”仕事を奪うハラスメント”というパワハラ｜こどもプラスの対策について

「仕事を与えてもらえない」「簡単な作業しか任されない」

仕事でこのような経験はありませんか？

実は、これらの行為は「仕事を奪うハラスメント」と呼ばれ、パワハラの一つである「過小な要求」に当てはまる可能性があります。

特に福祉業界では、忙しさやストレスからパワハラが起こりやすい環境があり、みなさんが安心して働けるための対策がとても大切になっています。

今回は、どんな行為が「仕事を奪うハラスメントになるのか、そしてどう対処すればよいのかを分かりやすくお話しします。

仕事を奪うハラスメントって何？パワハラとどう関係があるの？

仕事を奪うハラスメントは、厚生労働省が定めているパワハラの6つの種類の中でも特に深刻な問題として位置づけられています。

理由もなく仕事を取り上げられたり、あなたの経験や能力に見合わない簡単な作業ばかりをさせられたりする状態。

これは厚生労働省が決めているパワハラの6つの種類のうち、「過小な要求」というものに当てはまります。

パワハラかどうかを判断するときには、3つのポイントがあります。

• 上下関係などを利用した行為かどうか
• 仕事上必要な範囲を超えているかどうか
• 働きにくい環境になっているかどうか

大切なのは、上司からだけでなく、同僚や先輩からの嫌がらせも含まれることです。

例えば、仕事に詳しい同僚があなたを無視したり、みんなであなたを仲間外れにしたりすることも、パワハラになることがあります。

また、仕事を奪われるだけでなく、職場で孤立させられることも一緒に起こることが多いのが特徴です。

仕事がもらえない上に、周りから無視されたり、大切な情報を教えてもらえなかったりすると、とてもつらい気持ちになってしまいますよね。

こうした複数の嫌がらせが重なることで、「もう辞めるしかない」と思わせようとする悪質なケースもあります。

このように、仕事を奪うハラスメントはパワハラの典型的な形として法的にも問題視されています。

次に具体的な事例を通してどのような行為が該当するのかを詳しく見ていきましょう。

仕事を奪うハラスメントの具体例【これは問題？問題じゃない？】

仕事を奪うハラスメントに該当するかどうかを判断する際は、その行為に業務上の合理性があるかどうかが最も重要なポイントとなります。

「これってハラスメント？それとも普通の指導？」と迷うことってありますよね。

一番大切なのは、「仕事上の理由があるかどうか」です。

こんな行為は問題になります

例えば、管理職のあなたを辞めさせたいからといって、誰でもできる簡単な仕事しかさせない場合や、気に入らないという理由で仕事を全く与えない場合は明らかに問題です。

また、あなただけ仕事をもらえなかったり、本来の業務とは全く関係のない掃除ばかりさせられたりするのも、ハラスメントに当てはまります。

これは適切な指導です

一方で、あなたの能力に合わせて仕事の量を調整してくれたり、成長のために少し難しい仕事を任せてくれたり、忙しい時期に一時的に仕事が増えたりするのは、ハラスメントではありません。

大切なのは、その対応に納得できる理由があるかどうかです。

新しい職場で経験が少ないために最初は簡単な仕事から始める場合でも、きちんと説明があって、だんだん仕事を増やしていく計画があれば問題ありません。

新人研修で一時的に別の部屋で勉強したり、何か問題を起こした後の研修として短期間別室にいたりするのも、きちんとした目的があれば適切な対応といえます。

迷った時には、「この対応には納得できる理由があるか」「きちんと説明を受けているか」「将来に向けた改善の見込みがあるか」を考えてみることで、仕事を奪うハラスメントかどうかを判断する手がかりになります。

