児発管は、発達に支援が必要なこどもたちの成長をサポートし、最適な支援計画を立てる重要な役割を担っています。

しかし、「児発管の具体的な仕事内容は?」「どのような場所で働けるの?」「勤務時間はどのくらい?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、児発管の仕事内容や働く環境、勤務時間の実態、資格を取得する方法について詳しく解説します。

これから児発管を目指したい方、キャリアアップを検討している方は、ぜひ参考にしてください!

児童発達支援管理責任者について

児発管は、発達に支援が必要なこどもたちが適切な療育を受けられるよう、家庭や関係機関と連携しながら支援を統括する役割を担う専門職です。

個別支援計画の作成をはじめ、スタッフへの指導・助言を行い、事業所全体の療育の質を向上させるために活躍します。事業所によっては、管理者との兼務が求められる場合もあります。

この職種が誕生した背景には、2012年の児童福祉法および障がい者自立支援法の改正があります。

この法改正により、障がい児支援の強化を目的として、通所・入所施設のサービス体系が見直され、児発管という職種が新たに設けられました。

児発管の役割とは?

児発管は、こども一人ひとりに最適な支援を提供するため、支援計画の作成や関係機関との調整を行うなど、幅広い業務を担当します。

厚生労働省の「児童発達支援ガイドライン」では、児童発達支援の目的として以下のように定められています。

「日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の便宜を提供するもの」

この方針をもとに、児発管は主に3つの支援を統括します。

①発達支援

こどもが日常生活や社会生活をスムーズに送れるよう、「健康・生活」「認知・行動」「運動・感覚」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5つの領域において支援を行います。

地域の保育園や学校と連携し、同年代のこどもとの関係を築くためのサポートも重要な役割の一つです。

②家族支援

保護者の心理的・物理的負担を軽減するための支援を行います。

例えば、日中一時支援やレスパイトケア(保護者が一時的に育児を休める支援)を提供し、安心して子育てができる環境を整える取り組みを行います。

③地域支援

こどもや保護者が必要な支援を受けやすい環境を作るため、教育機関や医療機関、自治体との連携を強化します。

これにより、地域全体でこどもたちを支援できる体制を構築し、適切なサービスが提供できるよう調整することが求められます。

児発管は、支援内容の統括者として障がい児相談支援事業所や他の支援機関との窓口としても機能し、情報交換や支援の調整を行う役割も担っています。

児発管の働く場所

児発管は、障がい児通所支援・入所支援事業所において常勤・専任で1名以上配置することが義務付けられています。

それでは、具体的にどのような事業所で活躍しているのかを見ていきましょう。

①児童発達支援事業所

日常生活の基本的な動作指導や集団生活への適応訓練を行います。

医療型児童発達支援施設では、リハビリテーションや医療的ケアを組み合わせた支援が提供されることもあります。

②放課後等デイサービス

学校が終わった後や休日に、生活能力を向上させる訓練や、社会との交流を促進する活動を提供します。

こどもたちが楽しみながら成長できるよう、個別支援計画に基づいたプログラムが組まれます。

③訪問型児童発達支援

重度の障がいがあるこどもの自宅へ訪問し、一人ひとりの状況に合わせた支援を行います。

また、保育園や学校などに訪問し、こどもが集団生活に適応しやすくなるよう、本人だけでなく訪問先のスタッフにも助言や指導を行うこともあります。

④障がい児入所施設(福祉型・医療型)

入所型の施設では、日常生活の支援に加えて、発達支援や療育を提供します。

通所型の児童発達支援事業所と同様の支援を行うため、幅広い知識やスキルが求められます。

以上が、児童発達支援管理責任者についてのお話でした。

続いて、児発管の主な仕事内容についてお話していきます。

児発管の主な仕事内容について

児発管の主な仕事内容についてお話します。

児発管は、こどもたちの発達支援を効果的に行うために、個別支援計画の作成や、保護者との相談対応、支援の調整といった重要な役割を担います。

法令に基づいて定められた業務があり、個別支援計画の策定や利用児童・保護者へのサポートは、必ず実施しなければならない業務とされています。

また、事業所の運営に関わる役割として、行事の企画、スタッフへの指導、支援のモニタリングを行うこともあります。

支援の客観性を保つために、日常の療育活動には直接携わらないことが原則とされていますが、必要に応じて一時的に支援に関わることもあります。

こどもたちの成長を支えるために、個別支援計画の策定と、それに基づくアセスメント・モニタリングは非常に重要です。

次に、それぞれの業務内容について詳しく解説していきます。

個別支援計画の作成について

個別支援計画(児童発達支援計画・放課後等デイサービス計画)は、発達に支援が必要なこどもたちに対する療育の方針を決定し、保護者への支援を明確にするための重要な書類です。

