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2025年10月28日

サビ管と児発管は統合された?研修制度の変更点をわかりやすく解説

「サビ管(サービス管理責任者)」と「児発管(児童発達支援管理責任者)」はどちらも福祉現場で欠かせない専門職ですが、「統合されたらしい」と聞いて混乱している方も多いのではないでしょうか。

サビ管と児発管は2019年度の制度改革で、研修制度だけが統合され、
資格そのものは今も別々に認定される仕組みになっています。

つまり、「研修は一緒になったけれど、資格は別」というのが正しい理解です。

この記事では、研修制度がどのように統合されたのか、資格や実務上の違いはどこにあるのかを、わかりやすく解説します。

【結論】サビ管・児発管の研修は統合されたが、資格は別々

結論から言うと、サビ管と児発管の研修は統合されましたが、資格は法的にまったく別物です。

ここを混同してしまうと、人員配置基準違反など重大な問題につながるおそれがあるので注意が必要です。

共通の研修、でも資格の認定は別々

現在は、サビ管を目指す人も児発管を目指す人も「基礎研修」「実践研修」「更新研修」といった共通カリキュラムを受講します。

ただし、研修を修了しただけでは両方の資格を同時に取得することはできません。

たとえば、児発管として認定されるには「児童福祉分野」での実務経験を満たす必要があります。

一方で、サビ管になるには「障害者福祉分野」での経験が条件になります。

このように、研修は共通でも、認定される分野はまったく異なるのです。

行政上もこの区別は厳密で、都道府県が発行する修了証や登録名簿も、根拠法(児童福祉法/障害者総合支援法)ごとに別々に管理されています。

現場で混同しやすいポイントと児発管・サビ管の配置の注意

この原則は、実際の現場で特に注意が必要です。

たとえば、児童発達支援と生活介護を両方行う多機能型事業所では、児発管として研修を修了した職員をサビ管として配置することはできません。

サビ管としても配置するためには、障害者福祉分野での相談支援業務または直接支援業務の経験が、定められた年数(3~8年程度)以上あることを証明する必要があります。

そのため、事業所の管理者は、職員の研修履歴だけでなく実務経験の内容と分野を正確に把握し、配置要件と照らし合わせて判断しなければなりません。

また、児発管の場合は「高齢者施設での経験は対象外」といった特有の条件もあります。
こうした細かな違いを見落とすと、監査で指摘を受けるリスクもあります。

関連記事:児発管とサビ管の違いとそれぞれの要件について

経過措置と制度改正による影響

2019年度の制度改正により、サビ管・児発管の研修制度は統合されましたが、移行期の混乱を防ぐために一時的な経過措置も設けられました。

旧制度で資格を取得した人は、原則として令和5年度(2023年度)末までに更新研修を修了する必要がありました。

また、2019〜2021年度に基礎研修を修了し、当時すでに実務経験要件を満たしていた人については、実践研修を受けていなくても3年間限定で「みなし配置」が認められています。

この特例は、新制度でOJTに2年以上かかる構造的な課題を補うためのものでした。もしこの措置がなければ、資格者が一時的に不足して現場が回らなくなるおそれがあったのです。

こうした経過を踏まえると、サビ管・児発管の統合は「支援技術の基礎を共通化」しながらも、それぞれの専門性と法的領域を明確に分けることを目的としているといえます。

サビ管と児発管の違い

サビ管と児発管は研修こそ統合されたものの、根拠となる法律も対象もまったく異なる専門職です。

研修制度を正しく理解するためには、まずこの二つの職種の違いをしっかり押さえておくことが大切です。

サービス管理責任者(サビ管)とは?

サビ管(サービス管理責任者)は、障害者総合支援法に基づいて配置される専門職です。

主に成人の障害者を対象とした福祉サービス事業所において、個別支援計画の作成や職員への指導・助言を担う“支援の中心的存在”です。

具体的には、生活介護・就労継続支援・グループホームなどの事業所で、利用者一人ひとりのアセスメントを行い、その人に合った支援計画を立てます。

さらに、支援が計画通りに行われているかをモニタリングし、必要に応じて計画の見直しやスタッフ教育を行います。

配置基準としては、「利用者60人に対して1人以上(グループホームは30人に1人以上)」の配置が義務付けられています。

つまりサビ管は、成人期の生活を支える「福祉現場の司令塔」といえる存在です。

児童発達支援管理責任者(児発管)とは?

一方の児発管(児童発達支援管理責任者)は、児童福祉法に基づいて配置される専門職です。

対象となるのは、発達に特性のある未就学児や就学児など、障害のある子どもたちです。

児童発達支援センターや放課後等デイサービスなどの事業所で、子どもの発達段階・個性に合わせた個別支援計画を作成し、支援全体をマネジメントします。

保護者との面談、支援内容の説明と合意、学校・医療機関との連携など、子どもを取り巻く環境をトータルに調整する力が求められます。

児発管は原則として「事業所ごとに1人以上の専任常勤配置」が必要で、子どもの成長に寄り添いながら、家庭・学校・地域をつなぐ重要な役割を担っています。

さらに詳しい違いについては以下の記事で解説しています。

関連記事:児発管とサビ管の違いとそれぞれの要件について

サビ管・児発管の共通点と相違点を整理すると

サビ管と児発管は、いずれも個別支援計画の作成と支援プロセスの管理という共通の核を持っています。

ただし、対象となる年齢層や支援の焦点、そして法的な根拠が異なります。

比較項目 サビ管 児発管
根拠法 障害者総合支援法 児童福祉法
主な対象 成人の障害者 障害のある子ども
主な職場 生活介護・就労支援・グループホームなど 児童発達支援・放課後等デイサービスなど
役割 支援計画の作成・スタッフ指導・全体管理 発達支援計画・保護者対応・関係機関連携
配置基準 60人に1人以上(グループホームは30人) 事業所ごとに専任常勤1人以上

