「サービス管理責任者(サビ管)と児童発達支援管理責任者(児発管)は何が違うの?」

「サビ管と児発管の役割や必要な資格は?」

と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

サビ管と児発管は、どちらも福祉サービスに関わる重要な職種ですが、対象者や仕事内容、必要な経験が異なります。

サビ管は主に障がいのある成人を対象とした支援計画の作成や調整を行い、児発管は発達支援が必要なこどもを対象に、適切な支援を提供するための計画を立てる役割を担っています。

本記事では、サビ管と児発管の違いや、それぞれの仕事内容、必要な資格やなり方について詳しく解説します。

どちらの職種を目指すか迷っている方や、キャリアアップを考えている方はぜひ参考にしてください!

サビ管と児発管について

まずは、サビ管と児発管についてそれぞれ詳しくみていきましょう。

児童発達支援管理責任者(児発管)とは?

児童発達支援管理責任者(児発管)は、発達に支援が必要なこどもたち一人ひとりに合わせた支援を統括する重要な職種です。

具体的には、個別支援計画の作成、保護者への相談対応、関係機関との連携など、幅広い業務を担当します。

個別支援計画の作成では、こどもの成長段階や発達特性をしっかりと把握し、定期的なアセスメントとモニタリングを通じて最適な支援を提供していきます。

保護者の意向と専門的な支援のバランスを取りながら、より良い計画を立てる必要があるため、情報を適切に分析し、課題を見つける力が求められるでしょう。

また、日々こどもの変化を観察し、必要に応じて支援計画の修正や新たな提案を行う柔軟性も重要です。

さらに、保育所や学校、相談支援専門員、医療機関など、多くの関係機関との連携も欠かせません。

2018年4月には、重度の障がいを持つこどもを対象とした「居宅訪問型訪問支援」が新たに導入されました。

これにより、居宅介護事業所や医療機関との連携がより一層求められるようになり、児発管の役割がさらに拡大しています。

サービス管理責任者(サビ管)とは?