サービス開始前には、こどもの発達状況や心理状態を適切に把握し、保護者の希望やニーズを考慮した上で、支援の方向性や目標を具体化します。

さらに、スタッフ間で会議を行い、計画の原案に修正を加えた後、本人や家族に説明を行い、同意を得てから正式に計画を作成します。

個別支援計画の主な内容は以下の通りです。

  • 事業所としての支援方針(総合的な支援コンセプト)
  • 長期的な目標(こどもが目指す生活に向けた1年程度の目標)
  • 短期的な目標(3〜6ヶ月の期間で達成を目指す目標)
  • 支援の具体的な内容(どのような支援を行い、発達を促すか)
  • 目標達成に向けた課題分析

個別支援計画は、一度作成したら終わりではありません。

3ヶ月から6ヶ月ごとにモニタリングを実施し、こどもの発達状況やサービスの提供状況を確認しながら計画を更新していく必要があります。

アセスメントとモニタリングの重要性

児発管が担う役割の中でも、支援計画の精度を高め、療育の効果を最大化するために欠かせないのが、アセスメントとモニタリングの実施です。

アセスメント(初回面談)とは?

アセスメントは、サービス開始前にこどもと保護者の状況を把握し、適切な支援を検討するための面談です
支援の方向性を決めるための重要なステップであり、児発管が直接面談を行う必要があります。
代理者による対応は基本的に認められておらず、自治体によってはオンライン面談の可否が異なるため、注意が必要です。

モニタリングとは?

モニタリングは、支援計画に基づく療育の進行状況を評価し、必要に応じて計画を見直すためのプロセスです。
最低でも半年に1回は実施することが義務付けられており、支援の内容が適切であるか、目標が達成されているかを確認します。

また、こどもの発達状態を正確に把握するために、送迎時の会話や行事を活用して、保護者と積極的にコミュニケーションをとることも効果的です。

こうした関わりを通じて、こどもや保護者が感じている悩みや課題を汲み取り、より良い支援につなげることができます。

児発管の働き方について

児発管の働き方は、勤務する事業所によって異なります。

事業所の規模や運営方針、支援の内容によって、具体的な業務や1日のスケジュールが変わるため、勤務先を選ぶ際には業務内容をよく確認することが重要です。

ここでは、放課後等デイサービスで児発管者として働くAさんの1日の流れを例に、業務の具体的なイメージを紹介していきます。

1日の流れ:児発管の業務スケジュール

時間 業務内容
11:00 Aさんの勤務は11:00からスタートします。出勤後、まずは前日の指導記録やメールの確認を行い、当日の業務に向けた準備を進めます。
12:00 昼礼が行われ、その日の支援プログラムの確認や清掃作業を実施。支援の流れをスタッフ間で共有し、スムーズに業務を進めるための準備を整えます。
13:00 1時間の休憩を取り、昼食をとる時間。
14:00 支援計画の策定会議が開かれ、作成した個別支援計画の原案についてスタッフと意見を交わし、内容の精度を高めていきます。
15:00 事務作業に取り組みます。午前中に保育所等訪問の訪問員が記入した記録のチェックや、必要な書類の郵送対応を行います。
16:00 個別支援計画を更新するために、こどもたちの状況をモニタリング。その成長の様子や支援の成果を細かく観察し、計画に反映させる作業を進めます。
17:00 こどもや保護者との定期面談を実施。今後の支援方針を共有し、保護者の意見も取り入れながら、より適切な支援計画を構築します。
18:00 保護者と気軽に話せる場としてサロンワークを実施。こどもの支援に関する相談を受けたり、保護者同士の交流をサポートしたりする大切な時間です。
19:30 指導コマが終了し、終礼を行います。
20:00 退勤

児発管は、こどもたちとの直接的な関わりだけでなく、支援計画の作成や保護者との連携、事務作業など、多岐にわたる業務を担う役割であることが分かります。

児発管の働き方の特徴

児童発達支援管理責任者(児発管)の勤務形態は、事業所ごとに異なりますが、一般的には「日曜・祝日が休み」または「月曜日から土曜日の間で1日休み」というスケジュールが多いようです。

