保育士として働く喜びは計り知れないものがありますが、同時に「保育士がつらい」と感じる瞬間も少なくありません。

毎日こどもたちの笑顔に囲まれながらも、様々な困難や課題に直面し、心身ともに疲れ果ててしまうことがあります。

この記事では、10年以上の保育現場での経験をもとに、保育士がつらいと感じる要因とその乗り越え方について、具体的な事例を交えながらお伝えします。

同じ悩みを抱える保育士の皆さんに、少しでも前向きになれるヒントが見つかれば幸いです。

保育士の仕事がつらい!現場の実態

保育士がつらいと感じる場面は、日々の保育業務の中に数多く存在します。

こどもたちの笑顔に支えられながらも、様々な場面でプレッシャーや疲労感を感じることは珍しくありません。

多くの保育士が感じるつらさには、いくつかの共通点があります。

まず最も大きいのが、こどもの命と成長を預かる責任の重さです。

一人ひとりのこどもの安全を確保しながら、適切な発達支援を行うことは、想像以上のプレッシャーとなります。

特にアレルギー対応や感染症予防など、些細なミスが取り返しのつかない事態を招く可能性があることを常に念頭に置いて保育をしなければなりません。

また、近年の保育現場では慢性的な人手不足が深刻化しており、一人あたりの業務負担が増加しています。

具体的には以下のような業務が日々重なります。

  • 保育中のこどもたちの見守りと適切な関わり
  • 個別の発達に合わせた活動計画立案と実施
  • 連絡帳や保育記録などの文書作成
  • 環境整備や教材準備
  • 行事計画と準備
  • 保護者対応
  • 園内会議や研修参加

これらの業務をすべて勤務時間内に終わらせることは難しく、多くの保育士が持ち帰り仕事や時間外労働を余儀なくされています。

ある調査によれば、保育士の約7割が何らかの形で残業や持ち帰り仕事をしているという結果も出ています。

このような状況が続くと、心身の疲労が蓄積され、保育士がつらいと感じる大きな要因となっているのです。

保育士の業務負担の実態

業務内容 1日あたりの平均時間 持ち帰りの多い業務
直接保育 6〜7時間
書類作成 1〜2時間 連絡帳、保育記録
環境整備 30分〜1時間 製作物準備
会議・打ち合わせ 30分〜1時間
保護者対応 15分〜1時間

これらの業務が重なると、1日8時間の勤務時間では到底収まらないことがわかります。

保育士がつらいと感じるのは、このように日常的に時間に追われる状況が続くからなのです。

次に、保育士がつらいと感じる大きな要因である「身体的な疲労」について解説します。

保育士がつらいと感じる大きな要因は身体的な疲労

保育士がつらいと感じる大きな要因のひとつに、日々蓄積される身体的疲労があります。

保育の仕事は想像以上に体力を消耗します。

朝から夕方まで、ほとんど休む暇なく動き続けることが求められるのです。

保育士の身体的負担の具体例

  • 立ちっぱなしの保育: 1日の大半を立って過ごすため、足や腰への負担が大きい
  • 中腰・しゃがみ姿勢の繰り返し: こどもと目線を合わせるため、腰や膝に負担がかかる
  • 抱っこやおんぶの繰り返し: 特に0〜2歳児クラスでは頻繁に発生し、腕や肩、腰に負担
  • 環境設定のための力仕事: 机や椅子の移動、遊具の出し入れなど
  • 食事介助の姿勢維持: 不自然な姿勢での食事介助が長時間続く

特に乳児クラスを担当する保育士の身体的負担は顕著です。

オムツ替えのために1日に何十回も中腰になることや、泣いているこどもを抱っこしながら他の業務をこなすことも珍しくありません。

私自身も保育士3年目の頃、0歳児クラスを担当していた時期に慢性的な腰痛に悩まされました。

毎日の抱っこやオムツ替えで腰に負担がかかり、休日も痛みが引かず、整形外科に通いながら仕事を続けていました。

特に月曜日の朝は身体が重く、「今日も一日頑張れるだろうか」と不安になることもしばしばでした。

このような身体的疲労は、単に身体の痛みだけでなく、精神的な疲労感にもつながります。

身体が辛いと気持ちも沈みがちになり、こどもたちへの関わりにも影響が出てしまうことがあります。

多くの保育士が腰痛や肩こり、足の痛みなどの慢性的な症状を抱えながら働いているのが現状です。

身体的疲労への対策

身体的な負担を軽減するためには、以下のような工夫が有効です。

  1. 正しい抱っこの仕方を学ぶ: 腰への負担を減らす抱き方を意識する
  2. 適切な休憩時間の確保: 短時間でも座って休む時間を作る
  3. 仕事の合間のストレッチ: 簡単なストレッチで筋肉の緊張をほぐす
  4. 同僚との協力体制: 負担の大きい作業は交代で行う
  5. 休日のケア: 入浴やマッサージなどで疲れを癒す習慣をつける