サービス管理責任者(サビ管)とは、障がいを持つ人々の生活環境や個別の特性に応じた支援計画を策定し、日常生活や社会生活の自立を支援する専門職です。

主な職場は、生活介護や就労継続支援など、障がい者総合支援法に基づく指定事業所が中心となります。

業務内容自体は児発管と類似していますが、大きな違いは支援対象者の年齢層にあります。

サビ管は18歳以上の障がい者を対象にしており、個別支援計画では日常生活の自立支援に重点を置くことが特徴です。

支援を行う際には、本人の意思決定を尊重しながら、家族や支援者との意見調整を行うことが求められます。

また、就労支援や成年後見制度の活用など、公的な制度を適切に取り入れながら支援を行う機会も多いため、公的機関との連携を密に取ることが重要です。

サビ管と児発管の違い

もともと、2012年4月の児童福祉法改正前は、児童デイサービスなどの障がい児向け事業所も、障がい福祉サービスの一環として運営されていました。

そのため、サビ管がこどもの個別支援計画を作成することも多かったのですが、児童支援のあり方に課題があると指摘されていました。

そこで、障がい児向けの事業所は児童福祉法に基づく指定事業所として再編され、それに伴い、児発管という専門職が新たに設置されました。

この改正により、児発管は18歳未満のこどもを対象にし、サビ管は18歳以上の支援を担当するという形で、業務の棲み分けが明確になったのです。

以上が、サビ管と児発管についてでした。

サビ管と児発管は、一見すると似た業務を担う職種ですが、支援対象者の年齢層や支援内容には大きな違いがあります。

どちらの職種も、支援を必要とする人々の生活の質を向上させるために不可欠な存在です。

今後も福祉分野のニーズが高まる中で、これらの専門職の重要性はさらに増していくことでしょう。

これから児発管やサビ管を目指す方は、それぞれの違いを理解したうえで、自分に合ったキャリアを検討してみてください。

次に、サビ管と児発管の主な違いについてみていきましょう。

サビ管と児発管の主な違い

サビ管と児発管は、どちらも福祉分野において重要な役割を担っていますが、適用される法律や勤務する施設、対象となる利用者の年齢層など、いくつかの違いがあります。

また、資格取得のために求められる実務経験の要件も異なるため、それぞれの違いを正しく理解し、自身のキャリアプランに合った資格を選ぶことが重要です。

ここでは、両者の具体的な違いについて詳しく見ていきましょう。

勤務できる施設の違い

サビ管と児発管、それぞれの資格を活かして働ける施設には、以下のような違いがあります。

児童発達支援管理責任者の勤務先

  • 児童発達支援センター(福祉型・医療型)
  • 児童発達支援事業
  • 放課後等デイサービス
  • 保育所等訪問支援
  • 居宅訪問型児童発達支援
  • 障がい児入所施設(福祉型・医療型)

サービス管理責任者の勤務先

  • 介護分野:療養介護、生活介護、重度障がい者等包括支援、施設入所支援
  • 地域生活分野(身体):自立訓練(機能訓練)
  • 地域生活分野(知的・精神):自立訓練(生活訓練)、自立生活援助、共同生活援助
  • 就労分野:就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援

これらのように、児発管は主にこどもを対象とした支援を行い、サビ管は成人を対象とした福祉サービスを提供する施設で働くことが多いという点が大きな違いです。

資格取得の要件の違いについて

サビ管と児発管の資格取得には、それぞれ一定の実務経験が必要とされており、要件が異なります。

この2つの資格の取得要件を整理すると、以下のようになります。

実務経験の基本要件

児発管・サビ管ともに、実務経験は主に以下の3つの区分に分類されます。

  • 相談支援業務の経験
  • 直接支援業務の経験
  • 有資格者等の経験

ただし、児発管の場合は、こどもや障がい者への支援業務経験が3年以上含まれていることが求められる点が特徴です。

また、一部の自治体(埼玉県・大阪府など)では、サビ管の実務経験要件が緩和されており、相談支援業務および有資格者等の経験は3年以上、直接支援業務の経験は5年以上で資格取得が可能となっています。

具体的な実務経験の要件について

資格を取得するために必要な実務経験の年数と、該当する業務内容を詳しく見ていきましょう。

相談支援業務の実務経験(5年以上必要)

  • 福祉施設での相談支援業務
  • 医療機関での相談業務(資格要件あり)
  • 就労支援に関する相談業務
  • 学校での進路相談や教育相談業務(サビ管の場合、特別支援学校に限定)

直接支援業務の実務経験(8年以上必要)

  • 施設や医療機関等での介護業務
  • 障がい者雇用事業所での就業支援業務
  • 学校や児童福祉施設での支援業務(サビ管の場合、特別支援学校に限定)

有資格者等の実務経験(5年以上必要)

該当資格を所持している場合、一定の直接支援業務の経験を積むことで、資格要件を満たすことができます。

対象となる資格は以下のとおりです。

  • 社会福祉士・精神保健福祉士
  • 介護職員初任者研修修了者
  • 保育士
  • 児童指導員任用資格者
  • 医療資格(医師、看護師、理学療法士、作業療法士、歯科医師、薬剤師など)

資格取得には研修受講も必須

実務経験を満たしただけでは、児発管・サビ管として働くことはできません。

資格取得後、必要な研修を受講することが義務付けられています。

児発管・サビ管それぞれに求められる研修は以下のとおりです。

必須の研修内容

  • 相談支援従事者初任者研修(11時間の講義)
  • サービス管理責任者研修または児童発達支援管理責任者研修(19時間の講義+分野別演習)

なお、サビ管の研修には「介護」「地域生活(知的・精神)」「地域生活(身体)」「就労」「児童」の5つの分野があり、2019年度以降は、いずれか1つの分野で研修を修了すれば、他の分野のサービスにも従事できるようになりました。