施設によっては、支援の必要なこどもが増える長期休暇中や、土曜日に開所している場合もあります。

そのため、勤務時間や休日の取り方は、事業所の運営方針によって異なることを理解しておく必要があります。

以上が、児発管の主な仕事内容についてのお話でした。

次に、児発管の給与と兼務についてお話していきます。

【仕事内容】児発管の給与と兼務について

児発管の給与と兼務についてお話していきます。

新のデータによると、児発管の平均年収は、施設の種類や地域によって異なります。

以下に、施設形態別の平均月給と年収をまとめました。​

施設形態 平均月給 平均年収
全体 約371,320円 約4,455,840円
児童発達支援 約352,070円 約4,224,840円
放課後等デイサービス 約329,390円 約3,952,680円
医療型児童発達支援 約390,380円 約4,684,560円
居宅訪問型児童発達支援 約417,790円 約5,013,480円
保育所等訪問支援 約369,380円 約4,432,560円

このデータから、医療型や居宅訪問型の施設では、他の施設形態よりも平均年収が高い傾向が見られます。

また、地域によっても給与水準は異なり、例えば東京都や神奈川県では平均月給が高めに設定されています。

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の対象に

2019年から、児発管も「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」の対象となりました。

この制度の導入により、経験やスキルを積んだ児発管は年収440万円以上を期待できる環境が整いつつあります。

児発管は、個別支援計画の作成や保護者・関係機関との調整、スタッフの指導など多くの責任を担う立場です。

その分、こどもたちの成長を支え、保護者とともに喜びを分かち合えるやりがいのある仕事といえるでしょう。

児発管の兼務について

児童発達支援管理責任者(児発管)は、事業所の管理業務に影響が出ない範囲であれば、管理者との兼務が認められています。

そのため、特に小規模な事業所では、管理者と児発管を一人で兼任しているケースも少なくありません。

また、多機能型事業所の場合は、他のサービスの児発管や、サービス管理責任者(サビ管)との兼務も可能です。

施設の運営状況によっては、業務の幅を広げながら効率的に役割を担うことが求められる場合もあります。

さらに、居宅訪問型児童発達支援事業所や保育所等訪問支援事業所では、児発管が訪問支援員を兼務することもできる仕組みになっています。

訪問型の支援を行う場合、児発管の専門知識を活かしながら支援の質を向上させることが期待されます。

しかし、すべての職種と兼務できるわけではありません。

管理業務の客観性を確保するために、児童指導員や保育士などの直接支援を行う職種とは兼務が認められていません。

このルールは、児発管が支援計画の作成やモニタリング業務を公平に行うために設けられています。

ただし、通所するこどもたちの支援に関わること自体は禁止されていません。

モニタリング業務の一環として、こどもたちの様子を把握し、適切な支援計画を立てるために、一定の範囲で直接支援を行うことは問題ありません。

児発管の兼務は、事業所の運営や人員配置に大きく関わるため、兼務可能な範囲をしっかり理解し、ルールを守りながら業務を進めることが重要です。

以上が、児発管の給与と兼務についてのお話でした。

児発管の給与は、勤務する施設の種類や地域によって異なるものの、安定した収入が期待できる職種です。

特に、医療型の施設では給与が高い傾向にあり、さらに2019年から処遇改善加算の対象となったことで、給与水準の向上が見込まれています。

また、事業所の管理業務と兼務できる職種もあるため、小規模事業所では管理者との兼務、大規模事業所ではサビ管との兼務が可能となっています。

ただし、児童指導員や保育士などの直接支援職とは兼務できない点には注意が必要です。

次に児発管のなり方をご紹介します。

児発管のなり方

児発管のなり方をご紹介します。

児童発達支援管理責任者(児発管)として働くためには、一定の実務経験と研修の修了が必要です。

研修を受講するためには、まず定められた実務経験を満たしていることが前提条件となります。

また、資格取得後も、5年ごとに「更新研修」の受講が義務付けられているため、継続的な学びが求められる職種です。

専門的な知識を深めながら、支援の質を向上させる姿勢が必要になります。

2019年には研修制度の見直しが行われ、以前よりも資格取得の要件が一部緩和されました。

そのため、以前よりも児発管を目指しやすくなったと言えますが、働く事業所や担当する業務によって必要な実務経験の年数が異なるため、まずは自身のキャリアに合ったルートを確認することが重要です。

