みなさんは「児発管」という言葉を見たり聞いたりしたことがありますか?

福祉分野での求職・転職をご検討中の方・ご経験のある方は、ご存じの方も多いかもしれません。

「児発管」は障害福祉分野の放課後等デイサービスで、よく求人募集されている職種ですね。

こちらの記事では、放課後等デイサービスで求人募集されている児発管とはどんなお仕事なのか、児発管の募集が増えている理由やなる方法等、詳しく見ていきたいと思います。

放課後等デイサービスの児発管って何?

放課後等デイサービスの児発管とは、「児童発達支援管理責任者」の略です。

福祉業界に馴染みが無いとあまり聞きなれない言葉かもしれませんね。

児童発達支援管理責任者(児発管)とは

児童福祉法において、放課後等デイサービスを含む児童発達支援施設には、1名以上の児発管の配置が義務付けられています。

役割としては、利用する児童や保護者への支援の他、児童指導員や保育士などの現場の指導員への指導、法令遵守など、支援全般の管理責任を担います。

子どもたちの成長や発達のために、施設全体が安全で円滑に運営され続けるために、重要なポジションです。

児発管の具体的な業務内容

児発管の具体的な業務内容は、個別支援計画の作成と運用、保護者の相談対応、指導員に対する指導、その他業務などがあります。

もう少し詳しく見ていきましょう。

個別支援計画の作成と運用

放課後等デイサービスでは、児童福祉法において子ども一人ひとりの発達やニーズにあわせて個別支援計画を作成することが義務付けられています。

また、放課後等デイサービスでの指導は、個別支援計画に基づき支援をしていくこととなっています。

そのため、個別支援計画とは、子ども一人ひとりが施設の中でどのように過ごすかの指針となる大切なものと言えるでしょう。

個別支援計画作成では、まずは児発管が子どもや保護者と定期的に面談を実施し、一人ひとりの発達状況や心理状況、ニーズの確認を行います。

次に、実際に指導を行っている現場の指導員の意見も含めて、長期・短期的な目標や必要な支援内容を検討します。

その後、児発管が子ども自身や保護者に個別支援計画の内容を説明し、同意を得られるまですり合わせ、同意を得て個別支援計画が完成します。

児発管の仕事内容は個別支援計画を完成させて終わりではありません。指導員が個別支援計画に沿って支援できているか確認することも児発管の仕事の1つです。

加えて、定期的に面談を行い、子どもの発達状況、保護者のニーズの変化などをキャッチすることも重要です。

保護者の相談対応

定期的に保護者との面談を行います。

面談の目的は個別支援計画の作成だけでなく、保護者からの希望や相談に応じて、専門的な助言なども行います。

その際に、施設内でできることだけでなく、子どもや保護者が必要とする支援を地域で受けられるよう、児発管が教育機関や医療機関、自治体などの機関と情報交換や関係者会議等連携も求められます。

指導員に対する指導

先に記載したように、指導が個別支援計画に沿って提供されているか確認することが必要です。

加えて、子どもへの指導は、法令遵守だけでなく、専門的な知識に基づいた指導であることが大切です。

指導員の中には、未経験者や研修を受けただけの専門的な知識が無い指導員もいますので、指導員のフォローも児発管の重要な役割です。

その他、指導員同士の協力をしやすい環境や仕組みづくりをすることもあります。

その他

その他の業務を児発管がどの程度担当するかは、職場により大きく異なります。

直接支援を児発管自身が行ったり、必要な教材の準備や手配、送迎ドライバーを担当したり、細々とした事務作業を担当することもあるかもしれません。

放課後等デイサービスの児発管とは、「児童発達支援管理責任者」の略でした。

転職活動をしていると、児発管の募集情報をたくさん見かけますね。

児発管の仕事がきつく、退職者が多く出ているからでしょうか?

児発管の募集情報が出ている理由を確認してみましょう。

児発管の募集情報をたくさん見かけるのはなぜ?児発管の仕事がきついから?

結論、児発管の募集情報をたくさん見かけるのは児発管の仕事がきついからだけではありません。

児発管として勤務した人の中には、児発管の仕事がきつくて退職した人もいるかもしれません。

児発管の募集情報が増えている一番大きな要因は放課後等デイサービスの増加です。

先ほどお伝えした通り、1つの放課後等デイサービスに1名以上の児発管の配置が必要となるため、放課後等でデイサービスの事業所が増える度に必要な児発管の数も必然的に増えていきます。

放課後等デイサービスの増加

実際に、放課後等デイサービスの事業所の数は年々増えています。

厚生労働省が毎年の調査結果によると、2017年から2022年の5年間で事業所の数が11,301箇所から19,408箇所に増えています。

つまり、5年の間に約8,100箇所も増えているのです。

もちろん、事業所の増加につれ、利用実人員も増えています。

2017年9月は226,611人でしたが、2022年9月には497,875人となっており、2倍以上になっています。

参照:厚生労働省「令和4年 社会福祉施設等調査の概況

放課後等デイサービスを利用できる子どもとは

そもそも、放課後等デイサービスとはどんな子どもが利用できるかご存じでしょうか?