サビ管と児発管の兼務について

児発管およびサビ管の資格を取得すると、施設の管理者としての役割を兼務することが可能です。

また、多機能型事業所では、他のサービスにおける児発管・サビ管との兼務が認められています。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 居宅介護事業所(行動援護・同行援護など)では、サビ管ではなく「サービス提供責任者」を配置しなければならない
  • 都道府県や事業所ごとに、兼務の可否に違いがあるため、事前に確認することが重要

以上が、サビ管と児発管の主な違いについてでした。

それぞれの資格が求められる環境や役割を理解し、自分の目指すキャリアに合った資格取得を目指しましょう。

次に、児発管からサビ管になる方法についてみていきましょう。

児発管からサビ管になる方法

ここからは、サビ管から児発管になるための方法について、ケースごとに詳しく見ていきます。

児発管を目指す方は、自身の実務経験を振り返り、どのような条件が必要なのかを正しく理解することが大切です。

研修の受講状況や経験年数によって条件が異なるため、それぞれのケースをしっかり確認していきましょう。

ケース①:2019年4月以降に研修をすべて修了し、サビ管として配置されている方

2019年4月から、サビ管と児発管の研修内容が統一されました。そのため、両者の違いは実務経験にあります。

まずは、これまでの実務経験をしっかり振り返り、児発管として必要な経験が十分に積まれているかを確認しましょう。

もし、実務経験が不足している場合は、要件を満たすための経験を積む必要があります。

例えば、「老人福祉施設での経験のみ」でサビ管になった方の場合、児発管として認められる施設で3年以上の実務経験が求められることになります。

一方で、必要な実務経験がすでに満たされている場合は、基本的には児発管としての配置が可能です。

ただし、自治体ごとに細かな基準が異なるため、最終的には各自治体へ確認することを忘れないようにしましょう。

ケース②:2019年3月以前に研修をすべて修了し、サビ管として配置されている方

2019年3月以前にサビ管の資格を取得した方は、「更新研修」の受講が必要です。

もし更新研修を受けていない場合、2023年度末で資格が失効することになります。

実際に長年サビ管や児発管として業務に従事していたとしても、更新研修を受けていなければ資格を失い、無資格状態になってしまうため注意が必要です。

また、2023年度内の更新研修の申し込みはほとんどの自治体で終了しているため、2024年度の実践研修を受ける準備をしなければなりません。

すでに申し込みが締め切られている自治体が多いため、全国の開催状況を確認し、他の都道府県で受講できる可能性があるかを調べておくことも重要です。

更新研修を受講できた場合

2019年以前に取得したサビ管修了証は、基本的にサビ管・児発管の両方に有効です。

そのため、2024年度中に更新研修を受講すれば、児発管としての資格も有効となります。

ただし、実際にその職務に就けるかどうかは、自治体(指定権者)の判断によるため、必ず確認が必要です。

自治体によっては、実務経験の制限を設けている場合もあり、企業側が児発管としての配置を想定して内定を出しても、自治体の判断でNGとなるケースもあるため、慎重に対応しましょう。

「更新研修」を受講することが、資格を維持し、児発管として働き続けるための最善策となります。

更新研修を受講できなかった場合の対応

もし、更新研修を受けられなかった場合は、実践研修を最初から受け直す必要があります。

さらに、児発管特有の実務経験が不足している場合は、不足分を補った上で研修を受講しなければなりません。

これにより、児発管としての資格取得が大幅に遅れる可能性があるため、できる限り早めに対策を講じることが重要です。

実務経験の詳細な違いについては、本ページ内の「サビ管と児発管 実務経験の違い詳細」にて詳しく解説していますので、そちらも併せて確認してください。

児発管を目指すためのポイント

児発管を目指す方は、転職やキャリア形成を計画的に進めることが大切です。

具体的には、以下の点を意識しながら転職活動を行うと良いでしょう。

  • 児発管として必要な実務経験を積める施設で働く
  • 自分の働く自治体の基準を事前に確認する
  • 研修の申し込み期限を把握し、早めに受講の準備をする
  • 児発管としてのキャリアプランを明確にする