次に、ハラスメントの影響についてご紹介します。

仕事を奪うハラスメントが引き起こす影響

仕事を奪うハラスメントは、被害者だけでなく職場全体に深刻な悪影響をもたらす重大な問題です。

あなた自身だけでなく、会社全体にも大きな影響を与えてしまいます。

まず、あなたが受ける影響についてお話ししますね。

仕事がもらえない状況って、本当につらいものです。

「自分は必要ない人間なのかな」「周りはみんな忙しそうなのに、自分だけやることがない」という気持ちになって、会社にいる時間がとても長く感じられてしまいます。

こうした状況が続くと、心の健康に大きな影響が出てしまうことがあります。

うつ病などの心の病気になってしまったり、お休みをとらざるを得なくなったり、最終的にお仕事を辞めることになってしまったりする方も少なくありません。

さらに、仕事ができないのに「サボっている」「給料泥棒」などと言われてしまうと、自分に自信がなくなってしまい、将来のキャリアにも大きな傷を残してしまいます。

会社にも大きな損失が

こうした問題は会社にとっても大変な損失になります。

ハラスメントの対応に時間を取られて本来の仕事ができなくなったり、優秀な人から辞めていってしまったりします。

また、「あの会社はハラスメントがある」という噂が広まると、良い人材を採用することも難しくなってしまいます。

さらに、会社には働く人を守る責任があるので、法的な責任を問われることもあります。

特に深刻なケースでは、何千万円もの賠償金を支払うことになった例もあります。

このように仕事を奪うハラスメントは個人の人生だけでなく組織全体の健全性を脅かす深刻な問題です。

特に福祉業界では業界特有のリスク要因が存在するため、より注意深い対策が必要になってきます。

福祉業界で仕事を奪うハラスメントが起こりやすい理由

福祉業界では、業界特有の環境や背景により仕事を奪うハラスメントが発生しやすい構造的な問題があります。

福祉のお仕事には、他の業界とは違った特徴があり、それが「仕事を奪うハラスメント」を起こしやすくしてしまうことがあります。

その背景を理解することで、より良い対策を考えることができますね。

一番大きな原因は、人手不足の問題です。

高齢化が進んで介護のニーズがどんどん増えているのに、働く人が足りない状況が続いています。

そのため、今働いている職員の方にとても大きな負担がかかってしまい、心に余裕がなくなってしまうことがあります。

そんなときに、特定の人への嫌がらせとして「あの人には仕事を回さない」「情報を教えない」といった行為が起こりやすくなってしまいます。

また、人手不足は仕事の配分にも影響します。

忙しく働いている人が「あの人だけ楽をしているのでは」と感じてしまい、意図的に仕事を回さなくなったり、大切な情報を共有しなくなったりすることがあります。

人手不足の状態でそのようなことが起こると、当然現場は人手不足の悪循環に陥ります。

新人の方に対しても、十分な教育時間を確保できないことから、適切な指導ができずに放置してしまい、それが「仕事を与えない」形のいじめに発展してしまうケースも見られます。

福祉現場ならではの「仕事を奪われる」パターン

福祉の現場は、少ない人数のチームで協力しながら働くことが多いため、一度職場で孤立してしまうと、とてもつらい状況になってしまいます。

「大切な申し送りを教えてもらえない」「必要な情報から除外される」「誰でもできる簡単な作業しか任されない」といった状況に陥りやすくなってしまいます。

利用者さんの介護という大切な仕事では、「あの職員では利用者さんに迷惑がかかる」という名目で、本当は能力のある職員から重要な仕事を取り上げてしまうこともあります。

例えば、マネージャーを目指して入社したのに、送迎の仕事だけしか任されず、日中は特にやることがないという状況は、福祉業界で特有の問題です。

さらに、利用者さんやご家族からの苦情を理由に、特定の職員を利用者さんとの関わりから完全に遠ざけて、事務作業やお掃除だけをさせるケースもあります。

命を預かるという重い責任や、利用者さん・ご家族との関係で生じるストレスが、職員同士の人間関係を悪くしてしまい、特定の人を仕事から排除してしまう原因になることもあるのが現実です。