これらを意識して実践することで、身体的な疲労によって保育士がつらいと感じる状況を少しでも改善することができるでしょう。

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保育士の膝痛は放置したら危険?セルフケアと医療機関への受診について
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次に、保育士の仕事がつらい要因の一つである保護者対応のストレスについて解説します。

【保育士の仕事がつらい】保護者対応のストレス

保育士がつらいと感じる大きな要因のひとつに、保護者との関係構築やコミュニケーションの難しさがあります。

多くの保護者は協力的で理解のある方々です。

しかし、なかには園の方針に理解を示さなかったり、過度な要求をされたりする方もいらっしゃいます。

保護者対応で難しいと感じる場面

  • こどものケガの報告: どんなに小さなケガでも、保護者にとっては大きな問題になりうる
  • こども同士のトラブル: 双方の保護者への説明と対応が難しい
  • 発達の課題に関する話し合い: こどもの発達の遅れや気になる点を伝える難しさ
  • 園のルールや方針への理解: 集団生活ならではのルールへの理解を得ることの難しさ
  • 連絡事項の伝達と確認: 忙しい保護者とのコミュニケーション方法

実際の経験として、あるとき園庭で遊んでいた5歳児が転んで膝に軽い擦り傷ができたことがありました。

その日のお迎え時に丁寧に状況を説明し謝罪したにもかかわらず、保護者の方から「しっかり見ていなかったのではないか」と不信感をあらわにされ、

数日間にわたって園長を交えた対応が必要になりました。

このような経験から、些細なケガでも報告することに緊張感を覚えるようになり、保育中も常に「何かあったらどう説明しよう」と考えながらこどもたちを見守るようになります。

この精神的プレッシャーが日々蓄積され、保育士がつらいと感じる大きな要因となっているのです。

保護者対応での具体的な困難事例

  1. 過剰な期待や要求 例: 「うちの子だけ特別に〇〇してほしい」という個別対応の要求
  2. 園の方針への不満や批判 例: 「〇〇の園ではこうしている」という他園との比較
  3. こどもの様子の食い違い 例: 家庭と園でのこどもの様子が大きく異なるケース
  4. コミュニケーション不足による誤解 例: 連絡帳の内容が誤解を招くケース

これらの状況に対応するためには、日頃からの信頼関係構築が不可欠ですが、時間や精神的余裕がない中でこれを実現することも、保育士がつらいと感じる要因になっています。

保護者対応を円滑にするためのポイント

  • 先手を打った情報共有: 小さなことでもポジティブな出来事も含めて日頃から共有する
  • 具体的な状況説明: 「いつ・どこで・どのように」を明確に伝える
  • こどもの成長を共に喜ぶ姿勢: 保護者と共にこどもの成長を見守る視点を大切にする
  • 専門的な知識に基づく提案: 保育の専門家としての視点を丁寧に説明する

これらを心がけることで、保護者との信頼関係を築きやすくなり、保育士がつらいと感じるコミュニケーションの負担を軽減することができるでしょう。

以下の記事では、保育士の保護者対応についてさらに詳しく解説しています。

保育士の保護者対応マニュアル!実例から学ぶ信頼関係の築き方
保育士として、保護者対応に悩まれている方は多いのではないでしょうか?日々の保育業務に加え、さまざまな価値観を持つ保護者との関係づくりは、時に大きな課題となります。特に経験の浅い保育士さんにとっては、保護者対応の難しさに直面することも少なくあ...