児発管を目指すルートは、大きく分けて以下の2種類があります。

  • A.直接支援・相談支援業務ルート(一定の実務経験が必要)
  • B.国家資格ルート(特定の国家資格を保有している場合)

自身の経験や資格を考慮し、どのルートが適しているのかを慎重に見極めることが大切です。

実務経験について

児発管として働くためには、一定の実務経験を積むことが必須条件です。

基礎研修を受講するためには、最低でも3年以上の実務経験が求められますが、職種や保有資格によって必要な経験年数が異なるため、詳細を理解しておくことが重要です。

ここでは、具体的な経験要件について詳しく説明します。

直接支援・相談支援業務ルート(実務経験3年以上)

児童発達支援管理責任者(児発管)になるためには、「直接支援業務」または「相談支援業務」のいずれかの業務を、該当する施設で3年以上経験することが求められます。

ただし、そのうち1年以上は児童福祉施設または障がい者施設での実務経験が必要となります。

児発管として働くためには、単に支援の知識を学ぶだけではなく、現場での経験を積むことが必須とされています。

ここでは、児発管を目指す際に必要となる「直接支援業務」について詳しく見ていきましょう。

直接支援業務とは?

直接支援業務とは、心身に障がいを持つ方が日常生活をより快適に過ごせるようサポートする仕事のことを指します。

この業務では、こどもや成人の障がい者が生活の中で直面する課題に対し、適切な支援を行いながら成長や自立をサポートしていきます。

具体的な支援内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 入浴・排せつ・食事などの生活介助
  • 日常生活における基本動作の指導(着替えや移動など)
  • 生活能力向上を目的としたトレーニングやリハビリ支援
  • 職業訓練のサポート(作業所や就労支援施設での訓練など)
  • コミュニケーションスキルの向上を目的とした指導

このような支援を行うことで、こどもたちや利用者が日常生活の自立度を高め、より充実した生活を送ることができるようになります。

福祉事業
  • 障がい児通所支援事業
  • 児童自立生活援助事業
  • 放課後児童健全育成事業
  • 子育て短期支援事業
  • 養育支援訪問事業
  • 地域子育て支援拠点事業
  • 一時預かり事業
  • 小規模住居型児童養育事業
  • 保育関連事業(家庭的保育、小規模保育、居宅訪問型保育、病児保育など)
  • 障がい福祉サービス事業
福祉施設
  • 障がい児入所施設
  • 乳児院
  • 母子生活支援施設
  • 保育所
  • 幼保連携型認定こども園
  • 児童家庭支援センター
  • 児童養護施設
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設
  • 障がい者支援施設
  • 障がい者雇用施設
障がい者雇用施設
  • 特例子会社
  • 助成金受給事業所
教育機関
  • 幼稚園
  • 小学校
  • 中学校
  • 義務教育学校
  • 高等学校
  • 中等教育学校
  • 特別支援学校
  • 高等専門学校

特別支援学校や小中学校での特別支援学級などで働いた経験も、児発管の要件を満たす実務経験となります。

教育機関での勤務経験を積むことで、こどもたちの発達支援や教育の分野に関する専門的な知識を身につけることが可能です。

医療機関
  • 病院
  • 診療所

医療機関での勤務も、児発管を目指す上での実務経験として認められることがあります。

特に、リハビリテーション科や小児科などでの勤務経験があると、支援計画の作成やリハビリ支援のスキルを磨くことができるでしょう。

相談支援業務とは?

相談支援業務は、障がいを持つ方やそのご家族の相談に応じ、生活の質を向上させるための支援や助言を行う業務です。

この業務に該当する施設として、以下のようなものがあります。

相談支援事業
  • 地域生活支援事業
  • 障がい児相談支援事業
  • 身体障がい者相談支援事業
  • 知的障がい者相談支援事業
相談施設
  • 児童相談所
  • 児童家庭支援センター
  • 身体障がい者更生相談所
  • 精神障がい者社会復帰施設
  • 知的障がい者更生相談所
  • 発達障がい者支援センター
  • 福祉事務所
福祉施設
  • 障がい児入所施設
  • 児童養護施設
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設
  • 障がい者支援施設
  • 精神保健福祉センター
就労支援施設
  • 障がい者職業センター
  • 障がい者就業・生活支援センター
教育機関
  • 幼稚園
  • 小学校
  • 中学校
  • 義務教育学校
  • 高等学校
  • 中等教育学校
  • 特別支援学校
  • 高等専門学校
医療機関
  • 病院
  • 診療所

