎研修終了後~OJT期間内(自治体によって異なる)
④ 6か月終了時点で要件充足 基礎研修終了後から6か月以上の実務が完了したら、OJT特例が成立します。
その後、実践研修への受講申込が可能になる。
6か月経過後

この3つの要件をすべて満たせば、6か月特例が適用され、最短で実践研修に進めます。ただし、要件は自治体により運用が異なるため、勤務先と相談しながら慎重に確認することが大切です。

児発管のOJTは働きながらスキルを高め、資格取得につなげる仕組みなので、「長いだけ」と感じる必要はありません。経験がそのまま実力と信頼につながり、最終的に実践研修への近道にもなります。

次の章では、児発管の資格取得までの流れをおさらいをしましょう。

児発管の資格取得までの流れをわかりやすく整理

ここまでの情報を整理すると、児童発達支援管理責任者(児発管)になるまでの道のりは、「原則ルート(OJT2年以上)」と「特例ルート(OJT6か月以上)」の2つに分かれます。

どちらのルートを歩むのかを明確にすることで、「何を、いつまでにやればいいか」がはっきりします。

【原則ルート】OJTを2年以上の場合

これから実務経験を積む方、または一歩ずつ確実に進みたい方向けの標準ルートです。

【期間の目安】約2年半〜3年

フェーズ 期間 内容
① 自己分析・書類準備 開始〜3か月目 自分の職歴を整理し、実務経験要件を満たしているか確認。過去の勤務先に「実務経験証明書」を依頼・入手。
② 基礎研修の受講 3〜6か月目 都道府県の募集情報を確認し、基礎研修を申込・受講・修了。
③ OJT(実務経験) 6〜30か月目 基礎研修修了後、相談支援または直接支援業務に「2年以上(360日以上)」従事。
④ 実践研修の受講 30〜33か月目 OJT期間を終えたら実践研修を受講。修了後、資格要件をすべて満たす。
⑤ 正式配置へ 33か月以降 実践研修修了証を取得し、正式に児発管として配置される。

このルートは時間こそかかりますが、現場経験をしっかり積みながら自信をつけていける王道ルートです。

経験を重ねることで、研修内容の理解も深まり、リーダーとしての基盤を確立できます。

【特例ルート】経験豊富な人がOJT6か月で進める場合

すでに実務経験を十分に積み、児発管の配置要件(3〜8年)を満たしている方には、OJT期間を6か月に短縮できます。

【期間の目安】約1年以内

フェーズ 期間 内容
① 要件確認・基礎研修受講 開始〜3か月目 勤務先と相談し、特例の3要件(①実務経験、②計画原案業務、③指定権者への届出)を満たせるか確認。基礎研修を受講・修了。
② 特例OJT・届出 3〜9か月目 勤務先が指定権者に「特例OJT実施」を届出。児発管の指導のもとで個別支援計画の原案作成等に6か月以上従事
③ 実践研修の受講 9〜12か月目 特例OJT修了後、実践研修を受講・修了。
④ 正式配置へ 12か月以降 実践研修修了証を受け取り、正式な児発管として配置される。

このルートは経験豊富な支援職に向いており、短期間でリーダー職へキャリアアップできるのが魅力です。

ただし、要件や届出の手続きが細かいため、勤務先と連携して慎重に進めることが大切です。


児発管の資格取得は「知っているかどうか」で大きく差がついてしまう世界です。迷ったときは、公式情報を確認し、職場や研修窓口に相談することが最も確実な方法です。あなたの努力は、確実に未来のキャリアにつながるよう、応援しています。