放課後等デイサービスは、主に障害のある小学生〜高校生を対象とした福祉サービスです。

学校終了後や休日、夏休みや冬休みなどにサービスを受けます。

プログラムやアクティビティなどは事業所により様々ですが、安全でサポートのある環境で、学習サポートやレクリエーションに参加します。

子どもたちが学びながら楽しく過ごせること、子どもたちの成長と発達をサポートし安心して過ごせる場を提供することを目指しています。

放課後等デイサービスは障がいのある子どものための施設ですが、療育手帳などの取得は必須ではありません。

医師や保健センターなどから放課後等デイサービスの利用が適切と認められれば、自治体から利用の許可がおり、利用することが可能となります。

放課後等デイサービスの需要ニーズ増加の背景

近年の放課後等デイサービスの増加の背景には、需要ニーズがあります。

その需要ニーズの高まりには、いくつかの社会の変化が考えられます。2つほど見てみましょう。

家庭での保護者不在の時間の増加

近年の日本社会では核家族化が進行しています。

また、家族の形も様々です。

両親が共働きする家庭や、学校から帰宅する時間に保護者が家に誰もいないということも増えています。

親族や近隣の人々に預けることが難しくなったことの代替手段としての利用や子どもの監督やケアを行う時間が限られるためのサポートとして放課後等デイサービスを利用する家庭も増えています。

発達障害に対する理解の高まり

社会的な認識の向上により、子供の特別なニーズや発達障害に対する支援の必要性がより広く認識されるようになりました。

「困った子」は支援を必要とする「困っている子」ということです。

また成熟した社会文化では、学習やスキルの習得がますます求められるようになります。

放課後等デイサービスでは、子供たちが学習や宿題を行うためのサポートが提供されることもあるため、その需要が増加しています。

他にも近年発達障害に関する診断や認識が向上していることも挙げられるでしょう。

医学や心理学の進歩により、以前は見過ごされていたケースも、より正確な診断方法が開発され、早期に発見されるケースが増えています。

結果、発達障害の子どもや発達障害の傾向のある子ども、支援を必要とする子どもの数が増えているといえるでしょう。
これらの要因が合わさり、放課後等デイサービスの需要が増えていると考えられます。

将来も、社会の変化や家庭の構造の変化に合わせて、放課後等デイサービスの需要はさらに増加する可能性があると言えますね。

つまり、児発管の募集情報をたくさん見かけるのは、放課後等デイサービスに対する社会的なニーズ増加に伴い、放課後等デイサービスが増加しているからと言えます。

社会に必要な仕事をすることにやりがいを感じる方にはぴったりのお仕事ですね。

では、放課後等デイサービス勤務未経験者でも児発管になれるのでしょうか?

放課後等デイサービス勤務未経験者でも児発管になれる?

放課後等デイサービス勤務未経験者でも児発管になれるかというと、大多数の方が「実務経験」と「研修修了」の要件をもって、児発管になることが可能です。

既に他の障害児通所支援施設や障害児入所支援施設で児発管の資格を取得・更新している方は、実務経験を積み、放課後等デイサービスが未経験でも放課後等デイサービスの児発管として勤務開始することが可能です。

福祉業界での勤務が初めての方、障害児に対する支援が初めての方は放課後等デイサービスで直接支援の実務経験を積むことが必要です。

現行(2024年3月時点)のルールでは、基本的には通算5年の実務経験と指定された研修の修了が必要となるため、最低でも5年以上かかります。

看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、言語聴覚士、精神保健福祉士などの資格や幼稚園、小学校、中学校、高等学校などの勤務経験により必要な実務経験を短くすることが可能な場合もあります。

その他、例えば介護老人保健施設のサービス管理責任者(サビ管)から児発管にジョブチェンジする場合には、児童もしくは障害者福祉領域での実務経験が3年以上と定められています。

ただし、実務経験に含まれる業務の範囲は自治体により異なります。

加えて、児発管になるための要件は定期的に見直され、変更になります。実際に自分が児発管になるためにどの程度必要か確認したい時は、都道府県のホームページから最新の情報を確認されることをおすすめします。

放課後等デイサービス勤務未経験でも児発管になれるかというと、大多数の方が「実務経験」と「研修修了」の要件をもって、児発管になることが可能でした。

このように、児発管になるためには、ある程度の時間がかかります。

児発管は専門性やスキルが求められる仕事であり、施設全体の支援全般の管理責任の担当者となるため、当たり前のことかもしれませんね。

児発管は責任がある以上に、子どもだけでなく指導員の成長にも大きく関与し、社会貢献を実感しやすいお仕事です。

人の役に立つ仕事がしたい方、児発管の仕事を目指して放課後等デイサービスのお仕事に挑戦してみるのもいいかもしれませんね