保有資格による実務経験の違い

児発管になるために必要な実務経験は、資格を持っているかどうかによって3年以上または6年以上に分かれます。

3年以上の実務経験で児発管になれる資格

以下の資格を持っている場合、3年以上の実務経験を積むことで、児発管になるための要件を満たすことが可能です。

  • 社会福祉主事任用資格
  • 児童指導員任用資格(教員免許、幼稚園教諭、社会福祉士、精神保健福祉士など)
  • 大学・大学院で社会福祉学、心理学、教育学、社会学のいずれかの課程を修了した方
  • 介護職員初任者研修を修了、または訪問介護員2級以上を取得している方
  • 保育士資格を取得している方

これらの資格を持っている場合、比較的短い期間で児発管になることが可能です。

そのため、資格を取得してから実務経験を積むことで、キャリアアップのスピードを早めることができます。

6年以上の実務経験が必要な場合

一方で、上記の資格を持っていない場合、児発管になるためには6年以上の実務経験が必要です。

資格がない状態から児発管を目指す場合は、できるだけ早い段階で資格取得を検討することで、必要な実務経験の期間を短縮できる可能性があります。

また、実務経験が6年以上あっても、経験した業務内容が児発管の要件に該当しないと認められないことがあるため、業務内容が適切であるか事前に確認しておくことが大切です。

注意点:施設によって経験年数が認められない場合がある

児発管の要件を満たすためには、適切な施設での実務経験が求められます。

しかし、施設や業務内容によっては、実務経験として認められないケースもあるため注意が必要です。

実務経験が認められない可能性がある施設

以下のような施設では、児発管の実務経験としてカウントされないことがあります。

  • 高齢者福祉施設(介護老人保健施設・特別養護老人ホームなど)
  • 一部の医療機関(病院やクリニックなど)

高齢者福祉施設での勤務経験があっても、児童発達支援とは関係のない業務と判断される場合は、実務経験として認められないことがあります。

また、医療機関での勤務経験も、こどもの発達支援に関する業務ではない場合は要件を満たさない可能性があるため注意しましょう。

実務経験が認められるためのポイント

実務経験を積む際には、「児童発達支援に関わる業務を担当していたかどうか」が重要になります。

具体的には、以下のような業務を担当していた場合、実務経験として認められる可能性が高くなります。

  • こども向けの療育や支援プログラムに関わる業務
  • 保護者との相談業務やカウンセリング
  • 発達支援計画の作成や評価に関わる業務
  • 関係機関との連携を行い、支援をコーディネートする業務

これらの業務を行っていた場合、児発管の実務経験としてカウントされる可能性が高いため、転職やキャリアアップを考えている場合は、業務内容をしっかり確認しておくことが大切です。

国家資格ルート(国家資格業務5年以上 + 直接支援または相談支援業務1年以上)

児発管の基礎研修を受講するためには、一定の実務経験が求められます。

その一つとして、特定の国家資格を有し、該当する業務に通算5年以上従事していることが条件となります。

さらに、障がいを持つ方やこどもを対象とした相談支援事業または直接支援業務に1年以上従事した経験も必要です。

このルートに該当する国家資格には、以下のものが挙げられます。

  • 医療系資格:医師/歯科医師/薬剤師/保健師/助産師/看護師/准看護師/歯科衛生士
  • リハビリ・福祉系資格:理学療法士/作業療法士/言語聴覚士/視能訓練士/義肢装具士
  • 東洋医学・リラクゼーション系資格:あん摩マッサージ指圧師/はり師/きゅう師/柔道整復師
  • 栄養管理・福祉支援系資格:管理栄養士/栄養士/社会福祉士/介護福祉士/精神保健福祉士

