「子どもが好き」という気持ちを仕事にしたい。そう考えても、保育士や教師以外にどんな選択肢があるのか、資格がなくても挑戦できるのか、具体的なイメージが湧かない方も多いでしょう。
子どもと関わる仕事は、保育や教育の現場だけでなく、医療、福祉、サービス業まで、非常に多岐にわたります。それぞれ求められる役割や専門性、働き方もさまざまです。
この記事では、子どもと関わる仕事を「保育・教育」「医療・福祉」「支援・サービス」の3分野(合計20職種)に分けて詳しく解説します。
資格がなくても始められる仕事や、それぞれの仕事に向いている人の特徴もご紹介しますので、あなたにぴったりのキャリアを見つけるヒントにしてください。
子どもに携わる仕事【保育・教育分野】
子どもの成長の土台を築き、学びや集団生活を直接サポートする、最もイメージしやすい分野です。
多くの場合、専門の資格や免許が必要となります。
1. 保育士
0歳から就学前までの乳幼児を対象に、保育所や認定こども園などで生活全般の世話をしながら、心身の発達を促す仕事です。共働き家庭の増加に伴い、社会的な需要が非常に高い専門職です。
- 必要な資格: 保育士資格(国家資格)
2. 幼稚園教諭
満3歳から就学前の子どもを対象に、幼稚園で教育を行います。「遊び」を中心とした集団生活を通じて、子どもの自主性や社会性を育むことが主な役割です。
- 必要な資格: 幼稚園教諭免許状
3. 小学校教諭・中学校教諭
公立または私立の学校で、児童・生徒に対して教科指導や生活指導、学級経営を行います。子どもたちの知的好奇心を引き出し、社会生活の基礎を教える重要な役割を担います。
- 必要な資格: 小学校教諭免許状、中学校教諭免許状
4. 特別支援学校教諭
視覚・聴覚や知的、身体などに障がいのある子どもたちが通う学校で、一人ひとりの特性に応じた教育や自立支援を行います。個別の指導計画に基づき、きめ細やかなサポートが求められます。
- 必要な資格: 小学校・中学校などの教員免許 + 特別支援学校教諭免許状
5. 塾講師・家庭教師
学習塾や個人の自宅で、子どもたちに教科指導を行います。学校の補習、受験対策、苦手克服など、目的はさまざまです。教員免許は必須ではありませんが、高い学力と指導力が求められます。
- 必要な資格: 必須ではない(教員免許や高い学歴があると有利)
子どもと関われる仕事【医療・福祉分野】
心身の健康や発達、生活環境に困難を抱える子どもと、その家族を専門的な知識で支える仕事です。高い専門性と責任感が求められます。
6. 小児科看護師
病院の小児科病棟やクリニックで、病気や怪我をした子どもたちの看護を行います。医療処置だけでなく、不安を抱える子どもや家族の精神的なケアも重要な仕事です。
- 必要な資格: 看護師免許(国家資格)
7. 助産師(乳幼児と関わる仕事)
産婦人科や助産所などで、妊娠・出産・産後の母子の健康管理を行います。新しい命の誕生に立ち会い、授乳指導や育児相談など、産まれたばかりの赤ちゃんと母親に最も近い立場で関わります。
- 必要な資格: 助産師免許(国家資格 ※看護師免許取得が前提)
8. 言語聴覚士
言葉の発達やコミュニケーション、摂食・嚥下に問題がある子どもに訓練や指導を行います。
- 必要な資格: 言語聴覚士(国家資格)
9. 理学療法士
病気や怪我、発達障がいなどで運動機能に問題がある子どもに対し、運動療法などで機能回復をサポートします。
- 必要な資格: 理学療法士(国家資格)
10. 作業療法士
遊びや日常生活の動作を通じて、身体や精神機能の回復、社会性の習得を支援します。
- 必要な資格: 作業療法士(国家資格)
11. 児童福祉司(子育て支援に関わる仕事)
児童相談所に勤務し、虐待、非行、不登校など、さまざまな問題を抱える子どもや家庭からの相談に応じます。必要な調査や支援計画の作成、関係機関との調整を行う専門職です。
- 必要な資格: 児童福祉司任用資格(大学での専攻や実務経験などが必要)
12. 児童指導員
児童養護施設や障がい児支援施設(放課後等デイサービスなど)で、子どもたちの生活指導や学習支援、遊びのサポートを行います。子どもたちの「第二の家族」として、日々の成長に寄り添います。
- 必要な資格: 児童指導員任用資格(教員免許、社会福祉士、保育士資格保持者、または大学の特定学部卒業者など)
13. スクールカウンセラー