次に、保育士がつらいと感じる職場の人間関係についてみていきましょう。

【保育士の仕事がつらい】職場の人間関係

保育士がつらいと感じる大きな要因のひとつに、職場内の人間関係があります。

保育園という閉鎖的な環境では、スタッフ同士の関係性が日々の仕事の満足度や精神状態に大きく影響します。

保育現場特有の人間関係の課題

保育園では、世代間のギャップや価値観の違いから生じる摩擦が日常的に起こりがちです。

特に以下のような場面で、人間関係の難しさを感じることが多いです。

  • 保育観の相違: こどもへの関わり方や保育の方針について意見が分かれる
  • 業務分担の不公平感: 仕事量や責任の分担に対する不満
  • 世代間のコミュニケーションギャップ: 若手保育士とベテラン保育士の価値観の違い
  • チームワークの構築の難しさ: 忙しさの中で協力体制を作る難しさ
  • プライベートと仕事の境界線: 小さな職場ならではの人間関係の複雑さ

特に新人保育士にとっては、先輩保育士からの厳しい指導や「私の時代はこうだった」という経験則だけで物事を判断される場面が多く、萎縮してしまうこともあります。

新しい保育方法や考え方を取り入れたくても受け入れてもらえないもどかしさを感じることも少なくありません。

職場の人間関係で起こりがちな問題

  1. 派閥の形成 例: 勤続年数や年齢によるグループ化
  2. 情報共有の不足 例: 必要な情報が一部の保育士にしか伝わらない
  3. 意見が言いにくい雰囲気 例: 「ここではそういうことは言わない」という暗黙のルール
  4. 業務負担の不均衡 例: 特定の保育士に負担が集中する状況

これらの問題が積み重なると、保育園全体の雰囲気が悪化し、保育士がつらいと感じる大きな要因となります。

職場の人間関係を改善するためのアプローチ

  • オープンなコミュニケーション: 定期的なミーティングで意見交換の場を設ける
  • チームビルディング: 保育以外の場面でも交流する機会を作る
  • 相互理解と尊重: 異なる価値観や経験を認め合う文化づくり
  • 明確な役割分担: 仕事の分担を可視化し、公平感を持てるようにする
  • メンター制度: 新人と先輩をペアにし、相談しやすい関係を構築する

職場の人間関係が良好であれば、日々の保育のつらさも分かち合うことができ、心理的な負担が軽減されます。

逆に人間関係に問題があると、それだけで保育士がつらいと感じる大きな要因となってしまうのです。

【保育士の仕事がつらい】低賃金と長時間労働

保育士がつらいと感じる大きな要因のひとつに、仕事の責任や負担の重さに見合わない待遇の問題があります。

特に給与水準の低さは、多くの保育士が抱える現実的な悩みです。

保育士の待遇に関する現状

厚生労働省の統計によると、保育士の平均月給は他の職種と比べて2〜3万円低い傾向にあり、全産業平均と比較しても約75%程度の水準にとどまっています。

これは以下のような要因が影響しています。

  • 公定価格に基づく運営: 保育施設の多くは公的資金に依存しているため
  • 女性が多い職場: 伝統的に賃金水準が低く設定されてきた背景
  • 専門性の評価の低さ: 保育の専門性が社会的に十分評価されていない現状
  • キャリアパスの不明確さ: 勤続年数が伸びても給与が大きく上がらない傾向

私の同期の中にも、結婚や出産を機に、より条件の良い職場へ転職していった人が何人もいます。

彼女たちの多くは「保育の仕事は好きだけど、この給料では生活が成り立たない」と話していました。

特に都市部では家賃が高く、保育士の給料だけでは生活が厳しいという現実があります。

保育士の待遇における具体的な課題

  • 基本給の低さ: 責任の重さに見合わない基本給
  • 残業代の未払い: サービス残業や持ち帰り仕事の多さ
  • 休憩時間の確保の難しさ: 実質的に休憩が取れない状況
  • 有給休暇の取得しにくさ: 人手不足により休みが取りづらい
  • 福利厚生の不足: 働き続けるための支援体制の弱さ

これらの問題が複合的に作用し、保育士がつらいと感じる大きな要因となっています。

特に若手保育士にとっては、将来の生活設計が描きにくいことが離職理由につながることも少なくありません。

待遇改善に向けた動きと個人でできること

近年、保育士の処遇改善に向けた様々な取り組みが行われています。

  1. 処遇改善加算の拡充 国や自治体による補助金の増額
  2. キャリアアップ研修制度 専門性を高めることで手当の加算が得られる仕組み
  3. 保育士資格の社会的評価向上 専門職としての地位向上への取り組み