また、転職を検討している方は、「土日休み」「送迎業務なし」「管理者兼務なし」など、自分の希望に合った条件で求人を探すこともポイントになります。

以上が、児発管からサビ管になる方法でした。

サビ管から児発管になるためには、実務経験や研修の受講が必要であり、自治体の判断によっても条件が異なることがあります。

特に、2019年3月以前に資格を取得した方は、更新研修を受けなければ資格が失効するため、早めの対応が求められます。

もし更新研修を受けられなかった場合は、実践研修を受け直す必要があり、児発管特有の実務経験が不足している場合は、追加で経験を積むことが求められます。

これから児発管を目指す方は、実務経験の要件や研修のスケジュールを確認し、計画的にキャリアを積んでいくことが大切です。

資格の維持やキャリアアップをスムーズに進めるためにも、自分の働く自治体の基準を確認し、早めに研修の受講準備を進めていきましょう。

次に、児発管に向いている人の特徴についてみていきましょう。

児発管に向いている人の特徴とは?

児発管として活躍するためには、どのような資質が求められるのでしょうか。

ここでは、児発管に向いている人の特徴について詳しく解説していきます。

幅広いコミュニケーション能力を持つ人

児発管は、こどもと直接関わることはもちろん、保護者や教育機関、医療機関、行政関係者など、多くの人と連携を取る仕事です。

こどもの成長を支えるためには、それぞれの立場や考え方を理解し、スムーズに情報を共有することが求められます。

そのため、異なる価値観を持つ人々と円滑に意思疎通ができ、信頼関係を築ける人が向いていると言えるでしょう。

単に会話が得意なだけではなく、相手の気持ちや意図を的確に理解し、適切な言葉を選んで対応できる能力が重要です。

また、保護者の中には、こどもの発達に対する不安や悩みを抱えている方も多くいます。

そのような状況を踏まえ、保護者に寄り添いながら、安心感を与える対応ができる人は、児発管として活躍しやすいでしょう。

こどもや環境の変化に気づける観察力がある人

児発管は、障がいを持つこども一人ひとりに適した個別支援計画を作成する役割を担います。

そのため、こどもの様子をしっかり観察し、必要な支援や今後の目標を見極める力が不可欠です。

例えば、こどもが日常生活の中でどのような課題を抱えているのか、成長に伴ってどのような変化が見られるのかを細かく観察し、適切な支援を考えることが求められます。

また、保護者との面談を通じて、家庭でのこどもの様子や保護者の考えをしっかりと汲み取ることも大切です。

観察力が高い人は、こどもの小さな変化にも気づくことができるため、より適切な支援計画を立てることができます。

また、保護者の話を聞く際にも、言葉だけでなく表情や仕草などからも気持ちを察し、より適切なサポートを提案することが可能となります。

柔軟な対応力を持ち、状況に応じて適切な判断ができる人

児発管の仕事は、決まった業務を淡々とこなすものではなく、こども一人ひとりの特性や状況に応じた対応が求められる仕事です。

支援の方法もこどもによって異なり、同じアプローチが全員に当てはまるわけではありません。

また、保護者や関係機関との連携においても、時には意見が食い違うことがあるかもしれません。

そのような場面でも、冷静に状況を分析し、最善の解決策を見つける判断力が求められます。

突然のトラブルや予定変更にも臨機応変に対応できる柔軟性がある人は、児発管としての役割をスムーズに果たすことができるでしょう。

以上が、児発管に向いている人の特徴でした。

児発管について総合的に知りたい人は、以下の記事もチェックしてみてください。

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サビ管と児発管は、どちらも福祉の現場で支援の質を向上させるために重要な役割を担う職種です。

サビ管は、障がいを持つ成人を対象に、生活や就労をサポートする支援計画を作成・管理します。

一方で、児発管は、発達に支援が必要なこどもを対象に、成長を促す支援計画を作成し、保護者や関係機関と連携する役割を担っています。

どちらも一定の実務経験と研修が必要ですが、支援したい対象や関わり方によって、向いている職種が異なります。

本記事を参考に、自分に合ったキャリアを考え、必要な経験を積んでいきましょう!

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