ただし、国家資格を取得していたとしても、資格を活かしていない業務に従事していた期間や無職の期間は、業務経験としてカウントされません。

この点には注意が必要です。

また、自治体によって条件が異なる場合があるため、必ず各自治体の公式情報を確認することをおすすめします。

自治体ごとの基準を満たしているかどうかを事前に把握し、計画的にキャリアを積んでいきましょう。

実務経験の年数の数え方について

児童発達支援管理責任者(児発管)になるためには、一定の実務経験年数を満たすことが必要とされています。

しかし、「どのように経験年数を計算するのか」「どの勤務形態が実務経験として認められるのか」といった点については細かなルールがあるため、注意が必要です。

基本的な実務経験の計算方法としては、年間勤務日数が180日以上であれば1年分の実務経験として換算されるのが一般的です。

つまり、週に平均4日以上勤務している場合は、1年分の実務経験が認められます。

一方で、週2日や週3日勤務の場合は、年間勤務日数が180日に満たない可能性があるため、1年分としてカウントされないことがあります。

そのため、パートや非常勤で働いている方は、週の勤務日数を意識しながら経験を積んでいくことが大切です。

基礎研修について

児童発達支援管理責任者(児発管)として活躍するためには、専門的な知識やスキルを学ぶための研修が必須となります。

その第一歩となるのが、基礎研修です。

この研修では、個別支援計画の作成方法やアセスメント、モニタリング技術などを学び、児発管として必要な基礎知識を習得します。

支援の質を高めるために不可欠な内容が含まれており、児発管としての基本的な考え方を身につけることができます。

基礎研修は、以下の2つの講義・演習から構成されています。

  • 相談支援従事者初任者研修(11.5時間)
  • 児童発達支援管理責任者基礎研修(15時間)

この研修を修了することで、すでに児発管が1名配置されている事業所であれば、2人目として配置されることが可能になります。

その結果、個別支援計画の原案作成などの業務を担当できるようになり、より専門的な業務に関わる機会が増えるでしょう。

実践研修について

児童発達支援管理責任者(児発管)として活躍するためには、実践研修の受講が必須となります。

この研修を受講するためには、過去5年間に2年以上、相談支援業務または直接支援業務に従事した経験が必要とされています。

この実践研修では、児童福祉の分野における最新の施策や、児発管としての役割を効果的に果たすために必要なスキルや知識を習得することが目的となっています。

研修で学べる主な内容

実践研修のカリキュラムには、児発管として必要な専門的な知識や実践的なスキルが含まれており、以下のような項目が中心となります。

個別支援会議の運営方法

こども一人ひとりの発達状況や支援計画について、関係者と意見を共有し、適切な支援体制を整えるための手法を学びます。

多職種や地域との連携手法

医療・教育・福祉機関と円滑に連携し、こどもにとって最適な支援環境を構築するための調整力を身につけます。

人材育成に関する知識と実践

児童発達支援施設で働く職員の指導や育成の方法を学ぶとともに、スタッフ全体の専門性を向上させ、より質の高い支援を提供するための取り組みについて理解を深めます。

児童発達支援管理責任者研修の講義と演習(14.5時間)

児発管の業務全般について体系的に学び、事例を交えながら具体的な支援の進め方を演習形式で習得します。

以上が、児発管のなり方でした。

続いて、児発管のやりがいについてみていきましょう。

児発管のやりがいは?

児発管として働くことには、どのようなやりがいがあるのでしょうか?

日々の業務の中で得られる達成感や喜びについて詳しく解説します。

こども一人ひとりに寄り添った支援ができる

大規模な保育施設や幼児教育の現場では、どうしてもこども一人ひとりとじっくり関わる時間が限られてしまうことがあります。

しかし、児発管の仕事では、個々のこどもの状況や特性に合わせた個別支援計画を作成することが主な業務となります。

こどもたちが抱える課題や成長の過程に寄り添いながら、自立に向けたサポートを行うことができる点が、大きな魅力の一つです。

また、支援が進むにつれ、こどもたちの小さな変化や成長を間近で感じられるため、その喜びもひとしおでしょう。

特に、発達に支援が必要なこどもたちとは、長期間にわたって深く関わることができるため、一人ひとりに適した支援を提供しながら、その成長を見守ることができます。

日々の積み重ねが成果として現れたときには、大きなやりがいを感じられるでしょう。

専門性を活かして働くことができる

児発管は、これまでに積み重ねてきた福祉・教育・医療分野の知識や経験を活かしながら働ける職種です。

障がいのあるこどもに対する支援だけでなく、保護者からの相談に応じたり、適切なアドバイスを提供したりすることも大切な役割の一つとなります。

特に、保護者はこどもの発達について不安を抱えていることが多いため、専門的な知識をもとにサポートできることは、大きなやりがいにつながります。

「相談してよかった」「アドバイスのおかげで安心できた」といった言葉をもらえることもあり、こどもだけでなく、その家族にも貢献できる仕事だと実感する場面が多いでしょう。