小・中学校などに配置され、子どもたちが抱える悩み(いじめ、不登校、友人関係など)の相談に乗ります。保護者や教職員への助言も行う、学校内の「心の専門家」です。
- 必要な資格: 公認心理師、臨床心理士などの資格が求められることが多い
保育士以外で子どもと関わる仕事【支援・サービス分野】
保育や医療の枠にとらわれず、より身近な生活の場面や、特定のスキルを活かして子どもたちの成長や楽しみを支える仕事です。
14. ベビーシッター
個人の自宅などで、保護者に代わって子どもの世話をします。1対1でじっくり関われるのが特徴です。資格は必須ではありませんが、保育士やチャイルドマインダー(民間資格)があると信頼に繋がります。
- 必要な資格: 必須ではない
15. 児童館スタッフ
0歳から18歳までの子どもが自由に利用できる児童館で、遊びの指導やイベントの企画・運営を行います。地域の子どもたちの安全な居場所づくりを担います。
- 必要な資格: 必須ではない(保育士や児童指導員任用資格があると有利)
16. 子ども用品店・おもちゃ屋のスタッフ
ベビー用品、子ども服、おもちゃなどを販売します。商品選びのアドバイスを通じて、子育て家庭をサポートします。子どもの発達や安全に関する知識が役立ちます。
- 必要な資格: 必須ではない
17. テーマパーク・遊園地のスタッフ
アトラクションの運営や園内の案内、イベントの進行などを通じて、子どもたちに「楽しい時間」を提供します。安全管理とホスピタリティが重要です。
- 必要な資格: 必須ではない
18. スポーツインストラクター
スイミングスクールや体操教室、ダンススタジオなどで、子どもたちにスポーツの技術や楽しさを教えます。子どもの体力向上や協調性を育む仕事です。
- 必要な資格: 必須ではない(指導内容に応じた専門スキルや指導者資格があると有利)
19. 保育補助
保育士のサポート役として、保育園やこども園で働きます。主な仕事は、掃除、片付け、食事の準備、遊びの見守りなどです。無資格でも実務経験を積めます。
- 必要な資格: 必須ではない
20. 学童保育指導員(放課後児童支援員)
放課後や長期休暇中に、小学生の子どもたちを預かる「学童クラブ」で働きます。宿題を見たり、一緒に遊んだりします。無資格の補助員から始められる場合も多いです。
- 必要な資格: 必須ではない(「放課後児童支援員」資格があると有利)
子どもと接する仕事に向いている人の特徴
子どもと関わる仕事は、「好き」という気持ちだけでは務まらない責任の重い仕事でもあります。以下のような特徴を持つ人が向いています。
責任感と忍耐強さ
子どもの命や安全を預かるという強い責任感が不可欠です。また、子どもは思い通りにならないことも多いため、根気強く向き合う忍耐力が求められます。
観察力と共感力
言葉でうまく表現できない子どもの小さな変化や「サイン」に気づく観察力と、その気持ちに寄り添う共感力が必要です。
体力と柔軟性
子どもと一緒に走り回ったり、抱っこしたりする体力は必須です。また、子どもの体調不良や突発的なトラブルにも臨機応変に対応できる柔軟性も大切です。
連携・コミュニケーション能力
子どもの成長は一人では支えられません。保護者や同僚、他の専門機関(医療機関、学校など)と円滑に情報を共有し、連携する力が求められます。
子どもに関わる仕事の将来性とキャリア
少子化と言われる一方で、子育て支援の重要性や保育の質への要求は高まっており、専門性を持つ人材の需要は安定しています。
一般的に、「やりがい」が重視される傾向にありますが、小学校教諭などの公務員や、看護師・助産師・リハビリ職といった医療系専門職は、比較的安定した高水準の収入が期待できます。
資格がなくても始められる仕事はありますが、キャリアアップや収入アップを目指す上では、やはり資格が大きな力となります。専門学校や大学で体系的に学ぶことは、専門知識と技術を身につけ、将来の選択肢を広げるための確実な一歩となるでしょう。
まとめ
子どもと関わる仕事は、保育・教育から医療・福祉、サービス業まで多岐にわたります。資格が必須の専門職もあれば、無資格・未経験から挑戦できる仕事もあります。
大切なのは、あなたが「どのような形で子どもと関わりたいのか」「何を大切にして働きたいのか」を明確にすることです。この記事を参考に、あなた自身の可能性を探ってみてください。