個人レベルでできることとしては、以下のようなものがあります。

  • スキルアップ: 特別な資格や技能を身につけることで手当加算を目指す
  • 転職の検討: より条件の良い施設や地域での就労を検討する
  • 副業の模索: スキルを活かした副収入の確保
  • 将来設計: ライフプランに合わせたキャリア設計を考える

待遇面の問題は個人の努力だけでは解決できない部分も多いです。

そのため、自分の価値を高め、より良い条件で働ける環境を模索することが大切です。

保育士がつらいと感じる待遇面の問題は、社会全体で考えていくべき課題でもあります。

以下の記事では「保育士の仕事が割に合わない」と言われる原因や、処遇改善について詳しく解説しています。

保育士は割に合わない?処遇改善加算と2025年以降の政策動向
保育士の仕事が「割に合わない」と感じることはありませんか?責任の重さや業務量に比べて給料が低く、保育士が割に合わないと感じるのは当然のことかもしれません。厚生労働省の調査によると、保育士の平均月給は他業種と比較して約10万円低いというデータ...

次に、保育士がつらいときの具体的な対処法をお伝えします。

保育士の仕事がつらいとき・改善する方法

保育士の仕事にはつらい面も多いですが、それを軽減し、やりがいを感じながら働き続けるための工夫もあります。

ここでは、現場で実践できる具体的な方法をご紹介します。

同僚との協力体制を築く

保育士がつらいと感じる大きな要因の一つは、一人で抱え込むことによる負担です。

同僚との協力体制を築くことで、精神的にも物理的にも負担を軽減できます。

効果的な協力体制の例

協力の形 具体的な方法 期待される効果
情報共有 朝・昼・夕の短時間ミーティング こどもの状況把握、対応の統一
業務分担 得意分野での役割分担 効率化、負担の公平化
声かけ 「手伝おうか?」の声かけ文化 一人で抱え込まない風土づくり
振り返り ケース会議、エピソード共有 視野の広がり、新たな気づき