また、児童発達支援施設では、療育の現場で専門的な知識を活かしながら、こどもたちの発達を支援することも重要な役割です。

一人ひとりに適した支援方法を考え、スタッフと連携しながら実践していくことで、支援の幅が広がり、より良い療育環境を作ることができます。

以上が、児発管のやりがいについてでした。

児発管として働くことには、こどもたちに寄り添った支援ができることや、これまでの経験や知識を活かして働けることなど、多くのやりがいがあります。

特に、こども一人ひとりと深く関わることができる点は、この職種ならではの魅力です。

支援を通して成長を見守ることができるだけでなく、保護者の不安を和らげ、家族全体のサポートにも貢献できます。

専門性を活かしながら、こどもたちの未来を支える仕事がしたい方にとって、児発管者は大きなやりがいを感じられる職業といえるでしょう。

最後に、児発管に向いている人の特徴についてのお話です。

児発管に向いている人とは?

児発管として活躍するために必要な素質や、向いている人の特徴について詳しく解説します。

実際の業務内容を踏まえながら、どのような人が適性があるのかを見ていきましょう。

より良い支援を提供しようとする向上心がある人

児発管の役割は、こども一人ひとりの成長を見守りながら、その子や家庭のニーズに合わせた支援計画を立てることです。

そのため、常に「現状の支援が最適かどうか」を振り返り、より良いサービスを提供できるように改善を重ねていく姿勢が求められます。

また、児発管が作成する個別支援計画は、事業所全体で共有され、チームで実践していくものです。

そのため、支援の質を向上させるためには、療育や発達に関する知識を学び続ける姿勢も必要となります。

支援の在り方はこどもや家族の状況によって変化するため、常に最新の情報を取り入れ、より良い支援方法を模索し続けることができる人は、児発管として活躍できるでしょう。

周囲の状況を把握し、連携する力がある人

児童発達支援は、児発管や支援スタッフだけで完結するものではありません。

こどもや家族が安心して生活できる環境を整えるためには、関係機関との連携が欠かせないのです。

具体的には、以下のような関係機関との連携が求められます。

  • 保育施設や幼稚園・学校(教育現場との情報共有や支援体制の構築)
  • 福祉・医療機関(必要に応じた診療や専門的なアプローチの提供)
  • 行政や相談支援機関(適切な福祉サービスの利用支援)

児発管は、各機関とスムーズに連携し、こどもや家族に最適な支援を提供するための調整役を担う存在です。

そのため、状況を把握する力やコミュニケーション力が高い人は、現場で非常に頼りにされるでしょう。

また、支援の質を向上させるためには、関係者との情報共有や調整が欠かせません。

こどもや家族に寄り添いながら、他機関と円滑にやり取りできる人は、児発管に向いていると言えます。

現場のマネジメント力がある人

児童発達支援の現場では、児発管が直接支援を行うこともありますが、実際の療育やサポートを担うのは、他の支援スタッフであることが多いです。

そのため、現場の職員をまとめ、適切な指導やマネジメントを行うスキルも求められます。

具体的には、以下のような場面でマネジメント力が求められます。

  • 支援スタッフに対する指導やアドバイスを行う
  • 現場の状況を把握し、必要に応じて支援方法を調整する
  • 職員同士の連携を促し、チームワークを強化する

また、職場によっては、経験の浅い支援スタッフや、新しく入職した職員の教育を担うこともあります。

その際には、単に指導をするだけでなく、職員が主体的に成長できる環境を作ることも大切です。

職員との信頼関係を築きながら、適切なアドバイスを提供し、現場を円滑に運営できる人は、児発管として活躍しやすいでしょう。

以上が、児発管に向いている人の特徴でした。

児発管は、こども一人ひとりに合った支援計画を作成し、支援の質を向上させる役割を担う専門職です。

働く場所は児童発達支援施設や放課後等デイサービスなど多岐にわたり、勤務時間も職場によって異なります。

また、児発管になるためには、一定の実務経験を積み、必要な研修を修了することが必須です。

資格取得には時間と努力が必要ですが、その分やりがいも大きく、支援を必要とするこどもや家族に貢献できる職業です。

児発管を目指す方は、自分に合った職場を見つけながら、必要な経験を積んでいきましょう!

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