こうして見ると、サビ管と児発管は「対象の年代」が違うだけでなく、求められる支援の視点や連携の広がりにも違いがあることが分かります。

次では、そんな二つの職種がなぜ研修制度を統合することになったのか、その背景と目的を詳しく見ていきましょう。

サビ管・児発管の研修制度はなぜ統合が必要だったのか?

結論から言うと、サビ管・児発管の研修制度統合は、人材不足とサービスの質のばらつきを解消し、専門性を継続的に高めるための改革でした。

2019年度に実施されたこの制度改正の背景には、現場で長年指摘されてきた構造的な課題がありました。

旧制度が抱えていた三つの課題

制度改革前の研修システムには、主に次の三つの問題がありました。

① 人材不足の深刻化

全国的にサビ管・児発管の人材確保が難しく、厚生労働省の審議会でもたびたび課題として取り上げられていました。

障害福祉・児童福祉分野の需要が高まる一方で、専門職の数が追いつかず、事業所運営の安定やサービスの質低下が懸念されていたのです。

② サービスの質のばらつき

旧制度では、一度研修を受けると資格が永久に有効となり、知識を更新する仕組みがありませんでした。

その結果、時代に合った支援方法や法改正への対応が遅れ、事業所ごとの支援の質に大きな差が生じていました。

③ 障害福祉・児童福祉サービスの需要増大

発達障害のある子どもや、支援を必要とする成人の増加により、サービス利用者は年々増加。それに伴い、質の高い支援を行える専門職の育成が急務となっていました。

こうした三つの課題が、制度改革を後押しする大きな要因となりました。

国が制度を見直した理由と、新しい研修の方向性

2018年(平成30年)3月の社会保障審議会障害者部会では、
「研修が一度きりで終わってしまう」「知識を振り返り、更新する機会がない」
といった点が公式に指摘されました。

この議論を受けて、国は研修体系を「基礎研修」「実践研修」「更新研修」の三段階に再編。

これにより、専門職として段階的にスキルアップを図りつつ、定期的な知識の更新を義務化しました。

つまり、新制度は「一度研修を受ければ終わり」という旧モデルを改め、経験に合わせてステップアップし、定期的に知識を更新していく仕組みへと変わったのです。

次の章では、この改革によって誕生した新しい研修制度の全体像をさらに詳しく見ていきましょう。

新研修制度の全体像をわかりやすく解説

新制度では、2019年度からサビ管・児発管共通のキャリアパスが導入されました。

従来の「一度きりの研修」ではなく、基礎研修 → OJT → 実践研修 → 更新研修の4段階を通して、継続的にスキルを高めていく仕組みです。

四つの段階で構成される研修体系

それぞれのステップには明確な目的と要件があります。段階的に進むことで、支援者としての理解と実践力を深めていける構造です。

①基礎研修

最初のステップは、サビ管・児発管に共通する支援の基礎知識と技術を学ぶ研修です。

内容は相談支援の理念、アセスメント、個別支援計画の基本など。

講義11.5時間+演習15時間の全27時間で構成されています。

基礎研修は、必要実務経験年数を満たす2年前から受講が可能です。事業所が計画的に次世代の人材を育成できるよう設計されています。

修了後は「基礎研修修了者」として、正規のサビ管・児発管のもとで計画原案の作成や補佐的な配置が可能になります。

②OJT(実務経験)

基礎研修で学んだ内容を、現場で実践的に磨く段階です。

基礎研修修了後5年以内に、通算2年以上の相談支援または直接支援に従事する必要があります。

ただし、受講時点で既に実務経験を満たしている場合は、6か月以上で短縮可能です。

③実践研修

実践研修は、正規のサビ管・児発管になるための最終ステップです。人材育成、困難事例への対応、地域との連携など、より高度な内容を学びます。

講義・演習あわせて14.5時間のカリキュラムです。

修了すれば、正式にサビ管または児発管として事業所に正規配置できるようになります。

④更新研修

最後のステップが、5年ごとの更新研修です。

資格取得後も学び続ける仕組みで、医療・教育など他の専門職と同様に「生涯学習を前提とした資格制度」に変わりました。

受講対象は、直近5年間で通算2年以上勤務しているか、現在職に就いている人。

内容は法改正・支援技術・事例検討などで、約13時間です。

最新知識をアップデートしながら、支援の質を保ち続けることが目的です。


この改革では、「サビ管と児発管に共通する基礎的な支援スキルは一緒に学ぼう」という考えのもと、研修が統合されました。

ただし、実際の資格や担当する対象は今まで通り別々です。

サビ管と児発管の研修が一つになったことで、学びのスタートラインは同じになりました。

あとは「どんな人を支えたいか」「どんな現場で働きたいか」自分の想いに合った道を選んで、経験を積んでいくことが大切です。

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