私の勤務していた園では、「助けてカード」というシステムを導入し、忙しい時に遠慮なく応援を求められる仕組みがありました。

これにより、一人で無理をする状況が減り、チーム全体でこどもを見守る意識が高まりました。

また、定期的な振り返りの場を設けることで、悩みを共有したり、成功体験を分かち合ったりすることができます。

「あの対応、素晴らしかったよ」という同僚からの一言が、つらい時の支えになることも少なくありません。

このように、一人で抱え込まずチームで支え合う環境を作ることで、保育士がつらいと感じる状況を軽減し、共に喜びを分かち合えるやりがいを高めることができます。

自己研鑽の機会を積極的に活用する

保育士の仕事がつらいと感じる時でも、専門性を高める学びの機会は新たな視点や技術を得られる貴重な機会です。

自己研鑽を通じて得た知識や技術は、日々の保育に活かせるだけでなく、自信にもつながります。

効果的な自己研鑽の方法

研修への参加

保育士向けの研修は多岐にわたります。

発達支援、あそびの技術、保護者対応など、興味のある分野や苦手と感じる分野の研修に参加することで、新たな知識や技術を得られます。

オンライン研修も増えており、時間や場所の制約が少なくなっています。

専門書や雑誌の活用

保育に関する専門書や雑誌は、日々の実践のヒントになります。

私自身、月に1冊は専門書を読むことを習慣にしており、特に困難を感じるこどもへの対応について学ぶことで、仕事のつらさが軽減されました。

他園との交流

可能であれば、他の保育園への見学や交流の機会を持つことも有効です。

異なる環境での保育実践を知ることで、「こんなやり方もあるのか」という発見があります。

資格取得への挑戦

保育士資格に加えて、幼稚園教諭免許、認定ベビーシッター、子育て支援員など、関連する資格取得にチャレンジすることも、モチベーション維持につながります。

このような自己研鑽の機会を通じて、「保育士としての自分」を成長させていくことで、日々の保育がつらいと感じる場面でも乗り越える力が養われます。

また、新しい知識や技術を得ることで保育の幅が広がり、こどもたちにより豊かな経験を提供できるようになります。

自分自身のケアを大切にする

保育士の仕事がつらいと感じる時こそ、自分自身のケアを怠らないことが重要です。

こどもたちに良い保育を提供するためには、保育士自身が心身ともに健康であることが前提条件です。

効果的なセルフケアの方法

心のケア
  • 趣味や好きなことに時間を使う
  • 気持ちを吐き出せる場(友人、家族、カウンセリングなど)を持つ
  • 自分を褒める習慣をつける(一日の終わりに良かったことを3つ挙げるなど)
  • マインドフルネスや瞑想で心を整える
身体のケア
  • 十分な睡眠を確保する
  • バランスの良い食事を心がける
  • 定期的な運動や身体を動かす機会を持つ
  • 必要に応じて整体やマッサージを利用する
働き方の見直し
  • 「ノー」と言える勇気を持つ
  • 完璧主義を手放す
  • 優先順位をつけて仕事を整理する
  • 必要に応じて有給休暇をしっかり取得する

私が実践していたのは、毎日の「保育日誌」とは別に「感謝日誌」をつけることでした。

その日に感謝したこと、嬉しかったこと、こどもたちの成長を記録することで、つらい気持ちが緩和されていくのを感じました。

また、体調を崩しやすい時期には、無理をせず早めに病院に行くなど、予防的なケアを心がけることも大切です。

保育士がつらいと感じながら無理を続けると、最終的には長期休職や離職につながりかねません。

このような自己ケアを意識的に行うことで、保育士という仕事のつらさに負けず、長く続けていくことができるのです。

職場環境の改善に声を上げる

つらさを感じている原因が職場環境にある場合は、改善策を上司に提案することも考えましょう。

一人で抱え込まずに、同じ思いを持つ同僚と一緒に声を上げることで、園全体の環境改善につながることもあります。

職場環境改善のためのアプローチ

  1. 具体的な提案を準備する
    • 問題点だけでなく、具体的な解決策を考える
    • 実践例や成功事例を調べておく
  2. 適切なタイミングと方法で伝える
    • 個人面談や職員会議など、適切な場を選ぶ
    • 感情的にならず、客観的事実をもとに話す
  3. できることから始める
    • 小さな変化から積み重ねていく姿勢
    • 自分のできる範囲から改善を始める
  4. 同僚と協力して取り組む
    • 同じ課題を感じている仲間と協力する
    • 組織的な取り組みにつなげる

私の勤務していた園では、書類作成に多くの時間を取られていたことから、保育士からの提案で業務の効率化が図られました。

具体的には、週案や月案のフォーマットを見直し、チェックリスト方式を取り入れたことで記入時間が大幅に短縮されました。

また、保育写真の整理方法をデジタル化したことで、アルバム制作の負担も軽減されました。

小さな改善の積み重ねが、働きやすい環境づくりにつながります。

自分一人では変えられないと思わずに、現状を改善するための提案を積極的に行うことも大切です。

保育士がつらいと感じる環境を少しずつでも変えていくことで、仕事の満足度も高まるでしょう。

最後に、多くの保育士がつらいときでも辞めずに続けられるやりがいについてお話します。

それでも保育士を続ける理由とやりがい

保育士の仕事には確かにつらい面がありますが、それを上回るやりがいも存在します。

ここでは、多くの保育士が「つらくても続けたい」と思える理由についてご紹介します。

こどもの成長に関われる喜び

保育士がつらい時期を乗り越えられる最大の理由は、こどもたちの成長に直接関われる喜びです。

入園当初は泣いていた子が、徐々に笑顔で「先生!」と駆け寄ってくるようになる姿は何物にも代えがたいものです。

例えば、以下のような成長の瞬間に立ち会えることは、保育士ならではの特権といえます。

  • 初めてひとりで靴を履けた時の誇らしげな表情
  • 苦手だった食べ物に挑戦する勇気
  • 友達と言葉でのコミュニケーションが取れるようになる過程
  • トイレトレーニングの成功体験
  • はじめての製作活動での達成感