こうした福祉業界特有の仕事を奪うハラスメントの背景を理解し、適切な防止策を講じることが業界全体の課題となっています。

最後に、こどもプラスの具体的な対策方法についてお話しします。

こどもプラスが大切にしている「すべての職員が活躍できる職場づくり」

こどもプラスでは、「仕事を奪うハラスメント」を絶対に許さず、すべての職員が自分の能力を十分に発揮できる職場環境をつくることに取り組んでいます。

経験や資格に応じた適切な仕事の配分と、職員同士が支え合える環境づくりを大切にしています。

ハラスメント防止と早期発見の仕組み

仕事を奪うハラスメントを防ぐため、ハラスメントについて相談できる場所を設けており、行政の相談先についても職員にお知らせしています。

ハラスメント防止のルールを明確に決めて、「仕事を与えない」「情報を教えない」といった行為も明確に禁止対象としています。

管理者等の担当者が定期的に一人ひとりと面談を行い、日頃の悩みを相談できる環境をつくっています。

「仕事がもらえない」

「みんなから無視されている」

といった状況を早期に発見し、すぐに対応できる体制を整えています。

適正な業務配分と職員のスキル活用

経験年数や資格に応じた適正な人員配置を行っています。

一つの業務に対して担当できる職員を2名以上置くことや業務マニュアルを整備することで、特定の職員だけが仕事から外されることがないよう気を遣っています。

すべての職員が自分の経験や能力に見合った仕事を担当できるよう、業務の配分を公平に行っています。

新人の方には段階的に仕事を覚えてもらい、ベテランの方にはより責任のある仕事をお任せするなど、一人ひとりの成長に合わせた仕事の配分を心がけています。

情報共有と孤立防止の取り組み

職場での孤立を防ぐため、月に1回程度の定期ミーティングを職員全員で行い、大切な情報の共有や課題の相談を行っています。

申し送り事項や重要な連絡が特定の職員だけに伝わらないということがないよう、情報共有の仕組みをしっかりと整えています。

直接話しにくい場合でも相談しやすいよう、チャット機能等の連絡ツールも活用し、職員が問題を一人で抱え込まないよう気を遣っています。

職員同士が支え合い、誰もが安心して働ける環境づくりを進めています。

新人職員のサポートと適切な指導

新入職員に対する先輩職員によるサポート制度を導入し、新人の方が職場に馴染めるよう丁寧にサポートしています。

入職時には段階的な研修を実施し、仕事の基本から専門知識まで、安心して覚えられる環境を提供しています。

新人だからといって簡単な仕事だけをさせるのではなく、その方の成長に合わせて少しずつ責任のある仕事もお任せし、やりがいを持って働けるよう配慮しています。

「なぜこの仕事をお願いするのか」という理由も丁寧に説明し、納得して仕事に取り組めるようサポートしています。

職員の頑張りを適切に評価

職員の成長や努力が適切に評価されるよう、経験年数や資格に応じて給料が上がる仕組みを導入しています。

頑張りがお給料に反映される制度を整えることで、すべての職員がやりがいを持って働き続けられる環境をつくっています。

利用者からの感謝の言葉や、うまくいった事例をみんなで共有し、職員のやる気向上につなげています。

一人ひとりの働きをきちんと認め、お互いの頑張りを応援し合える職場風土を大切にしています。

心の健康サポート

仕事を奪われることによる心の負担を防ぐため、定期的にストレス調査を実施し、結果に応じて個別にお話を聞く機会も設けています。

「自分は必要ない人間なのかな」といった不安を感じることがないよう、職員の心の健康を第一に考えた職場運営を行っています。

管理者等の担当者が個人の有給休暇の取得状況を把握して個別に声をかけており、しっかりと休息を取れる職場環境を整えています。

職員が無理をしすぎることなく、心身の健康を保ちながら働ける環境をつくっています。

このような様々な取り組みにより、こどもプラスでは仕事を奪うハラスメントを防ぎ、すべての職員が能力を発揮できる職場環境をつくっています。

会社には、はっきりとした方針を作ること、相談しやすい体制を整えることで健全な職場環境をつくる責任があります。

あなたにできることは、一人で悩まずに、信頼できる上司や相談窓口に早めに相談することです。

「前の職場で仕事をもらえなくてつらい思いをした」

「みんなから無視されて孤立してしまった」

という経験をお持ちの方も、こどもプラスなら安心して新しいスタートを切ることができます。

こどもプラスでは、一人ひとりの能力を大切にし、みんなで支え合いながらこどもたちの成長を一緒に支えてくださる職員を募集しています。