これらの「できた!」瞬間に立ち会い、時には涙ぐむほど感動することもあります。

私自身も、入園時は人見知りが激しく一日中泣いていた子が、半年後には笑顔で友達と遊ぶ姿を見た時は、胸がいっぱいになりました。

また、長期間にわたってこどもの成長を見守れることも大きな魅力です。

1歳から5歳まで担当したこどもの卒園式では、その成長ぶりに感無量になり、保育士冥利に尽きると感じました。

このような経験は、日々の保育がつらいと感じる時でも、明日への活力になります。

信頼関係を築けた時の達成感

保育士の仕事でつらい時期を乗り越えさせてくれるもう一つの大きなやりがいは、こどもや保護者との間に深い信頼関係を築けた時の達成感です。

特に、以下のような場面では保育士としての存在意義を強く感じることができます。

こどもとの信頼関係

  • 泣いている時に「先生」と呼んで助けを求めてくれる
  • 不安な時に自分の存在が安心材料になる
  • 嬉しい出来事を真っ先に教えに来てくれる
  • 困った時に「先生なら解決してくれる」と信じてくれる

私が担当した自閉症スペクトラムの診断を受けたこどもが、半年間の関わりの末、初めて目を合わせて笑顔を見せてくれた時は、言葉では言い表せないほどの感動がありました。

毎日の小さな関わりが積み重なって生まれる信頼関係は、どんなに仕事がつらくても続ける原動力になります。

保護者との信頼関係

保護者との関係構築も保育士としてのやりがいです。

初めは遠慮がちだった保護者が、徐々に子育ての悩みを打ち明けてくれるようになり、「先生に相談して良かった」と言ってもらえた時は、保育士としての自信にもつながります。

保護者支援の例
  • 発達の気になる点についての相談に乗り、適切な支援につなげられた
  • 仕事と育児の両立に悩む保護者の気持ちに寄り添えた
  • 育児のちょっとしたコツを伝えて、家庭での困りごとが解消された

このように、一人のこどもだけでなく、その家族全体を支援できることが、保育士という仕事のつらさを超える大きなやりがいとなっています。

保育の専門性を発揮できる場面

保育士がつらいと感じる日々の中でも、自分の専門性を発揮できる場面では大きなやりがいを感じることができます。

保育士は単なる「こどものお世話係」ではなく、こどもの発達を促す専門家であり、その知識や技術を活かせる瞬間は特別な喜びをもたらします。

専門性を発揮できる具体例

発達に合わせた援助

こどもの発達段階を見極め、その子に必要な「少しの手助け」を提供することで、「できた!」という成功体験につなげられます。

例えば、自分でボタンをかけようと苦戦しているこどもに対して、すべてを手伝うのではなく、

最初の一つだけ手伝うことで自信につなげるなど、細やかな援助が可能です。

環境構成の工夫

こどもの興味関心や発達課題に合わせた環境を整えることで、こどもたちの主体的な活動を促進できます。

私のクラスでは、製作コーナーの材料をこどもの手の届く高さに配置し直したところ、自発的に創作活動に取り組む子が増えました。

このような小さな工夫が大きな変化をもたらす瞬間は、保育士冥利に尽きます。

こども同士の関係調整

ケンカやトラブルの場面で、双方の気持ちを受け止めながら、こども自身が解決策を見つけられるよう援助することも、保育士の重要な専門性です。

「貸して」と言えなかった子が、援助を受けて初めて自分の気持ちを言葉で表現できた時の達成感は、保育士のつらさを忘れさせてくれます。

保育計画の立案と実践

こどもたちの興味や発達に合わせた保育計画を立て、それを実践してこどもたちの成長につなげる過程も大きなやりがいです。

私が担当した4歳児クラスでは、虫に興味を持つ子が多かったため、「虫探し探検隊」というプロジェクトを計画。

こどもたちは熱中して活動に取り組み、図鑑で調べる、観察する、絵に描くなど、多様な学びが生まれました。

これらの専門性を発揮できる場面では、保育士としての自己効力感が高まり、「この仕事をしていて良かった」と実感できます。

日々の保育がつらいと感じることがあっても、このような専門性を発揮できる瞬間があるからこそ、多くの保育士が仕事を続けられるのです。

保育士の仕事は、身体的な負担や精神的ストレス、待遇面での課題など、確かにつらいと感じる面が多くあります。

決して楽ではありませんが、一人のこどもの人生の土台作りに関われる、非常に意義深い仕事です。

つらいと感じる日々があっても、こどもたちの成長に寄り添える素晴らしさを感じながら、保育の道を歩み続けたいものです。

それでももし保育士の仕事がつらいとき、転職も一つの道です。

以下の記事では、保育士の保育士以外の仕事について徹底的に解説しています。

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